

マーケティングに興味のある方なら、オウンドメディアという言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。オウンドメディアは今注目されているマーケティング手法の一つですが、オウンドメディアとは何かを説明できる人はそれほど多くありません。
これからオウンドメディアを構築するのであれば、始める前にオウンドメディアとは何かを正しく理解しておきたいでしょう。
このページでは、オウンドメディアの初心者向けに、オウンドメディアとは何か、そのメリットやデメリット、始め方などをわかりやすく解説します。
1.オウンドメディアとは

オウンドメディアには広義と狭義の2つの意味があります。広義のオウンドメディアとは企業が所有するメディア(媒体)のことで、ホームページやニュースレター、パンフレット、カタログなどのことです。ウェブメディアだけでなくあらゆる媒体が含まれます。
一方、狭義のオウンドメディアとは自社で運営するブログタイプの媒体のことです。日本では後者の意味で使われています。
Webマーケティングの世界では、オウンドメディアに以下の2つのメディアを加えてトリプルメディアと言います。
・ペイドメディア
広告費を支払ってユーザーへアプローチし費用対効果を計測していくメディアです。
例:リスティング広告や動画広告
・アーンドメディア
情報発信することにより信用や評判をアップさせるため運営するメディアです。
例:フェイスブック、ツイッター、ユーチューブ
トリプルメディアはそれぞれ強みと弱みがあるため、相互補完的に活用するとマーケティング効果を高められます。
2.オウンドメディアが注目される理由とは

オウンドメディアが企業のマーケティング手法として注目されていますが、これには次の2つの理由があります。
(1)コンテンツマーケティングのトレンド
これまでWeb広告には集客効果を期待できましたが、今やその効果は薄れつつあります。この背景にあるのがデバイスの増加です。以前はインターネットにアクセスできるのはパソコンだけでしたが、現在はタブレットやスマートフォンからもアクセスできるようになりました。
ユーザーがインターネットに気軽にアクセスできるようになりましたが、Web広告に触れる機会が増え企業や商品に関する情報が溢れかえるようになっています。その結果、消費者はWeb広告をうっとうしいと感じるようになり、以前ほど興味を持って視聴しなくなりました。
最近ではWeb広告の費用対効果が低下し、サイトの広告ブロック機能をオンにしたり動画広告をスキップしたりするユーザーは増加しています。そこで登場してきたのが、ユーザーが興味や関心のあるコンテンツを自由に選択できるコンテンツマーケティングです。
企業はサイト訪問者に有益なコンテンツを提供して、ユーザーからリピーター、さらににファンへと育成できます。満足したユーザーはコンテンツをSNSなどで紹介するので、さらに多くのアクセスを集められるのです。
オウンドメディアは自由度が高く、コンテンツマーケティングとの相性が良いという特徴があります。そのため、自社でオウンドメディアを運営する企業が増加しているのです。
(2)SEO効果が期待できる
オウンドメディアで質の高いコンテンツをユーザーに提供したり、有益な情報を発信したりすることには、SEO効果が期待できます。SEOとは検索エンジン最適化のことであり、適切な施策を行うと検索結果でサイトが上位表示されます。検索エンジンが上位表示するサイトを決定する際の基準は、外部的要因と内部的要因です。以前は外部リンクの数など外部的要因が重視されていましたが、現在はコンテンツの質など内部的要因が重視されています。
質の高いコンテンツを構築しているサイトは、上位表示される傾向があります。そのため、自社サイトへのアクセスと売上をアップさせたい企業は、オウンドメディアを運用するようになったのです。
(3)適正な広告費による運用が可能になる
オウンドメディアを上手に活用すると、適正な広告費による運用が可能になります。
自社サイトへの集客をリスティング広告などのペイドメディアに依存すると、広告費の負担が大きくがちです。そこで企業は広告費を抑制するため、SEO対策に取り組んでいます。オウンドメディアで質の高いコンテンツをユーザーに提供したり、有益な情報を発信したりすると、ユーザーはリピーターになりさらにファンへと育てられます。
その結果、広告費を抑えてサイトへのアクセスや売上をアップできるのです。


3.オウンドメディアを構築するメリット・デメリット
オウンドメディアには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。メリットとデメリットは、以下のとおりです。
(1)メリット
オウンドメディアには、以下の5つのメリットがあります。
・ブランディング効果
オウンドメディアにはブランディング効果があります。
専門性と質の高いコンテンツを構築していくと、ユーザーは繰り返しサイトを訪問しリピーターになりファンへと育てていくことが可能です。さらに専門性の高い情報を提供し続けると、自社に対する信頼がアップしブランドを確立できます。
・ロイヤリティのアップ
オウンドメディアで有益な情報を発信し続けると、ユーザーは企業や商品・サービスに対して愛着(ロイヤリティ)を感じるようになります。単なるサイト訪問者からファンになっていくのです。ファンは他社の商品と比較しませんし、価格を気にせずに購入してくれます。
・情報発信の自由度が高い
オウンドメディアでは、自社オリジナルのノウハウや他社では得られない情報をユーザーに提供できます。発信する情報は自由にコントロールできますが、企業が伝えたいことを発信してもユーザーは読んでくれません。ユーザーは自分に役立つ記事しか読まないので注意しましょう。
・広告費を抑制できる
オウンドメディアを運営するには、サーバー代やサイトデザイン費などのイニシャルコストとコンテンツ作成や運営の費用などのランニングコストがかかります。他には費用がかからないため、広告に依存していた企業は広告費を抑制できます。
コンテンツを構築し続けるとアクセスがアップして検索エンジンで上位表示されるようになり、広告費をかけなくても集客できるのもメリットの一つです。
・顧客リストを取得できる
自社でオウンドメディアを運営すると、顧客リストを獲得できます。例えば、サイト内で無料コンテンツやクーポンなどをユーザーに提供し、代わりに会員登録してもらうという方法があります。会員登録する際に、メールアドレスなど顧客データを入力してもらうと、マーケティング活動に活用できるのです。
(2)デメリット
オウンドメディアのデメリットは、以下の5つです。
・効果が現れるまでに時間がかかる
オウンドメディアは記事をアップして、サイトへアクセスを集めます。最初のうちは記事数が少ないためサイト訪問者が少なく、新規ユーザーを獲得するのは簡単ではありません。また、検索エンジンで上位表示されるためには、SEOを意識した記事を書く必要があります。
慣れないうちはSEOを意識した記事を書くのは時間と手間がかかるため、オウンドメディアの運営を継続するのは難しいのです。
SNSやリスティング広告を活用すればオウンドメディアの認知度をアップできますが、オウンドメディアで結果を出すには時間と手間がかかることを知っておきましょう。
・コンテンツ制作や運用が難しい
オウンドメディアを運営する人材が社内にいないと、コンテンツを制作して運営していくのは難しいでしょう。オウンドメディアを運用する知識や経験がないと、ターゲットユーザーにマッチしていないコンテンツを制作するケースがあります。そのため、コンテンツの制作や運営を外注する企業が増えているのです。
4.オウンドメディアの始め方

ここまでオウンドメディアとは何かを解説してきました。では、どうやってオウンドメディアを始めればいいのでしょうか。
以下では、オウンドメディアを始める4つのステップを解説していきます。
(1)オウンドメディアの目的を決定する
まずオウンドメディアの目的を決定します。目的も決めずにスタートすると失敗するリスクが高いので、明確な目標を決めることが大切です。目的を決定したら、それに沿って作業を進めていきます。
オウンドメディアの目的は「販促」「新入社員の採用」「ブランディング」の3つに分類されるので、いずれかを選択しましょう。
(2)ターゲットとペルソナを設定する
マーケティングの基本であるターゲットとペルソナを設定します。ターゲットとはユーザーの大まかな範囲、ペルソナとはターゲットの具体的な人物像のことです。
【ターゲットの具体例】
・年代:30代~40代
・性別:男性
・属性:会社員
・趣味:アウトドア
【ペルソナの具体例】
・田中健太
・41歳
・千葉県市原市在住
・38歳の妻と2人の娘(8歳)の3人暮らし
・建設会社勤務
・キャンプや釣りが趣味
(3)チームを組む
自社でオウンドメディアを運用していく場合、社内でチームを組みます。運用のための以下の作業をチーム内で分担します。
【運用のための作業】
企画立案
記事の執筆
記事の校正・編集
効果測定
チームを組む際に役割分担をすると効率をアップできます。社内にオウンドメディアについて精通している人がいれば、その人をリーダーにするといいでしょう。社内にオウンドメディアの知見のある人材がいなければ、専門会社のコンサルティングを受けることをおすすめします。
(4)オウンドメディアを構築する
チームを組んだら、以下の流れでオウンドメディアを構築していきます。
①独自ドメインの取得
オウンドメディアを構築する場合、独自ドメインを取得します。ドメインとはインターネット上の住所のようなものであり「〇〇〇.com」など文字や数字、記号で表記されます。
独自ドメインは、ユーザーが自由に名前を決めて利用できるドメインのことです。独自ドメインを取得するには費用がかかりますが、以下のメリットがあります。
・企業の信頼度アップ
・独自ドメインのメールアドレスを利用できる
・SEO対策になる
独自ドメインの取得はオウンドメディアの構築に不可欠なので、必ず取得しましょう。独自ドメインはドメイン管理会社を利用してインターネット上で取得できます。
②CMSの設置
独自ドメインを取得したらCMSを設置します。CMSとは、初心者でも簡単にWebサイトのコンテンツを保存・管理できるシステムのことです。
CMSには、次のようなメリットがあります。
・専門知識がなくてもWebサイトのコンテンツを保存・管理できる
・Webサイトの運営を分業できる
・マルチデバイスへの対応がしやすい
※ マルチデバイスとは様々なデバイスでWebサイトを利用できること。
CMSにも種類がありますが、WordPressが一番使いやすくSEOにも強いのでおすすめです。
③コンテンツを作成し更新する
CMSの設置が完了したら、コンテンツを作成して自社サイトを更新します。コンテンツとは、記事や動画、画像、音声ファイルなどのことです。社内でコンテンツの作成や更新をするのがベストですが、難しい場合は外注先に依頼するといいでしょう。
5.オウンドメディアの課題とは
オウンドメディアをうまく運用すると、新規顧客を獲得して自社をブランディングできます。ただし、戦略もなくオウンドメディアの運用を始めると、いつのまにか更新されなくなります。これを回避するには、次のオウンドメディアの課題を解決する必要があります。
(1)緻密なマーケティング戦略が必要である
オウンドメディアを運用するには、スタート段階から緻密なマーケティング戦略を立案する必要があります。オウンドメディアを構築し始めてもすぐに結果が出にくく、結果が出るまで数ヵ月かかる場合がほとんどです。結果が出るまでコンテンツを蓄積していく必要があるため、戦略もなく運用すると時間や人材が無駄になります。
オウンドメディアの運用を成功させるには、ウェブマーケティングの知識が必要です。
例えば、
・適切なキーワードの選定
・収益源の確保
・成果が発生するまでのスケジュール管理
・予算の確保
・チームのメンバーの選定
などの知識が欠かせません。
(2)人的リソースと時間的リソースを確保する必要がある
オウンドメディアを運用していくには、以下のことに取り組む必要があります。
・サーバーの構築
・コンテンツの企画立案
・コンテンツの作成や編集、サイトへのアップロード
・SEO対策
・Web広告の出稿や管理
これらの業務を遂行していくには、人的リソースと時間的リソースを確保する必要があります。片手間でオウンドメディアを運用するのは難しいことを知っておきましょう。
まとめ
オウンドメディアとは、予算や知名度がなくても戦略的に取り組めば成果の出るマーケティング手法です。人的リソースと時間的リソースを確保して、じっくり取り組むことをおすすめします。
ただし、自社で記事を作成しようとしても、人的リソースや時間的リソースを確保できないこともあるでしょう。その場合は、優良な記事制作会社へ依頼することをおすすめします。

