自社のブランディングを推進するにあたり、なかなか社内だけではリソースやノウハウをまかなうのが難しいという悩みを抱えてはいないだろうか。
ブランディングは事業の成長を支える重要な戦略だが、必ずしも自社だけで構築するのが良いとも限らず、場合によっては外部の企業に委託するほうが良いケースもある。
そこでこの記事では、外部委託を積極的に検討したいパターンや委託の際の注意点を紹介する。
また、BtoBに特化したブランディング会社を探しているという方に、おすすめの企業を紹介する。
1. ブランディングを外部の企業に委託すべきパターンとは
ブランディングを外部の企業に委託すべきと判断するのは、具体的にはどのようなケースだろうか。
以下に代表的な4つのパターンを紹介する。
1.1. 社内リソースが不足している場合
ブランディングは単なるロゴ作成やデザインの決定にとどまらず、企業のビジョンや戦略を反映した包括的な取り組みである。
ブランディングには長期的かつ戦略的な視点からのマーケティング活動が求められ、ブランディングを実行するためには専任の担当者やクリエイティブなスキルが必要となる。
もし、社内にそうしたリソースが不足している場合、外部企業に委託すれば、専門的なスキルや知識を持つチームからサポートを受け、効率的かつ効果的にブランディングを進められる。
たとえば資金調達済みのベンチャー企業や安定期の中小企業など、一定の予算は確保できるものの、マーケティング・PRの専任担当者がいない、あるいはいてもわずかといった場合がこのケースに当てはまるだろう。
1.2. 市場の競争が激化し、差別化が必要な場合
昨今はBtoB市場も競争の激化が進んでおり、自社の強みを明確に打ち出すことが重要である。
しかし、社内だけで差別化戦略を考案することは難しい場合が多い。
特に、自社内の視点だけでは市場や製品の客観視が難しく、新しいアイデアやアプローチが生まれにくい。
このような状況の場合、外部企業の視点や専門的な市場分析を活用し、自社のポジションを再定義し、競合他社との差別化を図ったほうが、より強力なブランド戦略を構築できる。
1.3. 企業の成長にともない、ブランドの一貫性や拡大が求められる場合
企業が急成長している段階では、複数の市場や地域での展開が進み、ブランドの一貫性が重要な課題となる。
特に、ブランドメッセージが一貫していないと、顧客の混乱を招き、ブランド価値が低下するおそれがある。
また、急成長の段階では広告など短期で成果が出やすい業務に手が割かれやすく、長期的なブランディングの取り組みにはリソースが足りなくなる場合も多い。
この場合、外部企業の専門知識を活用して、成長に応じたブランドメッセージの統一や市場ごとの適切なポジショニングを確立し、ブランドの拡大をスムーズに進められる。
1.4. ブランディングに関する知識や経験が不足している場合
ブランディングは、単にデザイン面での施策ではなく、企業のミッション、ビジョン、コアバリューといったものを市場や顧客に伝える重要な手段である。
しかし、ブランディングを効果的に実行するためには、深いマーケティング知識や業界特有のノウハウが必要である。
たとえばSTP分析やカスタマージャーニーといったマーケティングフレームワークの活用、ブランドを形成する要素の理解といったものが挙げられる。
社内でこれらの知識や経験が不足している場合、外部の専門家やエージェンシーに委託すれば、効果的かつターゲットに訴求力のあるブランド戦略を設計できる。
2. BtoBブランディングに強いおすすめ企業8選
ここでは、BtoB企業がブランディングを委託する場合におすすめの企業を8社紹介する。
どの企業もBtoBの実績が豊富だ。
ブランディング企業に求める内容はさまざまだろう。
ゼロベースからブランディングを始めるため戦略設計・コンサルティングを依頼したいケース、また戦略はある程度自社で用意したものがあり、ソリューションの実行を力強く引っ張ってほしいケースなどが挙げられる。
それぞれの企業について「こんな企業におすすめ」の情報も参考にしながら選定のヒントにしてほしい。
2.1. 株式会社揚羽
株式会社揚羽は、大手企業から中小・ベンチャー企業まで800社以上の支援実績を持つ総合ブランディング会社である。
「日本BtoB広告賞」を複数回受賞しており、企画や戦略設計だけでなくWEBサイト制作・映像制作などのクリエイティブ力にも定評がある。
また同社は2023年9月にグロース市場に上場し、急成長している企業でもある。
社名 | 株式会社揚羽 |
住所 | 東京都中央区八丁堀2丁目12-7 ユニデンビル3F |
URL | https://www.ageha.tv |
サービス内容 | コーポレートブランディング、パーパスブランディング、サステナビリティブランディング、採用ブランディング、インナーブランディング、アウターブランディング、商品・サービスブランディング など |
実績 |
など |
こんな企業におすすめ |
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2.2. 株式会社セブンデックス
株式会社セブンデックスは、デザインとマーケティングの両輪を回しながら企業の価値向上や事業成長に貢献する企業である。
デザインを目的とせず、デザイン思考を応用して、ブランディングやマーケティングの戦略・実行、DX支援、新規事業開発など顧客のさまざまなビジネス課題に向き合っている。
ブランディングは上流工程の調査分析やユーザー定義から、ビジュアルデザインまでトータルに依頼できる。
社名 | 株式会社セブンデックス |
住所 | 東京都渋谷区渋谷3-9-9 東京建物渋谷ビル5F |
URL | https://sevendex.com |
サービス内容 | UXUIデザイン、ブランディング戦略・実行、マーケティング戦略・実行、新規事業開発、グロース戦略・実行、組織開発、採用戦略、DX支援 など |
実績 |
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こんな企業におすすめ |
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3.3. グラムコ株式会社
グラムコ株式会社は1987年に設立した日本初の専業ブランディングファームである。
戦略思考とクリエイティブ思考を両立させるコンサルティングファームとして、リサーチ、戦略・コンセプト立案から、ブランドデザインの開発と展開まで、一貫したサポートが受けられる。
またブランドは国際的に通用するものでなければならないとの観点から、上海と北京に現地法人を持ち、さらにニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、ドバイ、台北、シンガポール、コペンハーゲンなど各地の提携企業とのネットワークも持つ。
社名 | グラムコ株式会社 |
住所 | 東京都中央区日本橋室町4-3-16 柳屋太洋ビル 5F |
URL | https://www.gramco.co.jp/ |
サービス内容 | リサーチ、戦略・コンセプト立案、コーポレート・アイデンティティ、ロゴ、デザイン、ネーミング、スローガン開発 など |
実績 |
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こんな企業におすすめ |
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2.4. インサイトフォース株式会社
インサイトフォース株式会社は、ブランドとマーケティングの領域に特化した戦略コンサルティングファームである。
ブランドの世界観やデザインは美しくても、市場競争に敗れる商品・サービスが多く存在するという課題感から「市場競争力を高める競争戦略型アプローチ」にこだわったコンサルティングを行っている。
その確かな戦略設計力は、超大手企業からベンチャー企業まで数多くの企業の経営トップから支持を受けている。
社名 | インサイトフォース株式会社 |
住所 | 東京都渋谷区鉢山町11-1 MFPR COURT 103 |
URL | https://www.insightforce.jp/ |
サービス内容 | 企業ブランドコンサルティング、商品・サービスブランドコンサルティング、ブランドポートフォリオ最適化コンサルティング、BtoBブランドコンサルティング、ダイレクトマーケティングROI向上支援、ベンチャーブランディング支援 など |
実績 |
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こんな企業におすすめ |
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2.5. 株式会社三幸企画
株式会社三幸企画は、約半世紀わたりBtoBに特化したマーケティング・ブランディング支援を行ってきた企業である。
ヒアリングによる課題抽出から、制作物全体の企画構成、ターゲットインサイトを踏まえた上でのコピーライティング、情報伝達スピードを考慮した機能的なデザインを提供する。
多様なBtoB企業のブランディング実績を持ち、特にコミュニケーションツールの制作実績が豊富だ。
社名 | 株式会社三幸企画 |
住所 | 東京都千代田区平河町1-4-12 平河町センタービル10F |
URL | https://www.sankokikaku.co.jp/ |
サービス内容 | 戦略立案とコンサルティング、販売促進・営業支援ツール、企業PRツール、広告制作、イベント制作など |
実績 |
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こんな企業におすすめ |
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2.6. 株式会社フブキ
株式会社フブキは、主にBtoBのWEBサイト制作に強みを持つ企業である。
制作の前段階で必要なターゲット&ニーズ発掘、ビジョン(ストーリー)設計、コピーライティングといったプロセスに対応できる。
またCCB(コーポレート・コンセンサス・ビルダー)という独自のWEB制作コンサルティングサービスを提供している。
WEBサイトを単なるサービス紹介の場として捉えるのではなく、コーポレートブランドを表現する場として形にするための社内合意形成のプロセスまで支援してくれる。
社名 | 株式会社フブキ |
住所 | 東京都新宿区西新宿1-5-12 ニューセントラルビル802 |
URL | https://www.fubuki.com/ |
サービス内容 | ブランディング&PR戦略、制作&構築、運用&調査&改善、WEBサイトコンサルティング など |
実績 |
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こんな企業におすすめ |
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2.7. 株式会社ベイジ
株式会社ベイジは、WEBサイト制作やUI/UXデザイン、オウンドメディア運営などを専門にサービスを展開する企業である。
特にBtoBサイトの制作実績は豊富で、ITやコンサルティング、製造業など多様な業界での実績を持つ。
顧客企業のブランドを反映させながらも、BtoB企業において課題になりがちなリード獲得にも強いWEBサイトを制作してくれる。
また制作だけでなく既存のサイトの改善コンサルやブランディングの戦略設計も依頼できる。
社名 | 株式会社ベイジ |
住所 | 東京都世田谷区代田6-6-1 TOKYU REIT下北沢スクエア 3F |
URL | https://baigie.me/ |
サービス内容 | WEBサイトの企画・制作、ブランディング支援、業務システムの企画・デザイン、WEBビジネスのコンサルティング、WEBサイトの運営・サポート、自社サイトの運営 など |
実績 |
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こんな企業におすすめ |
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2.8. 株式会社シロクロ
株式会社シロクロはWEBサイト制作において、ブランディングとマーケティング双方のパフォーマンスを重視しているBtoB中小企業向けのWEB制作会社である。
元々はBtoBのコーポレートサイト制作を強みとしているが、数多くのBtoB企業の支援実績を積み重ねるなかで2023年にブランディング支援サービスを立ち上げている。
顧客の歴史や強みに関するヒアリング、ブランドアイデンティティの策定を行った後、コーポレートサイトやLPの制作、記事・動画コンテンツの制作までトータルプロデュースを行う。
新規サービスであるため88,000円からのトライアルが可能。
社名 | 株式会社シロクロ |
住所 | 東京都豊島区駒込2-7-14 ヴィラ駒込202 |
URL | https://www.4696.co.jp/branding/ |
サービス内容 | ブランディング、マーケティング、WEBサイト制作 |
実績 | (WEBサイト制作支援実績)
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こんな企業におすすめ |
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3. ブランディングを委託する企業の選び方
次に、実際にブランディングを外部委託すると決めた場合に、委託先を選ぶ際にはどのような点を考慮すればよいかを、BtoB企業の視点でみていこう。
一度ひとつの会社と契約をすると、たとえ不満が生じても別の会社に乗り換えるための労力を億劫に感じ、ずるずると関係性を引きずってしまうおそれがある。
以下のポイントはチェックしておいてほしい。
選び方1.BtoB企業の実績が豊富か
ブランディングは、BtoBとBtoCで異なるアプローチが求められる。
BtoB企業の場合、顧客が個人ではなく企業であるため、意思決定プロセスが複雑であり、企業としての信頼性や専門性が重要となる。
たとえば、どれだけおしゃれでもカジュアルすぎるデザインは好ましくない場合がある。
またそもそもターゲット層が異なるため、言葉選びや雰囲気の演出なども大きく変わってくるだろう。
したがって、選定する企業がBtoB市場でのブランディング実績を持っていることは必須条件だ。
加えて、これまでに成功したプロジェクトや、自社類似業界での実績があるかどうかについても確認しよう。
選び方2.ブランディングのほか、業界に関する十分な知識を有しているか
選定する企業の担当者が、ブランディングやマーケティングの知識を豊富に有しているのはもちろん、あなたの業界に関する深い理解を持っているかどうかも重要である。
特に、IT業界のような高度な専門知識を要する業界では、専門知識や顧客の課題・ニーズを理解していないと、ブランディングにおいて適切な表現や訴求が難しくなる。
発注前の初回提案を受けるなかで、自社の事業や市場について徹底的にリサーチし、深く理解しているかを確認しよう。
選び方3.コミュニケーション能力が高く、柔軟な対応ができるか
委託する企業と頻繁にコミュニケーションを取れ、こちらからの質問やフィードバックに柔軟かつ迅速に対応してくれるかも重要だ。
どれだけマッチする企業を見つけられても、プロジェクトの進行中に予期せぬ問題が発生する場合もある。
また、当初のスケジュールと遅れてしまったり、認識の食い違いが発生し成果物の方向性や品質が思わしくなかったりというすれ違いもあるかもしれない。
トラブルが発生しても、問題点や改善点を迅速に見つけ出し、コミュニケーションを図った上で計画や戦略を明示してくれるような企業が理想的だ。
普段からのコミュニケーションや対応、トラブルが発生したときやスケジュールが後ろ倒しになったときの対応も確認しておこう。
選び方4.長期的なパートナーシップを築けるか
ブランディングは一度の施策で完結するものではなく、企業の成長や市場の変化に合わせて継続的に調整されるべきものである。
そのため、単発のプロジェクトだけでなく、長期的な視点でパートナーシップを築ける企業を選ぶことが望ましい。
持続的なブランディングのサポートを提供できるか、定期的な見直しや改善提案が行われるかの確認が大切である。
実際にそこまで委託するかどうかは別として、少なくとも1年、理想的には3年といった長いスパンで今後の展開を見据えたスケジュールを提示してくれる企業には信頼度がアップするだろう。
選び方5.ROI(投資収益率)の向上を明確に提案してくれるか
ブランディングの外部委託は大きな投資であるが、高い費用を支払っても必ずしも見合った価値提供が得られるとは限らない。
自社ではどれくらいのコストでどれくらいの効果(ROI)が見込めるのかを、定量的に提示してくれる企業を選ぶべきである。
もっとも、ブランディングは長期の積み重ねで成果を発揮する施策であるため「●年後に売上がこれだけアップする」という成果は示しづらい側面は確かにある。
しかし、他社実績においてどの程度の期間でどのような成果をあげたのかは最低限確認したい。
投資に対する効果と根拠が明確になっていなければ、無駄な投資になってしまうおそれは十分にある。
4. ブランディングを外部委託する際の注意点
前述した観点に沿って委託先の企業を決められたら、いよいよパートナーシップの元でのブランディングが始まる。
実際に委託するにあたって気を付けるべき点も多くある。
特に以下のような点にぜひ注意してほしい。
注意点1.ブランディングの目的や対象、委託内容を整理しておく
委託する前に、まず自社のブランディングの目的や対象の明確化が必要である。
これは自社のブランドがめざすべきゴールや、どのような市場・顧客層をターゲットにしているのかを整理する作業だ。
目的が明確でないと、外部企業との認識にズレが生じ、期待した成果を得られない可能性がある。
また、委託する内容、たとえばロゴデザイン、ブランド戦略の策定、WEBサイトやSNSのブランディングなど、具体的な範囲の事前整理が重要である。
これにより、委託範囲が明確になり、無駄なコストや作業が発生するリスクを減らせる。
注意点2.関係者内でフレームワークを用いて自社ブランドのターゲットや位置づけを整理しておく
外部企業にブランディングを依頼する前に、社内でフレームワークなどを活用し、ブランドのターゲットや位置づけを明確な整理が求められる。
たとえば、STP分析やペルソナ設定などの手法を使い、ターゲット顧客の明確化と、自社が市場内でどのように位置づけられるべきかの具体化が有効である。
こうした準備を行えば、外部企業がブランディング戦略を策定する際に認識の齟齬が少なくなり、プロジェクトのスムーズな進行が期待できる。
注意点3.コミュニケーションのルールを明確に設定しておく
外部企業とのプロジェクト進行には、円滑なコミュニケーションが不可欠である。
プロジェクトの進行管理やフィードバックのタイミング、報告の頻度など、事前にルールを設定しておくと、双方の期待値を合わせ、スムーズな進行を確保できる。
たとえば、定期的な進捗会議やオンラインでのやり取りを設定し、課題が生じた際にも早期に解決策を見つけられる体制を整えることが重要である。
注意点4.成果物の評価基準・評価方法を明確に設定する
ブランディングの成果をどのように評価するか、具体的な評価基準や評価方法を事前に決めることも重要である。
たとえば、認知度の向上、顧客のエンゲージメント、売上への貢献など、評価基準を明確にすれば、外部企業に具体的な目標を伝え、プロジェクトの進捗を適切に評価できるようになる。
成果物のクオリティや納期についても、契約書に明記しておけば、発注後のトラブルの予防になる。
5. まとめ
ブランディングを外部委託すべきパターンや委託の際の注意点、おすすめのブランディング会社を紹介した。
ブランディングは長期的な取り組みで多くのリソースを必要とするため、特にベンチャー企業や中小企業などでは、すべての工程を社内で完結させることは不可能な場合が多いだろう。
だからこそ長期的な信頼関係を築ける委託先企業の選定もブランディングの成否に関わっているといえる。
この記事を参考にぜひ自社に最適なパートナーを見つけてほしい。