生成AIの台頭やランキングアルゴリズムの高度化によって、コンテンツの質がますます重視される時代になった。
このことから「良質なコンテンツ」に対する需要が高まっている。
良質なコンテンツを生み出すためには、「何をもって良質とするか」を明確にしなくてはならない。
本記事では、良質なコンテンツの条件を「Googleが掲げる条件」を中心に解説していく。
1. 良質なコンテンツとは?
まず、良質なコンテンツの定義を明らかにしておこう。
良質なコンテンツの条件を調べるにあたって最初にチェックすべきは「Googleが公開しているドキュメント」だ。
Googleは「品質評価ガイドライン」の中で、コンテンツの評価に関するさまざまな指標を公開している。
そこで、品質評価ガイドラインの内容から「良質なコンテンツ」に関する部分を抜粋して紹介する。
結論から述べると、ガイドラインから読み取れる良質なコンテンツとは、以下3つだ。
- Needs Met Ratingで高評価を得るコンテンツ
- 独自性と正確性を両立するコンテンツ
- E-E-A-Tを充足するコンテンツ
順に詳しく見ていこう。
1.1.Needs Met Ratingで高評価を得るコンテンツ
Googleでは「良質なコンテンツ=検索意図に合致するコンテンツ」という前提に立っている。
また、検索意図への合致度を評価する指標として、「Needs Met Rating」を定めている。
「Needs Met Rating」とは、ユーザーの検索意図に対して、検索結果がどれほど適切にニーズを満たしているかを評価する基準だ。
Googleの品質評価者(Quality Raters)が検索結果の質を評価するための指標で、ニーズの充足度を5段階の評価で示している。
Needs Met Ratingを日本語訳した内容が以下の図だ。
良質なコンテンツとは、最上位の「Fully Meets(Fully M)」および次点の「Highly Meets(HM)」が該当すると考えてよいだろう。
「Fully M(Fully Meets)」および次点の「Highly Meets(HM)」の内容は以下のとおりだ。
「Fully Meets」の内容
Fully Meetsの評価を得るためには、以下の条件を満たす必要がある。
- クエリの解釈が明確であること
ユーザーの意図が明確で、解釈の余地がないクエリであること。
- ユーザーの要求を完全に満たすこと
特定のWebサイトやページが、ユーザーの求める情報を完全かつ直接的に提供していること。
- 追加の検索が不要であること
ユーザーが現在の検索結果だけで満足し、他の情報を探す必要がないと判断できること。
また、個人の主観ではなく、ほぼすべてのユーザーにとって満足できる結果であることが求められる。
- 最高評価のFully Meetsはほぼ発生しない
Fully Meetsは、検索クエリが具体的であり、ユーザーが特定の情報やWebサイトを求めている場合、なおかつ「一度の検索ですべてのニーズが完全に満たされた」と判断されたときに付与される。
公式サイトやユーザーが指定する特定のWebページでのみ発生するレアな評価と考えてよいだろう。
Googleの解説でも「Fully Meetsは特定のケースでのみ適用され、通常の検索ではほとんど使われない非常に厳格な評価基準」として紹介されている。
Highly Meetsの内容
続いてHighly Meetsの条件を見ていこう。
基本的にはFully Meetsと同じような条件であるが、いくつかの補足事項がある。
- ユーザーの検索意図にしっかり応えている(情報が正確で役立つ)
- コンテンツの質が高く、分かりやすく読みやすい
- 必要に応じてエンターテイメント性や表現の適切さも考慮される
- トピックに関連する最新情報を提供
特に専門的な内容やニュース、重要なテーマ(特にYMYL分野)などでは正確かつ鮮度の高い情報が重視される。
一部のクエリでは、情報源の信頼性が特に重要視され、公式サイトや権威あるページが「Highly Meets」となることが多い。
- Fully Meets ほど厳格ではないが専門性や信頼性を重視
Highly Meetsは、クエリによって異なる評価基準を持ち、必ずしも1つの正しい答えが求められるわけではない。
したがって、ユーザーの検索意図を100%満たしているわけではないが、大部分のユーザーにとって非常に役立つ場合に適用される。
BtoBでは、現実的な最高評価であるHighly Meetsを良質なコンテンツの基準とすべきだろう。
1.2.独自性・正確性・専門性を併せ持つコンテンツ
良質なコンテンツの2つ目の基準は「独自性と正確性が両立されていること」だ。
これは、品質評価ガイドラインにおける「メインコンテンツの質」の項にも記載がある。
以下がその要約だ。
メインコンテンツの質を評価するための主な要素
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メインコンテンツの質については、「労力」「独自性」「正確さと専門性」の3つが重要であると読み取れる。
また、「人間が労力を投じていること」も重視されるので、自動的に大量生産されたページは質の評価を得られにくいかもしれない。
1.3.E-E-A-Tを充足するコンテンツ
E-E-A-Tとは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trust(信頼性)の頭文字をとった略語だ。
BtoBではE-E-A-Tの充足が良質なコンテンツを作るうえでの必須条件となる。
Experience(経験)
成功事例や顧客の声、実際のプロジェクトに関するホワイトペーパーなどを公開することで強化される。
特にBtoBでは、成功事例を通じて「顧客課題と解決の経緯」を示すことが有効だ。
Expertise(専門性)
専門知識を持つ実務経験者や有資格者が、記事コンテンツやホワイトペーパーを作成することで専門性が強化される。
記事に専門家の監修を入れるのもよいだろう。
BtoBの顧客は、専門的な知識と豊富な経験に裏付けされた情報源を重視するため、専門性の高いコンテンツの制作は非常に重要だ。
Authoritativeness(権威性)
権威性は「第三者からの評価」を得ることで強化される。
コンテンツに権威性を持たせるためには、著名なサイトや信頼性の高い情報源からの被リンクやサイテーション(言及)を増やすことが近道だ。
Trust(信頼性)
信頼性は、上記3つを継続的に満たすことで徐々に強化される。
コンテンツ単位で言えば「公的機関など信頼に足る情報源からの引用」や「参考文献の明示」などが効果的だ。
E-E-A-Tについてはこちらの記事でも詳しく解説しているため、参考にしてほしい。
1.4.弊社が考える良質なコンテンツの条件
ここまで「良質なコンテンツ」の条件をGoogleが公開しているガイドラインに沿って解説してきた。
弊社では、これら3つの条件に加えて、下記を考慮すべきだと考えている。
条件1.ニーズを真正面から付き、「+アルファ」を提示している(付加価値の提供)
良質なコンテンツは検索意図(ニーズ)を満たすことが大前提だ。
しかしニーズの充足は、今やほぼすべての上位コンテンツで行われている。
そこで「+アルファ(付加価値)」を提供することに目を向けてみよう。
「+アルファ(付加価値)」の提供方法としては「自社で蓄積したデータを公開する」「導入事例から得られた知見を盛り込む」などがある。
条件2.難解さを回避し認知負荷を低減できている(可読性が高い)
BtoBのテーマは全般的に複雑になりがちだ。
また、専門用語が増えることで難解なコンテンツになってしまう。
専門的で複雑なテーマをわかりやすく整理し、可読性が高いコンテンツに仕上げることで「良質なコンテンツ」とみなされる可能性が高まる。
具体的には、「図版や表で可読性を高める」「具体例や例えで認知負荷を下げる」といった対策が有効だ。
条件3.思考の軌跡が見える(単なる事実の羅列ではない独自性)
良質なコンテンツの条件である「独自性」は、意外と対策が難しい。
なぜなら、過度に独自性に振ってしまうと信頼性や正確さが落ちてしまうおそれがあるためだ。
とはいっても、「単なる事実の羅列」からは独自性が生まれない。
独自性を担保するには「Aという事実をもとにBの視点で試行した結果、Cという結論に至る」のように「思考の軌跡」を見せることが重要だ。
思考の軌跡が明確であり、納得感を得られるものであれば、良質なコンテンツとして評価される可能性が高まる。
数値や実際の画像などを使用して解説ができれば、ユーザーや検索エンジンも思考の軌跡を汲み取りやすくなると考えられる。
2. BtoB企業が良質なコンテンツを作るためのポイント
次に、BtoB企業が良質なコンテンツを作るためのポイントを整理していこう。
2.1.「キーワード」に込められた「検索意図(ニーズ)」を狙い打つ
キーワード単位でコンテンツを作る際、その背後にある「検索意図(ニーズ)」を細分化することが重要だ。
例えば、「マーケティング戦略」というキーワードには、「基本的な概念の理解」「具体的な実践方法」「最新トレンドの調査」など複数のニーズが含まれる。
こうしたニーズを洗い出し、どのニーズを狙うべきかを慎重に吟味していこう。
最も自社にとって価値の高いニーズを特定することで、優れたコンテンツが生まれるからだ。
また、ニーズを明確に狙うことは、コンテンツ同士のカニバリも防ぐことができる。
カニバリについては、下記の記事でも詳しく解説している。
2.2.鮮度の高い情報を扱う
BtoBでは、法改正や市場のトレンドに関連した情報が特に重要だ。
法改正やビジネストレンドを、わかりやすく・素早く・的確に伝えることで「良質なコンテンツ」とみなされやすくなる。
鮮度の高い情報はユーザーからの信頼性獲得や、検索エンジンからの評価にもつながる。
2.3.恒久的なテーマに取り組む
恒久的なテーマには、普遍的なニーズが含まれている。
つまり、長期間にわたって価値を維持するコンテンツを作成できる。
SEOの分野でも「エバーグリーンコンテンツ(常緑=色あせないコンテンツ)」は恒久的なテーマから生まれている。
見つけることが難しいテーマではあるが、常に念頭に置いておこう。
2.4.社内に点在するノウハウを集約し独自性を出す
BtoB企業では、マーケティング、営業、サポート、開発など複数の部門にノウハウが散在していることが多い。
社内の異なる部門からノウハウを集め、統合することで、実践的かつ説得力のある情報を提供できるようになる。
さらにBtoBの分野では、「アンケート」「調査レポート」など独自の一次情報も良質なコンテンツと見なされやすい。
こうしたコンテンツは部門間の連携で具体性が増すため、積極的に活用していこう。
2.5.「視覚化」「要約」「具体例」で可読性を上げる
BtoB向けのコンテンツは専門的で難解になりがちだ。
読者の負担を軽減するために、テキストの「踊り場」として図やグラフ、要約を挟んでいこう。
また、具体例や事例を交えることで、理論が現実にどう適用されるかを示し、読者にとっての可読性を高めることができる。
2.6.定期的なメンテナンス
古くなった情報の更新や新たな情報の追加など、コンテンツの鮮度を保つことも心がけよう。
具体的には、定期的にコンテンツの内容をチェックし「リライト」をかけていく。
リライトはコンテンツの価値を維持し、SEOの効果を高めるための重要な施策だ。
3. 良質なコンテンツがもたらすSEO効果
最後に、良質なコンテンツがもたらす効果を紹介する。
良質なコンテンツの作成は、近年のSEOにおける王道であり、さまざまなメリットを生む。
効果1.検索順位の向上
情報の質が高いコンテンツはユーザーのニーズを満たし、検索エンジンから「有用」とみなされる。
その結果、ランキングアルゴリズムによってより上位の検索順位を獲得する。
さらに、良質なコンテンツはユーザーの滞在時間を延ばし、回遊率を向上させる。
滞在時間や回遊率は検索エンジンのアルゴリズムにおいてポジティブなシグナルとして働き、SEO評価にも良い影響を与える。
効果2.サイト全体の評価向上
価値あるコンテンツは、他のウェブサイトからのリンクを獲得しやすい。
また、SNSでシェアされる機会も増える。
外部からの評価獲得が積み重なることで、サイト全体の権威性が向上する。
特に他サイトからの自然な被リンク(ナチュラルリンク)は、効果が高い。
効果3.ドメインレートの向上でより「勝ちやすく」
ドメインレートとは、主にSEOツールで使われる指標で「ウェブサイト全体の権威性や信頼度を数値化したもの」だ。
Googleが公式に定めている指標ではないが、SEOの世界では依然としてドメインレートの影響力が大きいと認識されている。
ドメインレートは他サイトからの質の高い被リンクによって向上することが多い。
また、ドメインレートが高いと、個々のコンテンツが検索エンジンで上位に表示されやすくなる。
つまり、新たに作成したコンテンツも勝ちやすく(上位表示されやすく)なるわけだ。
4.まとめ
本記事では、「良質なコンテンツ」についてGoogleが公開しているガイドラインを中心に解説してきた。
良質なコンテンツの基準はGoogleの品質評価ガイドラインから、その大枠が読み取れる。
また、本記事で解説したようなBtoB特有の事情を踏まえることで、コンテンツの質をさらに上げることができる。
弊社でもSEOを熟知したスタッフによるコンテンツの質改善や、コンテンツマーケティング支援を提供しているため、ぜひお気軽にお問合せいただきたい。