構造化データの基礎と実装を理解する|真のメリットと重要性とは

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構造化データは、検索エンジンにコンテンツの意味や種類を理解させるための手法だ。

検索エンジンとの共通言語を使った記述を行い、SEO評価の効率的な向上につなげる。

テクニカルSEOの中でも最もポピュラーな対策だが、実際は効果を体感しにくい施策でもある。

そこで本記事では、構造化データの基礎知識と具体的な実装方法、そして実装後のSEO効果の確認方法なども紹介する。

「コンテンツの数は揃えたが構造化データを導入していない」

「社内にエンジニアリソースがなくノウハウもない、理解するのが難しい」

「そもそも期待できる効果を整理できていない」

というお悩みを持つマーケティング担当者は、ぜひ本記事を参考に、実践に役立ててほしい。

 

1. テクニカルSEOの基礎「構造化データ」とは

 

構造化データはテクニカルSEOの一環として活用される。

まず、構造化データの基礎を把握しておこう。

構造化データの概要

 

1.1.検索エンジンが理解するための「言語」

 

構造化データとは「一定のフォーマットで整理し、特定のルールに従って構造化されたデータ」だ。

一般的には、コンテンツに含まれるデータの意味やそれぞれの関連性を機械が解釈しやすい形に整えたものを指す。

ただしSEOの文脈では「検索エンジンがウェブページの内容を正確に理解できるように追加されるデータ構造」を意味する。

 

HTMLと構造化データの違い

 

HTMLは、Webサイトの情報を機械的に定義、構造化するための「マークアップ言語」だ。

その目的は「Webサイトの情報を人間が視覚的に理解しやすくすること」だ。

一方、構造化データは、検索エンジンのクローラーに対して「この情報は何を表しているか」を明示的に伝えるためのものだ。

つまり「対検索エンジン」を想定してマークアップされるという点で通常のマークアップとは異なる。

一般的なHTMLの記述が「対人間」を、構造化データは「対検索エンジン」を想定していると考えるとよいだろう。

 

1.2.構造化データの構成要素

 

構造化データは「ボキャブラリー」と「シンタックス」の2つの要素で構成されている。

ボキャブラリーは、データの種類や意味を定義するための単語やルールの集合を指す。

シンタックスはそのルールを記述する際の書式や記述方法を意味する。

専門的で分かりにくい場合は、SEOの世界をIT企業の社内でたとえてみよう。

ボキャブラリーは「エラー」「サーバ」「データベースA」「データベースB」など、全社共通で規定された単語を表す。

一方シンタックスは、報告書や提案書の「フォーマット」だ。

例えば、報告書を書く際に「プロジェクト名→課題→進捗状況→次のステップ」の順番で記述するルールが定められているとする。

このようにボキャブラリーとシンタックスが定められていれば「報告書をフォーマット通りに作成する」という文脈だけで全社が共通して理解できる資料が出来上がる、という具合だ。

では、ボキャブラリーとシンタックスについて詳しくみていこう。

 

メジャーなボキャブラリー「Schema.org」

 

構造化データのボキャブラリーとして最も広く使用されているのは「Schema.org」だ。

Schema.orgは、Google、Microsoft、Yahoo!などの主要検索エンジンが共同で策定した規格である。

Webページの内容を「商品」「イベント」「FAQ」などのカテゴリで分類し、検索エンジンにその意味を伝えるものだ。

 

シンタックスは「JSON-LD」が主流

 

シンタックスは、JSON-LD、Microdata、RDFaなどが存在し、現在ではJSON-LDが主流となっている。

JSON-LDは、JavaScriptをベースにした軽量なデータ記述フォーマットであり、HTML内に埋め込む形で記述される。

扱いやすく保守性にも優れるため、初心者から上級者まで幅広く愛用されている。

 

2.構造化データを使った具体的な施策

 

構造化データは、以下のような具体的なSEO施策に活用される。

 

2.1.パンくずリスト

 

パンくずリストに構造化データを追加することで、検索結果にページ階層が表示され、ユーザーがページの位置関係を理解しやすくなる。

パンくずリスト

引用:パンくずリスト(BreadcrumbList)の構造化データ|Google検索セントラル

 

2.2.イベント

 

セミナー、ウェビナー、展示会など、BtoBビジネスでは多様なイベントが開催される。

これらのイベント情報を構造化データでマークアップすることで、Google検索結果にイベントの詳細情報(開催日時、場所、参加費など)を表示することができる。

イベント情報の構造化データ

引用:イベント(Event)の構造化データ|Google検索セントラル

 

2.3.記事

 

ブログ記事やホワイトペーパーなど、BtoBウェブサイトでは多くの記事コンテンツが公開されている。

これらの記事にArticleやBlogposting構造化データを追加することで、Google検索結果に記事のタイトル、著者、公開日などを表示することができる。

記事の構造化データ

引用:記事(Article、NewsArticle、BlogPosting)の構造化データ|Google検索セントラル

記事のリッチリザルトは、記事の内容をわかりやすく伝え、クリック率向上に貢献する。

 

2.4.製品

 

自社の製品やサービスを販売するBtoB企業の場合、Product構造化データを使用して、Google検索結果に製品情報(製品名、価格、レビューなど)を表示することができる。

Productの構造化データ

引用:Productの構造化データについて|Google検索セントラル

 

製品のリッチリザルトは、顧客に製品情報を効果的に伝え、購買を促進するのに役立つ。

Google検索セントラルでは、Googleがサポートする構造化データのマークアップが公開されている。

ぜひ以下のページも参考にしていただきたい。

参考:Google検索がサポートする構造化データマークアップ|Google検索セントラル

 

3.構造化データが求められる理由「セマンティックWeb」

 

構造化データが重要である背景には、Web全体のデータ構造を意味的に整理する「セマンティックWeb」の台頭がある。

セマンティックWebとは、データに意味を持たせ、検索エンジンやAIの理解を促進する概念だ。

近年の検索エンジンは自然言語処理やAI技術の進化により、セマンティックWebの実現に近づいている。

 

3.1.意味を伝えることで検索ユーザーの利便性が向上

 

通常のHTMLは、文書構造を定義して視覚的に整えることはできても、「意味」を伝えることはできない

検索エンジンやAIに意味を伝達できなければ、検索ユーザーが本当に欲する情報が検索結果に表示されにくい。

一方セマンティックWebでは、検索エンジンがコンテンツの文脈や意図を正確に把握できるようになる。

結果的に、検索結果がユーザーのニーズに的確に応えるものとなる。

構造化データは検索エンジンとの共通言語を利用して「意味」を正確に伝えることで、セマンティックWebを促進するためのツールといえる。

 

3.2.モバイルファースト時代にも対応

 

現在は「モバイル」を使用したユーザーの割合が非常に高い。

これに対応するように、検索エンジンは「ユーザーが迅速に目的の情報にアクセスできること」を重視している。

スマートフォンやタブレットはPCよりも画面が小さく、表示される情報に限りがある。

また「手の上で」検索しているユーザーは「簡単に欲しい情報を見つけられる」ことに価値を見出す

つまり、「目的の情報(ニーズに沿った情報)に素早くたどり着ける」ことが重要だ。

その観点で、構造化データは「意味づけ」によってユーザーのニーズを満たすため、モバイルファースト時代のSEO対策として無視できない施策なのである。

 

4. 構造化データの具体的な実装方法

 

続いて、構造化データの実装方法を見ていこう。

前述したように構造化データは「JSON-LD」を用いた実装が主流だ。

ここでは、構造化データの実装手順やJSON-LDの基本フォーマット、HTMLコードへの埋め込みなどを解説する。

 

4.1.構造化データの実装手順【HTML編】

 

構造化データの実装手順は下記の手順で進める。

  1. 実装するページの内容を確認する
  2. 適切なボキャブラリーとシンタックスを選ぶ
  3. JSON-LD形式でコードを作成する
  4. HTMLに埋め込む
  5. 検証ツールで確認する

なお、WordPressなどCMSを利用した構造化データの実装方法は後段で解説する。

まずは、HTMLへ直接埋め込む場合の手順をみていこう。

 

ステップ1.実装するページの内容を確認する

 

対象ページが持つ情報(例:製品情報、FAQ、イベント情報など)を整理し、構造化データで記述する内容を決定する。

 

ステップ2.適切なボキャブラリーとシンタックスを選ぶ

 

Schema.orgを参考に、該当する構造化データのタイプを選ぶ。

例えば「FAQ」ならFAQPage、商品情報ならProductを使用する。

利用できる構造化データのタイプはこちらから確認できる。

Google検索がサポートする構造化データマークアップ|Google検索セントラル

 

ステップ3.JSON-LD形式でコードを作成する

 

JSON-LDは、Googleが推奨する構造化データの記述形式であり、JavaScriptで簡単にページに埋め込める。

以下は、FAQをJSON-LD形式で記述する際の基本フォーマットの例だ。

<script type=”application/ld+json”>

{

@context”: “https://schema.org”,

@type”: “FAQPage“,

mainEntity“: [

{

@type”: “Question“,

name“: “構造化データとは何ですか?”,

acceptedAnswer“: {

@type”: “Answer“,

text“: “構造化データは、検索エンジンがウェブページの情報を理解しやすくするためのデータ形式です。”

}

},

{

@type”: “Question“,

“name”: “構造化データを使うメリットは?”,

“acceptedAnswer”: {

@type”: “Answer“,

“text”: “検索エンジンの理解が向上し、リッチリザルトに表示される可能性が高まります。”

}

}

]

}

</script>

 

ステップ4.HTMLに埋め込む

 

作成したJSON-LDコードをHTML内の<head>タグ内、または<body>タグ内に埋め込む。

<!DOCTYPE html>

<html lang=”en”>

<head>

<meta charset=”UTF-8″>

<meta name=”viewport” content=”width=device-width, initial-scale=1.0″>

<title>FAQページ</title>

  <script type=”application/ld+json”>

  {

    “@context”: “https://schema.org”,

    “@type”: “FAQPage”,

    “mainEntity”: [

      {

        “@type”: “Question”,

        “name”: “構造化データとは何ですか?”,

        “acceptedAnswer”: {

          “@type”: “Answer”,

          “text”: “構造化データは、検索エンジンがウェブページの情報を理解しやすくするためのデータ形式です。”

        }

      }

    ]

  }

  </script>

</head>

<body>

<h1>FAQページ</h1>

<p>このページは構造化データを使用した例です。</p>

</body>

</html>

上記の形式で記載すると、検索結果に以下のようなスニペットが表示されます。

スニペット

 

ステップ5.検証ツールで確認する

 

記述と埋め込みが完了したら、GoogleのリッチリザルトテストツールやSearch Consoleを使用し、正しく実装されているか確認する。

もっとも簡単な方法は、Googleの「リッチリザルトテストツール」を使用することだ。

リッチリザルトテストツールにURLまたはコードを入力し、構造化データが正しく実装されているかを確認する。

リッチリザルトテストツールでの検証中画面

正しく実装されている場合、「有効なアイテムを検出しました」と表示される。

リッチリザルトテストツールの結果画面

エラーがまた、ある場合は、修正箇所が具体的に表示されるので対応しよう。

また、エラーが表示されている場合、該当ページを修正して再検証をリクエストすることで、検索エンジンに修正内容を通知できる。

 

4.2.構造化データの実装手順【CMS編】

 

CMSで構造化データを実装する場合は、以下のプラグインを使用すると簡単だ。

 

Yoast SEO

 

Yoast SEOは、基本的な構造化データ(パンくずリストや記事のタイプなど)を自動生成する機能を持つ。

プラグインをインストールし、適切な設定を行うだけで構造化データが自動的にページに追加される。

 

Schema Pro

 

Schema Proは、より詳細な構造化データを手軽に設定できるプラグインだ。

各ページに対してカスタマイズ可能な構造化データを追加できる。

 

プラグインなしでの構造化データを実装する場合

 

プラグインを使用せずに構造化データを実装したい場合、テーマの「header.php」カスタムフィールドを利用してJSON-LDコードを直接埋め込む。

以下は、header.phpにFAQのJSON-LDコードを追加する例だ。

<head>

<!– 他のメタ情報 –>

<script type=”application/ld+json”>

{

“@context”: “https://schema.org”,

“@type”: “FAQPage”,

“mainEntity”: [

{

“@type”: “Question”,

“name”: “構造化データとは何ですか?”,

“acceptedAnswer”: {

“@type”: “Answer”,

“text”: “構造化データは、検索エンジンがウェブページの情報を理解しやすくするためのデータ形式です。”

}

}

]

}

</script>

</head>

 

5. 構造化データがもたらすSEO的な効果と有効性

 

構造化データは「直接的に検索順位を向上させるものではない」と明言されている。

しかし間接的なSEO効果を生む要素が多い。

例えば以下のようなものだ。

 

5.1.SERP(検索結果)での「目立ち度」向上

 

構造化データを適切に実装できれば、Googleの検索結果ページ(SERP)にリッチリザルトやリッチスニペットが表示される可能性が高まる。

リッチリザルトとは、検索結果に表示される追加情報(例:画像、レビュー、価格、質問と回答など)だ。

例えば、商品の構造化データを実装すると、価格や在庫情報、評価(星)などがSERPに表示され、視覚的に他の検索結果と差別化される。

また、FAQやハウツーの構造化データを活用すれば、検索結果に手順や質問内容が表示され、ユーザーの目に留まりやすくなる

このように、構造化データはSERP上での目立ち度を高め、認知や印象を強めやすくなる。

 

5.2.CTR(クリック率)への影響

 

リッチリザルトの表示は、CTR(クリック率)の向上に大きく寄与する。

リッチリザルトは通常の検索結果よりも目立つため、ユーザーの注目を集めやすく、他の検索結果よりもクリックされる確率が高まるのだ。

例えば、レビュー付きの構造化データでは、星評価やユーザーの感想が視覚的に表示される。

これらは「第三者による評価」として検索ユーザーに信頼感を与え、クリックを促しやすい。

また、FAQ形式のリッチスニペットが表示される場合、ユーザーは「自分に必要な情報がそのページ内にある」と確信しやすくなり、検索結果でクリックされる可能性は高まるといえるだろう。

 

5.3.検索エンジンへのコンテンツ理解促進

 

構造化データは、検索エンジンがページの内容をより深く理解するための手助けをする。

データが「製品」なのか「イベント」なのか、あるいは「FAQ」なのかを検索エンジンに明示的に伝える役割を持つ。

これにより、検索エンジンがページ内容を正確にインデックスできるようになり、関連するクエリで表示されやすくなる。

さらに、構造化データは検索エンジンのアルゴリズムがページの関連性を判断する際の参考情報となる。

つまり、間接的に検索順位決定で優位に働く可能性があるわけだ。

 

5.4.あくまでも間接的にSEO効果が見込める施策

 

ただし、Googleは「構造化データが検索順位を直接的に向上させるシグナルではない」と明言している

構造化データは、リッチリザルトによるCTRの向上や、検索エンジンへのコンテンツ理解の促進を通じて、結果的にWebサイトへのトラフィックを増やし、ユーザー体験(UX)の向上をもたらす。

あくまでも「間接的な施策」であり、データやコンテンツが適切でなければ効果は出ない。

もし「データやコンテンツの量、質で見劣りしないサイトに負けている」といった場合には、構造化データを取り入れてみよう。

 

6. 構造化データによるSEO効果の確認方法

 

最後に、構造化データのSEO的な効果の確認方法を紹介する。

確認方法は大きく以下2つだ。

  • ABテスト
  • サードパーティーのツールを活用した方法

 

確認方法1.A/Bテストを活用した効果測定

 

構造化データのSEO効果を測定する方法としては、A/Bテストがある。

構造化データを実装したページと未実装のページでパフォーマンスを比較することで、その影響を定量的に評価できるわけだ。

例えば、同じテーマやターゲットを持つ2つのページを用意し、一方に構造化データを実装する。

その後、以下の指標を比較してみよう。

  • CTR(クリック率):リッチリザルトが表示されるページではCTRが向上する可能性が高い。
  • 直帰率:リッチリザルトの効果で適切なユーザーが誘導されている場合、直帰率が低下する。
  • 平均滞在時間:リッチリザルトから興味をもったユーザーにとって、検索意図に合致したページであれば、滞在時間が長くなる可能性がある。

これらの指標を数週間から1か月程度追跡することで、構造化データの影響を具体的に把握できる。

ABテストの基礎知識と着実に成果へつなげる方法・戦略設計を詳しく解説

 

確認方法2.サードパーティーのツールを活用した方法

 

AhrefsやSEMrushなどのSEOツールを使うことで、構造化データを実装したページのランク変動を追跡できる。

これらのツールでは、リッチリザルトの表示状況やCTR、ランクインしているキーワードの動向を詳細に分析できる。

また、ヒートマップやスクロール深度の分析ツールを使い、リッチリザルトから訪問したユーザーの行動を確認する方法も有効だ。

「ユーザーが特定の箇所でページを離れていないか」「どの程度スクロールしているか」を把握することで、構造化データによるユーザー体験の向上効果を評価できる。

参考:構造化データの効果を比較する|Google検索セントラル

 

7. まとめ

 

本記事では、構造化データの基礎的な解説から実装の手順、期待できる効果などを解説した。

繰り返すが、構造化データを実装したからといって、検索順位の向上に直接つながるわけではない。

しかし、検索エンジンに対するコンテンツの意味理解を促し、適切かつスピーディにSEO評価を得るため、そしてユーザー体験を向上させるための施策としては有効だ。

検索エンジンの自然言語処理能力はますます向上しており「意味のあるデータ」を重視する傾向がある。

構造化データの重要性は今後さらに高まるだろう。

実装後も「エラーが出ていないか」「効果が出ているか」をチェックしながら、適切に運用していきたい。

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