SGEは2023年5月にGoogleが導入した、検索結果に付与されるAI機能だ。
Search Generative Experienceの略で、Google公式ページでは「生成AIによる検索体験」と表現されている。
ユーザーニーズに応じたコンテンツをAIがピックアップして表示するというものだ。
ちなみに、2025年現在は「AI Overview」という名称で本格的に運用されている。
一方でSGEに関してGoogleが公言している部分は多くなく、
「AIが回答やおすすめを表示するが、SEO対策のやり方を変えるべきなのか」
「そもそもAIはどういう仕組みでコンテンツをピックアップしているのか」
などの疑問を持つ方は多いだろう。
ただしSGEはSEO対策を根本から変えるようなものではない。結論からいえばSEO対策には続けて取り組むべきだろう。
しかしこれまで以上に「コンテンツの良質さ」を意識しなくてはならない。
では本記事で、SGEとAI Overviewの仕組み、使い方、生成AI時代のSEO対策について、詳しく解説していこう。
1.生成AIがコンテンツを評価するSGE(AI Overview)とは?
「SGE(Search Generative Experience)」は、Googleが開発した生成AIによる検索機能だ。
SGEは、検索キーワードに対してAIが自動的に回答を生成し、検索結果の上部に表示する。
Googleの公式発表では、SGEの導入背景として以下2点が語られている。
- 検索をよりスマートかつシンプルにする
- ユーザーが素早く有益な出発点を得られる
これは2023年5月10日に開催されたGoogleの年次開発者会議「Google I/O」で述べられた内容だ。
Googleは直感的で効率的な検索体験を提供することが、ユーザーの満足度を上げると考えている。
従来のオーガニック検索による検索結果は、複数のサイトを訪れて情報を選定する必要があった。
また、似たような検索結果が並んだ場合、ユーザーは情報の質や真偽性を判断しづらい。
一方SGEでは、AIがピックアップした検索結果を優先的に表示する。
つまり、検索ユーザーはすぐに欲しい情報にアクセスできるだけでなく「検索結果から情報を選定する手間を省ける」という大きなメリットを得られるのだ。
1.1.SGEの技術的な仕組み
ここで簡単にSGEの仕組みをおさらいしておこう。
SGEは、Googleが開発・採用している大規模言語モデル(LLM)を活用している。
自然言語処理(NLP)を用いて検索クエリの意味を理解し、関連性の高い情報を抽出する。
具体的には、以下のような技術が活用されている。
●クエリの意味解析とコンテキスト理解
SGEは単なるキーワード検索ではなく、検索クエリ全体の意図を分析する。
たとえば「初心者向けのノートパソコンの選び方」と検索した場合「初心者向け」「ノートパソコン」「選び方」の関係を解析し、初心者が重視すべきスペックや推奨モデルの情報を抽出するのだ。
この解析には、Googleの検索インデックスと連携したNLP技術が用いられる。
●マルチモーダルな情報処理
マルチモーダルとは「複数の、種類の異なるデータソース」のことだ。
SGEはテキストだけでなく、画像や動画などの複数のデータソースを組み合わせて回答を生成する。
たとえば「スマートフォンのカメラ性能の違い」といった検索に対し、技術仕様の比較表や撮影した写真などを含めて回答を表示する。
マルチモーダルAIは近年のGoogle検索の大きな特徴だ。
現在の検索結果は10年前に比べると圧倒的にリッチであり、マルチモーダルAIの優秀さが伺える。
●リアルタイムな情報統合
SGEは、最新のニュースやトレンド情報を動的に取得して回答する。
たとえば「現在の為替レート」と検索すれば、最新の市場データをAIが解析し、リアルタイムでのレート情報を提供する。
静的なウェブページの情報に依存しない、柔軟な検索結果の提示が可能になっている。
●生成AIによる回答の要約と再構成
SGEは、検索結果から抽出した情報をそのまま羅列するのではなく、要点を整理してわかりやすい文章に再構成する。
たとえば「糖質制限ダイエットのメリットとデメリット」と検索すると、異なる情報源から取得した利点と欠点を統合し「バランスの取れた回答」を提示するのだ。
「複数の情報源を参照してまとめる」という性質上、網羅性も非常に高い。
ただし、2025年現在の日本語環境では、特定のトピックに対して特化された情報は表示されにくい。
これは、後述するSGEの「3つのモード」の切り替えが英語クエリでは可能だが、日本語環境ではできないためだ。
●ユーザーからの反応をもとに学習する
SGEは、ユーザーのフィードバックや行動データをもとに、検索結果の精度を向上させる。
ユーザーの「役に立った」や「情報が不正確」などのフィードバックを送ることで、学習が進み精度が向上していく。
たとえば、AIによる回答の下部にある親指を立てたマークなどがわかりやすい例だ。
「自動的にAIが学習し、使われるほど回答精度が上がる」という点は、従来の検索エンジンにはなかった特徴だ。
2. SGEとAI Overviewの違い、新機能
SGEは2024年5月から「AI Overview」として提供されている。
SGEはあくまでも試験版であり、生成AIを搭載した検索機能としては「AI Overview」が正式版という位置づけだ。
ちなみに日本語版では「AIによる概要」という名称になっている。
SGEからAI Overviewへの移行による変更点は以下のとおりだ。
※以下の解説は、主に英語クエリ向けのもの。日本語環境では使えないものも多いので参考程度の情報と認識して欲しい。
変更点1.登録手続きなしで利用可能に
SGEは開発初期の機能を試験的にユーザーへ提供する「Search Labs(サーチ ラボズ)」の一機能として提供されていた。
Search Labsの利用には事前登録が必要なため、SGEは一部のユーザーにのみ公開されていたのだ。
一方、AI OverviewはGoogle検索の標準機能として提供されている。
検索ユーザーは特に意識せずとも自然にAI Overviewを使える状態だ。
ちなみに日本語環境では「Search Labs」のアイコンをクリックした後「AIの概要」画面で機能がオンになっていれば利用できる。
詳しい設定方法は、後段で解説するPC版、スマホ版の使い方を参照してほしい。
変更点2.最新生成AI「Gemini」が内包される
AI OverviewにはGoogleの最新生成AI「Gemini」が搭載されている。
正確にいうと、AI Overview用にカスタマイズされたGeminiの機能が追加されている。
GeminiはSGEの時代から活用されており、マルモーダル処理の中核にあった。
単体で使用できるGeminiとは異なるが、最新のAIモデルが利用できることはユーザーにとって大きなメリットだろう。
変更点3.進化したマルチモーダル
マルチモーダル処理はSGEの時代から実装されていた。
ただし、AI Overviewではマルチモーダル処理が強化されている。
具体的には、複数の質問や画像検索、動画検索の処理が強化されている。
SGEとAI Overviewのマルチモーダルの違い
機能 | SGE | AI Overview |
画像+テキスト検索 | 画像検索+1回の質問 | 画像検索+複数の質問、背景情報解析 |
音声検索 | 一問一答型 | インタラクティブな対話型検索 |
動画検索 | 関連動画の表示 | 動画の内容解析・要約・時間指定リンク |
リアルタイム解析 | なし | 画像・音声をリアルタイムで解析し検索に活用 |
変更点4.回答を生成する速度と精度が向上
AI Overviewでは、検索クエリに対する生成AIの処理速度が向上している。
SGEでは、ユーザーが検索を行うとバックエンドで生成AIモデルが稼働し、検索結果を要約する仕組みだった。
一方で、AI Overviewでは、最適化されたAIモデルと効率的なキャッシュ処理により、応答時間が短縮されている。
また、生成される回答の精度も向上した。
SGEでは、時折不正確な情報(ハルシネーション)が含まれるケースがあった。
一方のAI Overviewでは、信頼性の高い情報源を積極的に活用し、ハルシネーションのリスクを軽減している。
変更点5.「3つのモード」に対応 ※日本語版では未対応
AI Overviewでは、検索結果の表示方法を選択できる「3つのモード」が新たに追加された。
ユーザーは自分のニーズに応じて、以下3つの回答パターンを選択できる。
- 標準モード(デフォルト)
検索結果の上部にAI生成の概要を表示する。
従来のSGEと同様、ユーザーが知りたい情報を短い文章で提示するモードで、ナレッジグラフや信頼性の高いウェブサイトの要約がメインだ。 - 詳細モード
AI生成の概要を拡張し、より多くの情報を提供するモードだ。
複雑な質問(例:「2024年の世界経済の見通し」)などに対して、詳細な回答を生成できるモードで、標準モードよりも情報量が多い。 - 要約モード
AIが検索クエリの要点を簡潔にまとめるモードだ。
標準モードとの違いは「要約」の精度が上がっている点だ。
技術論文や法律など、読み手に対して専門知を要求する文章の要点を表示する。
これら3つのモードは2025年3月現在、日本には提供されていない。
英語のクエリから対応されているようで、日本語への正式対応は未定だ。
変更点6.動画検索にも対応 ※日本語版では未対応
AI Overviewは、Googleの検索システムとしては初めて動画検索に標準対応した。
その内容は以下のとおりだ。
- 動画内のセリフ・字幕解析
動画内で話されている内容や字幕をAIが解析し、検索結果に要約を表示 - 検索結果から、関連する情報が話されている時間帯に直接ジャンプ可能
- 複数の動画を解析し、異なる点を比較する機能を提供
(例:「最新のスマートフォンレビューを比較」)
単純に動画を検索するだけではなく「動画内のテキストの要約」や「複数の動画の比較」にも対応している。
動画は視覚的な情報量こそ多いものの、テキストに比べると「欲しい情報」に行きつくまでの時間が長い。
動画検索機能は、AI Overviewは、Googleの検索システムとしては初めて動画検索に標準対応した。
その内容は以下のとおりだ。
- 動画内のセリフ・字幕解析
動画内で話されている内容や字幕をAIが解析し、検索結果に要約を表示 - 検索結果から、関連する情報が話されている時間帯に直接ジャンプ可能
- 複数の動画を解析し、異なる点を比較する機能を提供
(例:「最新のスマートフォンレビューを比較」)
単純に動画を検索するだけではなく「動画内のテキストの要約」や「複数の動画の比較」にも対応している。
動画は視覚的な情報量こそ多いものの、テキストに比べると「欲しい情報」に行きつくまでの時間が長い。
動画検索機能によって、テキスト検索の効率性と動画の情報量を組み合わせ、より質の高い情報収集が可能といえるだろう。
変更点7. インタラクティブ検索(リアルタイム対話機能)※日本語版では未対応
AI Overviewでは、従来の「一問一答型検索」ではなく、ユーザーとAIの対話による検索機能が追加された。
これはインタラクティブ検索と呼ばれ、ユーザーの反応をもとに検索結果をカスタマイズしていく機能だ。
検索体験がより自然な会話形式となり、段階的に回答結果を深掘りしていくことができる。
ChatGPT-4のような対話形式で検索が可能というと、わかりやすいだろう。
インタラクティブ検索の特徴
- 検索履歴の保持と文脈理解
- 連続した質問の意図を理解し、前の検索結果を踏まえた回答を生成
- 例:「フランスの名所を教えて」→「その中で子ども向けは?」のように、関連した質問を続け、深掘りができる
- 「詳細に教えて」「もっと簡単に説明して」などのリクエストを行い、回答の粒度を変更可能
変更点8.信頼性の強化(出典表示とAIフィルタリング)
SGEでは、生成AIによる要約の出典が不明瞭なケースがあった。
AI Overviewではこの点が改善され、ソースの透明性が大幅に強化されている。
具体的には以下のようにだ。
- ニュース、医療、金融関連の検索では、公的機関や権威のあるメディアの情報を優先的に参照
- 生成AIが出力した内容に、情報の元となったウェブページのリンクを明示
GoogleのE-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness)を厳格に適用し、不正確な情報の拡散を抑制する方向である。
3.AI Overviewの使い方と使用感
実際にAI Overviewの使い方を見ていこう。
ここではスマホ版とPC版の2パターンを紹介する。
3.1.スマホ版のAI Overviewの使い方
まず、Google Chromeをダウンロード、インストールし、ブラウザの初期画面を開こう。
次に、左上に表示されたフラスコのマーク(Search Labs)をクリックする。
「AIによる概要~把握する」という画面に遷移するので「詳細」をタップ。
次の画面で「Search Labs」が表示されるので「AIによる概要」の下にあるトグルをONにする。
これでAI Overviewが有効になる。
実際にこの状態で検索すると、最上位部分にAIによる概要が表示される。
3.2.PC版のAI Overviewの使い方
PC版でも基本的には同じ流れだ。
Googleのトップページ右上にあるフラスコのマークをクリックし「AIによる概要~」の画面に遷移する。
次に「詳細」をクリックし、遷移後の画面の「AIによる概要など」のトグルをONにしよう。
この状態で検索を実行すると、以下のようにAI Overviewの解説が表示される。
3.3.knowクエリに強く、専門領域やDOクエリには弱い
使用感についてもみていこう。
2025年3月時点のAI Overviewは、未完成の状態だ。
知識欲を満たすような「Knowクエリ」に対する回答精度は相当高い。
一方で、行動欲求に対する「Doクエリ」や指名検索に対応する「Goクエリ」に関する回答は比較的シンプルで「これだけでは足りない」感も強い。
また、BtoB IT領域のような専門性が高い領域では「一般的な概要」が要約される傾向にある。
明確なハルシネーションは少ないが、狭く深い領域に特化した情報は得られにくいといえる。
まとめると「Knowクエリ(~とは、~が知りたい)」には強いが、専門性が高くなると回答の精度はやや低下する。
また、すぐに行動に移せるようなノウハウ(Doクエリ)については、人間以上のレベルに達しにくい。
4. SGE(AI Overview)を踏まえたSEO対策
最後に、AI Overviewによる検索流入の低下を防ぐ方法を整理しておこう。
「Doクエリ」への注力
前述したように、AI Overviewは、知識欲を満たす「Knowクエリ」に対しては一定の強さがある。
Knowクエリとは「知りたい」「知らなくてはならない」「情報をあつめたい」などのニーズを持つクエリだ。
これに対して「Doクエリ」は「行動したい」「実践したい」「比較したい」「判断したい」のようにコンバージョンにつながるクエリと言える。
現状のAI Overview(日本語版)は、Knowクエリに強くDoクエリには弱い傾向がある。
この点を加味して、コンテンツを制作していこう。
ちなみにKnowクエリやDoクエリに対応したコンテンツとは、以下のようなものだ。
Knowクエリ対応のコンテンツ例(情報提供型)
タイトル: ERPとは?基本機能と導入メリットを解説
ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業の基幹業務を統合管理するシステムである。
主な機能には会計、販売管理、在庫管理、人事管理などが含まれる。
ERPを導入することで、部門間のデータ共有が容易になり、業務効率が向上する。
また、リアルタイムのデータ分析が可能となり、迅速な経営判断を支援する。
本記事では、ERPの基本機能や導入メリットを詳しく解説する。
Doクエリ対応のコンテンツ例(業務ノウハウ提供型)
タイトル: ERP導入で失敗しないための5つのチェックポイント
ERP導入を成功させるには、適切な準備と運用設計が欠かせない。
まず、業務プロセスの棚卸しを行い、現場の課題を明確にすることが重要だ。
次に、システム選定時は部門間の連携を意識し、要件定義を細かく設定する必要がある。
導入後のトレーニング計画も事前に立てておくことで、現場の混乱を最小限に抑えられる。
本記事では、ERP導入をスムーズに進めるための5つのチェックポイントを詳しく解説する。
無料のチェックリストもダウンロードできるので、ぜひ活用してほしい。
「○○をしたい」「○○を作りたい」といった具体的な行動クエリへの最適化で、AI Overviewの影響を受けにくくなる。
さらに現時点でDoクエリへ注力しておくと、今後AI OverviewがDoクエリに対応した場合でも、有益なコンテンツとして最上部右側に表示されやすくなるだろう。
5. 生成AI時代のSEO対策基準
生成AIの登場で、AI Overviewのような利便性の高いサービスが普及しつつある。
特にAI Overviewは検索結果の最上部に表示され、検索1位やスニペットよりもユーザーの目に入りやすい。
当然、SEO対策も変えていく必要があるだろう。
そこで、生成AI時代のSEO対策として重視すべき点をまとめる。
5.1.前提:ゼロクリックリサーチが増える
まず、大前提として「ゼロクリックで検索を完結させるユーザーが増える」という認識を持っておこう。
AI Overviewは、一般論的な情報であれば検索ボタンをクリックした瞬間に表示され、ユーザーニーズを満たしてしまう。
特に「~を知りたい」というknowクエリに対しては、多少内容が複雑であっても最適化された回答を端的にまとめて表示してくれる。
つまり、AI Overviewが得意とする分野、キーワードでいくら検索順位を上げたとしても、ユーザーの目には届きにくいというわけだ。
また、サイトへの流入も減る可能性があり、ドメインが育ちにくくなる。
5.2. E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の強化がより重要に
しかし、全く手の打ちようがないかと言えば、そうではない。
Googleが掲げる品質評価基準「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」は、良質なコンテンツの鉄則だ。
特に「経験」「専門性」の部分は現状の生成AIでは、人間に勝ることはない。
具体的な対策としては、以下が挙げられる。
- 日々の業務で得られた具体的な経験を「ノウハウ」に昇華してコンテンツ化する。
- 特殊で限定的なケースをわかりやすく解説する
また、生成AIは人間の敵ではなく「優秀なパートナー」であり「ツール」だと考えよう。
経験や専門性を生成AIにインプットし、要約・整理・比較などの加工処理を施すことで、情報の付加価値を高められる。
5.3.検索以外からの流入経路を確保する
また、オーガニック検索以外からの流入経路を確保することも重視したい。
SNSやメールマーケティングなど、生成AIがカバーできていないチャネルからの流入を確保できれば、AI Overviewの影響は受けにくい。
セミナー、ウェビナーの開催や取引先企業と協同でインタビュー記事を作るなど、オフラインを含めた多様なチャネルの確保がカギとなりそうだ。
企業同士のつながりは、AIでは生み出せない。
5.4. ニーズに向き合ったコンテンツ制作
近年の生成AIは、自然言語処理の能力が非常に高くなった。
キーワードベースのコンテンツは量産できるし、特定のキーワードに従った解説にも強い。
とはいえ、人間のニーズを100%つかんだコンテンツは得意としていない。
具体的にいうと「一般論は知っているが、もっと具体的な事例や解決策が欲しい」といった深いニーズには答えられないといえる。
これはChat GPTを活用している多くのユーザーの実感ではないだろうか。
これらを踏まえると、キーワードではなく、人間が内側で抱える「ニーズ」に直接向き合うコンテンツが評価される可能性が高い。
具体的に言うと、下記のようなコンテンツだ。
●余分な解説を省き「答え」だけを具体的に掘り下げたコンテンツ
たとえば「経理処理の自動化ツールを使うと、どのような効果が得られるか知りたい」というユーザーがいるとしよう。
このようなユーザーは「経理自動化ツールとは」のような基礎的情報は求めていない。
基礎的な知識は社内ですでに共有されているであろうし、解説は生成AIからすぐに得られるためだ。
真のニーズは「現実的な効果をできるだけ詳しく知りたい」の部分である。
このように、検索クエリからユーザーを具体化し、そのニーズや課題に答えることを重要視する必要がある。
文字数やキーワードの検索ボリュームにとらわれず、ニーズを直撃したコンテンツを作ろう。
●狭い領域に限定したノウハウを提供するコンテンツ
「〇〇業界における▲▲業務の解決法」のように、限定された領域のノウハウは生成AIから得られにくい。
AIが参照できる情報が極めて少ないためだ。
よって、前述のAI Overviewの検索結果からもわかるように、質問で条件付けをしても満足な結果が得られない。
もちろん、独自の外部情報を利用して回答を生成するRAG(検索拡張生成)のような仕組みがあれば、この点は補えるだろう。
しかし、RAGは発展途上の仕組みであり、導入には大きなコストがかかる。
「実際に日々の業務を回している担当者」「実務ベースの知見」などを具体的に示すことで、生成AIがカバーできないコンテンツを作ることができる。
さらに、その分野が自社のサービスと関連性が強ければ、コンテンツ制作の意味は大いに見込めるだろう。
5.5.独自性を重視した納得感のあるコンテンツ
独自性はこれからのSEO対策で非常に重要な要素だ。
最新の評価ガイドライン(2025年1月版)では「独創性がないメインコンテンツ」がスパムの対象になりうる点が明記された。
裏を返せば、高品質で独自性のあるコンテンツは、AI生成情報との差別化になりうる。
独自性を打ち出す最も簡単な方法は「自社の強みや独自の視点をコンテンツに反映させる」ことだ。
- 独自のデータや事例(業界のトレンドや自社の調査データ)
- 専門家のインタビュー(他にはない信頼性のある情報)
- ブランドストーリー(企業の価値観や背景をコンテンツに組み込む)
などを公開することで、自社の色を出すことができる。
こうした要素を取り入れることで、単なるSEO対策を超えた「読まれるコンテンツ」へと進化させられる。
6.まとめ
本記事では、Google検索の新機能であるSGE(AI Overview)の概要と、これから(生成AI時代)のSEO対策について解説した。
SGEは生成AIによるユーザー体験向上の仕組みで、現在はAI Overviewとして運用されている。
最新機能の多くは日本語環境で使用できないが、内部的な自然言語処理の能力は相応に上がっている。
生成AIによる情報に埋もれず、ユーザーから選ばれるコンテンツを作るには、SEO対策も変えていかなくてはならない。
特にBtoB ITのように専門性の高い分野では「DOクエリ」を意識した独自性のあるコンテンツ制作を意識していこう。