ナーチャリングはリードを売上に近づけるための重要なステップだ。
しかし、マーケティング施策の中でも特にノウハウが必要なので、十分に対策されていないケースも多い。
また、BtoB特有の購買行動を把握しきれず、ナーチャリングの効果が出ていない場合もある。
本記事では、BtoBにおけるナーチャリング設計について解説する。


目次
1.ナーチャリングとは
まずナーチャリングについておさらいしておこう。
ナーチャリングとは「リード(見込み顧客)に対し、自社商材を検討してくれるようになるまで育成すること」だ。
一般的には、ナーチャリングはメールやセミナー、ホワイトペーパーといったコンテンツによってリードの興味関心、検討度合いを向上させる施策を指す。

1-1.ナーチャリングの目的
ナーチャリングの目的は「リードを確度の高い見込み客」へと育成することだ。
獲得したばかりのリードは、その時点では単に情報収集をしているに過ぎない。
自社製品に対して特段の興味を抱いていないし、商談の場につくつもりもないだろう。
自社コンテンツの「情報」に対しては興味があっても、自社製品・サービスには意識が向いていないのだ。
ナーチャリングがめざすのは、「リードの自社に対する意識」を育てることだ。
そのためには自社に対する理解を深め、購買行動フェーズを進める。
ナーチャリングは、営業活動の効率化にも寄与する。
関心が高まったリードを営業に引き渡せば、無駄なアプローチを減らし、成約率の向上が期待できる。
さらに、顧客との信頼関係を築けば、長期的な関係維持につながる。
アップセルやクロスセル、継続契約の機会を生み出す基盤にもなる。
1-2.ナーチャリングはマーケティングの「中継ぎ」
現代のマーケティングにおいて、ナーチャリングは非常に重要な位置を占めている。
なぜなら、ナーチャリングが十分でなければ、リードは一切動こうとしない傾向があるからだ。
下記図のように、現代のリードは営業担当に会うまでに大半の検討材料を集めてしまう。

過去の購買プロセスでは、営業担当者との接点が出発点だった。
しかし近年は、購買プロセスの半分以上が「営業担当者に会う前」に完了している。
裏を返せば、購買プロセスを進めなければ、”とりあえず営業に会う”という機会すら得られない。
つまりナーチャリングは、マーケティングと営業の間をつなぐ「中継ぎ」の役割を担っている。
ナーチャリングを怠れば、せっかく集めたリードが失われ、リード獲得にかけたコストは無駄になってしまう。
1-3.BtoBにおいてナーチャリングはさらに重要
また、BtoBビジネスではナーチャリングの重要度がさらに増す。
これはBtoBビジネスの特殊性に起因する。
- 意思決定プロセスが多層的
BtoBの購買は、担当者一人では完結しない。
現場の業務部門、決裁者、情報システム部門など複数の関係者が関与するのが通例だ。
また、検討期間も数カ月から1年以上に及ぶケースが多い。
そのため、各ステークホルダーの役割や関心の領域に合わせた情報提供が不可欠となる。 - 見込み顧客の情報ニーズが高度である
BtoBでは製品やサービスが専門的だ。
導入効果、費用対効果、他システムとの連携性など、実務的な情報が求められる。
単に商品の魅力を訴求するのではなく、課題解決や業務改善のストーリーとして提示することが求められる。 - リードのステージ管理がより精緻でなければならない
BtoCのような「衝動買い」は、BtoBでは発生しにくい。
リードがどの段階にいるのかを正確に把握し、それに応じたコミュニケーション設計が重要となる。 - 営業との連携が成果を左右する
BtoBでは最終的なクロージングは営業の役割であるため、ナーチャリングによって関心度を高めたリードを、適切なタイミングと情報とともに営業に引き継ぐ必要がある。この連携が不十分であれば、リードを逃して機会損失となる可能性が高い。
こうした特殊性から、BtoBでは「興味は持ってもらえても、なかなか購買につながらない」というのが実態だ。
ナーチャリングによる育成がなければ、リードはまったく購買に近づかない。
2.ナーチャリング設計に必要な3要素
次にナーチャリング設計に必要な要素を確認しておこう。
BtoBでは特に、下記3つの要素を含むことが求められる。
- ペルソナとカスタマージャーニー設計
- フェーズに合わせたコンテンツ段階設計
- チャネルの運用設計
2-1. ペルソナとカスタマージャーニー設計
ナーチャリングの出発点は、ペルソナ設計だ。
ペルソナは顧客「像」であり、役職や年齢、抱えている業務課題、趣味・趣向などを含む。
これらは、組織の意思決定に関与する情報であり、購買行動に影響を与える。
BtoBの場合、意思決定に関与する複数のペルソナを想定する必要がある。
下記図のようにDMU(Decision Making Unit: 購買意思決定組織)を意識してペルソナを設計しよう。

そのうえで、ペルソナが購買に至るまでの思考・行動プロセスを段階的に可視化した「カスタマージャーニー」を設計する。
リードが育つために、どのような情報提供を行うべきかを明確にするためだ。
BtoB企業では、製品・サービスを導入するまでの検討期間がBtoCよりもはるかに長い。
顧客の行動や思考を洗い出すと、ナーチャリングで提供すべき情報、タイミングが見えてくる。
2-2. フェーズに合わせたコンテンツ段階設計
ナーチャリングでは、見込み顧客のフェーズ(認知・理解・検討)に応じた情報を、段階的に提供することが重要だ。
特に「理解・検討」に対する情報は十分に練っておきたい。

この2つはナーチャリングがもっとも効くフェーズであり、リードの滞在時間・離脱率ともに高いからだ。
理解と検討のフェーズにいる見込み客をいかに育成するかで、商談・受注の数が決まるといってもよい。
2-3.チャネルの運用設計
最後に重要となるのが、設計したコンテンツを“どう届けるか”の設計だ。
BtoBのナーチャリングチャネルは、メール、ウェビナー、ホワイトペーパーなど多岐にわたるため、それぞれの特性を把握しておこう。
また、単発で終わらせず「どのチャネルで」「どのタイミングで」「どの順序で」届けるかを段階的に設計すると、シナリオ型のナーチャリングが可能になる。
さらにステップメールやスコアリング連動の自動配信などを活用すると、効率と効果を両立させられる。
チャネル設計・最適化についての詳細はこちらも参考いただきたい
3.ステップ①:ペルソナとカスタマージャーニーの明示化
それでは、実際のナーチャリング設計を具体的に見ていこう。
前述の3要素をステップ形式で進めていく。
まずはペルソナとカスタマージャーニーの設計だ。
3-1.ペルソナ設計
BtoBの場合、BtoCとは異なり、購入を検討する人(検討者)と意思決定者が異なる。
たとえば、新しいITツールを導入する場合、自社に適した製品を探すのは担当者レベルだが、最終的な決定を下すのは部門の長だ。
従って、複数の関与者それぞれの属性や思考を考慮し、ペルソナを設計する。
個人のペルソナ
項目 | ペルソナA | ペルソナB | ペルソナC | ペルソナD |
職種、ポジション | 部長級(決裁権あり) | 課長級(一部決裁権あり) | 業務担当者リーダー、マネージャークラス(決裁権なし) | 情報システム担当者(決裁権なし) |
課題、ニーズ | 業務で使用するツールのコスト低減と業務効率の向上を両立させたい | 学習コストが低く業務標準化にに役立つツールが欲しい | UIの出来が良く、設定項目がわかりやすいツールが欲しい | 既存システムとの親和性を確保できるツールが望ましい |
意思決定に対する影響力 | 大 | 中 | 大 | 小 |
タッチポイント | 対面 | メール、Webコンテンツ、セミナー | 展示会、Webコンテンツ、セミナー | メール |
上の図からもわかるように、同じ企業内でもポジションによってニーズは異なる。
また、意思決定に対する影響力もマチマチだ。
こうした情報を整理し、適切なチャネル(タッチポイント)でナーチャリングを施すことがBtoBビジネスにおける王道といえる。
BtoBにおけるペルソナ設計については、こちらで詳しく解説しているため参考にしてほしい。
3-2.カスタマージャーニー設計
カスタマージャーニーは、顧客が自社の製品・サービスを認知してから購入(あるいは独自に設定するゴール)に至るまでの道のりを指す。
BtoBではペルソナが複数あり、さらに意思決定までの時間も長い。
カスタマージャーニーに沿って顧客の「状況」「心理」を推測し、的確にナーチャリングを施す必要がある。
カスタマージャーニーの設計では、主に以下2つを意識しよう。
実際の顧客の行動を参考にする
既存顧客の行動やオウンドメディアのアクセスログなど、顧客の行動に関する情報は意外と多い。
また、CRM(顧客資産管理システム)やSFA(営業支援システム)を導入している場合は、行動を追跡する機能も活用できる。
顧客との接触頻度が高い関係者を巻き込む
顧客との接触頻度が低いマーケティング担当者のみでジャーニーを設計すると、どうしても「理想」を反映したジャーニーになりがちだ。
草案はマーケティング担当者が作り、営業やカスタマーサポート担当にチェックしてもらうなど「現実感」があるジャーニーになるように心がけよう。
BtoB特有のカスタマージャーニーの注意点
なお、カスタマージャーニーの設計ではBtoBの特殊性も考慮しよう。
BtoBの顧客は、直線的な購買行動を取らない。
ファネルに当てはめて考えてみよう。
BtoCの場合、見込み客は割と素直に、かつ短期間でファネルを通過する。
一方、BtoBでは、ファネルの上部から最下部まで一直線に降下するわけではない。

「事業収益の悪化による一時的な保留」や「競合の新製品が登場したことによる再検討」など、顧客行動の滞留や巻き戻りが起こる。
さらに、BtoBでは非常に分厚い「中間部分」を通過してもらう必要がある。

こうしたBtoB特有の事情を踏まえ、ナーチャリングは「定期的に、高頻度で」行う。
4.ステップ②:コンテンツと段階の設計
ペルソナとカスタマージャーニーの設計が完了した後は、コンテンツに目を向けよう。
現代のマーケティングでは、さまざまなコンテンツを活用して顧客へアプローチする。
ナーチャリングにおいても「どの状態の顧客に、何が必要か」を明確にしたうえでコンテンツを使い分けよう。
4-1.段階に合わせたコンテンツの設計
弊社では見込み客の購買行動プロセスの考え方として、下記6つのステップを採用している。
フェーズ1:知ってもらう(認知)
フェーズ2:覚えてもらう(情報収集)
フェーズ3:欲しいと思ってもらう(比較・検討)
フェーズ4:必要なときに声をかけてもらう(検討)
フェーズ5:競合と比較し、選んでもらう(決定)
フェーズ6:名指しで選んでもらう(リピート)
ナーチャリングは、主にフェーズ2、3、4で効果を発揮する。
この3つのフェーズでどのようなコンテンツを活用するかをあらかじめ決定しておこう。
SEO記事(コンテンツ)
主に活用されるフェーズ:
フェーズ2(覚えてもらう)
業界のトレンドや課題の整理、自社が属する業界の知識などをSEOで可視化すると、初期接点の形成に寄与する。
ホワイトペーパー
主に活用されるフェーズ:
フェーズ2〜3(覚えてもらう〜欲しいと思ってもらう)
フェーズ2では、課題啓発型や成功事例型のホワイトペーパーが有効だ。
一方フェーズ3では、比較検討に向けた導入ステップやROI(投資対効果)シミュレーションのような資料が適している。
メールマガジン
主に活用されるフェーズ:
フェーズ2〜4(覚えてもらう〜必要なときに声をかけてもらう)
見込み顧客に定期的な情報を届けるチャネルとして、継続接点の維持に有効だ。
フェーズ2では過去のコンテンツの紹介や関連知識の提供、フェーズ3では製品情報や事例紹介、フェーズ4では「そろそろ検討しませんか?」という温度感の高いトピックの送付に適している。
セミナー
主に活用されるフェーズ:
フェーズ3〜4(欲しいと思ってもらう〜必要なときに声をかけてもらう)
課題がある程度顕在化したリードに対して、有益な情報をリアルタイムで提供し、理解促進と信頼形成を図る。
フェーズ3では事例紹介や業界課題の深掘り、フェーズ4では導入プロセスや製品の実演を含むセミナーによって「声をかけてみよう」と思わせる導線を設ける。
サービス比較表・価格表
主に活用されるフェーズ:
フェーズ4(必要なときに声をかけてもらう)
具体的に導入を検討し始めたリードに対して、自社の優位性やコスト構造を明示し、判断材料を提供する。
競合との差異や費用対効果、導入条件の明示により、リードが行動に踏み出すきっかけを作る。

5.ステップ③:チャネルの運用設計
ナーチャリングでは「どう届けるか」という設計、つまりチャネルの選定と活用が成果に直結する。
特に近年は、複数のチャネルを併用するマルチチャネル戦略が効果的だ。
マルチチャネル戦略とは、単一の手段に頼らず、複数のチャネルを使い分けて顧客にリーチする方法である。

メール、ウェビナー、インサイドセールス、パートナー販売などを組み合わせ、顧客の検討段階に応じて届け方を変える。
また、同一の内容であっても「どのコンテンツを」「どのチャネルで」届けるかによって、チューニングを施す。
たとえば同じメールでも、ホワイトペーパーのレコメンドとセミナー告知メールでは、訴求のされ方がまったく異なるからだ。
つまり「コンテンツの種類 × チャネル」で多様な組み合わせが生まれる。
その中で「どのチャネルとコンテンツの組み合わせがもっとも反応がよいかを見定めること」
これこそが、ナーチャリングの運用設計を成功に導くカギとなる。
5.1.チャネルごとの役割を明確化
まずチャネルの役割を明確にしよう。
「チャネルコンフリクト」を防ぐためである。
チャネルコンフリクトとは、文字通り「チャネルの衝突」を指す。
具体的には、複数の販売・提供チャネルが競合・干渉しあい、顧客体験や収益機会に悪影響を与える状態だ。
チャネルコンフリクトが発生すると、以下のような弊害が生じる。
- 顧客混乱
購入経路ごとに価格や提案内容が異なると、顧客が戸惑い、信頼を損ねる。 - 社内リソースの無駄遣い
同じ案件に複数チャネルが競合すれば、社内の営業リソースも無駄に消費される。
たとえば「初期接点はWebでのコンテンツや広告→育成はメールマーケティング→最終的な営業連携へ」など、各チャネルの役割を明確にしよう。
こうすると、リードのエンゲージメントを段階的かつ効率的に強化できる。
5.2. チャネル運用を設計する
マルチチャネル戦略の実行においては、チャネルごとに適切な運用体制を用意する必要がある。
ここではBtoBで主に使用されるナーチャリングチャネルに沿って具体的な方法を解説する。
メールマーケティングの場合
メールマーケティングは、見込み顧客との中長期的な関係構築を担うチャネルであり、ナーチャリングにおける土台的な役割を果たす。
以下のような運用設計を進めよう。
配信シナリオとコンテンツパターンを設計する
リードの検討フェーズごとに最適なメール内容を設計し、段階的に送るステップメールやセグメント別の配信シナリオを構築する。
認知フェーズでは課題喚起、検討フェーズでは事例紹介やFAQなど、情報の深さとトーンを使い分ける。
セグメントルールとスコアリング基準を明確にする
MAツールを活用し、属性(業種・職種など)や行動履歴(開封・クリック・DLなど)に応じたセグメント条件を設定する。
さらに、特定の行動をトリガーにしたスコアリング基準を設け、反応に応じた動的な配信や営業連携の判断に生かす。
KPIとレポート運用を定義する
配信結果を振り返るための指標(開封率、クリック率、CV率など)を定め、定期的なレポート作成と改善アクションを仕組みに組み込む。
ABテストの実施や配信時間の最適化も含めて、PDCAを前提とした運用体制を整える。
インサイドセールスの場合
インサイドセールスは、リードの育成段階で直接的なコミュニケーションを担う重要なチャネルだ。
以下のような運用設計を進めよう。
対応フローとトークスクリプトを整備する
リードの温度感(ホット・ウォーム・コールド)ごとに、ヒアリング項目やアプローチ方法をまとめたフローとトーク例を用意する。
リード情報の共有体制を整える
MAツールやSFAツールと連携し、インサイドセールス担当がリードの過去接点や行動履歴をリアルタイムで把握できる環境を提供する。
フェーズごとのアプローチ内容を教育する
たとえば認知フェーズのリードには課題の掘り起こし、検討フェーズのリードには導入メリットの訴求といったフェーズ別のアプローチ方法を具体的に決定する。
ウェビナーの場合
ウェビナーは、見込み顧客とリアルタイムで接点を持てる貴重なチャネルだ。
効果的に活用するため、以下の運用を検討しよう。
企画テーマとターゲットの設計支援
ペルソナやカスタマージャーニーをもとに、どのフェーズのリード向けに、どのようなテーマを設定するかの方針を営業・マーケ部門間で共有する。
運営マニュアルを整備する
集客から実施、フォローアップまでの業務フローを標準化し、担当者が迷わず運営できるようマニュアルを用意する
参加者データの活用方法を明示する
参加・不参加の記録や質疑応答内容などのデータを、その後のメールマーケティングやインサイドセールスにどう活用するかのガイドラインを作成する。
パートナー販売の場合
パートナー販売チャネルでは、自社とパートナー企業が共同でリードを育成する仕組みが求められます。以下の支援を実施しましょう。
ナーチャリング用コンテンツ・営業資料を提供する
パートナーが見込み顧客との接点で活用できる事例集、FAQ、製品紹介資料などを、フェーズ別に整備します。
パートナー向けナレッジサイトを構築する
ナーチャリング施策の進め方や対応フロー、成功事例をまとめた専用の情報提供サイトを用意し、パートナーが自走できるよう支援します。
定期的な勉強会・支援制度を設ける
パートナー向けにナーチャリング施策のノウハウ共有会を実施し、実践的なフィードバックを得られる場を提供します。また、成果に応じたインセンティブ制度を設け、パートナーのモチベーションを高めます。
5.3. チャネル横断のKPI設計と可視化
ナーチャリング施策のKPI設計は、顧客の進捗を段階ごとに測定することが重要だ。
MAやCRMと連携し、各チャネルがどのように顧客の関心を育成しているかを追跡しよう。
エンゲージメントの指標を決定し、可視化する
メール開封率やリンククリック率など、リードがどの程度関与しているかを測定する。
段階別の進捗管理
覚えてもらう」から「欲しいと思ってもらう」段階への進行を確認し、それぞれの段階で顧客に適切なコンテンツやアクションを提供する。
課題発見と改善
たとえば、メール開封後の次のアクションが遅れる、ウェビナー後のフォローアップが不足している場合など、ナーチャリングのどの部分でボトルネックが発生しているかを明確にし、改善に役立てる。
顧客の進行状況の可視化
顧客の進行状況を可視化し、次のステップに進むタイミングや、次に必要なアクションを明確にする。
5.4. チャネル間の連携と改善ループ
営業、マーケ、パートナー担当が分断されないよう、定例の共有会やCRM・SFA連携による情報共有体制を整えよう。
チャネルごとの成果を比較し、柔軟に配分・予算を調整するPDCAがカギだ。
6.効果を高めるためのチェックポイント
最後に、ナーチャリングの効果を高めるためのチェックポイントを紹介する。
PDCAの実行時に役立ててほしい。
6-1.顧客の視点に立ち、ナーチャリングプロセス全体の課題を洗い出す
ナーチャリングの設計・運用は、自社目線に偏ると機能しなくなる。
メールやコンテンツが「送り手の都合」で設計されていないか、検討フェーズに合っていないタイミングで届いていないかなど、顧客の視点からプロセス全体を見直そう。
6-2.顧客からのフィードバックを収集し、改善に役立てる
ナーチャリングは一方通行になりやすい。
しかし、顧客の反応や声を定期的に収集すると、施策の質を高めるヒントが得られる。
メールの開封率やクリック率などの数値だけでなく、アンケート・ヒアリング・営業現場からのフィードバックなども取り入れる。
特に「情報が多すぎる」「タイミングが遅い」といった声は改善の糸口になる。
数値と定性の両面からナーチャリングの現状を捉え、施策の見直しに生かすことが重要だ。
6-3.ナーチャリングに関わるすべての部門が連携し、一貫性のある顧客体験を提供する
ナーチャリングの成果は、マーケティング部門だけで完結するものではない。
インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサポートなど、複数の部門が関与する。
従って、情報の共有と対応の一貫性が求められる。
たとえば、メールで興味を示したリードに対して、営業がその履歴を把握せずにゼロベースで会話を始めてしまうと、顧客体験は大きく損なわれる。
ツール上での接点履歴の共有や、施策方針のすり合わせを通じて、部門を超えた連携体制を整えることが重要だ。
7.まとめ
BtoBにおけるナーチャリングは、潜在顧客との信頼関係を築き、購買意欲を高めるための重要なプロセスだ。
ペルソナ設計、段階設計、チャネル設計の3つの要素を適切に組み合わせ、顧客に最適な情報を提供することが成功のカギとなる。
弊社では、ナーチャリングの設計に関して一貫したサービスを提供している。
もしご興味があれば、ぜひお気軽にお問い合わせいただきたい。

