Googleサジェストとは、Googleの検索窓にキーワードを入力すると一緒に表示される検索候補のキーワードだ。
Googleサジェストを調査・分析することで、SEO対策やリスティング広告などのマーケティング施策に活用できる。
一方で、
「Googleサジェストの調査方法や分析方法がわからない」
「Googleサジェストを調査したものの活用できていない」
「Googleサジェストを活用しているものの成果が出ない」
といった悩みを抱えるマーケティング担当者も少なくないだろう。
そこで本記事では、Googleサジェストの概要と具体的なキーワードの調査方法・活用方法について解説する。


目次
1.Googleサジェストとは

Googleサジェストとは、ユーザーがGoogleの検索窓にキーワードを入力すると一緒に表示される検索候補のキーワードのことだ。
Googleでの正式名称は「オートコンプリート機能」という。
この機能によって、ユーザーは検索したいキーワードを最後まで入力することなく、効率的に知りたい情報へアクセスできる。
具体例として「SaaS」というキーワードを用いて解説しよう。
Googleの検索窓に「SaaS」というキーワードを入力すると「saas 代表例」「saas企業とは」「saasとは 簡単に」「saas サービス一覧」「saas企業 ランキング」といった、さまざまな検索キーワードの候補が表示される。

検索キーワードの候補が表示されることで、ユーザーは「SaaS」という言葉の意味や代表例、ランキングといったテーマのなかから自身の知りたい情報を簡単に選べる。
さらに、キーワードを追加して「SaaS カオスマップ」と入力すると「建設 SaaS カオスマップ」や「医療 saas カオスマップ」といったほかのキーワードが候補として表示される。
ユーザーはキーワードを追加していくことで、より自身の求める情報に辿り着きやすくなる。

このように、ユーザーが入力したキーワードに対して予測される検索候補を表示する機能が「Googleサジェスト」だ。
2.Googleサジェストの仕組み
Googleサジェストの仕組みを理解することで、SEO対策やリスティング広告などのマーケティング施策にも取り組みやすくなる。
マーケティング担当者には、ぜひこれから紹介する仕組みを理解していただきたい。
Googleサジェストは、複数の要素を考慮したうえで、ユーザーに最適だと考えられるキーワードの候補を表示する。
これらの要素について、Google公式の情報をもとに解説していく。
出典:Google の予測入力候補の仕組み|Google検索ヘルプ
2.1.クエリの言語
クエリ(検索キーワード)の言語によって、表示されるサジェストは変わってくる。
例えば「デジタル」という日本語のキーワードで検索すると「デジタルとは 簡単に」「デジタルイラスト」「デジタル庁」といったサジェストが表示される。

一方で「digital」という英語のキーワードで検索をすると「ditigal Wellbeing」「digital river とは」「digital mountain」といったサジェストが表示される。

このように、同じ意味のキーワードでも入力する言語によって表示されるサジェストは変わってくる。
言語ごとにユーザーの求める情報が異なるからだ。
2.2.クエリが実行されている場所
クエリが実行されている場所によっても表示されるサジェストは変わる。
例えば「レストラン」や「コンビニ」というキーワードで検索するユーザーは、近くにあるレストランやコンビニを探している可能性が高い。
そのため、Googleで「レストラン」と入力すると、自身の現在地に関するサジェストが自動で表示されるようになっている。
また、このような場所に関するサジェストが表示されるのは「レストラン」などの店舗に関するキーワードだけではない。
例えば、Googleで「ホームページ制作」と入力すると、同様に自身の現在地に関するサジェストが表示される。
「ホームページ制作」を依頼したいと考えるユーザーは、地元の制作会社を探している傾向があるからだろう。
このように「BtoC」か「BtoB」かに関わらず、自社に関連するキーワードのサジェストにも地域名が表示される可能性がある点は覚えておくとよい。
2.3.クエリで注目を集めている関心事(最新情報・トレンド)
クエリで注目を集めている関心事は、サジェストに表示されやすくなる。
例えば、スマートフォンやゲーム機などの最新機種が発表されたタイミングでは、最新の機種名が関連するサジェストに表示される傾向がある。
検索キーワードに関連するニュースやトレンドがあれば、それらのテーマはサジェストに表示されやすい。
ただし、サジェストで表示される順番に注目度が高いわけではない。
前述したように、サジェストはさまざまな要素を考慮したうえで表示される。
また、ニュースやトレンドがあまりないキーワードでは、ユーザーからの「知りたい」というニーズが高いサジェストがストレートに表示されやすくなるだろう。
2.4.ユーザーの過去の検索
サジェストにはユーザーが過去に検索したキーワードも考慮される。
過去に調べたキーワードと関連性の高いテーマや、よく検索するキーワードは、サジェストに表示されやすくなるのだ。
また、ユーザーがGoogleアカウントにログインしている場合は、以下の情報も考慮される。
- 同じGoogleアカウントでの過去の検索履歴
- Googleでのアクティビティに基づくパーソナライズされた候補
(例:検索結果で動画を好むユーザーには、動画の検索結果が上位表示されやすくなる)
出典:パーソナライズと Google 検索の検索結果|Google検索ヘルプ
3.Googleサジェストの活用方法

Googleサジェストは、検索ユーザーへのアシスト機能として実装されている。
同時に、SEO対策やリスティング広告といった企業のさまざまなマーケティング活動に活用できるデータでもある。
3.1.SEO対策
SEOは「Search Engine Optimization」の略で、検索エンジン最適化を意味する。
SEO対策によって自社コンテンツが検索エンジンで上位表示され、集客につながるという流れだ。
SEO対策において、Googleサジェストは主に「ユーザーニーズの把握・分析」に活用できる。
上述のとおり、サジェストはユーザーの状況や関心事を反映している。
つまり、特定のキーワードで検索するユーザーが「同時に何を知りたいか」「その先にどのようなニーズがあるか」を把握できるのだ。
これにより、コンテンツに含めるべき情報を分析したり、よりニーズの深い「ロングテールキーワード」の発見に活用したりできる。
SEOの本質は、この「ニーズ」をいかに的確にとらえ、バッチリと応えるコンテンツを作れるかどうかだ。
ニーズ分析の判断材料として、ぜひGoogleサジェストを活用していただきたい。
3.2.リスティング広告
リスティング広告とは、ユーザーがGoogleなどの検索エンジンで検索した際、検索結果上に表示される広告だ。
リスティング広告の成否を握るのは「どの検索キーワードで出稿するか」そして「どのようなクリエイティブを表示させるか」といえる。。
これらに関するアイデアや選択肢を得られるのがGoogleサジェストだ。
ユーザーは何かしらのニーズを持って、特定のキーワードで検索するため、リスティング広告においてもニーズの理解は欠かせない。
よって、SEOと同様に、Googleサジェストを活用してニーズ分析を行い、ターゲットが検索しそうなキーワードに対して出稿するという意思決定ができる。
例えば「会計ソフト おすすめ 法人」というキーワードに対して、Googleサジェストでは
- 会計ソフト 小規模法人
- 会計ソフト 小規模法人 おすすめ
と表示される。
自社のサービスが小規模法人もターゲットとしている場合は「会計ソフト 小規模法人」も出稿キーワードに含めると効果が見込めるだろう。
また、クリエイティブの制作においても、広告見出しに「小規模法人におすすめ」「小規模法人の実績多数」などと入れる選択肢が出てくる。
そこからPDCAを回し、費用対効果がより高いキーワードとクリエイティブの組み合わせを見つけていける。
リスティング広告の詳細なやり方については、以下の記事を参考にしてほしい。
3.3.YouTube動画制作
近年、BtoBのコンテンツマーケティングの一貫としてよく行われるYouTube動画制作においても、Googleサジェストの活用が可能だ。
検索エンジンはアップデートを重ね、現在では検索結果のリッチ化が進んでいる。
例えば「SEO やり方」という検索キーワードに対して、関連するYoutubeの動画も検索結果に表示される。
つまり、動画コンテンツもオーガニック検索から集客を担うようになっている。
よって、動画制作においてもSEOと同様に、Googleサジェストを活用し、ニーズを捉えた企画やタイトル、ディスクリプションなどの作成が重要だ。
自社に関連するテーマのGoogleサジェストを参考にすることで、ユーザーからのニーズに合ったYouTube動画を企画できる。
YouTube動画制作を独立した施策として考えると、動画のネタの考案に困ってしまうケースも少なくない。
ユーザー行動は連続していることを意識し、動画制作にぜひGoogleサジェストを活用してユーザーニーズの分析に取り組んでいただきたい。
3.4.Googleサジェストだけの分析では不十分

Googleサジェストの分析は、ユーザーニーズの推測、広告・SEO・コンテンツマーケなどに活用できる。
一方で、成果を出すためには、Googleサジェストだけの分析では不十分だ。
Googleサジェストは、今までのユーザーデータや自身の検索行動からの「検索キーワードをベースとした予測」に過ぎない。
マーケティング施策で成果を出すためには、未来に発生するニーズの予測や顧客インサイトの深堀りが必要だ。
例えば、法律の改正や市場環境の変化などで、ユーザーが新しいキーワードを検索するようになることや、日々の検索数が増減することは珍しくない。
しかし、このような変化をGoogleサジェストだけの分析で発見することは難しい。
また、ユーザーの検索キーワードがわかっても、検索するユーザーの心理や求めているコンテンツを正確に把握することは困難だろう。
実際にマーケティング施策を立案する際は、Googleサジェスト以外の多角的な視点を踏まえたニーズの深堀りが重要だ。
例えば、以下のような情報を参考にするとよいだろう。
- 過去の商談データ
- 問い合わせデータ
- 営業担当者からのヒアリング
- 市場データ
- 競合の情報
- WEBサイトのアクセス解析
- 広告配信データ
- Googleトレンド(https://trends.google.co.jp/trends/)
特に、ツールを使って取得できるデータは便利である一方、競合他社も同じようなデータを簡単に得られることを覚えておきたい。
過去の商談データや営業担当者からのヒアリングなど、自社独自の定性的な情報も大切にしていこう。
Googleサジェストを出発点としながらも、本質的なニーズに応えるコンテンツが、ユーザーからもGoogleからも高品質だと評価される。
4.Googleサジェストの活用事例
Googleサジェストの活用方法についてイメージはできただろうか?
参考までに、弊社での具体的な活用事例を紹介しよう。
弊社では、オウンドメディアを運営して「SEO」や「BtoBマーケティング」に悩んでいる企業に向けた情報を発信し、集客を行っている。
そのなかで「ランディングページ 利便性」という検索キーワードに対して記事を制作・公開した。
このキーワードだけを見ると「ランディングページの使いやすさ」について調べているユーザーが多いと考えられるため、「どのようなランディングページだと使いやすいのか」を解説する記事を制作したくなる。
しかし、Googleサジェストを調査すると「上げ方」「平均より下」「Google」などのキーワードがあわせて検索されていることが判明。
これらの情報から、Google広告におけるLPの利便性という項目や、その上げ方について調べている検索キーワードだとわかった。
そして、分析結果をもとに、実際に検索を行うユーザーのニーズに対応したコンテンツを制作。
結果として、ユーザーやGoogleからの評価が高まり、現在は「ランディングページ 利便性」というキーワードから多くの流入を得られている。。
上記はあくまで一例だが、こうした地道な分析とコンテンツ制作によって、サイト全体で継続的な集客ができるようになる。
5.Googleサジェストを調べる方法

Googleサジェストを調べるには、実際にGoogleで検索する方法と、ツールを使う方法の大きく2つがある。
それぞれの方法を具体的にみていこう。
5.1.実際にGoogleの検索窓にキーワードを入力する
Googleサジェストを調べる最も簡単な方法は、実際にGoogleの検索窓にキーワードを入力する方法だ。
「SaaS」というキーワードのGoogleサジェストを調査する場合で解説しよう。
「SaaS あ」「SaaS い」のように五十音で順番に調べていくと「SaaS アプリ」「SaaS 意味」といったサジェストが五十音順に表示される。
また「SaaS セキュリティ」などの2つ目、3つ目のキーワードを追加し、サジェストを調べていく方法もある。
表示されたサジェストはExcelやスプレッドシートで管理しておくとよい。
調べたいGoogleサジェストがあまり多くない場合は、この方法でも十分に調査が可能だ。
注意点として、普段使っているブラウザでGoogle検索をすると、自身の過去の検索履歴などが反映される可能性がある。
できれば、調査時にはブラウザのシークレットモードを使うようにしよう。
5.2.ツールを利用して効率的に調べる
ツールを活用すると、Googleサジェストに表示されるキーワードを一括で抽出することが可能だ。
手動でGoogleの検索窓にキーワードを打ちこむよりも、かなり効率的に調査できる。
また、利用するツールによっては、検索ボリュームや検索トレンド、SEO難易度といったマーケティングに役立つ情報もあわせて取得できる。
有料で高機能なツールも多いが、無料ツールでも十分な機能を使えるため、まずは無料ツールから試してみてほしい。
ここからは、無料と有料それぞれでおすすめのツールを紹介していく。
【無料ツール】
ラッコキーワード

ラッコキーワードは、無料で使えるキーワード分析ツールだ。
キーワードを入力することで、簡単にサジェストをまとめて取得できる。
日本語のサイトでわかりやすく、初心者でも使いやすい。
会員登録なしでも利用できるため、まずはお試しでツールを使ってみたい方におすすめだ。
キーワードプランナー

キーワードプランナーは、Google公式のキーワード分析ツールだ。
本来はリスティング広告の配信用にキーワードを取得するためのツールだが、SEO対策用のキーワード調査にも活用できる。
自社でGoogle広告を利用している場合は、無料で多くの情報を取得することが可能だ。
一方で、Google広告を利用していない場合、キーワードごとの詳細な検索ボリュームはわからない点に注意しよう。
Ubersuggest

Ubersuggestは、海外のキーワード分析ツールだ。
Googleサジェストをまとめて調査できるのはもちろん、検索ボリュームやSEO難易度、トレンド推移などのさまざまなデータを取得できる。
日本語にも対応しており、無料版でも基本的な機能はほとんど利用できる。
無料で多くのデータを取得したい方には魅力的なツールだろう。
【有料ツール】
ミエルカSEO

ミエルカSEOは、株式会社Faber Companyという上場企業が提供している、国内で人気の統合型SEOツールだ。
「検索意図の自動グルーピング」や「競合キーワード分析」などの機能があり、検索サジェストを効率的に調査・分析できる。
AI機能もあり、SEOコンテンツをスピーディに制作できるようになっている。
パスカル

パスカルは、分析機能に優れた統合型SEOツールだ。
高性能で、初心者にも使いやすい点が評価されている。
Googleサーチコンソールとの連携により「実際に流入したキーワード」をベースとしたキーワード選定もできる。
また、SEOの分析結果を見やすいレポートとして出力することも可能だ。
こちらの記事では、より多くのツールを紹介しているため、ほかのツールも気になる方はあわせて参考にしてほしい。
6.サジェスト汚染とは

「サジェスト汚染」という言葉を聞いたことはあるだろうか。
サジェスト汚染とは、検索エンジンで特定のキーワードを調べた際に、サジェストとしてネガティブなキーワードが表示されてしまう現象だ。
「〇〇 ブラック」「〇〇 やめとけ」などのキーワードが挙げられる。
自社に関連するキーワードがサジェスト汚染されると、マーケティング活動や採用活動といった経営全体に悪影響を及ぼしかねない。
例えば、自社に関する問題がニュースで取り上げられた場合、会社名で検索すると、その問題についてのサジェストが表示されてしまうことがある。
ニュースになるほどの問題がなくとも、商品やサービスの質が良くなかったり、しつこい営業活動をしていたりすると、サジェスト汚染されるおそれがあるため注意が必要だ。
6.1.サジェスト汚染の対策方法
自社に関するサジェスト汚染を発見した場合、まずはGoogleへ削除申請をしよう。
Googleの検索窓でキーワードを入力すると、サジェストの右下に「不適切な検索候補の報告」と表示される。
この文字をクリックすれば、サジェストの削除申請が可能だ。
しかし、Googleへの削除申請をしても、必ずサジェストが削除されるとは限らない。
どうしても削除したいサジェストがある場合は、サジェスト汚染の対策に特化した業者への依頼を検討しよう。
ただし、こちらの方法でも必ずサジェスト汚染がなくなるという保証はない。
また、悪質な業者も少なくないため注意してほしい。
7.まとめ
今回の記事では、Googleサジェストについて、表示の仕組みや活用方法を具体的に解説した。
Googleサジェストは、クエリの言語や場所、過去の検索データなどのさまざまな要素を考慮したうえで表示される。
Googleサジェストを調査することで、SEO対策やリスティング広告といったマーケティング施策にも活用可能だ。
今回紹介したツールもうまく活用しながら、自社のマーケティン活動に取り組んでほしい。
ただし、Googleサジェストで得られる情報を参考にするだけでは、マーケティングの成果につなげることは難しい。
弊社では、BtoBのIT企業に特化し、SEO対策のコンサルティングやコンテンツ制作支援を行っている。
SEO対策やコンテンツ制作で悩んでいる方は、ぜひお気軽にお問い合わせいただきたい。

