リードクオリフィケーションとは?評価基準の設定方法や ROIを高めるポイントを解説!

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リードクオリフィケーションとは、見込み客(リード)の購買意欲と適合性を評価し、営業部門へ引き渡すべき有望なリードを選別することだ。

このプロセスを基礎的な仕組みとして整えることにより、営業部門は確度の高いリードへリソースを投入し、効率的な営業活動を行える。

結果として売上や利益を着実に上げることにつながるため、限られたリソースで成長をめざす会社にとって欠かせない施策だ。

一方で、

「リードクオリフィケーションの具体的な手順や方法がわからない」

「リードクオリフィケーションを仕組み化できていない」

「リードのスコアの付与や分類の仕方に自信がない」

という声も多い。

そこで本記事では、リードクオリフィケーションの概要と目的、重要性や理由を整理したうえで、カスタマージャーニーやデジタルマーケティング施策とどうつながるのかを解説していく。

1.リードクオリフィケーションとは

リードクオリフィケーションとは、見込み客のなかから購入意欲や適合性が高いリードを評価・選別し、営業へ引き渡すプロセスだ。

マーケティングが獲得したリードのなかには、すでに購入意欲が高いリードもいれば、自社のサービスについては無知のリードもいる。

BtoBマーケティングでは、そうした異なる検討段階にいるリードを理解し、それぞれに合ったアプローチを重ねていく(リードナーチャリング)。

その後、購買意欲が高いリードを見極めて絞り込むプロセスが「リードクオリフィケーション」だ。

リードクオリフィケーション後、リードは営業部門へ引き渡され、具体的な提案や契約内容の案内が行われる。

ただし、成約に至らなかった場合はマーケティング部門へ引き戻され、再度リードナーチャリングやリードクオリフィケーションの対象となることも多い。

リードクオリフィケーションの概要図

1.1 リードクオリフィケーションが重要な理由

リードクオリフィケーションを重視すると、営業効率の向上やマーケティング施策の最適化、さらには顧客理解の深化など、企業全体に多くの効果をもたらす。

特にIT業界では、商材が複雑で導入期間も長いため、リードクオリフィケーションの徹底が成果に直結する。

また、リード獲得後にどのように関係性を深め、商談化につなげるかという「ナーチャリング」との連動が重要だ。

クオリフィケーションを単体で考えるのではなく、ナーチャリングのプロセスのなかに位置づけることで、より高い精度で有望リードを抽出できる。

リードナーチャリングの基本や具体的な施策については、こちらの記事を見てほしい。

リードナーチャリングとは?意味や手法・ツール・施策の手順を事例付きで紹介|成果につながるメール活用も解説

2.リードクオリフィケーションのメリット

企業がリードクオリフィケーションに取り組むメリットは、以下のとおりだ。

リードクオリフィケーションのメリット

メリット①:営業効率の向上

営業部門は、マーケティング部門から一定の基準を満たしたリードのみを受け取るため、無駄なリソースの投下が減り、営業効率が向上する

加えて、マーケティングが担当したプロセスにおいて収集した具体的な情報(ニーズ、課題、決裁者、問い合わせの背景など)も引き継ぎ、リードを十分に理解したうえで提案に臨める

よって営業活動の成果、つまり成約率が高まりやすい

このように、リードクオリフィケーションによって、リソースの削減と成果の拡大が同時に実現するため、営業活動の効率化につながる。

メリット②:マーケティング施策の最適化

リードクオリフィケーションでは、リードの属性や行動、BANT情報などをもとに定量的なスコアに置き換え、客観的な評価を行う。

確度が高いリードの把握だけではなく、ファネルの上部にいるリードの位置付けも可視化できるため、リードの段階やニーズに応じたアプローチがしやすくなるのだ。

ファネルの基礎を解説|種類、分析方法、マーケと営業での活用方法

マーケティング施策が最適化すれば、コンバージョン率や顧客満足度も向上し、マーケティングプロセス全体の効果が底上げされるだろう。

メリット③:顧客理解の深耕

リードのデータをもとに行うリードクオリフィケーションは、客観的で合理的な顧客理解を実現する。

リードクオリフィケーションで加味するデータは、デモグラフィック(属性)データ、行動データ(Webサイトアクセス、資料ダウンロードなど)、ヒアリングデータ(ニーズ、課題、興味関心)などさまざまだ。

データから機械的にスコアへ落とし込めるものもあるが、ヒアリングやアンケートによる定性データは、いったん人の手で吟味し、スコアとして評価しなおす必要があるだろう。

また、一度定めたスコアの定義や引き渡しの基準が最適であるとは限らない。

営業やカスタマーサクセスからのフィードバックを踏まえて、リードを評価する基準はブラッシュアップされていく

リードクオリフィケーションを取り入れれば、これらのプロセスの繰り返し自体が顧客理解を深めることにつながる。

マーケティングやセールスだけではなく、開発やカスタマーサクセスまで、顧客との接点における考え方や戦略の解像度も高まっていくはずだ。

3.リードクオリフィケーションの位置付け

リードクオリフィケーションは、デマンドジェネレーションの一部だ。

デマンドジェネレーションとは、営業案件を創出するまでの一連のプロセスを指す。

<デマンドジェネレーション>

  1. リードジェネレーション
  2. リードナーチャリング
  3. リードクオリフィケーション

デマンドジェネレーションにおけるリードクオリフィケーションの位置付け

つまり、リードクオリフィケーションは、ほかの2つのプロセスとつながっているため、デマンドジェネレーション全体を考慮した施策を立てていく必要がある。

そこでまずは、デマンドジェネレーションを構成するほかのプロセスについて理解しておこう。

3.1.リードジェネレーション

リードジェネレーションは「リードの獲得」を指し、マーケティングにおける最初のプロセスだ。

具体的には、リードの企業名やメールアドレスなどの情報を取得する

リードジェネレーションの代表的な手法は以下のとおりだ。

  • ホワイトペーパーのダウンロード
  • ウェビナー参加
  • Web広告
  • イベント・展示会
  • オウンドメディア(SEO)

上記を組み合わせてリード獲得につなげることもある。

例えば、Web広告を出稿し、そのリンク先のランディングページでウェビナー開催の訴求を行い、参加申込と引き換えに企業名やメールアドレスの情報を得るといった具合だ。

リードジェネレーションについて、詳しくは以下の記事を参考にしてほしい。

リードジェネレーションとは?手法の選び方と課題対策・成果の測定方法を紹介

3.2.リードナーチャリング

リードナーチャリングは「リードの育成」を指す。

リードの検討段階、ニーズ、課題などに合わせてアプローチを行い、購買意欲を高めていくプロセスだ。

施策としては、メルマガコンテンツマーケティングが一般的だが、各リードの理解とセグメントにより、パーソナライズされたアプローチができる仕組みを整える必要もある。

詳しくは以下の記事で解説しているため、参考にしてほしい。

リードナーチャリングとは?意味や手法・ツール・施策の手順を事例付きで紹介|成果につながるメール活用も解説

3.3.リードクオリフィケーション

リードナーチャリングを経たリードのなかから、ニーズが顕在化し、購入意欲が高いリードを選定するのがリードクオリフィケーションだ。

また、リードジェネレーションの時点から購買意欲が高いリードは、そのまま営業へと引き渡されるケースもある。

上述のとおり、リードクオリフィケーションにおいて重要なのは「リードをどのように評価するか」だ。

このプロセスをリードスコアリングといい、リードクオリフィケーションに含まれる。

リードスコアリング

リードスコアリングは、リードの購入意欲やニーズの緊急性などを定量的に評価する(スコアに落とし込む)プロセスだ。

このスコアをもとに、リードの位置付けが決まり、営業に引き渡すかどうかが判断されるため、リードクオリフィケーションの肝となる部分といえる。

具体的には、リードの行動やデモグラフィック情報に基づき、それぞれに点数を割り当て、それらの総合点が一定の基準に達すれば営業へ引き渡す、といった具合だ。

スコアを構成する基準には、ウェブサイトの訪問回数、ダウンロード数、ウェビナーへの参加状況などあらゆる項目が含まれる。

実例を踏まえたリードスコアリングの方法は、以下の記事でも詳しく解説しているため、参考にしてほしい。

リードスコアリングとは?BtoBでの設計、運用のポイントや実施すべきタイミングを徹底解説!

4.IT企業が押さえるべきリードクオリフィケーションの実務手法

リードクオリフィケーションの精度を高めるには、評価の仕組みをつくるだけでなく、営業との協力体制やツール活用まで含めたプロセス設計が必要だ。ここでは、IT企業が現場で実践しやすい手法を紹介する。

4.1.営業との合意形成(SLA)の設定

精度を上げる第一歩は、営業に渡す条件を明確にすることだ。

例えば「スコアが◯点以上、かつ決裁権者が特定されている場合に営業へ渡す」といった合意を、SLA(Service Level Agreement)として取り決める。

この基準があれば、営業が「使えないリードを渡された」と感じることが減り、組織全体の信頼関係も強まる。

MQLとSQLの違いは?概念や評価基準、マーケティングとセールスの連携ポイントを徹底解説!

4.2.ツール活用へのつながり

リード評価を仕組みとして定着させるには、ツールの活用も欠かせない。

特に、MA(マーケティングオートメーション)とCRMの連携は、データを循環させて改善を続けるための重要な仕組みです。詳しくは後ほど解説する。

4.3.IT業界ならではのポイント

IT業界では、商材が高額かつ導入プロセスが長期に及ぶため、リード評価に独自の視点を取り入れることが欠かせない。

以下の3つは、特にIT商材を扱う企業がリードクオリフィケーションで重視すべきポイントだ。

リードクオリフィケーションで重視すべきポイント

① 検討期間の把握

IT商材の導入は、決裁プロセスに半年〜1年かかることも珍しくない。

「次年度の予算に組み込みたい」「決算期を目安に導入を検討している」といった情報は、リードの温度感を見極めるうえで非常に有効だ。

このような発言や問い合わせ内容を把握できれば、購入タイミングを予測し、営業活動の優先順位づけに直結させられる。

② セキュリティ要件への関心度

顧客がセキュリティ要件を具体的に確認してくるのは、導入検討が現実的に進んでいる証拠だ。

例えば「ISMS(Information Security Management System:ISO/IEC 27001に基づく国際規格)を取得しているか」や「クラウドセキュリティ対策はどうか」といった質問だ。

これらは購買の前提条件であり、関心が示された時点でスコアに加点すべき要素といえる。

③ システム親和性の確認

ERPや基幹システムなど、既存の業務システムとの統合可否を気にするリードも有望度が高いと考えられる。

「自社環境と統合できるか」「既存クラウドとの互換性はあるか」といった発言や比較行動が見られる場合、そのリードは具体的に導入を検討している段階かもしれない。

5.リードの評価方法(リードスコアリング)

リードスコアリングは、リードクオリフィケーションにおける重要なプロセスだ。

BtoBマーケティングでは、リードの評価を効果的に行うために、以下2つの基準が用いられる。

・フレームワークに基づく評価

顧客の属性やビジネスの要件など、静的な情報をもとにリードを評価する方法だ。

代表的なものには、

  • BANT(予算、権限、ニーズ、タイミング)
  • CHAMP(課題、権限、金額、優先度)
  • ANUM(権限、ニーズ、緊急性、資金)

などがある。

これらの一貫した基準を設けることで、客観的かつ合理的な判断ができる。

・リードの行動に基づく評価

ウェブサイトのページ訪問、資料ダウンロード、メールの開封やクリック数など、リードが示す具体的な行動からリードの関心度や購買意欲を評価する方法だ。

リードの興味や活発度の高さを汲み取れる基準であり、スコアリングを通じて数値化される。

これらに加えて本記事では、BtoBのIT業界で活用できる基準も紹介していく。

5.1.代表的なフレームワーク

まずは、リードの評価に活用できる代表的なフレームワークを見ていこう。

① BANT

BANTは、予算(Budget)、権限(Authority)、ニーズ(Need)、タイミング(Timing)をもとにリードを評価するフレームワークだ。

特に、財務的な判断が重要となる高価なBtoBサービスに適している。

各要素がリードの購入可能性を直接的に反映しているため、営業チームが高品質なリードに焦点を当てるのに役立つ。

リードの評価に活用するフレームワーク①:BANT

<定義>

  • Budget
    見込み客が製品やサービスの購入に、いつどれだけの予算を割り当てられるか。
  • Authority
    見込み客には、購入決定を下す権限をもつ人物が含まれているか。
  • Need
    提供する製品やサービスが、見込み客のニーズにどれだけ合致しているか。
  • Timing
    見込み客が製品やサービスの購入を検討している時期は適切か。

<有効な業界・サービスの例>

  • エンタープライズソフトウェア
    高価格のソフトウェアソリューションは、明確な予算と購入のタイミングが必要であるため。
  • 大規模製造機械
    これらの製品は高価であり、購入決定には大きな予算と複数の権限者の承認が関わるため。
  • コンサルティングサービス
    特に経営や戦略に関わる高額なサービスは、企業の上層部の決定と適切なニーズ評価が求められるため。

② CHAMP

CHAMPは、顧客の課題(Challenges)、権限(Authority)、予算(Money)、優先順位(Prioritization)を評価する。

顧客の課題を中心に置き、それを解決する製品やサービスを提供する場合に有効なアプローチだ。

課題解決が焦点であるため、SaaSソリューションコンサルティングサービスに適している。

リードの評価に活用するフレームワーク②:CHAMP

<定義>

  • Challenges
    見込み客が直面している主な課題はなにか。
  • Authority
    決定権をもつのは誰か。
  • Money
    見込み客には購入のための予算があるか。
  • Prioritization
    製品は見込み客にとってどの程度の優先度をもつか。

<有効な業界・サービスの例>

  • ヘルスケア
    医療機関が直面する具体的な運営課題や患者ケアの改善が必要な場合。
  • 製造業
    生産プロセスの効率化やコスト削減が求められる環境において。
  • リテール
    競争が激しく、特定の課題に迅速に対応する必要があるため。

③ ANUM

ANUMは、権限(Authority)、ニーズ(Need)、緊急性(Urgency)、予算(Money)に焦点を当てる。

緊急性を重視する場合に有効なフレームワークだ。

早急に解決が必要な問題を扱う製品やサービスのセールスに適しており、クライアントの迅速なアクションを促す。

リードの評価に活用するフレームワーク③:ANUM

<定義>

  • Authority
    最終的な購入決定を下す権限をもつのは誰か。
  • Need
    見込み客の主要なニーズは何か。
  • Urgency
    そのニーズがどれだけ緊急か。
  • Money
    購入のための予算があるか。

<有効な業界・サービスの例>

  • セキュリティサービス
    緊急性が高く、迅速な決定が求められるセキュリティ関連の問題に対応するため。
  • 危機管理サービス
    災害や緊急事態への迅速な対応が求められる業界で、ANUMは非常に有効。
  • ITインフラ
    サーバー障害やデータセンターのトラブルなど、緊急性の高い問題に対応するため。

これらのフレームワークを適切に活用することで、各業界や製品に応じたリード評価が可能となり、よりコンバージョンに近いリードを把握できるだろう。

5.2.リードの行動による評価

リードの行動に基づいた評価では、マーケティングオートメーション(MA)ツールを用いて具体的な行動を追跡し、自動でスコアリングする。

リードの行動による評価方法

主要な追跡行動と評価方法は以下のとおりだ。

① ウェブサイトへの訪問

MAツールは、ウェブサイト訪問者のページビューを追跡し、どのコンテンツに関心があるかを分析する。

訪問者が特定の製品ページやブログ記事を閲覧する時間、回数、順序などのデータを集めることで、興味関心の度合いや購買段階を判断する。

② イベントやウェビナーへの参加

ユーザーがウェブサイト上で行う特定のアクション(フォームの送信、サインアップ、製品デモのリクエストなど)を追跡する。

これらのイベントはリードのエンゲージメントを示す重要な指標であり、積極的に関与しているリードを識別するのに役立つ。

③ Eメールの開封やリンクのクリック

Eメールキャンペーンに対するリードの反応を分析する。

開封率、クリック率、返信率などの指標を通じて、リードの関心度や反応の良さを評価することが可能だ。

Eメールのインタラクションが高いリードは、一般的に関心度が高いと見なされる。

④ 資料の開封やダウンロード

PDFや電子書籍などの資料が、リードによってどれだけ開封されているかを追跡する。

リードが資料をダウンロードし、どのページをどれだけの時間、閲覧したかなどの情報も収集可能だ。

これらの情報は、リードの興味の深さや特定のトピックへの関心度を示す。

5.3.BtoBのIT業界特有の評価

BtoBのIT業界におけるリードクオリフィケーションでは、業界特有の技術的要件や特性を理解し、適切に評価することが重要だ。

IT業界特有の評価方法を見ていこう。

① 技術的適合性による評価

見込み客の技術基盤と、提供予定の製品やサービスとの互換性を評価する。

具体的には、提供するクラウドソリューションが、見込み客が現在利用しているクラウドプラットフォーム(AWSやAzureなど)とどの程度統合できるかを検討しよう。

APIの互換性やデータ移行の容易さも重要な評価ポイントだ。

② イノベーションへの適応度による評価

見込み客が新しい技術やプロセスの導入に対してどれだけ積極的であるかを評価する。

AIやビッグデータ解析ツールの導入意向がある企業に対しては、これらの技術がどう業務を改善するか、導入によってどのような競争優位を得られるかを評価しよう。

③ 組織目標との整合性による評価

提供する製品やサービスが、見込み客の組織が掲げる長期的な目標や戦略にどれだけ寄与するかを評価する。

例えば、セキュリティ強化を目標とする企業に対しては、提供するセキュリティソリューションがどのようにその目標に沿った効果を出せるのかを検討しよう。

これらの評価基準を通じて、リードが製品やサービスに高い関心をもち、導入に向けた具体的な準備が整っているかどうかの判定が可能だ。

6.スモールスタートと継続的な改善がポイント

リードクオリフィケーションに取り組む際は、複雑なシステムや詳細な評価基準を最初から導入するのではなく、簡素な形から始める「スモールスタート」を意識したい。

データが蓄積されていないうちは、スコアの最適化が難しいためだ。

仮説をもとにしたスコアリングの設定や、システムの拡大を行う前に、まずはデマンドジェネレーションに取り組み、リードクオリフィケーションのデータを蓄積して精度を高めていくことを優先しよう。

6.1.スモールスタートの例

スモールスタートのアプローチでは、以下のような評価項目を用いることがおすすめだ。

属性

  • 企業規模
  • 所属部門
  • 役職 など

行動

  • 資料ダウンロード
  • ウェビナー参加
  • メルマガ開封率
  • 製品ページのアクセス頻度 など

簡単な項目の設定だけでも、顧客に転換しやすいリードの特徴はある程度掴めるだろう。

例えば、資料のダウンロードが多いユーザーより、ウェビナーに参加したユーザーのほうがSQLへの転換率が高い、という具合だ。

6.2.継続的な改善

リードクオリフィケーションの基準や仕組みは、一度設定したら完結するわけではない。

市場の変動や製品の更新、顧客ニーズの変化に応じて、評価基準を継続的に見直し、調整していく必要がある。

これには、以下のようなステップが含まれる。

① パフォーマンスのモニタリング

定期的にリードクオリフィケーションの結果を分析し、商談化率や受注率などのKPIが期待値に達しているかを確認する。

② 評価方法のチューニング

KPIが期待値に達しない場合、リードの評価方法やスコアリングの基準を見直し、より効果的な評価基準に調整する。

③ 外部環境の変化に対応

市場環境の変化や競合の動向、顧客の要望の変化などに応じて、リードクオリフィケーションのフレームワークを更新し、常に最適な状態を維持する。

以上の方法により、BtoB企業はリードクオリフィケーションを効果的に進められ、高品質なリードの確保と営業リソースの最適化が期待できる。

7.リードクオリフィケーションにおけるMAとCRMの活用

見込み客が実際に製品やサービスを購入する可能性を評価するリードクオリフィケーションのプロセスにおいて、MA(Marketing Automatinon)ツールCRM(Customer Relationship Management)ツールが担う役割は大きい。

本章では、MAとCRMがそれぞれリードクオリフィケーションプロセスにどのように寄与するかを解説していく。

システム 概要 リードクオリフィケーションにおける役割 詳細
MA(マーケティングオートメーション) マーケティング活動を自動化し、効率的にリードを生成・育成するシステム。 リードジェネレーションの自動化 ウェブサイトの訪問者行動を追跡し、フォーム入力やダウンロードを通じてリード情報を収集。
リードスコアリングによる評価 見込み客の行動データに基づき、購買意向や製品適合度を数値化し、優先すべきリードを識別。
リードナーチャリングによる育成 自動化されたメールキャンペーンやターゲットコンテンツを通じて、リードの興味を持続させ、購入に導く。
CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント) 顧客情報を一元管理し、営業プロセスを支援するシステム。 リード情報の一元管理 リードの詳細、過去のインタラクション、通信履歴を一括して保存し、アクセスを容易にする。
営業プロセスの追跡と管理 リードが商談に至る過程を追跡し、営業進捗を管理して効果的な営業戦略を立てる。
リードの優先順位付けと効率的なリソース配分 リードの購入意向や重要性に基づいて優先順位を設定し、リソースを効率的に分配する。

7.1.リードクオリフィケーションにおけるMAの役割

MAは、リードクオリフィケーションにおけるリードの評価を自動化してくれるシステムだ。

例えば、Webページへの訪問や資料のダウンロードを察知すると、自動的にMA上のリードスコアに反映する。

また、フォーム登録からデータベースへの登録や、スコアに応じたメールの配信なども自動化できるため、マーケティングプロセス全体を通して業務の効率化精度の向上をもたらしてくれるだろう。

7.2.リードクオリフィケーションにおけるCRMの役割

CRMは、リードの情報を集約し、ダッシュボードなどで分析できる機能を備えている。

現状どの段階(どのスコア)にいるリードが多いのか、商談転換率や商談受注率はどれくらいかなどの分析データを、リアルタイムで把握できる。

よって、マーケティングとセールスを通じたリードクオリフィケーションのパフォーマンスの計測が可能だ。

また、CRMにはリードの情報も顧客の情報も登録できるため、マーケティング部門と営業部門の連携強化にも貢献するだろう。

7.3.MAとCRMの連携

MAから得られたリードの行動データやスコアリング情報がCRMに統合されれば、営業チームはリアルタイムでリードの質や状況を把握できる。

CRMにおいて、リードのスコアを用いた営業活動の分析も可能だ。

また、CRMからのフィードバックは、MAによるナーチャリング戦略の調整に利用され、より個別化されたマーケティング活動を展開できる。

このように、MAとCRMはリードクオリフィケーションにおいて補完し合いながら、見込み客の効果的な管理と育成を実現し、最終的な成約率の向上に貢献する。

リード顧客フェーズにおけるMA・SFA・CRMの関係図

8.成功事例と失敗事例

リードクオリフィケーションは、導入の仕方次第で成果も失敗も大きく変わる。

ここでは、IT企業でよく見られる具体的な事例を取り上げる。

8.1.成功事例:効果が出た企業の導入パターン

あるSaaS企業では、リード獲得後すぐに営業へ渡していた従来の流れを見直し、スコアリング基準と営業引き渡し条件(SLA)を社内で明文化した。

条件は「セミナー参加+決裁権者(キーパーソン)の特定」。この2つを満たした場合にのみ、MQLとして営業に引き渡す仕組みだ。

結果、営業は高確度のリードに集中できるようになり、商談化率は1.5倍、受注率も20%向上した。

さらに営業からのフィードバックを毎月取り込み、スコア基準を修正する運用に切り替えたことで、部門間の信頼も強化された。

8.2.失敗事例:スコアリングや連携の失敗

リードの引き渡しは顧客との関係に直結する繊細な工程であり、営業から「まだCOLDリードを渡された」と不満が出る場合も少なくない。

特に、どの状態で営業に引き渡すのかという線引きを社内で共有していないと、顧客対応の場面で“言った・言わない”の食い違いが起きやすくなる。

あるIT企業では、MAツールを導入して点数設計を細かく行ったものの、営業と合意しないまま「スコアが高い=ホットリード」として渡す運用を続けていた。

結果「実際には導入意思がない」「まだ情報収集中」といったリードが多く、営業の不満が増加し、ツールを導入しても商談化率は改善しなかった。

どれだけ精緻なスコアリングをしても、営業との共通認識がなければ成果につながらないという点も注意が必要だ。

8.3.リードクオリフィケーション精度向上のコツ

最後に、日々の運用で押さえておきたいコツを整理する。どれも特別な仕組みではなく、実務のなかで意識することで精度が高まるポイントだ。

リードクオリフィケーションのコツ

  • 小さく始める
     最初から複雑にせず、基本の3〜5項目でスタートし改善を重ねる。

  • 営業との連携
     渡す条件をSLAとして明文化し、マーケと営業で共通認識をもつ。

  • 定期レビュー
      商談化率・受注率を毎月振り返り、基準を柔軟に修正する。

  • 業界特有の要素を加味
     IT業界市場であればセキュリティ要件、システム親和性、検討時期などを評価に盛り込む。

  • ツールは補助で、人が判断
     MAやCRMは便利だが、現場の声を反映して初めて機能する。

9.まとめ

リードクオリフィケーションは、単に見込み客を選別するプロセスを超え、企業が市場での競争力を保ち、成長を促進するための戦略的手段だ。

適切な見込み客に焦点を当て、マーケティングと営業のリソースを最大限に活用することで、企業は無駄な労力を削減し、収益性の高い機会に資源を集中させられる。

特に、BtoB企業においては購買決定プロセスが複雑で、複数の意思決定者が関与するため、リードの質を保証することが成功の鍵となる。

戦略的なリードクオリフィケーションにより、持続可能な成長を促進するための基盤を構築できるだろう。

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監修者情報

野崎 晋平(btobマーケティングコンサルタント)

SIerにてERPの開発・導入を経験後、東証プライム上場企業の情報システム部門にてIT企画や全社プロジェクトを推進。情シス向けに個人で立ち上げたオウンドメディアは月間10万PVを達成。現在は、ITとマーケティングの知見を組み合わせて、IT企業向けにBtoBマーケティング支援を手がけている。

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