「メールマーケティングを強化したいが、どのようにツールを選べばよいかわからない」
このような課題を抱えてはいないだろうか。
近年は、BtoC、BtoB問わず、メールアドレス登録を起点に自動で顧客へ情報を送る施策が増えている。
特にクラウド環境の普及により、一斉配信やセグメント配信を効率化できる商品やサービスが次々と登場し、導入を検討する会社も増加した。
その反面、数多くのメールマーケティングツールが乱立することで
「どの機能が重要なのか」
「費用対効果をどう測定すべきか」
などを把握しにくい状況となっており、選定に足踏みしてしまうのは無理もない。
この記事では、初めての導入でも気軽に試しやすい配信スタンドから、大規模な業務に対応できるMAツールまでを網羅し、それぞれの特徴・性能・費用を比較。
さらに、導入事例や成果を高めるための活用ポイントも紹介する。
- 効率的かつ効果的に顧客情報を管理する方法
- 反応率を高めるために誰でも使える改善ノウハウ
- セミナーやコミュニケーション施策に役立つ活用シーン
こうした内容を通じて、読者の皆さまが自社に合ったツールを選べる知識を提供し、ビジネス価値を向上させる実践的な手段を解説していく。
目次
1.メールマーケティングとは
メールマーケティングとは、企業・団体が消費者・見込み客に対し、メールを用いてアプローチするマーケティング手法だ。
メールマーケティングには主に以下の種類がある。
手法 | 用途 | ターゲット | 成功のポイント |
メールマガジン | 定期的な情報提供、ブランディング | 保有リード全般 | 汎用的かつ魅力的なコンテンツ、定期的な配信 |
ステップメール | 教育プロセスを通じて顧客の検討フェーズを進める | 新規流入顧客、特定のアクションを取った顧客 | カスタマージャーニーの活用、明確なCTA |
セグメントメール(ターゲティングメール) | 特定の顧客セグメントへカスタマイズされたメッセージング | 業種、規模、行動、関心などで区分された顧客群 | 正確なセグメンテーション、関連性の高いメッセージング |
リターゲティングメール | ウェブサイトの訪問者や未完了の購買行動に再度アプローチ | サイト訪問者、フォーム離脱者 | タイムリーな配信、パーソナライズ |
休眠発掘メール | 長期間接点がない顧客の掘り起こし | 一定期間アクションのない顧客 | 強力な件名、インセンティブ、パーソナライズ |
メール広告 | 新規リード獲得 | リード化していない潜在顧客(ターゲット) | 適切なターゲティング、インセンティブ |
このうち「メール広告」は、外部メディアのリソースを利用し、広告としてメールを配信することを指す。
メール広告を除くほか5つの手法については、メールマーケティングツールを利用して配信するのが一般的である。
BtoBメールマーケティング手法の基礎知識|メルマガ活用で効果を高めるメリットと顧客化のポイントとは?
メールマーケティングの目的
メールマーケティングの目的は、顧客との関係を継続的に深め、購買意欲を高めることだ。
メールマガジンは「一斉に送る」だけの施策ではない。アドレスを起点に、新規の見込み客から既存顧客まで、さまざまなチャネル(メール/Web/SNS/電話フォロー)とつながり、ターゲティングした配信を自動的に行うことでコンバージョンの向上を目指す。
単なる情報伝達だと受信後の離脱が起こりがちだが、あらかじめ定義した目標・条件に沿ってURLやページ遷移の取得データを見ながら調整する運用に切り替えると、表示・到達・反応の傾向が読みやすくなり、問題の早期解決に直結する。
具体的な特徴次のとおり。
- リードの獲得・育成(ナーチャリング):
資料ダウンロードやセミナー申込後にトリガーを設定し、テンプレート化したステップ配信で基礎→事例→デモ→請求案内のスケジュールを分けて送付するといったステップメール配信手法。個別の関心に基づく案内で販売を促進する。 - 顧客維持・LTV向上:
定期的なクーポンやサイトのおすすめページへのリンク、オンプレミス製品のアップデートやセキュリティ対策の説明など、お客様に有益なテキストと画像コンテンツを継続配信して信頼維持や関係醸成図る。 - 費用対効果の高い施策:
月間わずかな数百円からの有料プランや無料のトライアルで開始でき、件数が多くても高速に送り分け可能。迷惑メール対策や認証(SPF/DKIM等)を満たし、到達率を上げる運用が可能。
以上のような特徴のあるメールマーケティングは、単なる配信ではなく「顧客とのコミュニケーション基盤」として活用することが重要だ。
リードナーチャリングとは?意味や手法・ツール・施策の手順を事例付きで紹介|成果につながるメール活用も解説
2.メールマーケティングツールの種類
メールマーケティングツールには「メール配信スタンド」と「MAツール」の2種類がある。
ここからは、それぞれの機能や用途について詳しくみていこう。
ただし、以下は各ツールの一般的な特徴をまとめたものであり、実際の機能や価格はツールによって異なるため、各製品の詳細をよく確認してほしい。
比較項目 | メール配信スタンド | MAツール |
主な機能 | ・メール配信 ・ステップメール ・HTMLメール ・メール効果測定 |
・メール配信 ・ステップメール ・HTMLメール ・メール効果測定 ・A/Bテスト ・リードの閲覧・行動履歴 ・スコアリング ・キャンペーン管理 |
用途 | 簡単なメールマーケティングキャンペーン、定期的なメルマガ配信 | 複雑なマーケティング戦略の実行、自動化とセグメンテーションを活用したキャンペーン |
価格帯 | 一般的に低コスト月額数百円〜数千円 | 中から高コスト月額数千円〜数十万円 |
ユーザビリティ | シンプルで使いやすいインターフェース | 機能が多く、学習に時間がかかる |
データ分析とレポーティング | 基本的なレポート機能、開封率やクリック率の追跡 | 詳細なレポーティングと分析機能、ユーザー行動の追跡と分析 |
2.1.メール配信スタンド
メール配信スタンドとは、大量のメールを一括で送信するためのサービスやソフトウェアを指す。
特定のリストに対してメルマガやプロモーション情報を効率的に配信できる。
- 主な機能: メール配信、ステップメール、HTMLメール、メール効果測定など。
「メールを活用したマーケティング」に関わる基本的な機能を備えている - 用途: 簡単なメールマーケティングキャンペーン、定期的なメルマガ配信
- 価格帯: 一般的に低コスト。
月額数百円〜数千円 - ユーザビリティ: 機能が限定されている分、シンプルで直感的に操作できるツールが多い
- データ分析とレポーティング: 開封率やクリック率といったメール効果の基本的なレポート機能
配信スタンドを効果的に活用するには、配信内容や作り方の工夫が不可欠だ。
以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてほしい。
メルマガの作り方完全ガイド|成果へのポイントと配信時のチェックリスト
2.2.MAツール
MAツール(マーケティングオートメーションツール)とは、マーケティング活動を自動化・効率化するためのシステムである。
リードの獲得から育成、顧客との関係構築までを一元管理し、効果的なマーケティング戦略の実行を支援する。
- 主な機能: メール配信、ステップメール、HTMLメール、メール効果測定、A/Bテスト、リードの閲覧・行動履歴、スコアリング、キャンペーン管理。
メール関連機能だけではなく、複雑なリード管理やマーケティングプロセス全体の最適化機能がある - 用途: 複雑なマーケティング戦略の実行、自動化とセグメンテーションを活用したキャンペーン
- 価格帯: 中から高コスト。月額数千円〜数十万円
- ユーザビリティ: 機能が豊富なぶん、導入初期のオンボーディングには時間がかかることが多い
- データ分析とレポーティング: メール効果のレポートだけではなく、ユーザー行動の追跡と分析など詳細なレポーティング機能
メール配信スタンドは、メールの配信や効果測定などに特化したツールといえる。
一方、MAツールはメール配信だけではなく、リードジェネレーションからナーチャリング、クオリフィケーションまでの一連のマーケティングプロセスに資する機能を有しているのが特徴だ。
3. ツール導入のメリット
メールマーケティングツールを導入すると、業務効率化と成果向上を同時に実現できる。
特に「時間のかかる単純作業をどれだけ減らせるか」「施策の精度をどれだけ高められるか」の2点は、多くの企業が実感している大きなメリットだ。
種類を理解したうえで導入すれば、これまで人手と経験に頼っていた業務がシステム化され、成果が見える化されるという大きな変化を得られる。
種類を理解したうえで、実際に導入すると「何が変わるのか」を整理していこう。
3.1 共通メリット
①作業の自動化
メール配信スタンド・MAツールのどちらも、一斉配信やセグメント配信を効率的に行える仕組みを備えている。
- 手作業での送信作業が不要となり、業務を大幅に効率化
- 配信漏れやヒューマンエラーを防ぎ、顧客へ確実に届けられる
「誰に・どの内容を送るか」という基本的な業務の生産性が向上する。
これにより、担当者の作業時間を「リストの精査」「メッセージ内容の検討」といった付加価値の高い業務に集中させられる点が大きな強みだ。
②効果測定
ほとんどのメールマーケティングツールには、開封率やクリック率といった指標をリアルタイムで把握できる機能がある。
- 効果を数値で測定できるため、改善サイクル(PDCA)を回しやすい
- A/Bテストを通じて、件名や本文の最適化も可能
配信して終わりではなく、改善を繰り返して成果を高める運用を実現できる。
明確なデータに基づく改善型の施策に進化するだろう。
開封率については以下の記事でも詳しく解説している。
メルマガの開封率の平均値は?開封率を上げるコツ10選も紹介
3.2 MAツール特有のメリット
①顧客理解の深化
MAツールは、単なる配信ではなく顧客情報の統合管理と分析に強みがある。
- メールの反応だけではなく、Web閲覧履歴やセミナー参加履歴も蓄積
- 行動パターンに基づいたセグメント設計が可能
- 「この顧客が今どの段階にいるか」を把握
これらのメリットにより、施策の精度を高め、長期的な顧客育成につなげられる。
顧客育成に効果的なアプローチ方法は、ナーチャリングメールを成功に導く作り方にまとめているため、参考にしてほしい。
ナーチャリングメールを成功に導く作り方と活用ポイント
②営業支援(スコアリング・ホットリード抽出)
ほとんどのMAツールには、見込み度合いを数値化するスコアリング機能がある。
この機能を活用することで、以下のような対応が可能となり、マーケティングと営業の連携を強化、成果に直結する運用が可能となる。
- 開封・クリック・サイト訪問などの行動に点数を付与
- 点数の高い「ホットリード」を営業部門に渡すことで、効率的に商談化
- 営業リソースを「確度の高い顧客」に集中できる
上図のように、リードジェネレーションで見込み顧客を獲得し、リードナーチャリングで関係性を深め、最後にスコアリングを通じてリードクオリフィケーション(見込み度の判定)を行う。
MAツールはこの「リードクオリフィケーション」を効率化するための中核となる。
スコアリングの仕組みや具体的な設計方法は、以下の記事で詳しく解説している。
リードスコアリングとは?BtoBでの設計、運用のポイントや実施すべきタイミングを徹底解説!
3.3 導入メリットの整理
メールマーケティングツールのメリットは以下のとおり。
項目 | 配信スタンド | MAツール |
作業の自動化 | ◎(一斉・セグメント配信対応) | ◎(トリガー配信やシナリオ設計まで可能) |
効果測定 | ◎(基本指標を測定可能) | ◎(詳細な分析・A/Bテスト・行動追跡も可能) |
顧客理解の深化 | △(基本情報のみ) | ◎(Web・セミナーなど行動データを統合) |
営業支援 | ×(配信中心で営業連携機能なし) | ◎(スコアリング・ホットリード引き渡し可能) |
配信スタンドは「効率化と基本分析」に強みがあり、コストを抑えて迅速に運営したい企業に適している。
一方でMAツールは「育成と営業連携」に優れ、長期的なLTV向上や新規顧客拡大を目指す企業におすすめだ。
企業の規模や目的、そして担当者のリソース状況に合わせて選ぶことで、導入メリットを最大化できるだろう。
4.メールマーケティングツールを選ぶ観点
「メール配信スタンド」と「MAツール」は、それぞれのカテゴリ別にも多種多様なツールが提供されている。
自社に適したツールはどのような観点で選べばよいのだろうか。
ここでは一般的な比較観点と、各ツールに向いている企業を解説する。
4.1. 目的・機能・料金
メールマーケティングツールを選ぶときには「目的」「機能」「料金」の3つの観点を必ず押さえておきたい。
- 目的: 自社がツールを通して実現したいことは何か、現在抱えている課題に合わせて選定する。
例1)保有リードの増加に対して、営業リソースが不足している。
主にメールを活用して顧客へのアプローチを効率化したい。
例2)優先的にアプローチすべきリードの判断基準がない。
統一の基準でリードの質を評価したい。
- 機能: 詳細なツールの検討を始める前に、目的と照らし合わせて必須の機能・あれば嬉しい機能・使わない機能を決めておく。
- 料金: 自社の予算を精査し、許容できる料金範囲を検討する。
メールマーケティングツールの多くはパッケージ型(買い切り)ではなくサブスクリプション型となるため、毎年の固定費として勘案する必要がある。
4.2. MAが向いている企業
MAはメール配信ツールよりも多機能で、メールマーケティングに関わらずリードの閲覧・行動履歴の追跡、リードの行動追跡をもとにしたスコアリング、キャンペーン管理といった機能を有している。
したがって、企業規模に関わらず、以下のような企業に向いている。
- 複雑な顧客エンゲージメントとマーケティングプロセスの自動化を求める企業
- 効率的なリード管理、育成、分析が必要な企業
4.3.メール配信スタンドが向いている企業
メール配信スタンドには、MAのようにマーケティングプロセス全体を最適化する機能はないものの、メールマーケティングに必要な機能は備えている。
コストも比較的安価な点がメリットだ。
メール配信スタンドが向いているのはは以下のような企業である。
- 主に単純なメールマーケティングが必要な企業
- コストが低く、操作が簡単であることを優先
4.4 ツール運用の外注という選択肢
成果を素早く出したい企業は「運用を外注する」という選択肢も有効だ。
ツールを導入しても「運用設計」「シナリオ構築」「改善サイクル」が不十分では成果が出にくい。専門家に任せることで、戦略から実務までを効率的に行える。
<外注のメリット>
- 専門ノウハウの活用:効果的なメール設計や配信シナリオをプロが構築。過去の実績や事例をもとに最適なシナリオを設計できるため、属人的な運営に頼らず高い再現性を確保できる。
- 業務負荷の軽減:社内担当者は日々の企画・営業・顧客対応といったコア業務に集中でき、メール運用の細かい設定や調整に時間を取られない。
- 成果の最大化:ABテストや改善提案を継続的に行い、確実に成果を高める。外部の専門家が定期的に数値をレビューすることで、改善スピードが加速する。
<外注が特に効果的なケース>
- 新規事業の立ち上げ期や、限られた人員でマーケティングを兼務している企業
- 社内にメール運用の経験者がいない、またはノウハウが分散していて標準化できていない場合
- ツールを導入したが「初期設定のまま活用できていない」「施策が単発で終わっている」と感じている企業
- 短期間で成果を出し、上層部や株主への説明責任を果たす必要がある企業
<外注を活用する際の注意点>
- 契約前に「どこまでを外注するか(戦略設計/コンテンツ制作/日々の配信管理)」を明確にする
- 社内で最低限のKPI管理や意思決定は残し、丸投げを避ける
- 外注パートナーとは定期的にミーティングを設け、進捗や改善の透明性を確保する
内製にこだわらず外注も検討することで、費用対効果を最大化できる運用体制をつくれる。
特にメールマーケティングは「小さな改善の積み重ね」が成果を左右するため、外部の知見を取り入れることは大きな武器となるはずだ。
5.おすすめのメール配信スタンド【比較表付き】
ここでは、おすすめのメール配信スタンドを5つ紹介する。
※掲載している情報は最新ではない可能性があります。導入検討の際は公式サイトを参照してください。
ツール名/項目 | blastmail | 配配メール | WiLL Mail | WEBCAS E-mail | Synergy! |
特徴 | ・13年連続顧客導入数シェアNo.1I ・業界最安クラスの価格設定 |
・シンプルで使いやすいUI ・一部マーケティング機能もあり |
・毎月の配信量に応じた従量課金制 ・充実の効果測定機能 |
・細かい配信設定機能 ・高度なセキュリティ対策 |
・CRM、フォーム、メール配信機能を1つのツールに包含 ・高度なセキュリティ対策 |
メール配信機能 | ・HTMLメール配信 ・マルチパート配信 ・ターゲット(セグメント)配信 ・バックナンバー ・送信元アドレス指定 |
・HTMLメール配信 ・マルチパート配信 ・ターゲット(セグメント)配信 ・送信元アドレス指定 ・複数From ・ステップメール ・シナリオメール ・添付ファイル配信 |
・HTMLメール配信 ・マルチパート配信 ・ターゲット(セグメント)配信 ・ステップメール ・レコメンドメール ・ファイルダウンロード機能 |
・HTMLメール配信 ・マルチパート配信 ・ターゲット(セグメント)配信 ・パーソナライズ配信 ・送信元アドレス指定 ・複数From ・ステップメール ・レコメンドメール |
・HTMLメール配信 ・マルチパート配信 ・ターゲット(セグメント)配信 ・ステップメール ・リターゲティングメール ・シナリオメール ・ABテスト |
メール作成機能 | ・レスポンシブ対応 ・差し込みコード ・配信予約 ・テンプレート機能 |
・レスポンシブ対応 ・差し込みコード ・配信予約 ・テンプレート機能 |
・レスポンシブ対応 ・差し込みコード ・配信予約 ・テンプレート機能 |
・レスポンシブ対応 ・差し込みコード ・配信予約 ・テンプレート機能 |
・レスポンシブ対応 ・差し込みコード ・配信予約 ・テンプレート機能 ・ファイルアップロード |
効果測定 | ・開封率 ・クリック率 ・到達率 |
・開封率 ・クリック率 ・到達率 ・ヒートマップ ・CV計測 ・Google Analytics連携 |
・開封率 ・リピート開封率 ・クリック率 ・リピートクリック率 ・到達率 ・ヒートマップ ・曜日・時間別分析 ・CV計測 ・Google Analytics連携 |
・開封率 ・クリック率 ・到達率 ・CV計測 ・曜日・時間別分析 |
・開封率 ・クリック率 ・到達率 |
迷惑メール対策 | ・DKIM署名 | ・DKIM署名 ・暗号化メール(STARTTLS) |
・DKIM署名 ・暗号化メール(STARTTLS) |
・DKIM署名 ・S/MIME対応 ・暗号化メール(STARTTLS) |
・DKIM署名 ・S/MIME対応 ・暗号化メール(STARTTLS) |
セキュリティ対策 | ・IPアドレス制限 | ・操作権限管理 | ・IPアドレス制限 ・操作権限管理 ・二要素認証 ・操作ログ |
・IPアドレス制限 ・操作権限管理 ・二要素認証 ・操作ログ ・個人情報保護機能 |
・IPアドレス制限 ・操作権限管理 ・操作ログ ・ログインパスワードルール設定 ・二重ログイン禁止 ・強制ログオフ |
料金 | ・月額4,000円〜 ・無料トライアルあり |
・要問い合わせ ・無料トライアルあり |
・月額4,000円〜 ・無料トライアルあり |
・初期費用3万円、月額1万円〜(ASP型) ・無料トライアルなし(デモ環境あり) |
・初期費用11.8万円(CRM)+3万円(メール配信)、月額1.5万円〜(CRM)+1万円〜(メール配信) ・無料トライアルあり |
5.1.1.blastmail
blastmail(ブラストメール)は、メール配信スタンド市場において13年連続顧客導入数シェアNo.1を誇るツールだ。
HTMLメール配信、ターゲット配信、効果測定など、メール配信スタンドにおいて多くの企業が利用する基本的な機能を備えている。
直感的に操作できるシンプルなメール作成画面は、メール配信に慣れていない初心者にも使いやすい。
月額4,000円〜という業界最安クラスの料金設定も人気の理由だ。
料金は保有リスト数に応じて変動し、メールの配信数は無制限となっている。
5.1.2.配配メール
配配メール(はいはいメール)は、導入実績10,000社超、サポート満足度95%を誇るメール配信スタンドだ。
直感的に操作できるメール作成画面、ひと目で効果がわかるレポート画面など、全体的にユーザビリティの高いインターフェースが特徴。
効果測定においてはヒートマップやCV計測、Google Analyticsとの連携など一歩踏み込んだ分析ができる。
また、メール配信を基幹機能としながらも一部、来訪通知やシナリオメール、フォーム作成といったマーケティング機能を有している点も強みといえる。
5.1.3.WiLL Mail
WiLLメール(ウィルメール)は、累計導入者数2,400社以上、2019年〜2022年の顧客数伸び率では1位を誇るメール配信スタンドだ。
効果測定機能が充実しており、開封率・クリック率だけではなくリピート開封率・リピートクリック率がわかるほか、ヒートマップや曜日・時間分析、CV計測など細かい点までメールの成果を確認できる。
月額4,000円〜と安価な料金設定に加え、その月の配信通数に応じて契約プランの変更も可能なため、配信の少ない月はコストを大きく削減できるのが大きな利点だ。
5.1.4.WEBCAS E-mail
WEBCAS E-mail(ウェブキャス Eメール)は、20年以上利用されている老舗のメール配信スタンドで、シリーズ導入実績は9,000社以上を誇る。
データベースに蓄積されている性別・年齢などの属性や、購買履歴・行動履歴などをもとに、顧客一人ひとりに最適化したメールを配信するパーソナライズメール配信(One to Oneメール配信)で細かい顧客フォローを実現する。
セキュリティ機能が充実しているため、大量の顧客データを抱えており個人情報保護を徹底したい企業にもおすすめだ。
ASP型・SaaS型・パッケージ型の3種類があり、最も安いASP型で初期費用3万円・月額1万円〜と相対的にはやや高い料金水準となっている。
5.1.5.Synergy!
Synergy!(シナジー)は、7,000件以上の導入実績があるメール配信ツールだ。
メール配信機能単体ではなく、データベース管理(CRM機能)とセットで利用することを前提としている。
顧客管理基盤も併せて導入したい場合に検討すべきツールといえるだろう。
また、メール配信だけではなくフォーム作成やアンケート作成などの機能も追加できるため、複数の機能を1つのツールでシームレスに管理したい場合はよい選択肢となる。
CRMがセットになるため、料金は初期費用11.8万円(CRM)+3万円(メール配信)、月額1.5万円〜(CRM)+1万円〜(メール配信)と相応のコストが必要だ。
6.おすすめのMAツール【比較表付き】
次に、おすすめのMAツールを5つ紹介する。
MAツールは前述のとおり、メール配信に特化したツールではなく、マーケティングプロセス全体の最適化に用いられる。
メール作成・配信機能は概ねメール配信スタンドと同様の水準をカバーしており、ツールごとに大きな違いは見られない。
そのためMAツールを選ぶ際は「メール配信以外のマーケティング機能として何ができるのか」が焦点となってくる。
※掲載している情報は最新ではない可能性があります。導入検討の際は公式サイトを参照してください。
ツール名/項目 | SHANON MARKETING PLATFORM | SATORI | Salesforce Account Engagement | Hubspot Marketing Hub | Adobe Marketo Engage |
特徴 | ・各種ツール連携も含むカスタマイズ性 ・手厚いサポート体制 |
・初心者向けの使いやすいUI ・手厚いサポート体制 |
・Salesforceエコシステム内での統合性が高い | ・手広いマーケティングソリューション ・安価 |
・高いカスタマイズ性 ・AIを用いた機能 |
マーケティング機能(BtoB) | ・フォーム作成 ・LP作成 ・行動・閲覧履歴分析 ・Webパーソナライズ ・シナリオ ・スコアリング ・名刺データ化代行 ・Zoom連携 ・SFA機能 |
・アクセス企業リスト(IP解析) ・フォーム作成 ・LP作成 ・行動・閲覧履歴分析 ・Webパーソナライズ ・シナリオ ・スコアリング ・商談管理 |
・フォーム作成 ・LP作成 ・Webパーソナライズ ・シナリオ ・スコアリング ・商談管理 ・Zoom連携 |
・広告トラッキングと管理 ・フォーム作成 ・LP作成 ・Webパーソナライズ ・シナリオ ・スコアリング ・SEO ・SNS管理 ・Webチャット ・ABM |
・Web広告出稿 ・フォーム作成 ・LP作成 ・Webパーソナライズ ・AI予測によるコンテンツ配信 ・シナリオ ・スコアリング ・SNS管理 ・ABM |
料金 | ・初期費用要相談+月額12万円〜 ・無料トライアルなし |
・初期費用30万円+月額14.8万円〜 ・無料トライアルなし |
・月額15万円〜(初期費用なし) ・無料トライアルなし |
・月額9.6万円〜(初期費用なし) ・無料トライアルなし |
・要問い合わせ ・無料トライアルなし |
6.2.1.SHANON MARKETING PLATFORM
SHANON MARKETING PLATFORM(シャノンマーケティングプラットフォーム)は、導入社数900社を超える国内売上シェアNo.1のMAツールだ。
MAとしての基本的な機能に加え、Zoom連携があったりSFA機能が一体化されていたりと、最新のニーズも取り込みながらアップデートしている。
国産ツールで日本企業に特化しているため、導入時のオンボーディングやサポートデスク体制が充実している点も安心だ。
また外部連携に強みがあり、SFA/CRM、広告/アクセス解析、BI/企業情報ツール、決裁ツール、動画ツールなどと連携することで、より高いカスタマイズ性を実現できる。
6.2.2.SATORI
SATORI(サトリ)は、導入実績1,500社以上を誇る国産のMAツールだ。
マーケティング初心者でも扱いやすいUI・UXにより、幅広い規模・業種の企業に受け入れられている。
オンラインヘルプ/オンラインサポートに加え、ユーザー会の開催、担当者による丁寧なフォローアップも慣れない企業には嬉しいポイントだ。
特徴的な機能としてはアクセス企業リスト(IP解析)があり、自社Webサイトにアクセスしている匿名のユーザー企業を特定できる。
6.2.3.Salesforce Account Engagement
Salesforce Account Engagement(セールスフォース アカウント エンゲージメント)は、世界でトップシェアを誇るCRMプラットフォームを提供するセールスフォース社のMAツールだ。
Salesforceは営業支援の「Sales Cloud」、コンタクトセンターの「Service Cloud」など幅広いニーズに応じた製品ラインナップを有しており、エコシステム内の統合性が高いことが最大の強みである。
特にSFAとして「Sales Cloud」をすでに導入している企業の場合、このツールが第一選択肢となってくるだろう。
6.2.4.Hubspot Marketing Hub
Hubspot Marketing Hub(ハブスポット マーケティング ハブ)は、世界135か国以上で20万5,000社以上に導入されている統合型プラットフォーム「Hubspot」のMA機能である。
広告トラッキングと管理、SEO、SNS管理といった、一般的なマーケティングオートメーションの枠を超えた手広いソリューションが用意されていることが強みだ。
料金も月額9.6万円〜と、MAツールのなかでは比較的安価に始められる。
6.2.5.Adobe Marketo Engage
Adobe Marketo Engage(アドビ マルケト エンゲージ)は、世界で5,000社以上に導入されているMAツールだ。
カスタマイズ性が高く、APIとの統合やカスタムアプリケーションの開発も可能で、企業の特定のニーズに合わせた拡張を行える。
また、AIがWebサイトや顧客宛のメールに最も優れた効果を発揮するコンテンツを予測して配信できる、先進的な機能を備えている。
料金は要問い合わせだが、拡張性がある分、MAツールのなかではやや高くなるだろう。
7.メールマーケティングツールの最新トレンドと今後の展望
メールマーケティングツールは、従来の「配信効率化ツール」から、AIやデータ統合を活用した「顧客理解を深め、売上に直結するマーケ基盤」へと進化している。
「どれだけ多くのアドレスに届けられるか」よりも、今では「誰に、どのようなメッセージを、どのタイミングで送るのか」という精度が成果を大きく左右する。
7.1 注目されているトレンド
- AIによる自動最適化
IT企業にとっての大きな関心事は「効率的な商談化」だ。AIが件名や本文を自動生成したり、配信タイミングを最適化したりする機能は、もはや珍しくない。例えば「過去の配信結果を分析し、最も開封率が上がりやすい時間帯に自動で配信する」などの仕組みが一般化している。
一方で注意すべき点もある。AIが提案する内容は必ずしもブランドトーンや顧客との関係性に適合するとは限らない。人が最終チェックを行い「機械的に正しい文章」と「顧客に寄り添ったメッセージ」のバランスを取ることが重要だ。
- CRM・SFAとの連携強化
MAツールを中心に、SalesforceやHubSpotといった外部システムとの連携が加速している。メールの開封・クリックデータを営業活動に即座に活用し、顧客との接点がスムーズにつながるようになった。
例えば、営業担当者が商談準備をする際、最新のメール開封履歴やリンククリック情報を把握していれば、「関心のあるテーマ」に合わせた提案が可能だ。
これにより、従来よりも精度の高い提案ができ、成約率アップに直結する。
- ノーコード化と操作性改善
専門知識不要で直感的に操作できるノーコード機能も普及している。HTMLやプログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップでデザインを制作したり、複数のシナリオを自動化したりできるため、社内に専任エンジニアがいない企業でも導入しやすい。
この動きは、特に中小企業にとって大きな追い風だ。導入ハードルが下がり、マーケティング部門が1人しかいない会社でも、スピーディーに成果を出せるようになった。
- 配信基盤のクラウド化と大規模対応
従来のオンプレミス型配信サーバーに比べ、クラウド型サービスの強みは「スケーラビリティ」だ。大量のリストや高頻度配信でもサーバーが落ちにくく、安定して顧客にメッセージを届けられる。
また、クラウド型では最新の迷惑メール対策や認証機能(SPF/DKIM/DMARC)が自動で反映されるケースが多く、配信到達率の向上にもつながっている。 -
セキュリティと個人情報保護
IT業界では個人情報・利用ログ・アクセスデータなど高精度の顧客情報を扱うため、セキュリティ対策は導入検討の必須条件だ。
国内外でGDPR(一般データ保護規則)や改正個人情報保護法などの規制が強まるなか、暗号化・アクセス制御・監査ログといったセキュリティ対策は「必須機能」へと変化している。
メール配信だけではなく、個人情報の安全な管理・保存も含めたツール選びが求められている。
7.2 今後の展望
これまで紹介したトレンドは、すでに国内外の多くの企業で活用が進んでいる。しかしIT業界、とりわけSaaSやクラウドベンダー、SIerといった分野では、メールマーケティングツールの進化はまだ途中段階だ。
顧客の購買行動がオンライン中心に移り、接点が多様化するなかで、メールは依然として最も信頼性が高く成果が期待できるチャネルとして位置する。
今後の展望を考えるうえでは、単なる配信効率化や効果測定の域を超えて「どのように営業活動や事業成長に直結させるか」 という観点が欠かせない。
ここからは、特にIT業界の企業が押さえておくべき最新の方向性を整理していく。
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リアルタイムパーソナライズの一般化
顧客がWebサイトを訪問した瞬間に関連メールを自動送信するなど、リアルタイムで反応を高める仕組みが、今後は当たり前になっていくだろう。
海外のMAツールではすでに一般化しており、国内でも大手企業を中心に導入が広がり始めている。
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データ統合による精度向上
メール単体ではなく、LINE、SNS広告、チャットツール、ECサイトの購買履歴などを横断的に連携させる取り組みも進んでいる。
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)やDWH(データウェアハウス)との統合により、企業は顧客の全体像を把握し、「メールはどの位置づけで使うのか」を戦略的に判断できるようになるだろう。
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顧客体験価値の向上
従来のメールマーケティングは「情報を送ること」が主目的だったが、今後は「体験を設計すること」も求められていく。
例えば、ある顧客には動画コンテンツへのリンクを送り、別の顧客には事例集のPDF資料を提供する。
配信する形式や内容を顧客の属性や過去行動に合わせて設計することで「届いたメールが役立つ」と感じてもらえる確率が高まるだろう。
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小規模企業における実装の広がり
これまで「大企業向け」の印象が強かったMAツールも、近年では低コスト・簡単操作の小規模企業向けサービスが増えている。
月額数千円から利用できるクラウド型ツールも登場し、スタートアップや中堅企業でもメールマーケティングの高度化が可能となった。
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外注と内製のハイブリッド化
成長フェーズのIT企業では、戦略設計やシナリオ作成を外注し、運用・改善を内製化する「ハイブリッド体制」を取り入れるケースが増えている。
限られた人材で成果を最大化するうえで、外部ノウハウの導入と自社リソースの活用をバランス良く組み合わせる動きは加速すると考えられる。
8.まとめ
メールマーケティングツールの種類や選ぶ観点、おすすめのツールを紹介した。
メールマーケティングは、いまやBtoCだけではなく、BtoBの企業にとっても欠かせない手法となっている。
IT業界におけるメールマーケティングツールの進化は「効率化」から「事業成長の加速」へと焦点が移っている。
AI最適化、CRM連携、ノーコード化、リアルタイム対応といった流れは、SaaS企業やSIerが直面する「リード獲得から商談化までの長いプロセス」を短縮する武器となるだろう。
ツール選定の基準は、単なる配信機能ではなく「どれだけ事業戦略に直結するか」だ。
大量のデータを扱うだけに、一度ツールを導入すると別のツールへ切り替えることは簡単ではない。
自社の目的や予算と照らし合わせ、よく吟味して最適なツールを選択してほしい。