マーケティング施策がバラバラで終わらないために:売上につながる全体設計・構造化の考え方

「施策はいろいろ打っているのに、売上につながらない」

これは多くの企業に共通するマーケティングの課題だ。

この課題の原因は、各マーケティング施策の「つながりの欠如」かもしれない。

本記事では、マーケティング施策を「単発(点)」で終わらせず、売上につなげるための方法論を紹介する。

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1.マーケティング施策がバラバラ…売上につながらない決定的な理由とは?

マーケティング施策が売上につながらないときの大きな理由として「連動性の欠如」が挙げられる。

「個別の施策の成果」自体はあるものの、成果自体が連続していない状態では、売り上げにつながらない。

売上は「施策ごとの成果の連続」で生み出されるためだ。

施策ごとの成果の連続

マーケティング施策は「売れるしくみ」を作るためのものである。

一方で、複数の施策が全く売り上げにつながらないという声は少なくない。

例えば以下のようなケースだ。

  • 広告やSEOでリードは取れるが、商談につながらない
  • ホワイトペーパーはDLされるが、その後の進展(問い合わせなど)がない
  • せっかく獲得したリードが営業チームで活かされていない

これらのケースはすべて施策が連動していない、つまり「施策ごとの成果で止まっている」状態だ。

ではなぜ施策の成果が連動しないのだろうか。

その理由として、以下3つが挙げられる。

  • 戦略設計が不十分
  • 購買プロセスに沿った導線設計がない
  • 仕組化されていない(運用を確立していない)

順に詳しく見ていこう。

1.1.全体を見据えた「戦略設計」の弱さ

答えは単純で「戦略設計が弱い」からだ。

各施策を、単体でしか見られていない状態である。

戦略がしっかりできていれば、マーケティング施策の全体像が確立される。

今実行している施策が誰に向けたもので、次にどの施策につながるかが明確になるのだ。

また、全体像の明確化は「構造化(仕組化)」につながり、必然的に成果が連動する。

1.2.購買プロセスに沿った導線設計が無いから

さらに、もうひとつの理由として「導線設計の欠如」も挙げられる。

マーケティング施策の戦略設計では、実際の購買プロセスに沿った導線設計が不可欠だ。

購買プロセスとは、顧客が自社の製品・サービスを認知してから実際の購買に至るまでの行動、思考、心理的なプロセスを可視化したものだ。

「購買意思決定プロセス」とも呼ばれ、AIDAモデルやAIDMAモデルが代表的な例だ。

各マーケティング施策で、購買プロセスのどのフェーズに刺さりやすいかが異なる。

これを理解していなければ、顧客が自社やサービスを認知した段階から、購買へのプロセスをたどっていくことが難しくなる。

特にBtoBでは意思決定までに踏むプロセスとステークホルダーが多いのが特徴だ。

よって、認知→購買へと一気に進むことはほとんどなく、このプロセスを少しずつ推し進めていく導線設計が欠かせない。

1.3.仕組化まで到達していない

3つ目の理由は「仕組化」の欠如だ。

一般的に仕組化とは、属人性や特殊性を排除し、システム化・標準化することを指す。

マーケティング施策でいうと「ある程度予測可能な成果をいつでも出せる」ようにすることだ。

マーケティング施策が売上に結びつかないケースでは、施策が「単発型のイベント」と化していることが多く、毎回の成果に大きなバラつきがみられる。

この事態を回避する仕組み化のためには、複数のマーケティング施策を一定のルールに則って実施し、その成果を適切にベンチマークすることが必要だ。

つまり、その「一定のルール」づくりやPDCAの進め方などの規定も必要となるが、ここまで取り組めていない企業は少なくない。

また営業やカスタマーサポートのデータも加味しながら何度もPDCAを重ねて実効性の高い施策に磨き上げていく必要がある。

仕組化とは、こうしたサイクルが社内に根付いていて、当然のように回転しつづけることだ。

2.マーケティング施策を売上につなげる3段階モデル:「点 →面→立体」

このように、マーケティング施策を売上につなげるには「戦略設計」「導線設計」「仕組化」ができていなければならない。

一方で、このためのリソースやノウハウがないという企業も少なくない。

そこで、比較的簡単にできる方法として「点→面→立体」の3段階モデルを紹介する。

2.1.点=「施策が単体として機能している」

点の状態とは、マーケティング施策が単体で機能している状態を指す。

例えば以下のような状態だ。

  • オウンドメディアにSEO記事を月に1~3本のみ公開している
  • 営業資料としてホワイトペーパーを1種作成して公開している
  • 年に1回だけ展示会に出展し、名刺情報を収集する
  • 自社ツールに関するウェビナーを不定期・単発で開催している
  • 上記で獲得できたリードへのフォロー、ナーチャリングは未実施である

いずれも「施策としては成立している」が、他の施策との接続や、売上につながる導線は考慮されていない。

もちろん、各施策から一足飛びに商談や受注につながるケースもなくはないだろう。

しかしそれは「偶発的」であり、必然性がない。

顧客の購買意思決定プロセスに介入できておらず「顧客が気付くのをただ待つ」状態となってしまう。

これではマーケティングの本質である「売れる仕組み」をつくるという部分が何も達成できていない。

2.2.面=「戦略のもとに導線でつながっている」

面の状態とは、複数の施策が戦略のもとでつながり、相互に機能しはじめる段階だ。

BtoB IT企業における例としては、以下が挙げられる。

  • SEO記事を読んだ見込み客が、リンクからホワイトペーパーをダウンロードする
  • ダウンロード完了ページで、自動的にウェビナーへ誘導する
  • ウェビナー参加後にスコアリングされ、メールナーチャリングに組み込まれる
  • 一定スコア以上の見込み客に、インサイドセールスが接触して商談につなげる

面の状態では、いわゆる「つながり」がしっかりできている。

施策が目的別に配置され、さらに連携もできているため「商談化への流れ」が形成されている。

戦略に基づき、顧客ステージごとのKPIも整備されているケースが多い。

2.3.立体=「面が複数つながって何度も回転し、構造として確立されている」

立体とは、「面」をさらに一歩推し進め、仕組化に到達している状態を指す。

複数の面が体系的につながり、マーケティングが「売るための構造」として機能している状態だ。

BtoB IT企業であれば、以下のような状態が該当する。

  • 業種別/課題別に複数の導線が設計され、ペルソナごとにカスタマージャーニーが構築されている
  • 商談履歴・ウェビナー視聴履歴・資料DL状況などがMAで統合され、精緻なスコアリングが可能
  • 営業とマーケが施策の実施データを共有し、提案内容を最適化できる
  • 過去の施策が資産化され、必要に応じて再利用・改善されている

この段階に達すると、マーケと営業が連動して商談を「量産」できる構造が出来上がる。

段階状態具体例
点:単発の施策動いているが“つながりがない”、成果が散らばる
記事載せて終わり、LPを作って終わり広告出した、展示会出た…など
面:導線のある戦略設計顧客の検討プロセスに合わせて施策が連携記事 → WP → メルマガ → 営業接続 まで一連
立体:運用の仕組み化チームで施策が動き、改善も回っているMA運用/レポーティング/改善会議/営業連携あり

立体の状態に達すると、社内に部門の垣根を超えた「売れる仕組み」が出来上がる。

3. マーケティング施策を「面(戦略)」として設計するには?

多くの企業は「点」の施策には取り組めている。

一方で、点を面にし、さらに立体にまで仕上げている例は少ない。

その背景にあるのは、立体の前段階である「面(戦略、導線設計)」の設計におけるつまづきだ。

そこでまずは、面の状態(戦略と導線設計ができている)を目指そう。

難易度が高いと感じると思うかもしれないが、実際にはシンプルな方法がいくつかある。

ここでは、弊社が推奨する以下2つの方法を紹介する。

  • 購買意思決定プロセスに沿ってチャネルとコンテンツを特定する
  • アウトバウンド/インバウンドで施策の軸を決める

3.1.購買意思決定プロセスに沿ってチャネルとコンテンツを特定する

面の設計において重要なのは「施策ごとのつながり」を確立することだ。

まずは購買意思決定プロセスを軸に、どのフェーズの顧客に何を提供し、そこからどうつなげるかを明確にしよう。

以下は、弊社が推奨している購買意思決定プロセスの6段階だ。

  • フェーズ1:知ってもらう
  • フェーズ2:覚えてもらう
  • フェーズ3:欲しいと思ってもらう
  • フェーズ4:必要なときに声をかけてもらう
  • フェーズ5:競合と比較し、選んでもらう
  • フェーズ6:名指しで選んでもらう

フェーズチャネルコンテンツ
知ってもらう:認知オウンドメディア/外部メディア/広告/SNSSEO記事/トレンド
覚えてもらう:情報収集HP/オウンドメディア/メールマーケホワイトペーパー/FAQ/課題解決
欲しいと思ってもらう:比較・検討HP(ヘッダー)/メールマーケ/ウェビナー比較表/セミナー/営業支援資料
必要な時に声をかけてもらう:検討広告(リターゲ)/メールマーケ/ウェビナーケーススタディ/Q&A
競合と比べて、自社を選んでもらう:決定HP(エモーショナルページ等)提案書/よくある誤解集/価格表/実績
名指しで選んでもらう:購入・リピートメールマーケ/コミュニティ(顧客参加型)メンバー限定記事/イベント

フェーズ1:知ってもらう(認知)

顧客の状態:

自社やサービスの存在をまだ知らず、課題についても明確に認識していない段階。

情報収集の意図はあるが深い関心はなく、偶然目に入るコンテンツが接点となる。

使用チャネル:

オウンドメディア、外部メディア、SNS、検索連動型広告、ディスプレイ広告

チャネルの目的・意図:

このフェーズでは、潜在層と初めての接点を持つことが目的だ。

SEO記事では「◯◯とは」といった知識充足的なテーマやトレンド、話題性を重視したテーマを扱い、検索経由での自然流入を狙う。

また、SNSではトレンド性や話題性のある投稿を通じて、興味喚起や認知拡大を図る。

広告は、リーチを短期間で広げるために用いる。

これらのチャネルを通じて、顧客に課題を自覚させ、次のフェーズへの移行を促す

フェーズ2:覚えてもらう(情報収集)

顧客の状態:

サービスや課題領域に対する関心が高まり、自ら情報を集め始めている段階。

信頼できる情報源を探しながら、自分の課題解決に役立つ知識を求めている。

使用チャネル:

自社ホームページ、オウンドメディア、メールマーケティング

チャネルの目的・意図:

このフェーズでは、顧客の興味関心を高め、「記憶に残る」ことを目的とする。

オウンドメディアではFAQや課題解決型のコンテンツを掲載し、「あのサイトは他よりも参考になったな」という印象を残すことを目指そう。

同時に、ホワイトペーパーを通じて詳細な情報を提供しつつ、見込み客のリード情報も収集しよう。

さらにメールマーケティングでは、獲得したリードに対して段階的に情報を届け、関心の深度を高めていく。

フェーズ3:欲しいと思ってもらう(比較・検討)

顧客の状態:

複数のサービスを比較し、自社の課題に最も適した選択肢を探している段階。

導入を前提とした情報を求めており、具体的な検討に入っている。

使用チャネル:

自社ホームページ、製品ページ、LP、メールマーケティング、ウェビナー

チャネルの目的・意図:

このフェーズでは、サービスの特徴や導入効果をわかりやすく伝え、比較検討の材料を提供する。

フェーズ2で接触した顧客に対して、「自社を検討候補にいれてもらう」ことを促すためだ。

例えば料金や機能、導入までの流れなどを整理した製品情報を掲載し、他社との違いを明確にする。

また、メールでは、ダウンロード済みの資料に関連する別の資料をレコメンドしたり、業界の新情報を届けたりと、関心を維持しながら行動を促す。

ウェビナーでは、デモ画面や導入事例を通じて利用イメージを具体化し、導入後の効果をよりリアルに伝えよう。

フェーズ4:必要な時に声をかけてもらう(検討)

顧客の状態:

比較検討を一時的に停止し、タイミングを待っている状態。

興味はあるが、すぐには動かない(動けない)という顧客が該当する。

使用チャネル:

リターゲティング広告、メールマーケティング、ウェビナー

チャネルの目的・意図:

このフェーズでは、ユーザーの検討タイミングに合わせて「再び思い出してもらう」ことが重要だ。

例えばリターゲティング広告により、過去にサイトを訪れたユーザーに再度接触し、行動を促す。

メールでは、ケーススタディや比較コンテンツなどを用いて再検討のきっかけをつくる。

さらにウェビナーの再案内やアーカイブ動画も有効だ。

過度にプッシュせず、必要なタイミングで自然に接触できる導線設計が求められる。

フェーズ5:競合と比べて、自社を選んでもらう(決定)

顧客の状態:

候補をいくつかに絞り込み、最終的な判断を下そうとしている段階。

価格やサポート体制、実績などを比較しながら、どこに依頼するかを見極めている。

使用チャネル:

エモーショナルページ、ホワイトペーパー、導入実績資料、営業提案資料、サポート情報ページ

チャネルの目的・意図:

このフェーズでは、他社と比較されたうえで「最終的に選ばれる理由」を明確に示す必要がある。

論理的な納得だけでなく、担当者としての安心感や意思決定の後押しも重要だ。

特に有効なのは、「エモーショナルページ」だ。

エモーショナルページは「感情に訴える」ことを目的としたページを指し、BtoCで多用される。

しかし近年はBtoBでも、価格や機能では差がつきにくい領域で使われる傾向にある。

ホームページでは、信頼性や実績を訴求するとともに、エモーショナルページによって決定を後押ししてみよう。

また「よくある誤解」や「導入時の注意点」といった補足情報も、懸念の払拭に役立つ。

営業提案資料では、顧客の課題に即した提案内容を具体的に提示し、他社にはない価値を伝える。

フェーズ6:名指しで選んでもらう(購入・リピート)

顧客の状態:

すでに契約・導入を済ませており、継続利用や再購入、周囲への紹介を検討している段階。

利用満足度が高ければ、ロイヤルティが形成され、自社との関係も長期化する。

使用チャネル:

カスタマーポータルサイト、ユーザーコミュニティ、パーソナライズドメール(定期)、イベント

チャネルの目的・意図:

このフェーズでは、関係の維持と深化を目的とする。

顧客との継続的な接点をつくり「業務自動化ならA社」のように課題と自社名がイコールになる状態を目指す。

簡単に言えば「第一想起」になることを目指すのがこのフェーズだ。

例えば、サポートチャネルを通じて、迅速かつ丁寧な対応を行うことで信頼を強化する。

また、ポータルサイトではアップデート情報やナレッジ、ノウハウを共有し、「より便利な使い方」を案内する。

解約済みの顧客に対しては定期的なフォローや限定キャンペーンなどを実施し、「自社製品の使用感」を思い出してもらう。

3.2.「アウトバウンド×インバウンドの組み合わせ」から面を作り出す

マーケティング施策を“面”として機能させるためには、コンテンツやチャネルの連携だけでなく、それぞれバランスをとることも重要だ。

具体的には「アウトバウンド施策」と「インバウンド施策」という2つの側面から、目的やリソースに応じて戦略的に組み合わせる設計が求められる。

比較軸アウトバウンドインバウンド
目的短期的な成果長期の関係構築
接点作り企業側からのアプローチ顧客からのアクセス
成果の速さ即効性あり蓄積型・遅効性
向いている施策テレアポ/展示会/広告/代理店販売/フォーム営業/郵便記事/WP/メール/SEO/リスティング広告
コスト高い(数百万円~/年)低予算からスタート可能(数万円~/年)

アウトバウンドは「スピード」と「能動性」が武器

アウトバウンド施策は、短期間で接点を生み出し、成果につなげやすい。

一方で、人的リソースとコストは大きく、予算規模の割に継続性が弱いという側面もある。

そのため、短期成果を狙う局面や、既存のリードが枯渇している場面での起爆剤として活用するのが効果的だ。

インバウンドは「関係構築」と「効率性」が武器

インバウンド施策は、顧客から自発的な接点を生み出すアプローチである。

課題を検索しているユーザーと接触し、ナーチャリングを行うことで、長期的に関係性を深めていくことができる。

即効性には欠けるものの、1コンテンツで複数リードに波及する効率性や、それ自体が自社の資産やブランディングとなる点が強みだ。

リードの質やLTV向上を重視する場合は、戦略の“幹”として据える価値がある。

つまり、インバウンド施策として高品質コンテンツを定期的・継続的に積み重ねておけば、アウトバウンドで獲得したリードをいつでもそれらに誘導することができる。

両者を連携させて“面”にする

アウトバウンドとインバウンドは、適切に組み合わせることで「つながり」が生まれ、「面」として機能する。

たとえば、展示会で獲得した名刺に対して、ホワイトペーパーを起点としたインバウンド施策をかけてスコアリングを進める。

あるいは、SEOで流入した見込み客に対して、インサイドセールスがテレアポや訪問でフォローするといった組み合わせだ。

どの組み合わせが最適化はビジネスや商材の性質による。

「短期」と「長期」、「能動」と「受動」、「費用対効果」と「即効性」のバランスを見極めながら、“面”として整えていくことが求められる。

4. 「立体化」=構造化、仕組化へのステップ

ここまでの内容を踏まえ、最終的な目的である「立体」(仕組化、構造化)についても見ていこう。

面の設計ができれば、あとは何度も面を回し、実績を伴った仕組みにしていこう。

「誰がやってもある程度の効果がでる仕組み」を目指すことで、売上は伸びていく。

「立体化」=構造化、仕組化へのステップ

ここでは、立体化へのステップを紹介する。

ステップ1.設計した面を動かし、ボトルネックを洗い出す(顧客視点 × データ活用)

面を構築した時点では「仮説に基づいた設計」にすぎない。

立体化のためには、どこで顧客が止まり、どこで動くのかを見極める必要がある。

まずはMAやGA4を通じて、メール開封率・資料DL後の遷移・ウェビナー参加率などの行動ログを取得していこう。

離脱ポイントや滞留箇所を顧客の目線で見つけ出し、改善対象として定義することが立体化の入口だ。

やるべきタスク:

  • 各施策ごとの到達率・遷移率・離脱率の確認
  • 顧客の検討行動(例:DL後に商談化しない、ウェビナーでの離脱が早い)を精査
  • フォームやメール本文、LPのコンテンツの検証

活用ツール例:

  • Google Analytics / GA4(流入・遷移分析)
  • MAツール(DL履歴・開封・クリック・スコア)
  • ヒートマップツール(閲覧・離脱箇所の可視化)
  • Google Search Console(検索キーワードと意図の乖離確認)

改善対象を炙り出すことができれば、次はそれらに対するアクション(改善施策)の仕組み化・自動化に進めていく流れだ。

そのために、まずはどのような「仕組み」をつくればよいかについてPDCAを回し、規定する必要がある。

ステップ2.PDCAサイクルを定例化し、施策の学習能力を持たせる

ステップ1の結果をもとに、改善を積み重ねる。

たとえば「リード獲得はできているが、商談化率が低い」といった状況は、面のどこかにズレがある証拠だ。

ズレを解消するには、月次や隔週単位で数値を点検し、次回施策に反映というPDCAサイクルを根付かせる必要がある。

“仕組み”とは、施策そのものではなく、施策を継続的に実行→再設計できるリズムのことだと理解しよう。

やるべきタスク:

  • KPIに基づいた月次または隔週の振り返り会議
  • 改善ポイントの洗い出しと次回施策への反映
  • A/Bテストやセグメント比較による打ち手の評価

活用ツール例:

  • Looker Studio / Tableau / BIツール(KPIレポート)
  • スプレッドシート or Notion(改善タスク管理)
  • Google Optimize / CMS内A/Bテスト機能(検証)
  • MAのレポート機能(シナリオ別反応の評価)

ステップ3.自動化によって反復可能な運用構造へ進化させる

改善の方向性が見えたら、それを手順化・自動化して再現性を持たせる。

たとえばスコアに応じたメールの出し分けや、営業部門への通知レポートティングの自動化などは、ツールで再現できる。

やるべきタスク:

  • スコア別にメールシナリオを自動分岐
  • 営業アラート(高スコアリードの通知)設定
  • 見込み客のステージ遷移ロジックの構築
  • 月次レポートの自動作成・送信

活用ツール例:

  • MA(HubSpot / Marketo / Salesforce Pardot など)
  • SFA(Salesforce / eセールスマネージャーなど)
  • Zapier / Make(ツール連携の自動化)
  • BIツールの自動集計機能

ステップ4.役割と判断基準を明確にし、構造を組織に定着させる

仕組化がひと段落したあとは「組織体制」も整備していこう。

RACIマトリクス(※)などを使い、誰が決めるか/誰が実行するか/誰が報告を受けるかを明示し、属人的な運用から脱却する。

ここで重要なのは、意思決定の速さと責任所在の明確さを両立させることだ。

※RACIマトリクス:チームやプロジェクト内で誰が何に対してどのような役割で関わるかを表で表したもの

やるべきタスク:

  • RACIマトリクスによるタスクごとの役割定義
  • 意思決定プロセスの図解とドキュメント化
  • 定例会やSlackチャンネルのルール設計

活用ツール例:

  • Notion / Confluence(意思決定ルールの記録)
  • Miro / Whimsical(役割・フローの図解)
  • Google Workspace / Slack(定例運用)

ステップ5.外部環境を監視し、構造を組み替える余白を残す

仕組みは常に動かし続け、状況に応じて変化させてこそ価値が高まる。

市場や競合、顧客ニーズは変化し続けるためだ。

常にこれらの状況を監視し、変化に対応できる体制を整えよう。

検索ワードや顧客インタビュー、営業現場の声などを通じて、「変えるべき部分」を常に検知できる状態が望ましい。

やるべきタスク:

  • 顧客の検索クエリ・問い合わせ内容・営業ログの分析
  • 検討行動の変化に応じた施策棚卸し
  • 年次ごとの構造見直し(役割・シナリオ・KPIなど)

活用ツール例:

  • Google Search Console(顧客ニーズの変化確認)
  • CRM(営業コメントや属性データ)
  • VOCシート(カスタマーサクセス/営業ヒアリングログ)
  • 定例の施策マップ / コンテンツマップ

5.施策の「立体」化は組織力も高める

本記事では、マーケティング施策が売上につながらない原因を紐解き、改善するための方法論を紹介した。

「点(単体の施策)→面(戦略と導線)→立体(実績を伴った仕組み)」の3段階を経ることで、マーケティング施策は徐々に売上へ貢献していく。

マーケティング施策を「立体」にするプロセスは、組織全体の連携力・判断力・改善力を底上げする取り組みでもある。

弊社では、面の設計から立体への移行など、マーケティングから売上を生み出す仕組み作りのサポートを提供している。

ぜひお気軽にお問合せいただきたい。

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