メールマガジン(通称メルマガ)は、顧客との接点が限られるBtoB企業にとって重要なコミュニケーション手段のひとつだ。
特にIT企業やSaaS事業者では、製品やサービスの最新情報を届けたり、セミナーやイベント案内を送ったりするなど、デジタルマーケティング施策の中でポンプの役割を担うことが可能だ。
定期的かつ有益なメルマガ配信によって、一度獲得したリードを無駄にせず、購買意欲を高め、商談化やコンバージョンへとつなげることができる。
一方で、以下のような声も多い。
「どのような構成やレイアウトが最適なのかわからない」
「現状はなんとなくでメルマガの本文を作成してしまっている」
「よりナーチャリングやコンバージョンなどのKPI達成の成果を得られる効果的なメルマガを作りたい」
そこで本記事では、実践的なメルマガ作成の基礎手順や配信時の注意点、BtoB企業のメルマガの作成例を紹介する。
最後にメルマガの効果を高めるためのチェックリストも提示し、すぐに運用改善へと取り組めるように解説する。
1.メルマガの作り方6ステップ
IT企業やSaaS事業者にとって、メルマガは新規顧客獲得から既存ユーザーの継続利用促進まで幅広く活用できるマーケティング施策だ。
特に、メール配信システムやマーケティングオートメーション(MAツール)を導入すると、セグメント分けや自動送信、効果測定の自動化が可能になり、運用効率化と成果向上の両立が実現できる。
まずは、メルマガ初心者でも実践できる6つの手順を、IT業界特有の事例を交えながら解説する。
ステップ1. 事前準備
実際にメルマガの原稿を作り始める前の重要な準備を確認しよう。
・事前準備1.目的の設定
まずは、メルマガを通じて達成したい目的を明確にする。
目的によって本文の流れや効果測定において着目すべき指標が変わるためだ。
目的の例としては「新製品・サービスの告知」「イベントやウェビナーの集客」などが挙げられる。
売上向上やリードナーチャリングなどでは、どの段階のユーザーにどんな情報を送るかを明確にすることが重要だ。
IT企業では、SaaSの新機能紹介やセキュリティ強化のアップデート情報など、継続的な価値提供を意識しよう。
この段階で社内の営業部門などともグループで議論し、到達目標を洗い出すことがポイントだ。
<目的の例>
メルマガの目的(例) | 詳細 |
新製品やサービスの告知 | 新しい製品や機能、サービスのリリース情報をいち早く顧客に届ける。 |
リードジェネレーション | 資料ダウンロードやウェビナー登録などを促し、確度の高い見込み客を発掘していく。 |
顧客エンゲージメントの向上 | 既存顧客との関係を深め、ロイヤリティを高める |
ブランディング・ナーチャリング | 専門的な情報を提供し、企業の信頼性や専門性をアピールする。また、見込み客のニーズを満たしつつ、自社への信頼やブランド認識を深めてもらい、顧客へと育てていく。 |
購入や契約更新の促進 | 特定の商品やサービスの購入を後押ししたり、契約更新を促したりする。 |
アップセル・クロスセル | 既存顧客に関連製品やサービスを提案する。 |
フィードバックの収集 | 顧客の意見や要望を把握し、製品やサービス改善に役立てる。 |
休眠顧客の再活性化 | しばらく利用が止まっている顧客や購読者との接点を復活させる。 |
基本的に、メルマガは定期的に配信すべきものだが、目的が常に同じとは限らない。
よって、作成する1通ごとに目的を確認し、チーム内で目線合わせをすることが大切だ。
・事前準備2.ターゲットの明確化・配信リストの作成
設定した目的に応じてメルマガを受け取る対象(ターゲット)を明確にし、配信リストを作成する。
例えば、目的がブランディングであれば、自社が保有している全リストに配信する形で問題ないだろう。
一方で、イベントやセミナーの集客が目的の場合は、イベント・セミナーの内容に応じてターゲットを絞ったほうが本文の内容をターゲット向けにカスタマイズでき、より刺さりやすいメルマガとなる。
ターゲットを選定する際は、役職・職種などのデモグラフィック情報、Webサイトの閲覧履歴、リードの購買検討ステージ(認知・興味関心・比較検討)といった情報をもとにするとよい。
反対に、対象が限定される内容で全リストに配信してしまうと、自社の信頼性低下につながるおそれがあるため、リストとメルマガ内容との照合は慎重に行おう。
・事前準備3.配信コンテンツの準備、または選定
メルマガ本文のもととなる配信コンテンツを用意する。
本文は「1メール1メッセージ」を原則に、シンプルにまとめよう。
例えば、ブログ記事やホワイトペーパー、ウェビナー、事例紹介といったコンテンツがある。
これらは多くの場合、メルマガのリンク先となるものだ。
関連するコンテンツへのリンクを設置し、メルマガからの流入やCVなどを測定すれば、メルマガ内容の訴求力やターゲットとの親和性を可視化でき、最適化を進めやすくなる。
また、リード獲得やナーチャリングを目的としたコンテンツは、主にHPやオウンドメディアに存在しているため、コンテンツへの経路をこちらから簡単に提供できる唯一の手段がメルマガだといえる。
よって、自社コンテンツへのリンクはぜひ設置したい。
コンテンツ選定のポイントは、ターゲットとコンテンツ内容の関連性が高いことだ。
ターゲットにとって有益であり「読みたい」「見たい」と思えるコンテンツを用意する必要がある。
しかし、メルマガを作ることが決まってからコンテンツを用意する場合、定期的な配信に不安が残るだろう。
そのため、オウンドメディアの構築やホワイトペーパーなどのコンテンツの蓄積には、早めに取り組んでおくことが重要だ。
つまり、メルマガとコンテンツマーケティングはセットだと考えてよい。
まだコンテンツマーケティングの体制が整っていない場合は、ぜひ以下の記事も参考にしていただきたい。
・事前準備4.配信スケジュールの策定
配信頻度やタイミングを計画する。
コンテンツの作成スケジュールに合わせて、配信スケジュールを決めていくとよいだろう。
新製品・サービス告知のようなニュース性のある情報は、リリースからなるべく間をあけずに配信することが重要だ。
また、気まぐれな配信頻度になってしまうよりは、週1回、同じ曜日に配信しよう。
配信に一貫性を持たせると、購読者の信頼を得ることが可能だ。
ステップ2. 本文の作成
本文作成フェーズにおいては、購読者の注意を引き行動を促すために、魅力的な内容と読みやすい構成が求められる。
大まかな流れは以下のとおりだ。
- 件名を作る
- リード文を作る
- 本文を作る
- CTA(Call To Action)を設置する
本文作成の具体的な例やポイントは後段で解説する。
ステップ3. メルマガテンプレートの作成
メルマガにおいて、一貫したデザインはブランドイメージの醸成につながる。
メルマガの構成や色味、文章のトンマナなどが毎回異なると、イメージを構築しづらいうえに、メール1通1通が自社のものだと気づいてもらえないおそれもある。
具体的には、ヘッダーフッター、見出し・本文、画像、リンクボタンなど各種要素の配置構成、文字・ボタン・背景の色、余白の大きさ、線の太さなどを細かく決めておこう。
メール配信ツールを活用すると、一度作成したデザインをテンプレートとして登録し、次回のメルマガ作成時に呼び出せるため、作成時間の短縮やミスの防止につながる。
ステップ4.テスト配信
メルマガは本配信の前に必ずテスト配信を行い、複数人の目で細部まで確認してミスを防ぐことが重要だ。
ブラウザーやメールアカウントの種類によって表示が異なるため、複数環境で検証しよう。
具体的には、以下のチェックリストを活用してほしい。
- リンクの確認
本文内のリンクが正確に機能しているかをチェックする。リンク間違いやリンク切れがあった場合、受信者の信頼を損ねる原因となる。 - 配信停止方法(リンク)の設置
受信者がメルマガを今後受け取りたくないと思った際、すぐに配信停止できるリンクを設置する。通常、メール配信ツールには簡単に配信停止リンクを設置できる機能が付いている。 - デザインの確認
デスクトップやモバイルなど、異なるデバイスでの表示を確認する。フォントの崩れや画像の読み込みエラーがないかを検証する。 - 誤字脱字・文字化けのチェック
誤字脱字や文字化けを見落とさないよう、複数人で校正を行う。 - HTML・テキスト両環境での確認
HTML・テキスト両方の環境で表示が問題ないか確認する。(HTML形式とテキスト形式の違いについては後述する)
ステップ5.配信予約・本配信
メール配信ツールで配信設定を行う。
即時配信も可能だが、配信ミスを防ぐためにも余裕を持ったスケジュールで事前の配信予約を行うことが望ましい。
配信予約では、配信リストや配信日時の設定を行う。
設定した日時になるとメルマガが本配信される。
配信は一斉送信だけでなく、ユーザーの属性や行動に応じて、セグメントを分けることが効果的だ。
例えば「新規ユーザーには導入事例」「既存ユーザーにはアップデート情報」といった形で分けることで、反応率アップが期待できる。
営業部門と調整し、最適な配信時間を探すことも大切だ。
ステップ6.効果測定
配信後には効果測定を行い、適切な改善施策を繰り返すことが重要だ。
特にIT業界の傾向として、BtoBメールの開封率は平均20%前後だが、セグメント配信などを活用すれば平均以上の成果を出すことも可能だ。
数値を計測・分析して次回改善につなげ、PDCAを意識した継続的な配信が、成長のカギとなるだろう。
メルマガの主な効果測定指標としては以下が挙げられる。
- 開封率
- クリック率
- コンバージョン率
- 配信停止率
それぞれの指標について詳しくは、以下の記事で詳しく解説している。
2. メルマガ配信時の注意点
次に、メルマガを作成・配信する際に共通して注意すべき点について解説する。
注意点1. 適切なメール形式を選ぶ
メルマガ配信では、HTML形式とテキスト形式のいずれかを選択する必要がある。
両形式のメリットとデメリットは以下のとおりだ。
HTML形式 | テキスト形式 | |
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
HTML形式を採用する場合、レスポンシブ対応を行うことが必須だ。
メールはスマートフォンやPCなどあらゆるデバイスで読まれるため、各デバイスで適切に表示されているか、テスト配信でのチェックを実施してほしい。
また、メール配信ツールによっては、テキスト形式とHTML形式の2パターンの形式を持ち、受信者の環境に合わせて、いずれかの部分を優先的に表示する「マルチパート形式」を選択できる。
「マルチパート形式」の選択肢があれば、こちらがおすすめだ。
注意点2. 定期的に配信する
メルマガ配信は、継続的・定期的に行わなければ、顧客にとってのブランド認知が上がらず、営業活動や商談化にもつながりにくくなってしまう。
特にBtoB領域では、購買検討が長期化するため、最低でも週1回の配信を行い、接点を継続的に持つことが成果に直結する。
そのため、先々のスケジュールを明確にし、必要なリソースを確保する必要がある。
実務上では、以下のことを心がけておこう。
- 配信スケジュール表を作成する。
- 必要なコンテンツを事前に準備しておく。
- あらかじめ誰が作成、配信を担当するかを決めておく。
注意点3. 特定電子メール法を順守する
メルマガ配信においては、特定電子メール法を順守する必要がある。
法規制に関わる問題のため、必ず押さえておこう。
また、メルマガ配信ツールには、特定電子メール法に沿ったメールを送信できる機能が備わっているため便利だ。
具体的には、以下の項目に注意してほしい。
- 送信者情報の明記
メール本文に企業名、住所、電話番号などの送信者情報を必ず記載する。 - オプトイン(事前同意)の取得
メルマガを送信する前に、受信者の明確な同意を得ておくこと。 - オプトアウト(配信停止方法)の明示
メール本文内に「配信停止リンク」を必ず含め、受信者が簡単に配信を停止できるようにする。
参考:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント|総務省:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/pdf/m_mail_pamphlet.pdf
注意点4. 個人情報の取り扱いに注意する
メルマガの購読者情報は個人情報に該当するため、適切に管理する必要がある。
具体的には、以下を徹底しよう。
- 情報の暗号化
顧客データは安全に保管し、暗号化を行うことで漏洩リスクを軽減する。 - 目的外利用の禁止
メルマガ配信のために収集した情報を、ほかの目的で使用しない。 - プライバシーポリシーの遵守
自社のプライバシーポリシーに則り、購読者に対して透明性のある運用を行う。
注意点5. HTML装飾を重くしすぎない
メルマガ本文に過度なHTML装飾を施すと、迷惑メール判定を受けやすくなり、周到に準備したメールが読者に届かなくなるリスクがある。
特に背景色や画像を多用するとメール容量が大きくなり、到達率が下がるケースがあるため注意が必要だ。
BtoBのメルマガでは「視認性」と「確実に届くこと」の両立が重要だ。
ブランドカラーをワンポイントに使う、図解や表を最小限に挿入するなど、シンプルで読みやすいデザインを心がけよう。
インパクトよりも、営業や商談化につながる確実な到達を優先することが成果につながる。
3. BtoBのメルマガの作成例
BtoBの場合、メルマガをどのような内容にすれば効果的になるかイメージがわかない人も多いだろう。
そこで、基本的なメルマガの構成例と、目的ごとの文章例を紹介する。
3.1. メルマガの構成例
BtoBのメルマガでは、購読者の関心を引き、行動を促すために各パーツを効果的に配置することが重要だ。
それぞれの構成要素について見ていこう。
要素①ヘッダー
役割
メルマガの最初に配置される部分。企業の認知度を高めるとともに、ブランドの一貫性を伝える。
内容
- 企業ロゴやブランド名
- メルマガの件名(例: 「〇〇通信」)
- 配信日や号数
ポイント
- シンプルかつ目立つデザインでブランドの印象を強める。
- ヘッダーの大きさは控えめにし、本文をすぐに読み始められる構成にする。
要素②リード文
役割
メルマガ全体の内容を簡潔に説明し、購読者の興味を惹く。
内容
- メルマガで取り上げるトピックの概要やポイント
- 「本日のテーマ」や「〇〇に関する重要なお知らせ」のような導入部分
ポイント
- 2~3行程度で簡潔に書く。
- 購読者にとってのメリットや興味を喚起する表現を使用する。
要素③メイン見出し
役割
本文で扱う主要なトピックを一目で伝える。
内容
- 明確で簡潔なタイトル
- 数字やキーワードを盛り込んで注目度を高める(例: 「5分でわかる最新の〇〇動向」)
ポイント
- フォントサイズやデザインで目立たせる。
- ターゲットの関心に直結する言葉を選ぶ。
要素④画像・写真
役割
視覚的な補足を行い、情報をわかりやすく伝える。
内容
- 製品やサービスの写真
- イラスト、グラフ、アイコンなど
ポイント
- ファイルサイズを最適化してメールの読み込み速度を確保する。
- ALTタグを設定し、画像が表示されない場合にも内容が伝わるようにする。
- 無駄に多用せず、要点を伝えるために必要な画像のみを使用する。
要素⑤本文
役割
メルマガの主な情報やメッセージを伝える。
内容
- メインのトピックを詳しく解説する部分
- 読者に提供する具体的な価値(ノウハウ、製品情報、成功事例など)
ポイント
- 簡潔で段落を短くし、箇条書きを活用して視認性を高める。
- 難解な専門用語を避け、ターゲットのレベルに合った表現を使用する。
- 一貫したトーンでブランドイメージを保つ。
要素⑥CTA(Call to Action)
役割
購読者に具体的な行動を促す重要な部分。
内容
- ボタンやリンク形式で「今すぐダウンロード」「詳細はこちら」などのアクションを提案
- 配信コンテンツ(ホワイトペーパー、ウェビナー、製品紹介ページなど)への誘導
ポイント
- 視覚的に目立たせるデザイン(ボタンの色や大きさなど)にする。
- 行動を促す明確な表現を使う(例:「無料で試してみる」)。
- メール本文の内容とCTAに一貫性をもたせる。
要素⑦配信停止リンク
役割
メルマガ購読の停止を希望する購読者に対応するためのリンク。
内容
「配信停止はこちら」や「購読を解除する」といったリンクを文末に配置
ポイント
- リンクをわかりやすい位置に配置する。
- メルマガの信用性を保つため、簡単に手続きができる仕組みを整える。
要素⑧フッター
役割
メルマガの締めくくり部分で、送信者情報を記載する。
内容
- 企業名、住所、連絡先
- メールの配信理由(購読者が登録した経緯を簡単に説明)
- 免責事項やプライバシーポリシーのリンク
ポイント
- 必要な情報を簡潔にまとめる。
- 信頼感を高めるために法令順守の情報をきちんと記載する。
3.2. メルマガ本文の例
以下は、目的に応じたメルマガ本文の例だ。
例1:「ブログ記事への誘導」を目的としたメルマガ
件名 | 5分でわかる!IT企業が採用すべき最新データ管理戦略 |
ヘッダー | 【〇〇通信】今週の注目トピックをお届けします |
リード文 | データ量が急増する現代、IT企業にとって効率的なデータ管理は競争力を左右します。本日は、最新のデータ管理戦略を解説したブログ記事をご紹介します。短時間でポイントをつかめる内容です。 |
メイン見出し | IT企業必見!効率的なデータ管理を実現するための3つのステップ |
画像 | データベース管理を表すアイコンやグラフ(視覚的にテーマを強調) |
本文 | 現代のIT企業は、膨大なデータを効率的に管理することが求められています。今回の記事では、以下のポイントを詳しく解説しています。
|
CTA | 記事を読む(目立つボタン形式で) |
<ポイント>
- 件名の冒頭に「5分でわかる」と記載して難しくない内容であることを示唆し、開封のハードルを下げる
- 見出しに「3つのステップ」のように数字を使うことで注目を引く
- 記事を読むと何がわかるのかを箇条書きで記載する
例2:「ウェビナー参加の促進」を目的としたメルマガ
件名 | IT企業向け無料ウェビナー|クラウド移行の成功事例を公開! |
ヘッダー | 【〇〇通信】今月のおすすめウェビナー情報をお届けします |
リード文 | クラウド移行を成功させるには、実際の事例を参考にするのが最短ルートです。本ウェビナーでは、IT企業が実際に直面した課題とその解決方法を徹底解説します。 |
メイン見出し | クラウド移行の成功事例を学ぶ無料ウェビナーのご案内 |
画像 | クラウドサービスの利用イメージやウェビナー登壇者の写真付きバナー |
本文 | <ウェビナー概要>日時:2024年11月30日(水)14:00~15:00講師:株式会社〇〇 技術部長 〇〇 〇〇テーマ:クラウド移行プロジェクト成功の秘訣本ウェビナーで学べること:
|
CTA | 無料でウェビナーに参加登録する(目立つボタン形式で) |
<ポイント>
- 件名や見出し、CTAなど随所で「無料」であることをアピールする
- ウェビナーの概要をLPに飛ばなくてもメルマガ文面内で把握できるようにする
- ウェビナーに参加すると何がわかるのかを箇条書きで記載する
例3:「ホワイトペーパーのダウンロード促進」を目的としたメルマガ
件名 | 【無料ダウンロード】IT企業向けDX成功のための実践ガイド |
ヘッダー | 【〇〇通信】IT企業のDX推進に役立つ情報をお届けします |
リード文 | デジタルトランスフォーメーション(DX)は、IT企業が競争力を維持するために欠かせない課題です。しかし、成功させるには明確な戦略と実行計画が必要です。今回、DXを成功に導くための具体的なフレームワークや事例を収録したホワイトペーパーを無料でご提供します。 |
メイン見出し | 「IT企業向けDX成功のための実践ガイド」を今すぐダウンロード! |
画像 | ホワイトペーパーの表紙イメージ(「DX成功ガイド」などのタイトルが見えるデザイン) |
本文 | <このホワイトペーパーで学べる内容>
<おすすめポイント>
|
CTA | ホワイトペーパーを無料ダウンロード(目立つボタン形式) |
<ポイント>
- 件名やリード文、CTAなど随所で「無料」であることをアピールする
- 画像にホワイトペーパーの内容がすぐわかる表紙イメージを設定し、文章を読まなくても視覚的に内容が伝わる工夫をする
- ホワイトペーパーで学べる内容やおすすめポイントを箇条書きで記載し、ダウンロードのハードルを下げる
4. 効果的なメルマガにするための6つのチェックリスト
最後に、メルマガをより効果的なものにするためのチェックリストを紹介する。
なお、いくつかの項目はメールマーケティングツールを利用することで簡単に実施できる。
おすすめのツールなど詳細は以下の記事を参照してほしい。
ポイント1. 件名は15~30文字以内で興味を惹くものになっているか
メールの件名は、読者がメールを開封するかどうかを決める最初の要素だ。
短く簡潔に、かつ具体的な価値や緊急性を伝える内容にする。
<例>
- 良い例:「【無料】IT業界必見!クラウド移行成功の秘訣」
- 悪い例:「今週のニュースをお届けします」
ポイント2. 1メール1メッセージになっているか
メール内で伝えたいメッセージは1つに絞り、読者が混乱しないようにする。
文字数が多く複数のメッセージを詰め込むと、最も伝えたいメッセージがぼやけたり、意図が伝わらなくなったりするためだ。
<チェックポイント>
- 本文で伝えたいテーマが1つであるか。
- メインのCTAが1つに絞られているか。
ポイント3. コンテンツの質は担保できているか
メールの内容やリンク先の内容がターゲットにとって価値ある情報であるかを確認する。
これは購読者の信頼を失わないために重要なポイントだ。
<チェックポイント>
- 実用的な情報やトレンド、ノウハウが含まれているか。
- 読者にとって「読む価値がある」と感じられる内容か。
- プロモーションばかりになっていないか。
ポイント4. テスト配信で内容の質やミスを確認したか
テスト送信を行い、メールの表示やリンク、動作に問題がないかを確認する。
特に、異なるデバイスやメールクライアントでの確認が重要だ。
<チェックポイント>
- デスクトップ、スマートフォンでの表示確認。
- HTML形式とテキスト形式が適切に表示されるか。
- すべてのリンクが正しく動作するか。
ポイント5. CTAの配置・内容を工夫したか
読者をリンク先ページに誘導するCTA(Call to Action)は、できるだけ目立たせることが重要だ。
本文の流れに自然に組み込み、誘導性を高めよう。
<チェックポイント>
- ボタン形式や目立つ色でデザインされているか。(HTML形式の場合)
- 読者にとって具体的な行動が明確に伝わるか(例:「無料で登録」「今すぐ資料をダウンロード」)。
- メール内で複数配置する場合、過剰にならないよう工夫しているか。
ポイント6. 定期的に効果測定を行っているか
配信後の結果を定期的に測定し、次回以降の改善に役立てる。
以下のKPIをもとに分析を行うとよいだろう。
- 開封率
- クリック率
- コンバージョン率
- 配信停止率
それぞれの指標について、詳しくは以下の記事を参照してほしい。
また、特に「開封率」を高めるためのポイントは以下の記事で紹介している。
5.よくある質問(FAQ)
5.1.Q. メルマガの適切な配信頻度は?
BtoBのIT業界では、購買検討が長期化しやすいため、最低でも週1回の配信を目安にしよう。
継続的な接点を持つことで、営業部門への橋渡しや商談化・コンバージョン率の向上につながる。
ただし、リソースが限られる場合は「新規機能リリース時の速報メール+定期のニュースレター(月2回)」といった形で工夫するのも効果的だ。
配信スケジュールを事前に設定し、効率的な運用体制を整えておくことが継続配信には重要だ。
5.2.Q. 開封率が低いのはなぜ?
件名の工夫不足や迷惑メール判定、配信リストの精度低下が原因として多く見られる。特にIT企業のメルマガでは、専門用語を多用すると読者が離れてしまうケースがある。
そのため「誰でも理解できる件名・本文」を意識し、ABテストを実施して複数の件名を比較検証することが効果的だ。
さらに、コンテンツ内容を読者属性に合わせる工夫も開封率改善のポイントとなる。
5.3.Q. どんな配信ツールを選ぶべき?
IT企業にとっては、単なる一斉送信機能よりも、セグメント配信・スコアリング・自動化が備わったMA(マーケティングオートメーション)ツールの導入が望ましい。
また、SFA/CRMシステムと連携できるツールを選ぶことで、リード管理から商談化までのプロセスを効率化できる。
ツールの料金プランや機能一覧を比較し、自社の規模や目的に適したものを選ぼう。
5.4.Q. メールが迷惑メールフォルダに入る原因は?
装飾の入れすぎ、送信元アカウントの評価低下、または配信リストに古いアドレスが多いことが要因だ。
特にIT企業では「技術イベント案内」「セキュリティ更新情報」などを頻繁に送るため、送信ドメイン認証(SPF/DKIM/DMARC)を正しく設定することが必須だ。
テスト配信で表示崩れを確認し、適切なレイアウト形式を選ぶことで、迷惑メール回避につながる。
5.5.セグメント分けでパーソナライズするには?
セグメントを細かく分け、属性や行動データに応じて配信内容を変えることで反応率は大幅に改善する。
- 業種別配信:製造業には「IoT導入事例」、金融業には「セキュリティ強化情報」など
- 利用フェーズ別配信:新規トライアルユーザーには「導入ガイド」、既存顧客には「最新アップデート」
さらに、MAツールを活用すれば、フォーム入力・資料ダウンロード・ウェビナー参加などの行動履歴に応じて自動でメールを出し分けられます。
これにより、BtoBマーケティング施策の効率化と成果向上が実現できる。
6.まとめ
メルマガ作成のステップや注意点はご理解いただけただろうか。
はじめのうちは気をつけるべきポイントが多く、HTML形式の崩れや誤送信などのミスにつながりやすい。
そのため、記事内で解説した各ステップやチェックリストを活用し、一つひとつの工程を丁寧に確認・改善することを推奨する。
また、本記事で紹介した成功事例や作成例もぜひ参考にしてほしい。
件名の工夫、コンテンツの最適化、効果測定の徹底といった取り組みを繰り返すことで、売上やコンバージョン数の向上につながるだろう。
メルマガ配信の成果は、自社のデジタルマーケティング戦略全体に直結するため、資料ダウンロードやセミナー集客、リードナーチャリングといった施策と組み合わせて実施することが重要だ。
適切なツール導入・デザインの工夫・効果測定レポートを組み合わせ、最適な配信体制を構築していこう。
弊社はIT企業向けのマーケティング支援やメルマガ制作ノウハウを豊富に持ち、配信システムの導入サポートや運用改善コンサルティングも行っている。
もし、社内体制やリソース不足で悩んでいる担当者がいれば、ぜひお気軽にご相談いただきたい。