ホワイトペーパーには複数の種類があり、それぞれ目的やターゲット顧客が異なる。
また「作って設置すればダウンロードされる」ものではなく、ユーザーや見込み顧客のニーズ、悩みに即した役立つ情報や知識を提供し、状況に応じて成果につながりやすい内容を選定することが重要だ。
ホワイトペーパーに関して、以下のような課題を抱えていないだろうか。
「そもそも、ホワイトペーパーにどのような種類があるのか知らない」
「どのようなテーマでホワイトペーパーを作成すべきか分からない」
「ホワイトペーパーを作ったものの、ダウンロードされない」
この記事では、ホワイトペーパーの製作に携わるマーケティング担当者の方に向けて、ホワイトペーパーの種類や制作すべきホワイトペーパーの選定基準、ダウンロードされやすいホワイトペーパーの特徴などを紹介していく。
ぜひ、ホワイトペーパーを検討する際の参考にしてもらいたい。
1. ホワイトペーパーの種類と特徴
ホワイトペーパーにはさまざまな種類があり、目的によって使い分ける方法が一般的だ。
まず、BtoBでよく使われるホワイトペーパーの種類と基本的な特徴をみていこう。
1.1 調査レポート型
調査レポート型の目的は、認知拡大とリード獲得だ。
調査レポート型では、現行の市場状況や顧客の動向など、専門的な知見を要する調査結果を提供する。
ブランドに対するイメージ調査や、特定の技術の採用状況、業界に共通する課題に対する意識調査などが代表的な例だろう。
また、単に調査結果を示すだけではなく、社内での分析を経て洞察や予測、提言としてまとめることもある。
調査レポート型のホワイトペーパーは、業界の人間が興味を持ちそうなデータを独自に収集するため、テーマによっては制作工数が大きくなるのがデメリットだ。
一方で、言及(サイテーション)や被リンクによるSEO効果が見込めることも確かである。
後述のトレンド情報型とセットで制作したり、プレスリリースに合わせて公開したりすることで、露出を高めやすい点が特徴。
中立・公平な立場を強く押し出すため、自社製品やサービスの訴求という点ではやや弱いといえる。
しかし、単純に自社の知名度を上げたい場合やリードの数を増やしたい場合には非常に有効だ。
1.2 トレンド情報型
トレンド情報型の目的は、認知拡大やリード獲得、ナーチャリング、既存顧客との関係強化である。
トレンド情報型のホワイトペーパーでは、業界内外の変動を早期に捉えて提供する。
内容は、新しい技術の発表や業界の変動、国内外のトレンド傾向、法規制の変更によるビジネストレンドの変化、社会的なムーブメントなどさまざま。
また、こうしたトレンドに応じて企業がとるべき対策を提示することもある。
トレンド情報型は、情報の鮮度や話題性がダウンロード数に直結することから、スピード感をもった制作が必須といえるだろう。
1.3 事例紹介型
事例紹介型の目的は、ナーチャリングや商談化、比較・検討へのパーセプションチェンジ。
顧客導入事例に関する一連の流れをホワイトペーパーとしてまとめる。
それぞれの事例における背景、課題、取り組み、導入後の効果、展望などを具体的に示すことで、自社の強みや実績をアピールすることが可能だ。
事例紹介型のホワイトペーパーは、社内の情報資産を有効活用できる点が特徴である。
プロジェクトで使用したキックオフ資料や顧客への説明資料、営業用資料、インタビューの結果といった社内資料を活用し、短期間でも内容の濃いものに仕上げられる。
さらに、複数の事例を紹介することで、同一の製品・サービスに関する訴求対象の幅を広げることも可能。
例えば、クラウド型BIツールに対して、顧客Aはクラウド対応を目的に導入し、顧客Bは分析結果の可視化を目的に導入した場合、2つの視点から訴求が可能となる。
事例紹介型のホワイトペーパーは、
事例紹介型の目的は、ナーチャリングや商談化、比較・検討へのパーセプションチェンジ。
顧客導入事例に関する一連の流れをホワイトペーパーとしてまとめる。
それぞれの事例における背景、課題、取り組み、導入後の効果、展望などを具体的に示すことで、自社の強みや実績をアピールすることが可能だ。
事例紹介型のホワイトペーパーは、社内の情報資産を有効活用できる点が特徴である。
プロジェクトで使用したキックオフ資料や顧客への説明資料、営業用資料、インタビューの結果といった社内資料を活用し、短期間でも内容の濃いものに仕上げられる。
さらに、複数の事例を紹介することで、同一の製品・サービスに関する訴求対象の幅を広げることも可能。
例えば、クラウド型BIツールに対して、顧客Aはクラウド対応を目的に導入し、顧客Bは分析結果の可視化を目的に導入した場合、2つの視点から訴求が可能となる。
事例紹介型のホワイトペーパーは、BttoB取引で最も重視される「実績」を具体的に示せることから、問合せや商談化につながりやすい点がメリットだ。
また、既存顧客に対してはアップセルやクロスセルのきっかけにもなりうる。
このように汎用性・費用対効果ともに高く、使い勝手の良いホワイトペーパーといえるだろう。
1.4 課題解決型
課題解決型の目的は、リード獲得やナーチャリング、顕在層および明確層への昇格だ。
課題解決型のホワイトペーパーでは、業界で発生しがちな課題を提示し、その解決方法を示す。
例えば「問合せ対応の工数が肥大化している」「業務に必要な情報が散らばっていて余計な手間が増える」といった課題に対し、原因や対応策、対応策ごとのメリットとデメリットなどを絡めながら、自社製品の訴求を行う。
自社の実績をベースとした具体的な提案を行うため訴求力が高く、問合せや商談につながりやすい点が特徴である。
ただし、的を射た内容にするためには、顧客が抱えているであろう「痛み」や「不便」を具体的に把握しなければならない。
したがって、まずはターゲットやペルソナの設定を入念に行うべきだろう。
ターゲットやペルソナの設定については、こちらの記事を参考にしてほしい。
1.5 ノウハウ提供型
ノウハウ提供型の目的は、 顧客の課題解決をサポートし、企業の信頼性や専門性を強化すること。
汎用的なノウハウを提供して、認知拡大やリード獲得、自社の信頼性向上などを狙っていく。
BtoBでは「RPA初心者のための使い方ガイド」や「失敗しない選定のためのRFPテンプレート」など、ガイド情報や効率化のヒント、テンプレートといった「ハウツー」情報が中心だ。
自社独自のノウハウを盛り込んだ実用性の高い内容であれば、一定のリード獲得効果が見込めるだろう。
近年では「○○の書き方」など、実務における労力削減効果があるホワイトペーパーがダウンロードされる傾向がある。
1.6 セミナー資料・イベントレポート型
セミナー資料・イベントレポート型の目的は、認知拡大やリード獲得、ナーチャリング、次回セミナー参加者の獲得など多岐にわたる。
セミナーやイベントでの発表内容、ディスカッションのポイント、キーノートスピーチの要約などを再構築・整理して提供する。
また、イベントの雰囲気や参加者の声、写真などを積極的に取り入れることも重要だ。
セミナーやイベントへの参加は、さまざまな制限(日時や人数、場所など)があるため、すべてのターゲットに情報を届けることはできない。
一方、ホワイトペーパーであれば、制限なく幅広い層にアピールできるため、汎用性は高いといえる。
ただし、スライドや口頭ベースの情報をテキストに落とし込むため、いかに読みやすく、かつ漏れなくまとめられるかが重要だ。
1.7 チェックリスト型
チェックリスト型の目的は、顕在層や準顕在層の課題認識を深め、次の検討段階へ進ませることだ。
自己診断や比較ができる形式で、読者が「自分ごと化」を認識することで、検討段階へと促せる。
IT企業向けの例であれば「セキュリティ対策度合いチェック」「業務効率化の自己診断」といったテーマが代表的だろう。
診断結果に基づいて改善ポイントを提示し、自社製品やサービスの提案へ自然に誘導できる点が特徴だ。
また、課題が顕在化した見込み顧客にとっては、解決に向けた行動を後押しする資料となるため、商談や問合せに直結しやすい。
ただし、設問の設計や結果の解釈を誤ると、意図した訴求ができなくなるおそれもある。
そのため、チェック内容や結果の提示方法は、ターゲット層の課題感を十分に把握したうえで慎重に設計する必要がある。
1.8 テンプレート型
テンプレート型の目的は、実務に役立つ雛形を提供し、読者の業務負担を軽減すると同時に関心度を高めることだ。
「システム提案書のフォーマット」や「運用マニュアルのひな形」など、現場でそのまま使える形式が好まれる。
具体的なアウトプットを提示することで、成果のイメージを持たせやすくなり、資料の保存や再利用にもつながる。
BtoBにおいては、役立つ情報を継続的に届ける姿勢が信頼構築につながり、ナーチャリングや認知拡大にも効果的だ。
一方で、単なる形式提供にとどまると、訴求力が弱まるおそれがある。
自社のノウハウや活用方法を解説に盛り込むことで、専門性を訴求しつつ、商談や問合せに結びつけられるだろう。
1.9 その他
ホワイトペーパーの内容を補完するための追加資料として、サービスカタログ、料金表、用語集などが使われる場合もある。
これらの資料は、ホワイトペーパーとは別に作成し、補完資料として添付する方法が一般的だ。
ホワイトペーパーと併せて補完資料を提供することで、情報の裏付けや根拠を示し、信頼感を高める効果が期待できる。
もし社内にこうした資料が存在するのであれば、積極的にホワイトペーパーとして転換していくとよいだろう。
2. 目的別ホワイトペーパー対応表
どの種類のホワイトペーパーを制作すべきかは、顧客が置かれている状況や心理状態、期待する顧客行動によって異なる。
無料で利用できる有益な知識や情報をまとめたホワイトペーパーは、ユーザーにとって魅力的であり、ニーズに合致すればダウンロード数を大きく伸ばせる可能性がある。
ここでは「ターゲット(顧客層)」と「期待する顧客行動(目的)」ごとにホワイトペーパーの種類を整理していきたい。
ターゲットごとの定義は以下のとおり。
潜在層
・自社および製品やサービスを認知していない
・社内課題を具体的に把握していない
準顕在層
・社名は知っているが具体的な製品やサービスの内容は知らない
・社内課題はある程度把握している
・社内課題に対して解決方法を知らない
顕在層
・自社および製品やサービスについて認知している
・社内課題を具体的に把握している
・解決方法についてもある程度の目途が立っている
・解決につながる購買対象を探しているが候補に入っているかは不明である
明確層
・自社および製品やサービスについて認知されている
・社内課題を具体的に把握している
・課題解決につながる購買対象を実際に探している
・同業他社と自社を含め、比較・検討を行っている
ターゲットと目的、ホワイトペーパーの種類の対応表
ターゲットのフェーズ | 施策の目的 | 適しているホワイトペーパーの種類 |
潜在層 | 認知拡大 リード獲得 アドレス収集 |
調査レポート型 トレンド情報型 ノウハウ提供型 |
準顕在層 | 興味・関心の喚起 リード獲得 ナーチャリング |
事例紹介型 課題解決型 |
顕在層 | 比較・検討 ナーチャリング セミナーなどへの参加 |
事例紹介型 課題解決型 セミナー・イベント情報型 |
明確層 | 問い合わせ・商談 | 事例紹介型 課題解決型 サービスカタログ、営業用資料などを併用 |
ケース1:多くの人に知ってもらいたい、リードを増やしたい
ターゲット:潜在層
目的:認知拡大、リード獲得
制作すべきホワイトペーパーの種類:調査レポート型、トレンド情報型、ノウハウ提供型
このケースでは、すべての種類のホワイトペーパーで効果が見込めるだろう。
特に「調査レポート型」や「トレンド情報型」は、情報収集に敏感な企業の担当者を取り込めるため効果的だ。
「リード獲得のためにメールアドレスがほしい」「リードのすそ野を広げたい」という場合におすすめしたい。
ケース2:製品やサービスに興味・関心を持ってほしい
ターゲット:準潜在層
目的:興味・関心の喚起、ナーチャリング
制作すべきホワイトペーパーの種類:事例紹介型、課題解決型
このケースでは、社内課題を具体的に把握し始めている企業に対して「こんな解決策もあるのか」という気づきや意識変容を促していこう。
中立性や公平性を重視しつつ、自然な形で自社の紹介を含めることが重要だ。
ケース3:購買角度が高い企業の比較、検討の対象に入りたい
ターゲット:顕在層
目的:比較・検討、ナーチャリング
制作すべきホワイトペーパーの種類:事例紹介型、課題解決型、セミナー・イベント情報型
ケース2よりも訴求力を高めるために、自社の強みや独自性についてしっかりとアピールしていく。
同じ事例紹介や課題解決型であっても、自社の強みや独自性への導線を意識して構成を練っていくべきだろう。
ケース4:商談・問合せ数を増やしたい
ターゲット:明確層
目的:商談化、案件化
制作すべきホワイトペーパーの種類:事例紹介型、課題解決型(サービスカタログや営業用資料などを併用)
ケース3からさらに訴求力を高めるために、自社の強みや独自性についてしっかりとアピールする。
このケースではターゲットが自社を知っており、一定の信頼性も確保されているため、訴求の割合を多くしても問題ない。
他社と同じ事例紹介や課題解決型であっても、コスト、機能の豊富さ、利便性など自社の強みや独自性を定量的に打ち出せるような構成を練っていこう。
ケース5:意思決定者を動かしたい
ターゲット:明確層(経営層・決裁権者)
目的:意思決定支援、最終的な導入判断の後押し
制作すべきホワイトペーパーの種類:調査レポート型、テンプレート型、事例紹介型
このケースでは、最終決裁権を持つ経営層や役員クラスに対して、商品やサービス導入投資効果や導入メリットを定量的に示す資料が必要となる。
2025年現在の経営環境では、コスト削減やリスク低減だけでなく、事業展開や収益改善を裏付けるためのデータ提示が特に大切だ。
また、市場予測やROI試算、成功事例をグラフや図解を交えながらわかりやすく示し、導入の妥当性を論理的に裏付けることが求められる。
特に3つの要素(費用対効果、運用効率、リスク削減)を具体的に示すことで、意思決定者にとって意味のある情報提供となる。
提案資料のテンプレートや導入シミュレーションシートなど、社内稟議や決裁を円滑に進めるための資料も効果的だ。
リードナーチャリングと営業活動の連動
意思決定者は、実務詳細よりも「コスト削減」「収益改善」「リスク低減」といった経営インパクトに注目するため、資料内では数値やビジュアルを活用して直感的に理解できる構成づくりを意識しよう。
さらに、顧客や見込み客との関係構築を進めるためには、ホワイトペーパーの配布後にリードナーチャリングを組み合わせた営業活動が効果的だ。
具体的には、資料ダウンロード後にメール配信やオンラインセミナーを連動させることで、意思決定層に「今後の導入プロセス」を自然に意識させることができる。
3. ホワイトペーパーの選び方と設計ポイント
ホワイトペーパーは、顧客の検討フェーズに応じてテーマや切り口を変えることで、成果を最大化できる。
本章では、まずターゲットを明確にするためのペルソナ設計を解説し、さらに役割や社内の営業活動との連携を含めた実践的なポイントを紹介していく。
3.1. ペルソナ設計の重要性
ホワイトペーパーの効果を高めるには、誰に向けて作るかを明確にするペルソナ設計が欠かせない。
属人的なイメージだけで設計すると精度がぶれやすいため、企業属性や役職、社内の役割、本部・現場などの関係を整理したうえで進めることが求められる。
企業属性×担当者の例
さらに、購買段階(認知・興味・比較・意思決定)ごとに「商品情報を求めている段階なのか」「導入シミュレーションの手順が必要なのか」を見極め、段階に応じてコンテンツを選んで提示することがポイントだ。
企業属性×担当者×フェーズの例
この3軸で設計したペルソナを起点にテーマを設定することで、ダウンロード率やリードの質を大きく高められる。
3.2. フェーズ別に見るホワイトペーパー設計
顧客の購買フェーズに応じたテーマ設計が不可欠だ。
以下の図では「課題認知前」から「意思決定」までの5つのフェーズに分け、それぞれの目的と有効な資料例を整理している。
フェーズ別に見る課題整理とホワイトペーパー資料例
詳細な設計方法やテーマ設定例については、ホワイトペーパーの作り方に関する以下の記事を参考にしてほしい。
4. ダウンロードされやすい種類と傾向
ここまで解説したとおり、ホワイトペーパーはターゲットや目的、種類によって最適解がある。
一方「ダウンロードのされやすさ」に着目すると、内容だけではなく見せ方や設計面も重要であることがわかる。
BtoBでダウンロードされやすいホワイトペーパーの種類と、そのダウンロード率を高める視点を紹介していこう。
4.1 希少性の高いオフライン情報
Webに出回りにくく、希少性の高いオフライン情報を含むホワイトペーパー。
ある施策に対する失敗事例や計測が難しい数値情報などが含まれる。
例:
- 避けるべきOMOの失敗パターン
- クラウド化に向けた課題別の戦略立案方法
- OMOの実現に必要なソリューションの種類と種類別の予算規模感
- POSシステムリプレイス事例集
4.2 リサーチ、収集コストが高い情報
リサーチは可能であるものの、リサーチ労力やコストが高いために実行が難しい情報を含むホワイトペーパー。
業種別・役職別の調査結果や、海外の最新情報、ソリューション比較などが含まれる。
例:
- アメリカ上場小売企業のOMO事例集
- 主なOMOソリューションの比較
- 【100社調査】OMOの取り組み状況と課題
4.3 ノウハウ提供による労力削減
ノウハウを得ることで具体的な労力削減効果が見込めるホワイトペーパー。
専門性の高い分野において「すぐ使える」「そのまま使える」内容であればダウンロードされやすくなる。
例:
- RFPの書き方テンプレート集
- ITセキュリティ診断チェックリスト
4.4 ダウンロード率を高める視点
上記3種類のホワイトペーパーはダウンロード率が高い傾向があるが、見せ方の工夫や構成の最適化によって、さらに成果を上げるための“コツ”が存在する。
■ タイトル設計
- 数字や調査母数を入れる(例:「100社調査」「5つの成功パターン」)
- 成果や用途を明示(例:「導入事例集」「テンプレート付き」)
- 希少性や独自性を訴求(例:「限定公開」「社外秘資料」などの表現)
このようなタイトル設計は、検索結果やwebサイト上で目に留まりやすく、「ハッ」とさせる興味関心を引き出すことができる。
■ フォーマット・構成
- 短時間で読めるボリューム(10〜15ページ程度が目安)
- 図解・テンプレート・チェックリストを含め、視覚的に理解しやすい構成を作り、意味や利便性が即座に伝わるようにする
- PDF+Web版(スライド型)を併用し、モバイル閲覧にも対応
この構成手法は、読者の多様な閲覧環境を考慮し、コンテンツの受け入れられやすさを大きく向上させる。一般的に、モバイルからの閲覧率は上昇傾向にあり、効率よく情報を得たいというニーズが背景にある。
■ ダウンロード動線(CTA設計)
- 入力項目を必要最低限(氏名・メール・会社名)に絞る
- フォームのモバイル対応を徹底する
- 関連ホワイトペーパーへのレコメンド(あわせてダウンロードされている資料)を1つの画面に一覧表示して、選びやすさと回遊性の向上を図る
こうしたCTA設計は、導線を“中”心に考える設計手法のひとつであり、組織内での資料展開やダウンロード後のステップ設計にも波及効果がある。
ホワイトペーパーがダウンロードされない原因と改善施策は以下の記事でも解説している。
5. ホワイトペーパーの成功事例
ホワイトペーパーは、ターゲット設定からコンテンツ設計、ダウンロード後のリード管理やナーチャリング、さらには商談までの流れを一貫して設計・運営することで高い成果を生み出せる。
本章では、成功事例に共通する傾向を整理し、IT業界における具体事例を紹介する。
実際の取り組みから、効果を高めるためのヒントを学んでいこう。
5.1 成功事例の傾向
ホワイトペーパーの成功事例には、以下のような要素が共通している。
① 明確なターゲット設定と課題仮説
「誰に読ませるか」が明確であり、ターゲットの課題に即したテーマ設計がなされている。
例:IT部門向けの「システム移行の課題整理資料」、経営層向けの「ROI算出ガイド」など。
② 実用性の高いコンテンツ設計
読んだ直後に活用できる形式(テンプレート・チェックリスト・事例集)を含む。
「読む」より「使える」ホワイトペーパーがダウンロード率を押し上げている。
③ ダウンロード後のシナリオ設計
資料のダウンロード後にナーチャリングメールやセミナー誘導を連動させるなど、後続施策が組み込まれている。
単発で終わらず、リード育成や商談化の導線までが設計されている。
特に、メールやセミナー、動画、広告など複数チャネルを組み合わせたフォロー設計は、商談化率を高めるうえで有効だ。
ホワイトペーパーを活かしたコンテンツでの配信により、資料だけでは伝わりにくい内容を補足し、ユーザーの理解度や興味を深められる。
詳細なチャネル連携や活用方法については、以下の記事も参考にしてほしい。
5.2 IT業界のホワイトペーパー事例
弊社では、IT業界を中心に多数のホワイトペーパー制作を支援してきた。
例えば、以下のような施策で成果を実現している。
- 某クラウドサービス企業様:課題解決型ホワイトペーパーで、ダウンロード数が従来比約1.5〜2倍増(※業界標準の2〜5%ダウンロード率から、反応が高いコンテンツ設計による成果)を実現。
商談化率も20%程度に改善。 - 某SaaSベンダー様:業界別事例集を設計し、比較・検討層向けのダウンロード数が約2倍増加。
- 某ITインフラ企業様:調査レポート型資料を業界メディアと連携して配信し、新規リード50件超を獲得。
こうした支援事例からも、ターゲット別のテーマ設計とダウンロード後のシナリオ連動が成果の鍵であることがわかるだろう。
なお、これらの成果は企業規模や商材特性、ターゲット層によって変動するため、自社の状況に応じた設計が重要だ。
6. まとめ
今回の記事では、ホワイトペーパーの種類や目的別分類、成果を上げるための要素や設計のコツを中心に解説してきた。
ホワイトペーパーはターゲットや用途に応じて上手に選び、使い方を最適化することでダウンロード数と商談化の両方を引き上げられる手段である。
一方で、ペルソナ設計・情報構成・配布タイミング・社内体制といった“事前準備の不備”が成果を左右するケースも多いため、可能であれば専門知識やノウハウを持つ代行会社へ相談するのも1つの方法だ。
こうした作業を進めるリソースがない場合は、ノウハウを持つ企業のサポートを受けることもぜひ検討してみてほしい。