潜在ニーズと顕在ニーズの違いとは?ニーズ分析からBtoBマーケを飛躍させるコツを解説

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BtoBのコンテンツマーケティングにおいて「ニーズ」の把握は大きな柱の一つだ。

しかし「ニーズ=顧客が今、欲しているもの」と考えてしまうと、成果が出にくいこともある。

なぜなら、ニーズには複数の種類があり、そのすべてを顧客が自覚しているとは限らないからである。

特に、顧客が自覚していないニーズ(潜在ニーズ)を把握することは、長期的な成果を挙げるために必須といえるだろう。

ここでは、潜在ニーズと顕在ニーズの違い、ニーズを把握するための方法などを解説していきたい。

 

1.そもそもニーズとは何か?

 

冒頭でも述べたように、マーケティングにおけるニーズは複数の意味を持っている。

また「ウォンツ」や「デマンド」といった用語と混同しているケースも少なくない。

まずは「ニーズ」という言葉の定義やウォンツ、デマンドとの違いを明確にしていこう。

ニーズ ウォンツ デマンド
意味 必要性が強い欲求(≒真意、目的) 特定化された欲求(手段) 需要

(購買能力と意思)

寒さを解消したい

(温まりたい)

ストーブが欲しい ストーブを3台買おう

 

1.1. ニーズは、広い意味では「欲求」を指す

 

「ニーズ」の辞書的な意味は「欲求」。

ニーズ(needs)の語源である「need(必要)」が転じて「必要性が高い欲求」という意味で使われるようになったという。

ただし、これはあくまでも辞書的な意味であり、マーケティングの世界では「目的」や「需要」と似たような使い方をされることもある。

さらに、表面化しているか否かで「顕在ニーズ、潜在ニーズ」といった分類も可能だ。

コンテンツマーケティングでは、ニーズの性質に応じて適切なコンテンツを作成・配置することが求められる。

したがって、ニーズについてよく知っておく必要があるだろう。

 

1.2. ウォンツとの違い

 

ニーズと混同されやすい言葉に「ウォンツ」がある。

ニーズとウォンツの違いは「具体化されているか否か」だ。

 

・ニーズ=何かが足りていないことによる欲求(○○したい)

・ウォンツ=具体化、特定化された欲求(○○が欲しい)

 

例えば「寒さ」という不快な状態に対して「寒いので暖まりたい」という場合は、ニーズである。

「寒さ」という不快な状態を解決するための方法を欲しているからだ。

一方で「具体的な道具の種類や名称」には言及していない。

 

これに対してウォンツは「寒いのでストーブが欲しい」という具合に表現される。

寒さを解消するために、具体的で特定化された欲求(ストーブ)が表れていることが特徴だ。

 

1.3. デマンドとの違い

 

もうひとつ、ニーズと似た言葉に「デマンド」がある。

デマンドは、直訳すると「需要」。

欲求と需要のため、言葉としては非常に似ている。

欲求がないところに需要は生まれないほか、需要の裏には必ず欲求があるため、同じ意味として捉える人も少なくない。

 

しかし、BtoBにおいてはニーズとデマンドを明確に区別しておくべきだろう。

なぜなら、ニーズ(欲求)があってもさまざまな事情(購買能力がない、具体化されていない、深刻でない)から、デマンド(需要)が表面化しないことが多いからだ。

 

例えば「スマートフォンのみで、すべての社内業務を処理できるシステムが欲しい」というニーズがあるとしよう。

しかし、スマートフォンのみで社内業務を処理するためには、大規模なクラウドサーバーやデータ処理基盤、セキュリティ、リモートアクセスの仕組みなどを揃えなくてはならず、それなりに予算が必要だ。

一方で、既存の社内システムを少し改修して使い続ければ、本質的な目的である「社内業務の処理」は達成されてしまう。(スマートフォンのみで、というニーズは満たされないが)

 

また、BtoBで扱う商材は、意思決定(購入や契約)のために、複数の利害関係者の賛同を得る必要がある。

利害関係者が全員同じ欲求を持てば良いが、実際にはうまくいかない。

慎重論や反対派が生まれ、計画が立ち消えになることもあるだろう。

 

このように、商材の単価が大きく、意思決定者が一人ではないBtoBでは、ニーズがデマンドに結びつかないことがよくある。

さらにいえば、デマンドは「有る/無い」よりも「強弱」や「大小」が重要だ。

弱く小さいデマンドに対しては、リソースを投下しても無駄になりやすいのである。

こうした事情から、ニーズとは明確に区別して考える必要がある。

 

2.ニーズをより深く理解するためのフレームワーク

 

ニーズには多くの種類があり、それぞれ性質が異なる。

ここでは、BtoBのコンテンツマーケティングで特に有用なフレームワークを3つ紹介していきたい。

 

2.1. 潜在ニーズ/顕在ニーズ

 

マーケティングの分野で最も有名かつシンプルな分類が「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」だ。

このフレームワークでは「ニーズ」を顕在しているか(自覚しているか)、潜在しているか(自覚していないか)の2つに分類する。

汎用性に優れていることが特徴で、特に潜在ニーズはコンテンツマーケティングの効果を高めるために必須の考え方といえるだろう。

BtoBでは、BtoCよりも潜在ニーズの把握が重要となる。

 

なぜなら、BtoCのように顕在ニーズをそのまま満たせるケースは少なく、自社製品やサービスを少しずつカスタマイズしながら提供することが大半であるからだ。

顕在ニーズを満たせなくても、潜在ニーズに対して別の提案ができれば、顧客の意思決定を後押しできる。

 

例:

顕在ニーズ:老朽化したシステムをリプレースしたい

潜在ニーズ:システムインフラの運用や保守にかかる負担を減らしたい

 

2.2. 5種類のニーズ

 

ニーズの性質に着目した分類として「5種類のニーズ」も有名だ。

下記のように、5つのニーズを中心として顧客ニーズをとらえていく。

 

Stated:明示されたニーズ

 

顧客が明確に表したニーズのこと。

顕在ニーズやウォンツに似ており、具体性をもったニーズを指すことが多い。

例:石油ストーブが欲しい

 

Real:真のニーズ

 

顧客が明確に表していないニーズで、なおかつ本当に望んでいるもの。潜在ニーズと同じものに見えるが、こちらは顧客が自覚している。

 

例:できるだけ安い石油ストーブが欲しい

 

Unstated:明示されていないニーズ

 

いわゆる「内心」のことで、真のニーズとは別の目的があるときに使われることが多い。

 

例:石油ストーブを値引きしてほしい

 

Delight:喜びのニーズ

 

「Nice to have(あったら良い)」というニーズ。

主要機能のほかにオプションとしてついていたら嬉しいもの、外観や色、デザインなどが該当する。

 

例:自動温度調整が欲しい、できるだけ小さなものがよい、など

 

Secred:隠されたニーズ

 

「潜在ニーズ」と同じく、顧客が自覚していないニーズのこと。

 

例:家計の負担が増えるのを防ぎたい(風邪をひくと治療費がかかる、仕事を休まなくてはならないから)

 

2.3. ニーズ/ウォンツ/デマンド

 

すでに紹介した「ニーズ」「ウォンツ」「デマンド」もニーズの把握に役立つフレームワークだ。

ニーズは必要性の高い欲求で目的や真意を表し、ウォンツがそれを具体化し、デマンドでは購買能力と意思をともなう。

 

3.潜在ニーズと顕在ニーズの重要性

 

ニーズを把握するためのフレームワークとして、最も汎用性が高いのは「潜在ニーズ/顕在ニーズ」だ。

そこで、潜在ニーズと顕在ニーズの重要性についてもう少し詳しく把握しておこう。

すでに述べたように、潜在ニーズと顕在ニーズの違いは「自覚の有無」。

潜在ニーズは自覚していない、あるいは気づいていないニーズである。

海に浮かぶ巨大な氷山をニーズとした場合、水面を「意識」とすれば、水面から顔を出している部分が顕在ニーズ、水中に沈んでいて見えていない部分が潜在ニーズとなる。

 

3.1. 顕在ニーズで「欲求の入り口」を把握する

 

顕在ニーズは顧客が自覚していることから、他者からも検知しやすいという特徴がある。

端的にいえば「何が欲しいかを、すぐに把握しやすい」。

一方で、顕在ニーズを必ずしもこちら側が満たせるとは限らない。

BtoBを主戦場とする企業の多くは、ニッチで専門的な商材を扱うことが多く、顧客の顕在ニーズと自社の提供価値には若干のズレがある。

したがって、契約形態の変更や製品カスタマイズなどでニーズにフィットさせる作業が必要だ。

 

3.2. BtoBで注力すべきは「潜在ニーズ」の発掘と把握

 

一方で、顕在ニーズにフィットさせる作業を行わずとも、受注や契約に至るケースもある。

それは「潜在ニーズ」を満たした場合だ。

例えば、顕在ニーズに対して「理由、原因」を突き詰めていくことで、「隠された欲求」に到達できることがよくある。

この隠された欲求こそが、顕在ニーズを包括する真のニーズ「潜在ニーズ」だ。

そして、潜在ニーズを満たす方法は顕在ニーズに示された内容だけとは限らない。

 

例えば、下の図を見ると、顕在ニーズとして「脱Excel」がある。

このとき、Excelに代わる表計算ツールや自動化ツールを提供できなければ、顕在ニーズは満たせない。

しかし「なぜ?」を繰り返して潜在ニーズを探ると「営業力を強化したい」という欲求が見えてくる。

「営業力を強化したい」という潜在ニーズであれば、SFAの導入や営業ノウハウに関するコンサルティングなど、別の手段でも満たすことができるだろう。

 

3.3. コンテンツの「質」にも影響する潜在ニーズ

 

コンテンツマーケティングでは、さまざまなコンテンツを制作・配置して成果につなげていく。

このとき、顕在ニーズだけを対象とすると、どうしても不自然さが出てしまう。

つまり「質」が低下してしまうのだ。

ここでいう質とは「興味関心の喚起」「信頼感や権威性の補強」「意思決定の後押し」につながるコンテンツのこと。

これらを満たしたコンテンツはリード獲得やナーチャリングなど、さまざまな効果を生む。

 

もし潜在ニーズを察知して「別の手段」「新たな視点」を提供できれば、ごく自然に気づきを促し、納得感を高めてもらうことができるだろう。

また、一般的にどのような潜在ニーズであっても、それを満たす方法はひとつではない。

したがって、潜在ニーズを把握するとコンテンツの方向性に「幅」が生まれ、その中に自社の商材が含まれるようにコンテンツを制作・配置できるのである。

 

4.コンテンツマーケティングにおける潜在ニーズと顕在ニーズの整理方法

 

最後に、一般論としてコンテンツマーケティングにおける潜在ニーズと顕在ニーズの整理方法を解説していこう。

 

4.1. 顧客からのヒアリングで潜在ニーズを把握する

 

最もシンプルかつ簡単な方法として「ヒアリング」が挙げられる。

実際に顧客へヒアリングを行い、顕在ニーズと潜在ニーズを把握しよう。

一般的に、顧客がすぐに口にするのは「顕在ニーズ」であり、そこから背景や課題、痛みなどを引き出して潜在ニーズの把握を目指す必要がある。

 

例:

顕在ニーズ:部署内の経費申請ワークフローを自動化したい

 

→背景や理由は?:海外出張が増え、経費申請の承認に時間がかかるため短縮したい

→なぜ?:承認に時間がかかると部員が動けず営業(フィールドセールス)が停滞する

 

潜在ニーズ:フィールドセールスの停滞を防ぎたい

 

4.2. ペルソナとジャーニーから導き出す

 

ペルソナとは「具体性をもった顧客像」で、ジャーニーは「顧客の意識変遷の旅」。

ペルソナが持つ意識の動きを可視化することで、潜在ニーズと顕在ニーズが見えてくる。

ペルソナとジャーニーについては、こちらの記事で詳しく解説しているため参考にしてほしい。

 

4.3. キーワードから逆算する

 

SEOによる露出効果を狙うとき、具体的な顧客が想定されていないことがある。

そうした状況でも、潜在ニーズの推測は可能だ。

例えば、下記のようにトレンドキーワードからテーマを設定し、そこからニーズを深堀・整理していこう。

 

キーワード:2024年問題

キーワードから読み取れる顕在ニーズ:人手不足、残業時間などリソース不足への対策

テーマの設定「2024年問題によるリソース不足への対応方法とは」

→人手不足と残業時間規制のデメリットは?:商材の運搬時間やコストが増える

→コスト増によるデメリットは?:固定費の増加による収益圧迫

 

キーワードから逆算した潜在ニーズ:「固定費の増加を防ぎたい」

 

5.まとめ

 

この記事では、ニーズ自体の意味や、潜在ニーズと顕在ニーズの違い、整理方法などについて解説してきた。

BtoBのコンテンツマーケティングでは、特に「潜在ニーズ」の把握が重要となる。

潜在ニーズを把握し「別の視点や視座」「別の解決方法」などのパターンを洗い出し、整理することで、自然な訴求につながるコンテンツを制作できるからだ。

ただし、潜在ニーズを加味したコンテンツの制作にはノウハウが欠かせない。

もし社内にノウハウがない場合は、外部の専門企業に任せる方法も検討してみるとよいだろう。

 

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