「リードはそれなりに獲得できているのに、受注数が目標に達しなかった」
「獲得したリードすべてに営業がアプローチしているのに、思うような成果につながらない」
このような悩みをお持ちではないだろうか。
BtoBマーケティングにおいて、これらの課題を解決するための大切な考え方が「リードナーチャリング」だ。
リードナーチャリングに取り組むことによって、見込み客の関心を高めて関係を強化し、最終的にはより多くのコンバージョンと長期的な顧客ロイヤルティを実現できる。
この記事では、リードナーチャリングの定義や重要な理由、実施すべき主な施策、導入事例を紹介していきたい。
1. リードナーチャリングとは
はじめに、リードナーチャリングの定義を確認していこう。
リードナーチャリング(Lead Nurturing)とは、獲得したリード(=見込み客)を、自社商材を検討してくれるようになるまで「育成」することだ。
BtoBマーケティングでは「リード獲得(=リードジェネレーション)」することが最優先と思われがちである。
しかし実際は、広告などで大量のリードを獲得したあとに、なかなか商談化や受注につながらず投資回収ができないという課題に直面する企業は少なくない。
そうした事態を防ぐためには、リードナーチャリングによってニーズが顕在化していない見込み客を顕在層へと態度変容(=パーセプションチェンジ)させる取り組みが必要となる。
パーセプションチェンジの重要性についてはこちらの記事も参考にしてほしい。
2. リードナーチャリングが重要な5つの理由
リードナーチャリングが重要な理由として、以下の5つが挙げられる。
- 販売サイクルが長い
- 深い情報提供が必要
- 営業効率の向上につながる
- コスト効率の向上につながる
- 競争優位性の向上につながる
それぞれ詳しくみていこう。
理由1:販売サイクルが長い
BtoBビジネスは、一般的にリード獲得〜受注までのサイクルが長いという特徴がある。
商材にもよるが、一般的に数日で受注することは稀で、多くは数か月、長いと1年以上かかることもあるだろう。
その期間、見込み客は毎日サービスのことを考えているわけではない。
一度は検討してもらえても、顧客側の業務多忙などの理由でどんどん後回しになり、いつしか検討していたことすら忘れられてしまうケースはよくある。
そのため、リードナーチャリングによって、定期的にサービスを思い出してもらうきっかけを与えることが重要だ。
理由2:深い情報提供が必要
BtoB向けの商材は深い情報提供が必要となる。
価格が高額となりやすいほか、簡単に返品・キャンセルができないため、導入担当者は周辺情報をくまなく集めて失敗しないようにするからだ。
特に、IT系などの複雑で専門知識が必要な商品・サービスは、初回のタッチポイントですべての情報を理解してもらうことは不可能だろう。
だからこそ、継続的に顧客と関係を築くリードナーチャリングが必要となる。
理由3:営業効率の向上につながる
リードナーチャリングをまったくしない場合、毎月のように大量の新規リード獲得と新規商談が必要となる。
そして、購入に至らなかったリードは消失することになる。
このような営業は効率が悪く、営業部隊の疲弊に直結するだろう。
リードナーチャリングに取り組むことで、見込み客の購買意欲を高め、受注率の向上や営業リソースの最適化を実現できる。
理由4:コスト効率の向上につながる
リードナーチャリングはコスト効率の向上に直結する。
特に、リード獲得の手段を大きく広告に頼っている場合、獲得したリードをうまく育成できなければ新規リード獲得のための広告費がかさみ、赤字になりかねない。
マーケティングや営業の人件費についても同じことがいえるだろう。
理由5:競争優位性の向上につながる
あまり意識されないポイントだが、リードナーチャリングは競争優位性の向上にもつながるメリットがある。
効果的なリードナーチャリングは、顧客との深い関係を築き、ブランドへの信頼とロイヤリティを高める効果があるからだ。
競合他社よりも顧客との強固なつながりを確立し、長期的なビジネス関係を構築できる(=競争優位性の向上)だろう。
3.リードナーチャリングの主な施策(比較表付き)
次に、リードナーチャリングの主な施策について解説していきたい。
リードナーチャリングの施策一覧
施策 | 特徴(メリット) | 手間 | 費用 | 難易度 |
メルマガ | ・さまざまなトピックや情報を伝えることで、リードの関心を喚起できる。 | △ | ◎ | ◎ |
ステップメール | ・状況に応じたアプローチを実施することで、効率的にナーチャリングできる
・商談化率アップも期待できる |
◯ | ◎ | ◯ |
セミナー/ウェビナー | ・メールなどのコンテンツでは伝えきれない詳細な情報を届けられる
・ほかの施策と比較して、訴求力が高い |
◯ | ◎ | △ |
ホワイトペーパー | ・専門的かつ詳細な情報を提供することで、信頼性を構築できる
・DLというハードルを設けることで、興味関心の高さを測れる |
△ | △ | ◯ |
オウンドメディア記事 | ・継続的なコンテンツ提供を通じて、ニードの喚起や価値感の理解につながる
・メールでは記載でない情報量を提供できる |
△ | ◯ | ◯ |
それぞれの特徴とメリット・デメリットを詳しくみていこう。
施策1:メルマガ
メルマガ(メールマガジン)は、保有している見込み客(リード)に向けて配信する一斉メールだ。
発信する内容はセミナーやコンテンツの案内から商品・サービスに関する案内までさまざま。
ナーチャリングの観点では毎回販促色を強く出すのではなく、見込み客の関心が強いテーマを狙ってWebサイトのアクセスを増やす方向で内容を検討するとよいだろう。
メリット
メルマガのメリットは、さまざまなトピックや情報を伝えることで、リードの関心を喚起できる点だ。
そして、見込み客ごとの開封率やよく読まれているメールを分析し、リードのクオリフィケーション(評価)につなげていこう。
例えば、
・10回メルマガを配信して、1度も開封すらしていない顧客は自社に全く関心がない
・リンク先を数回クリックしている顧客は潜在的な関心がある、
・ほぼ毎回クリックしている顧客は強い関心がある
と、推察することができる。
デメリット
デメリットは、毎回の作成や配信に工数がかかる点だ。
BtoB企業のメルマガの配信頻度は週1〜2回、1通の企画・設定・配信にかける時間は1〜3時間や4〜6時間が多いという調査結果がある。
専任の担当を立て、計画的に配信を行っていこう。
メールを使ったナーチャリング手法については、こちらの記事を参考にしてほしい。
施策2:ステップメール
ステップメールはメルマガと似ているが、メルマガが毎回一斉・単発の発信なのに比べて、ステップメールはより見込み客の「育成」を意識し、個別に複数回の発信を行う点が異なる。
どのようなタイミング・条件で配信を開始し、また次のステップに移行させるのか、メール配信機能を持つツールで事前にシナリオを組んでおくのが一般的だ。
メリット
ステップメールは、より見込み客の状況に応じたアプローチになるため、効率的なナーチャリングにつながり、商談化率の向上が期待できる。
デメリット
デメリットとしては、ツールの導入が必要な点や、シナリオを組めるだけのコンテンツ・切り口の設計が必要で知見が求められる点が挙げられる。
しかし、シナリオが複雑になるほど効果検証が難しくなるため、一般的には3〜5回分ほどの一連のコンテンツを用意できればよいだろう。
施策3:セミナー/ウェビナー
セミナー/ウェビナーは、リードジェネレーション(獲得)の手段としても代表的なものだが、見込み客に深い情報を伝えられるという点で、リードナーチャリングにも活用されている。
メリット
セミナー/ウェビナーのメリットは、30分〜1時間のように長い時間をかけて話すため、自然なナーチャリングがしやすい点だ。
よくあるコンテンツの構成として、前半で自社に関連するトレンドトピックや課題を提示し、後半でその解決策とともに自然に自社商品・サービスの紹介を行うというやり方がある。
また、メールや記事と比較して、より詳細な情報を提供できるため、訴求力が強い点も大きなメリットといえるだろう。
デメリット
デメリットは、コンテンツ設計の難易度がやや高い点だ。
特にリードナーチャリングの場合、すでにリード化している見込み客の育成が目的であれば、あまり啓蒙に寄りすぎた内容だと育成にならない。
よって、自社商品やサービスの理解を深めながらも、必要性を理解して購入への後押しとなるようなセミナー内容にする必要がある。
施策4:ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、見込み客にとって有益な情報を掲載した資料のこと。
Webサイトでは「お役立ち資料」といったカテゴリ名で掲載されることが多い。
ホワイトペーパーもリードジェネレーション(獲得)とリードナーチャリングの両方に使える施策である。
メリット
ホワイトペーパーのメリットは、専門的かつ詳細な情報を提供することで、信頼性を構築できる点だ。
意思決定者が複数いる企業では、関係者や上層部に話を通すときにもホワイトペーパーがあると稟議を通しやすい。
また、ステップメールの後半にダウンロード資料として提供し、あえて「ダウンロード」というハードルを設けることで、興味関心の高さを測れるメリットもある。
デメリット
デメリットは、作成の手間や費用がかかることだ。
構成の立案やデザイン制作は専門的なノウハウが必要で、なかなか社内で取り組めないケースも多いだろう。
そのような場合は、専門的な企業への依頼を検討してみてほしい。
外注する場合、ホワイトペーパー1点につき一般的には20万〜40万円程度の費用がかかる。
ホワイトペーパーについてはこちらの記事で詳しく解説しているため、あわせて読んでみてほしい。
施策5:オウンドメディア記事
オウンドメディア記事とは、企業や組織が自社ホームページやオウンドメディア上に掲載し、ニードを喚起するような情報や課題解決のノウハウ、ブランド価値を伝えるためのオリジナルコンテンツを指す。
オウンドメディア記事は、SEOの強化にも利用されているが、ステップメールなどのナーチャリング施策にも幅広く活用されている。
メリット
オウンドメディア記事をナーチャリングに活用するメリットは、顧客教育やブランド信頼性の強化、長期的な顧客関係の構築につながる点だ。
定期的に価値あるコンテンツを提供することによって、顧客の購入プロセスを支援し、最終的なコンバージョンを促進する効果が期待できる。
デメリット
デメリットは、ホワイトペーパー同様に作成の費用や手間がかかること。
ただし、外注するとしてもデザインの要素が少ないため、ホワイトペーパーよりはコストを抑えやすい。
4. 見込み客のフェーズ別に提供すべき情報とは
リードナーチャリングで提供する情報は、見込み客のフェーズ別に設計するとより効果的だ。
ここでは、どのような情報を提供すべきか、見込み客のフェーズ別に整理して解説していきたい。
「認知層」「興味・関心層」「比較・検討層」に分けてみていこう。
4.1 認知層向け
認知層は、なんらかのきっかけでリード獲得には至ったものの、その後のアクションが見られず休眠状態になっている層だ。
認知層に提供すべき情報は以下の2つ。
- トレンド情報:業界のトレンドについての情報や調査レポート
- 気づきコンテンツ:何らかの課題やゴールに向けてヒントとなる情報
これらは自社への関心があるかないかに関わらず、多くの見込み客にとって、自社のビジネスを飛躍させるために役立つ情報といえるだろう。
また、認知層に対しては無理に販促はせず、まずはWebサイトへの訪問やホワイトペーパー閲覧、セミナー参加といった商談の手前のアクションをゴールにしよう。
定期的に情報を届けることで「この会社からは有益な情報を得られる」という印象を与えることが重要だ。
ただし、これらの切り口であればテーマは何でも良いわけではなく「自社へのロイヤリティが高い顧客はどのような情報を求める傾向にあるのか」ということから逆算してテーマを決めることが、興味・関心層へと育成するためのポイントである。
4.2 興味・関心層向け
興味・関心層は、自社の商品・サービスの具体的な検討はしていないものの、定期的に自社サイトに訪れていたり、セミナーに参加していたりと何らかのアクションが見られる層だ。
興味・関心層に提供すべき情報は以下の3つ。
- ノウハウ:課題解決に役立つノウハウやプロジェクトの立ち上げ方などの情報
- ソリューション:課題の解決に役立つソリューションの種類や概要
- ユースケース:課題や目的別のアプローチ方法などのユースケース
これらのコンテンツによって目指したいのは、自社がどのような分野に長けた企業なのか、どういった製品を扱っているのかを見込み客に意識づけることである。
なお、この段階でも自社の商品・サービスの紹介は必要最低限に留めておき「自社を検討する・しないに関わらず役に立つ内容」に仕立てるとよいだろう。
4.3 比較・検討層向け
比較・検討層は「問い合わせ」や「サービス資料の請求」のような、明らかに自社への関心がうかがえるアクションがあったり、商談をしたことがある層だ。
比較・検討層に提供すべき情報は以下の2つ。
- サービス紹介:自社サービスの紹介(短縮版があるとなお良い)
- 導入事例:導入済みの顧客の成功事例の紹介
このフェーズの見込み顧客は「自社が他社と比較して何が良いのか」「実績はあるのか」を具体的に知りたがっているため、それに答えられるようなコンテンツを提供することが重要となる。
サービス紹介資料については、サービスの説明を網羅的に書いた資料とは別に「3分で分かる◯◯」のような簡易版資料を用意しておくと、顧客が社内で上申しやすいため喜ばれる可能性が高い。
また、導入事例は導入済み顧客に手当たり次第取材していくよりも、自社の顧客の業界・規模・エリア・企業成長フェーズなどの構成を分析し、ボリュームゾーンや業界・業種ごと豊富に用意するとよいだろう。
5.リードナーチャリングのステップ
リードナーチャリングを始める際は、以下6つのステップで実行していこう。
ステップ1:リードを一元管理する
ステップ2:KPIを決める
ステップ3:顧客分析をしてセグメントを分ける
ステップ4:カスタマージャーニーを描く
ステップ5:カスタマージャーニーに応じた施策を決める
ステップ6:施策実行、効果検証、改善を繰り返す
ステップ1:リードを一元管理する
まず、リードナーチャリングを行ううえでは、獲得したリードを一元管理することが大前提となる。
ホームページ経由のリード、セミナー経由のリード、名刺交換で獲得したリードなど、流入経路が分かれていても、バラバラのままでは施策を打つたびに手作業でリストを作らなければならず、工数が増大する。
CRMツールやMAツールなど、一つのプラットフォームに集約されていることが望ましい。
ステップ2:顧客分析をしてセグメントを分ける
リードナーチャリングは、保有しているリードに一斉に同じ施策を行うよりも、セグメントを分けてそれぞれに応じた施策を打っていくほうが高い反応率が見込める。
セグメントの分け方はさまざまだが、あまり細かく分けても実行性に欠けるため、以下のようにある程度のボリュームを確保できる分け方がよいだろう。
- 企業規模
- 業界
- 職種
なお、すべてのセグメントに平等に施策を打たず、特に受注見込みが高く注力したいセグメントを絞っていく方法でも問題ない。
ステップ3:KPIを決める
適切な効果検証をするために、リードナーチャリングのKPIを決めていこう。
最も納得感のあるKPIの決め方は、事業目標から逆算する方法だ。
前提として事業目標を達成しようとするときには「目標の商談数」から逆算して「新規リード獲得の目標件数」を設定するのが一般的である。
しかし、その件数を新たに獲得しきるのは難しいケースは少なくない。
その場合は、新規リードでは補いきれない商談の数を「既存リードからのナーチャリングで創出する」という考え方になる。
ステップ4:カスタマージャーニーを描く
セグメントを分けた見込み客がどのようなタッチポイントを経て自社の商品・サービスを導入するに至るのかを、できるだけ解像度高く想像してみよう。
顧客の思考、行動、求めている情報、タッチポイントなどをフェーズ別に洗い出して設計する必要がある。
ステップ5:カスタマージャーニーに応じた施策を決める
カスタマージャーニーを描いたら、各フェーズでどのような施策を行うのか、どのようなコンテンツを当てていくかを検討してシナリオにしていく。
ターゲットとなる業界の課題や自社サービスとの相性などを考慮して立案しよう。
ナーチャリングにおいて、ステップ5が最も難しい工程であるため、時間をかけて検討することが重要だ。
ステップ6:施策実行、効果検証、改善を繰り返す
ここまで設計ができたらあとは実行あるのみ。
実行にあたっては、MAツールを活用し、できるだけ自動化していくとよいだろう。
そして、ある程度の期間施策を回したら、定期的に効果検証を行う必要がある。
評価するうえでは、最初に決めたKPIが判断基準となる。
KPIを達成していない場合は、アプローチの手法が悪いのか、コンテンツが悪いのか、あるいは描いたカスタマージャーニーが実態と異なっているのかなど、さまざまな原因を視野に入れて分析していこう。
6.リードナーチャリング施策の設計ポイント
リードナーチャリング施策を設計する際に押さえておきたいポイントは以下の3つ。
- 施策を組み合わせる
- MAツール(スコアリング)を活用する
- マーケティング部門と営業部門で情報共有する
それぞれ詳しくみていこう。
ポイント1:施策を組み合わせる
本記事でいくつか施策および比較表を紹介したが、リードナーチャリングはどれか一つに施策を絞るのではなく、複数を組み合わるのが基本的なやり方だ。
例えば、メールマガジンやステップメールのように、メールの文章だけでは伝えたいことを十分に訴求できない。
そのため、メールには概要を簡潔に書くのみにして、ホワイトペーパーやセミナー、オウンドメディアの記事に誘導しよう。
ポイント2:MAツールを活用する
リードナーチャリングを効果検証も含めてしっかりと行っていくためには、MAツール(マーケティングオートメーションツール)の導入が不可欠だ。
MAツールにはリードの一元管理機能やメール配信機能が備わっているが、ナーチャリングの面で特に活用したい機能が「スコアリング」である。
スコアリングにより、保有リードの役職・職種や、Webサイトの閲覧履歴、メールの反応履歴などをもとにリードを点数付けし(=スコアリング)、点数の高いリードへ優先的にアプローチしていくことが可能となる。
リードが蓄積されてくると、営業リソースの問題ですべてのリードに平等に対応できなくなるため、リソースを最適化するためにもMAツールが必要となるだろう。
ポイント3:営業部門から顧客の情報を吸い上げる
リードナーチャリングは、実務としてはマーケティング部門の仕事になることが多いものの、営業部門との情報共有や相談をこまめに行うことも大切だ。
新たなコンテンツを作る際は、顧客の課題感やニーズなど、顧客の興味関心が強い領域が何かを把握することが重要となる。
このような情報は、日々顧客対応をしている営業担当が熟知しているだろう。
また、ナーチャリングの効果検証をするうえでも営業担当の声は重要となる。
例えば、一定の条件をクリアした優良見込み客を営業担当者にリストとして提供した場合、実際の反応率はどうだったのかを後日ヒアリングする。
あまり良い感触を得られなければ、スコアリングの条件やナーチャリングのやり方を見直してみよう。
7. よくあるナーチャリング施策事例
最後に、よくあるナーチャリング施策の事例をいくつか紹介したい。
7.1 ステップメールでのナーチャリング
ステップメールは工夫の余地が多くあるナーチャリング手法だ。
例えば、1週間に一度、同じ曜日・時間帯に認知層向けのコラムやホワイトペーパーをステップメールで複数回配信するといったやり方がある。
1か月(4回以上)続いてくると、受け手側にとっても「よく情報をくれる会社」という印象がつき、想起率が高まる。
その時点で、一度これまでのメールの開封率やクリック率をチェックし、一定の基準を超えていれば次の比較・検討層向けのコンテンツを配信していくといった具合に、段階を踏んでアプローチするとよいだろう。
また、クリックしたコンテンツの内容によってセグメントを分け、コンテンツの最適化を図っていく方法も効果的だ。
ただし、毎回営業的な内容では「役に立たない情報」ばかり送ってくる会社というイメージを与えてしまい、メールマガジンの登録を解除される確率が高くなるため注意してほしい。
あくまでも「役立つ情報」を配信し、最後に「軽く」セミナーや商品に触れるのがセオリーである。
7.2 セミナー・イベント後のナーチャリング
セミナーやイベントで新規リードを大量に獲得したタイミングは、ナーチャリングの絶好の機会といえる。
ナーチャリングでは、セミナー参加者の出欠、アンケートの回答、資料のダウンロード状況などによって、細かくシナリオを分岐していくことが重要だ。
アンケートで自社への関心が確認できた顧客は、最も見込み度が高い顧客である。
一方で、アンケートには回答していない顧客のなかにも、実は比較検討フェーズの顧客がいる可能性がある。
したがって「情報交換」という点で商談を打診してみるというアクションも有効となるだろう。
また、ナーチャリングは複数回接点を持つことが基本だ。
セミナー直後のアクションだけではなく、その後の流れも想定してシナリオを組んでいこう。
例えば、商談打診をして断られたり、返信がなかったりした顧客は、認知層向けのライトなコンテンツをステップメールで届けることから始める、といった施策が考えられる。
7.3 ホットリードの定義の見直し
商談化が見込めるホットリードをどのように定義するかは、特に初期のころは難しい。
「サービス紹介のページを閲覧している」「セミナーに●回来ている」などが基準として考えられるが、最初は決め打ちにせざるを得ないだろう。
そのため、ホットリードの定義を定期的に見直すことも、ナーチャリングの精度を上げていくための大事な取り組みとなる。
営業に渡したリードのうち、具体的に何割が商談化・受注に至ったのかを数値として可視化し、客観的な根拠をもって見直しを行っていこう。
8. まとめ
この記事では、リードナーチャリングが重要な理由や代表的な施策の一覧、ナーチャリング時に提供すべき情報や、ナーチャリングのステップ、重要なポイントなどを詳しく解説してきた。
リードナーチャリングは、実施しないことによる損失が見えづらいことから、後回しにされがちだ。
しかし実際には、ナーチャリングを徹底してやっているか否かで、営業効率やコスト効率に大きな違いが出てくる。
施策の種類自体はそこまで多くなく、手順や気をつけるべきポイントもある程度決まっているため、ぜひこの記事を参考にしながらナーチャリングに取り組んでみてほしい。