厳密にいうと、コンテンツマーケティングとSEOは異なる概念であり、施策である。
しかし、両者とも「顧客との関係構築」や「コンバージョン(リード獲得やお問い合わせ、商品・サービスの成約など)」につながることは共通している。
現代のwebマーケティングにおいて、検索エンジンの最適化だけでなく、facebookやtwitterなどSNSの投稿チャネル、ECサイトやプレスリリース経由のアクセス解析、さらに有益な画像・動画コンテンツの配布など、複数の流入経路を組み合わせることが求められはじめている。
成果を上げるには、最新の特徴を押さえたコンテンツの選び方や品質管理、アナリティクスを用いたアクセス解析、定期的な改善チェックが欠かせない。
つまり、現代の集客では、両者に取り組むことが必須だ。
ぜひ本記事でコンテンツマーケティングとSEOについて混同しやすい理由を明確に理解しIT企業が成果を出すための「質」と「量」を担保した集客を実現していただきたい。
目次
1.コンテンツマーケとの違い
まず、コンテンツマーケティングとSEOの違いを明確にしていこう。
この2つは、デジタルマーケティングにおいて同一視されることがある。
しかし、本質的な目的がまったく異なるうえ、施策内容にも大きな違いがあるため注意してほしい。
1.1 コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングは「コンテンツ(=内容を伴う情報の塊)を駆使することで行うマーケティング」だ。
コンテンツには、ホワイトペーパー、サービス資料、オウンドメディアの記事などさまざまな種類があり、これらを活用して集客を行う活動全体を指すイメージだ。
「マーケティング」であるため、その目的は「売れる仕組み作り」であり、集客・リード獲得・ナーチャリング・コンバージョンなどが含まれる。
具体的には、潜在顧客のニーズやインサイトを想定したコンテンツを制作して、適切な場所に配信することでリードを獲得し、最終的には見込み客や優良顧客になってもらうことをゴールとしている。
コンテンツマーケティングで特に重要なのは「ペルソナ」と「ジャーニー」だ。
ペルソナは顧客の属性やニーズ、シチュエーションを具体的に描いたものだ。
一方、ジャーニーは「旅」と翻訳されるように、顧客が製品やサービスを認知してから意思決定(契約、商談)に至るまでのニーズの変遷を描いたものといえるだろう。
「カスタマージャーニー」や、検索ワードとニーズの変遷を描く「サーチジャーニー」を設計し、その各フェーズに対応させて、コンテンツのテーマや内容を決定していく。
特にBtoBでは、ニッチで専門的な話題が多いことから、ペルソナの制作とジャーニーの設計が非常に重要となる。
1.2 SEOも質で成果が決まる
一方、SEOとは、端的にいえば「自社メディアやWebサイト、コンテンツなどを検索エンジンに最適化させることで検索流入量の向上を狙う施策」だ。
よくSEOは集客のための施策として語られるが、より純粋な目的は「検索上位の獲得」であり、露出量を増やすことだといえる。
一般的にSEO対策は「テクニカルSEO」と「コンテンツSEO」に分類される。
テクニカルSEOは、コーディングによるタグの配置や表示速度の改善、リンクの配置といった技術的な施策である。さらにテクニカルSEOは「内部施策」「外部施策」の2つに分類される。
内部施策
内部施策(内部対策)は、Webサイト「内部」に対して行う施策だ。
例えば、メタタグ(head内に設置してコンテンツの情報を検索エンジンに伝えるタグ)の最適化、サイト構造の設計や実装、ユーザビリティを追求したUI設計・実装などが挙げられる。
外部施策
外部施策は、Webサイトの「外部」に対して行う施策だ。
外部からのサイテーション(言及)や被リンクの獲得推進などの取り組みが挙げられる。
これらに対してコンテンツSEOは、コンテンツ(記事)の内容を改善する施策だ。
キーワード選定や共起語の配置、読者の納得感や信頼感を得やすい記事などを駆使して検索エンジンからの評価を高める。
わかりやすくいうと「SEOも考慮した高品質な記事による集客を狙う」ことがコンテンツSEOの要諦だ。
1.3 似て非なるコンテンツマーケティングとSEOの違い
このように、コンテンツマーケティングとSEOは、本質的にまったく別の施策といえる。
以下の表で、両者の違いを詳しくみていこう。
コンテンツマーケティング | SEO | |
---|---|---|
概要 | コンテンツを駆使したマーケティング | 検索エンジンへの最適化 |
目的 | 受注、売上につながる仕組みづくり | 検索上位の獲得による露出量アップ |
施策内容 |
|
|
流入経路 | 自然検索、オウンドメディア、SNS、メルマガなど | 自然検索(Google、yahoo) |
ターゲット | 潜在層、準顕在層、顕在層、明確層 | 主に潜在層、準顕在層 |
また、コンテンツマーケティングとコンテンツSEOの関係を図にすると、以下のように整理できる。
まず、マーケティング施策の一つとしてデジタルマーケティングがあり、その一つにコンテンツマーケティングとSEOがある。
また、コンテンツSEOはSEOの一種だが、図で示したようにコンテンツ制作と密接に関わり、常につながりがある状態だ。
このように近年では、SEOとコンテンツマーケティングが「コンテンツSEO」を通して融合しつつある。
1.4 コンテンツマーケティングとSEOが混同されやすい原因
明確な違いがあるにも関わらず、コンテンツマーケティングとSEOを混同してしまうケースがある。
例えば、コンテンツマーケティングと称してキーワードを網羅したコンテンツの制作だけに血道をあげてしまうのは、両者を混同しているからだ。
こうした事態が起こる原因としては、以下2点が考えられる。
- マーケティング領域で非常に大きな労力を投入し、即効性があり、数値化しやすい「集客」の部分をSEOが担っているため
- SEOの一種として「コンテンツSEO」が台頭し、リード獲得やナーチャリング、クロージングなど従来のSEOでは期待されなかった役割も担っているため
特に注目すべきは、2つめの「コンテンツSEOの台頭」だ。
近年のコンテンツSEOは、単なる「露出量アップ」という役割だけではなく「コンバージョンやファン層の形成までをも守備範囲とする重要な施策」と見なされるようになった。
このことから「コンテンツマーケティング=SEO」という、誤った認識が広まったと考えられる。
2.SEOとコンテンツで“つまずきやすいポイント”
IT企業やSaaS事業者の多くは、「SEOやコンテンツマーケティングを実施しても、思ったように成果が出ない」と感じていることが多い。
無料ツールを使ってキーワードをチェックし、ブログ記事を公開してアクセス数を増やしても、購買や資料ダウンロードといった目標に繋がらないことは珍しくない。
ここでは、初心者から運用経験のある担当者までが共通して直面しやすい失敗パターンを整理し、どこで成果が止まっているのかを明らかにする。
2.1.流入はあるがコンバージョンに繋がらない
SEO対策によって検索エンジンで上位表示を達成し、アクセス数が増えても、CV(コンバージョン)に結びつかないケースは非常に多い。
原因は、記事が単なる情報提供にとどまり、購買意欲を高める導線(CTA)や事例紹介が不足していることだ。
たとえば、ERPやCRMといったITサービスの解説記事を公開しても、読者に「次に何をすればよいか」を示さなければ、資料ダウンロードや問い合わせにつながらない。
成功している企業は、記事の最後に「無料ツールの体験版」「おすすめ事例集のダウンロード」といった明確な行動喚起を設置し、運用改善を進めている。
2.2.露出はあるが滞在時間・離脱率が悪い
検索エンジンでの露出やクリック率は悪くないのに、滞在時間が短く、直帰率が高いケースもよくある。
これは記事の質が検索意図やアルゴリズムの期待に応えられていないことが大きな原因だ。
特にIT関連のブログ記事では、単なる「機能一覧」や「メリット/デメリットの羅列」だけでは不十分である。
検索ユーザーは比較や導入後の効果まで知りたいと考えているため、具体的な成功事例やコスト削減のシミュレーションがなければ「役に立たない記事」と判断され、すぐに離脱してしまう。
滞在時間を伸ばすためには、実際の運用イメージや購入後の効果を詳しく解説することが必要だ。
2.3.コンテンツのコストメリットが見えない
記事制作に時間や費用をかけても「広告に比べて本当に効果があるのか?」と社内で疑問視されることも多い。
これは、KPIの設定がアクセス数や上位表示といった“表面的な指標”に偏っているからである。
SEOは短期的に成果が出にくいため、無料ツールでのアクセス数チェックやランキング確認だけでは正しい判断ができない。
本来は、資料請求数や相談件数といったビジネス目標に直結する指標を設定し、効果を見える化すべきである。
また、リスティング広告との比較を行うと「短期で成果を得る広告」と「中長期で資産化するコンテンツ」の関係性が整理でき、社内説明もスムーズになる。
3.コンテンツSEOは“質”が成果を左右する
ここまで、以下について解説した。
- コンテンツマーケティングとSEOは本来全く別の施策である
- 近年はコンテンツSEOを通して、コンテンツマーケティングとSEOが融合しつつある
ここからは、さらにコンテンツSEOについて掘り下げていきたい。
3.1 内容が薄いコンテンツは検索順位も低下していく
コンテンツSEOは、SEOの一種である以上、検索上位の獲得も目的としている。
確かに、検索上位に表示されると露出(PV)は増えるだろう。
露出と比例して認知される機会が増えるため、認知拡大という意味では一定の効果が見込める。
その反面、内容が薄く直帰率が高いと検索エンジンからの評価が低下し、順位低下を招きやすくなるリスクもある。
したがって「露出(PV)稼ぎ」だけに終始したコンテンツは、長期的な投資効率という点でみると悪手になってしまう。
従来、一般的なコンテンツSEOの施策としては以下が主軸であった。
- Googleトレンドや検索クエリのボリュームを考慮し、一定のPVが見込めるキーワードを選択する
- メインキーワード、サブキーワード、共起語などを考慮した「検索エンジンに読ませるコンテンツ」の制作
近年では、これらに加えて「人間に読ませるコンテンツ」を制作することで効果が出やすくなっている。
「人間に読ませるコンテンツ」とは「納得感や信頼感を得られる」「新たな視点や視座を得られる」コンテンツだ。
以前は検索エンジンへのアピールと、人間の読者へのアピールを分けて考える傾向が強かったが、現在は両者の間に大きな隔たりがなくなりつつある。
つまり、読み手からの評価が検索エンジンからの評価につながりやすくなっている。
3.2 内容か露出どちらを取るべきか?コンテンツSEOの課題
従来型のコンテンツSEOでは「露出」は増える一方で、実質的な流入(直帰せず内容を読み取ってくれるユーザーの量)は増えず、成果につながらないといった課題があった。
しかし、読者を納得・信頼させ、新たな気づきを与えるようなコンテンツの制作は容易ではない。
そのため、多くの企業で「集客(≒露出)」か「質」かという選択を迫られている。
弊社では、コンテンツSEOについて重視すべきは「コンテンツの質(=実際の情報ニーズに応える内容)」だと考えている。
検索エンジンを使用したときのことを思い出してみてほしい。
抽象的な表現が多かったり、検索している意図を満たしていない、長いわりに内容が薄いといったコンテンツを読んでどう感じるだろうか。
「これじゃない感」を抱き、すぐにほかの情報源を探してしまっている人が多いはずだ。
ありがちな質の低いコンテンツ
具体例として「リードジェネレーションの手法」を調べているケースを挙げてみよう。
「リードジェネレーション 手法」のキーワードで調べている人は、単純にどのような手法があるのか知りたいだけではなく、さまざまな手法を知ったうえで自社に最適な手法を選びたいというニーズがある。
しかし、Web上のほとんどのコンテンツは、リードジェネレーション手法を一覧にし、簡単な解説を付け加えたものがほとんどだ。
これは「顕在ニーズ」のみに着目してコンテンツを作ってしまっているからである。
このようなコンテンツでは、読者の情報ニーズを満たしていないため、早期離脱につながってしまうだろう。
どのようなコンテンツを提供すべきか?潜在ニーズに注目
読者の情報ニーズを満たすためには、主な手法を解説するだけではなく、コストや労力、難易度、会社のフェーズといった観点から自社に適した手法を選べるような情報を提供しなければならない。
つまり「潜在ニーズ」まで満たすコンテンツを作ることがポイントだ。
潜在ニーズまで満たすコンテンツに出会った読者は「より深い情報があるかもしれない」という期待感をもって、最後まで記事を読み込む。
長期的に信頼性を高めやすいため、直帰率を下げる効果も期待できるだろう。
4.コンテンツSEOを作成する8つのポイント
「SEOも考慮した質重視のコンテンツ」を作成する際のポイントを8つ紹介していこう。
ポイント1.顧客「像」をとらえた適切なペルソナ設定する
優れたコンテンツとは「想定した読者にしっかりと価値を届けられるコンテンツ」のこと。
これを実現するためには「想定読者」の粒度を上げる必要がある。つまり「ペルソナ」を可能な限り具体化しなければならない。
よく想定読者を「ターゲット」と表現するが、ペルソナはターゲット(層、群)よりも細かい「像」を想定したものである。
顧客“像”の粒度が細かいほど提供価値を具体化しやすいため「届くコンテンツ」の制作へとつながるだろう。
こうしたニーズを整理するために以下のような「ペルソナ作成テンプレート」を使うと、誰もが同じ基準でペルソナ像を共有(シェア)できる状態をつくることができる。
さらに、ペルソナを「購買フェーズ」で区切ることで、各段階に応じた適切な情報提供が可能となる。
「認知」「興味・関心」「比較・検討」といった購買フェーズに対応づけて、ペルソナをより具体化することが重要だ。
「企業属性(業種・規模)」「担当者(役職・部門)」「フェーズ(検討段階)」の3軸を掛け合わせることで「誰に・どのタイミングで・何を提示すべきか」が明確となる。
ポイント2.顕在ニーズと潜在ニーズを整理する
ペルソナ設定に関連して、顕在ニーズと潜在ニーズの整理も行っていこう。
- 顕在ニーズ:ペルソナが自覚していて、明確に表現されるニーズ
- 潜在ニーズ:ペルソナが自覚していない(もしくは表現していない)ニーズ
特に重要なのが潜在ニーズの把握だ。
例えば「クラウドERPについて情報を知りたい」ユーザーは、その奥に「できるだけ低コストで無駄なく、手間のかからない基幹システムが欲しい」という潜在ニーズをもっているだろう。
潜在ニーズまで把握できると、オールインワン型のERPのみならず、機能別に契約可能なERPソリューションの紹介など「別の選択肢」の紹介にもつなげられるだろう。
このように潜在ニーズを知ることで「読者に新たな気づきや発見」を与えることができる。
ポイント3.ジャーニーの設計
カスタマージャーニーやサーチジャーニーの設計も欠かせない要素だ。
ジャーニーとは「ユーザーの認識の変化」をまとめたもの。
ジャーニーが可視化されることで「意識変遷(パーセプションチェンジ)」を先回りしたコンテンツを用意できるようになり、成果につなげやすくなる。
パーセプションチェンジについては、こちらの記事を参考にしてほしい。
ポイント4.競合分析による「バケツの穴」を特定
上記と並行して、検索上位記事の分析も行っていこう。
上記記事の分析では「内容の傾向」「良い点」「悪い点」などを整理する。
また、ペルソナのニーズを満たしつつ、情報の量と質で上回るような記事になるように、構成や内容を練っていくことが重要だ。
最もシンプルな競合分析の方法は「視点や情報の洩れを発見する(バケツの穴を発見する)」こと。
視点や情報に抜けや漏れがあると、そこで読者へのアプローチが途絶えてしまい、納得感や信頼性を蓄積できない。
したがって、穴をふさぐイメージでコンテンツを企画していくとよいだろう。
ポイント5.キーワード出現数や共起語は意識しつつ、重視しない
先述したとおり、近年のコンテンツSEOでは、キーワード出現数や共起語の数はあまり重視されない。
露出という意味では多少の効果が認められるものの、重要度は低いといえる。
キーワードはタイトルや見出しで意識する程度にとどめておこう。
ポイント6.SEOで露出させ、質で読ませる
とはいえ、従来型のSEOを完全に無視することもできない。
キーワード選定やボリューム調査、共起語などはある程度考慮しつつ、検索エンジンに読ませる部分と人間に読ませる部分を両立させるイメージをもって制作に取り組んでほしい。
この点については、バランスや配置が難しいことがあるため、外部の専門企業を活用する方法も検討しよう。
ポイント7.エバーグリーンコンテンツを狙う
以前からSEOの世界では「エバーグリーンコンテンツ」(トレンドの影響を受けにくい永続的かつ不変な話題のコンテンツ)]の強さが語られてきた。
エバーグリーンコンテンツの多くは、質が高く、中長期的に検索上位を獲得している。
Ahrefsの調査によれば、トップ10にランクインしているページの平均年齢(日数)は、1年以上が大半だ。
出展:WordStream
ちなみに検索順位1位のページのなかで、アップから1年以内のものはわずか1%に過ぎない。
この結果からも、長期目線でのSEO対策(質重視の対策)がいかに重要であるかが理解できるだろう。
ポイント8.EEATを意識する
SEOにおいて、Googleのアルゴリズムは「EEAT(Experience:経験, Expertise:専門性, Authoritativeness:権威性, Trustworthiness:信頼性)」を重視するようになっている。
これは単なるキーワードの多さではなく、記事が本当に信頼できるかどうかを評価する考え方だ。
BtoBのIT企業にとっては、購買検討段階の読者に安心感を与えるための重要なポイントである。
・EEATの4要素と具体策
①Experience(経験)
実際の運用経験や導入事例を紹介することで、読者に具体的な成功イメージを与えられる。
例:「無料トライアルを利用した際の改善効果」「ERP導入後にコストを◯%削減した実績」など。
②Expertise(専門性)
専門資格や業界知識を持つ執筆者が解説していることを明示する。
監修者のプロフィールや業界団体の認定を記載すれば、読者は「専門的に信頼できる情報」と判断する。
③Authoritativeness(権威性)
公的なデータや有名企業のレポートを引用することで、記事全体の信頼度を高められる。
例:総務省の公式調査、IDCやGartnerの市場データなど。
④Trustworthiness(信頼性)
執筆者名・公開日・最終更新日を明記し、情報の鮮度を保証する。
さらに、外部リンクや参考資料を適切に配置することで「裏付けのある記事」であることを示せる。
・EEATがもたらす効果
EEATを意識した記事は、検索エンジンにとっても読者にとっても「信頼できる情報源」として評価されやすい。
特にAI検索の時代には、AIが回答の根拠として拾う一次情報や事例を備えた記事が優位になる。
IT企業やSaaS事業者は、単なるブログ記事の量産ではなく、EEATを満たす質重視のコンテンツ制作に投資することで、中長期的な検索上位とビジネス成果を同時に目指せるだろう。
5.事例と注意点から学ぶ成功/失敗パターン
5.1.成功事例:質重視で検索上位+コンバージョン改善
あるBtoBのIT企業は、単なるアクセス数増加ではなく購買行動につながるような領域を絞って記事作成に注力。
たとえばクラウドERPの「無料体験ツール」や導入支援の比較記事を公開し、読者が次の行動を取りやすいようにCTA(資料ダウンロード、相談フォーム)を設置。
この結果、検索エンジンでの上位表示を獲得しつつ、問い合わせ件数が大幅に増加した。
SEOとコンテンツを組み合わせて“成功”した典型事例である。
5.2.失敗事例:露出だけ追って失敗した例
一方で、別の企業は「SEO=アルゴリズム攻略」と誤解し、キーワードを詰め込んだ広告的な記事を量産した。
短期的にはアクセスが集まったが、内容が薄いため滞在時間は短く、購買や相談には結びつかなかった。
リスティング広告をコピーしただけのような記事は効果が持続せず、コストだけが増加する結果となった。
5.3.注意点:短期志向のリスク
SEOは本来、中長期的な運用で成果を出す施策である。
にもかかわらず「すぐに上位表示を目指す」短期志向に偏ると、更新やリライトを怠り、アルゴリズムのアップデートで順位が急落するリスクが高まる。
BtoBビジネスにおいては、購買検討期間が長いからこそ継続的なコンテンツ発信が重要である。という認識を組織内で共通して持つことが重要だ。
5.4.NG施策:避けるべき施策
SEOやコンテンツマーケティングでは、 一見するとアクセス数が増えるように見えても、長期的にはアルゴリズムに評価されず、逆に順位を下げてしまうケースがある。
また、読者にとって価値のない記事は購買や相談につながらないため、コストだけが無駄になってしまう。
ここでは特にIT企業が注意すべきNG施策を整理する。
- 無料ツールの結果だけをもとに記事を量産する
- 出典や更新日を明記せず、信頼性を欠いたまま公開する
- 「おすすめ」「成功事例」といったキーワードを乱用し、検索意図を無視する
- リスティング広告文をそのまま流用する
- 外部代行に丸投げして社内に知識を残さない
6.AI検索時代のSEOとコンテンツマーケティング
6.1.AI検索のユーザー行動変化
生成AIの普及により、ユーザーは従来の「検索エンジンで調べる」から「AIに質問して要約を得る」へと行動を変化させている。
その結果、AIに引用されやすい記事=信頼性のある記事が重要になっている。
特に初心者や情報収集段階のユーザーは、AIの回答を見た後に公式サイトやブログ記事を確認する傾向が強い。
6.2.AIが拾いやすいコンテンツの条件
AIに選ばれるためには、次の要素が重要である。
- 一次データの提示:調査データや成功事例
- 出典の明示:公式資料や業界レポート
- 定期的な更新:古い情報では信頼性が下がる
- 明確な構造:見出し・リストを使ったわかりやすい公開
これらを押さえることで、AIが回答を組み立てる際に“引用される可能性が高い記事”をつくれる。
6.3.AI検索の限界(最新情報・専門領域)と対応施策
AI検索は便利だが、最新情報や専門領域のデータを正確に反映できないという限界がある。
たとえば法改正やセキュリティ規格の変更などは、AIが即座にキャッチできない場合がある。
そのため、IT企業は公式ブログやオウンドメディアで最新情報を公開し続ける運用が有効だ。
さらに、専門家監修や業界団体のデータを引用すれば、AIにも人間にも信頼されるコンテンツになる。
7.Q&A形式:よくある疑問
・なぜコンテンツSEOは時間がかかるのか?
SEOは検索エンジンのアルゴリズムが評価を積み重ねる仕組みであるため、効果が出るまで平均3〜6か月を要する。
初心者が短期間で結果を求めると「意味がない」と誤解してしまうが、継続的な公開とリライトこそが成果を生む基礎である。
・どうやってコンテンツで“効果的な購買行動”を促せるのか?
ペルソナ設計を行うと、記事の切り口や使う言葉、提示する事例や無料ツールの紹介内容までが明確になる。
たとえば「情報システム部の担当者」を想定するのか「経営層」を想定するのかで、強調すべきポイントは大きく異なる。
前者には運用負荷の軽減や導入手順を、後者にはROIや成功事例を伝える方が響く。
つまり、SEOの基礎であるキーワード選定と同じくらい、想定する読者像を具体化することが成功のカギとなる。
アクセスを集めるだけで終わらせず、読者の行動を次のステップへ進めるために、ペルソナを細かく描き出すことがコンテンツ制作の出発点である。
・分析ツールは必要?おすすめツールは何か?
- 無料ツール:GoogleサーチコンソールやUbersuggest → 基礎的なアクセス数チェックに有効
- 有料ツール:AhrefsやSEMrush → 競合分析や上位表示を目指す運用におすすめ
- 社内運用+外部支援の組み合わせ:効率的なSEO改善を実現
ツールを正しく使い分けることで、SEOの効果を最大化し、ビジネス目標に直結する施策を進められる。
8.まとめ
この記事では、コンテンツマーケティングとSEOの違いや、コンテンツSEOのポイントなどを解説してきた。
コンテンツマーケティングとSEOは、本来デジタルマーケティングのなかで別カテゴリとして存在していた施策だ。
しかし、近年ではコンテンツSEOとしし、webマーケティングの中心的なチャネルとなっている側面もある。
コンテンツSEOでは、単なる短期的な上位表示やアクセス増加を狙うのではなく、質を重視した長期的な施策を進めることが大切である。
具体的には、定期的な記事更新、有益な事例紹介、無料ツールやチェックリストの配布、SNS(facebook/twitter)への投稿やシェアといった複数の手段を組み合わせる必要がある。
さらに、アクセス解析(アナリティクス)を活用し、記事の特徴や読者の関心を把握しながら改善を行うことも重要だ。
こうした取り組みは、お客様の悩みを解決し、商談や商品購入、採用活動の促進へとつなげることができる。
これからの時代は、SEOのインデックスを意識した記事の作り方に加えて、CTAや相談導線を整備し、ビジネス全体の成果に寄与するコンテンツ戦略を目指してほしい。