オウンドメディアが浸透し始めてから、早10年以上が経過した。
一方で、近年しっかりと成果を出す企業とそうではない企業の差が明確になっている。
現在のオウンドメディアは、定期的にコンテンツをアップするだけでは成果を出すことは難しいだろう。
オウンドメディアを成功させるには明確な「軸」を設定する必要がある。
また、制作体制や製作本数の決定など、運用までを見据えた体制構築が必須だ。
ここでは、
- 「オウンドメディアを立ち上げたいが作り方のノウハウがない」
- 「成功しやすいオウンドメディアの作り方を知りたい」
- 「オウンドメディアの立ち上げ中であるが、作り方が合っているか不安だ」
というお悩みを持つ方に対して、オウンドメディアの作り方の全体像を提示した上で、ステップに分けて解説する。
また、各ステップのタスクや注意点、ポイントも合わせて紹介する。
1.オウンドメディアの作り方の全体像
まず、オウンドメディアの作り方に関する全体像を把握しておこう。
オウンドメディアは「作る」「動かす(運用する)」を同時に遂行する必要があるが、その境界線が曖昧になっていると効果が出にくくなってしまう。
そこでオウンドメディアの作り方をステップ別に把握しておこう。
1.1.「作るステップ」と「動かすステップ」
オウンドメディアの作り方から運用までの全体像は5ステップだ。
また、「作り方」としては①~③までが該当し、④と⑤は「動かす(運用)」のタスクになる。
- 戦略から予算策定まで
- 体制構築
- サイト構築
- コンテンツ制作
- 分析と改善
順に解説していく。
作るステップ
①戦略から予算策定まで
最初のステップでは、オウンドメディアの目的や方向性などを決定する。
いわゆる「戦略」の部分だ。
オウンドメディアには複数の目的があり、目的に応じたコンテンツ制作が求められる。
また、コンテンツを届けるターゲットとペルソナの大枠を決定するのもこのフェーズだ。
戦略が決まったあとは予算策定に入る。
予算策定では投資対効果を数値化し、具体的な予算額を決定する。
②体制構築
ここで言う体制とは運用体制だ。
コンテンツを何人のディレクター/ライターで制作し、どの部分を内製でまかなうか、また外注はどの程度使うかなどを決定する。
③サイト構築
サイト構築では、コンテンツを追加するCMSをはじめとしたインフラ周りと、ベンダーの選定などを行い、物理的な構築作業に入る。
動かすステップ
④コンテンツ制作
ここからは運用の部分だ。
コンテンツ制作は、①で決定したターゲットやペルソナをさらに深堀りし、カスタマージャーニーの制作やテーマ選定を行う。
これらに従って、さまざまなコンテンツの企画・制作に入る。
⑤分析と改善
分析と改善では、①で選定したKPIを定点観測し、効果測定を行う。
競合記事との比較分析によってコンテンツをリライトするなど、改善策も実施する。
2.オウンドメディアを「作る」
続いて、オウンドメディアの作り方に関する3ステップを、より具体的に解説していく。
ステップ1:戦略設計から予算策定まで
最初のステップでやるべきことは「戦略設計」「KPIの策定」「予算策定」の3つだ。
戦略設計
戦略とは、端的に言えば「目的」「目標」を達成するための長期的な計画や、方向性、アプローチの概要などを指す。
これらをまとめ、文書化したものが戦略と呼ばれる。
オウンドメディアの作り方に沿う戦略設計は、
- 目的の明確化
- ターゲットとペルソナの把握
- カスタマージャーニーの設計
の3つによって可能だ。
まず目的については、以下6つのうち、いずれかに該当するだろう。
- ブランディング:企業やブランドのイメージを明確にし、育成する
- エンゲージメントの強化: ユーザーとの関係性を深め、ロイヤルカスタマーを生み出す
- 集客: ペルソナに沿ったコンテンツによって、ページビューの向上を目指す
- リード獲得: ユーザーに何らかのアクションを促し見込み客情報を収集する
- ナーチャリング: 獲得したリードに対して、有益な情報を投げかけ、意思決定までのハードルを下げる
- 売上への貢献:問い合わせや商談につなげることで売上増加に貢献する
目的の整理には、こちらの記事を読んでもらいたい。
上記6つから目的を選定した後は、ターゲットとペルソナの把握に移る。
ターゲットとは見込み客候補を大まかな属性で捉えた「層」のようなものだ。
一方でペルソナは、ターゲットに属する個人に焦点を当てた「像」である。
- ターゲットの例:製造業に属する企業の情報システム担当者
- ペルソナの例:30代、経験5年程度、開発経験は上流工程のみ、社内のIT統制全般の施策を任されている
戦略の段階ではペルソナもざっくりとしたもので良い。
ただし、後続のカスタマージャーニーの設計に役立てられるレベルであることが望ましい。
ターゲットとペルソナが決定した後は、カスタマージャーニーの設計に入る。
カスタマージャーニーとは「ユーザーの状況や思考の変化」を旅のように表現したものだ。
主に「認知」「情報収集」「比較・検討」「選定」という4つで表すことができる。
ステージ | 認知 | 情報収集 | 比較・検討 | 選定 |
行動 | セキュリティインシデントの例や実害について調べている | インシデント別の予防策について調べている | 大手2社および主要ベンダーとの製品比較 | 自社サイトへの会員登録および問合せ |
状況・思考 | セキュリティリスクが実際になにを引き起こすか知る | 複数のツールを同時に導入する必要があるかもしれない | 最も安く使いやすいところはどこだろう | サポートや技術力も重視したいので直接話が聞きたい |
キーワード | 社内 セキュリティ
セキュリティインシデント |
不正アクセス ツール
不正侵入 ツール など |
クラウドセキュリティ 比較
など |
(自社名)ツール
(自社ツール名)価格 など |
コンテンツ | 記事コンテンツ | 記事コンテンツ
ホワイトペーパー |
記事コンテンツ
ホワイトペーパー 製品資料 |
記事コンテンツ
LP ホワイトペーパー |
以上が戦略設計の概要だ。
この3つを具体化しておけば、運用の段階でコンテンツの方向性を誤らずに済む。
ちなみに、オウンドメディアの戦略策定はコンテンツマーケティングの戦略策定と共通した部分が多いため、下記の記事も参考にしてみてほしい。
KPIの策定
次に、オウンドメディア運用の成果を図る指標、つまりKPIを策定する。
KPIは独自に策定しても良いが、ノウハウが乏しいうちは一般的なKPIからピックアップする方法がおすすめだ。
また、必要なKPIは目的によって変わる。
そのため戦略設計で決定した「目的」と合致するものでなくてはならない。
下記は、オウンドメディアの目的とKPIの組み合わせの例だ。
- ブランディング:PV、UU、SS、直帰率、平均滞在時間
- エンゲージメントの強化:読了率、回遊率、再来訪、メルマガ登録、資料請求の数
- 集客:PV、UU、オーガニック検索流入数
- リード獲得:CVR、フォーム通過率
- ナーチャリング:読了率、回遊率、再来訪、メール開封率
- 売上への貢献:オウンドメディア経由の問い合わせ数、有効商談数、新規契約数、売上
オウンドメディアの目的別のKPIについては、こちらの記事でも詳しく解説している。
予算策定
オウンドメディアを作る上でさまざまなタスクの制限となるのが「予算」だ。
初めてオウンドメディアを立ち上げる場合は、予算策定の目途を立てにくいだろう。
まずは「投資対効果」の目標値を立て、そこから予算を導き出す方法がおすすめだ。
具体的には、まず以下4つの指標について推測値を算出する。
- 問い合わせ数=PV目標×CVR(0.1%)
- 有効商談数=問い合わせ数×有効商談率
- 受注数=有効商談数×受注率
- 売上目標=受注数×受注単価
次にコストとして人件費や外注費を算出する。
ここでは、目標PV数を達成するための記事数を決め、人件費および外注費を算出しよう。
下記では「月間15記事程度」を制作する場合のコストを計算している。
- 人件費:60万円(月)
- 人件費:720万円(年間)
- 外注費(諸経費こみ):100万円(月)※CMSやサーバー運営費用やコンテンツ制作の外注費
最後にこれらを合算し、1年目から5年目程度までの月間/年間収支を算出し、さらに投じたコストで利益を割り、投資対効果を導き出す。
- 投資対効果:ROI(%)=利益金額 ÷ 投資金額 × 100
もちろんこの計算どおりに実現する保証はないので、あくまでも参考値だ。
しかし、何の手がかりもないところから予算は導き出せない。
投資対効果の値を説明材料とすることで、稟議が通りやすくなるだろう。
予算策定はマネタイズにも深く関係してくるため、非常に重要なタスクだ。
こちらの記事でも解説しているので、一通り目を通してみてはいかがだろうか。
ステップ2:体制構築
2つ目のステップである体制構築では、運用体制に関する具体的な計画を立てる。
一般的にオウンドメディアの運用体制は、次のようなイメージだ。
プロジェクトオーナー
オウンドメディアの運営における責任者だ。
一般的にはマーケティング部門の責任者などが兼任することが多い。
ディレクター
テーマ選定やキーワード選定、コンテンツ企画、ライター・デザイナー・エンジニアへのタスクの割り振りなどを担当する。
オウンドメディア運用における司令塔的な立ち位置であり、こちらもマーケティング部門の人材がふさわしい。
ライター、デザイナー、エンジニア
サイトやコンテンツの制作に携わる人材だ。
月間の制作本数に応じて必要な人数を確保しよう。
ライターについては、月間製作本数が10~20本程度であれば3~5人程度を確保する必要がある。
また、他部署の人材をアサインするか、外注で賄うかという判断も必要だ。
もし他部署の人材にライティングを任せられるようであれば、できるだけ早い段階で打ち合わせに参加してもらおう。
デザイナーについては、インフォグラフィックをどれだけ使用するかによっても変わるが、デザインの統一感を維持するために1~2人程度に留めたほうが無難だ。
エンジニアは、後述のサイト製作にどのようなソリューションを使用するかで必要な数が決まる。
ノーコードで運用できるツールを選定する場合は、スポット的に作業を委託できる外注先を確保しておくと良いだろう。
内製か外部委託かの判断
必要な人材の数が決定した後は、「内製」か「外部委託」かという判断を行う。
社内にノウハウやリソースがない場合は、プロジェクトオーナー以外を外部委託で賄う例も珍しくない。
内製と外部委託の比較については後ほど詳しく解説する。
ステップ3:サイト構築
オウンドメディアの作り方における最後のステップが「サイト構築」だ。
このステップでは、文字通り物理的にオウンドメディアを作る作業に入る。
サイト構築では、コンテンツを管理するCMS(コンテンツ管理システム)や、それを支えるサーバーやネットワークなどのインフラ周りについて、選定を行う。
ちなみに「CMSといえばWordPress」というイメージを持つ方が多いが、BtoBには不向きな面もあることを覚えておこう。
WordPressは直感的な操作が可能で維持管理が楽な反面、動的なサイトや大規模サイトには適していない。
近年は、管理モジュール(バックエンド)とコンテンツを表示する部分(フロントエンド)が分離された「ヘッドレスCMS」など、スピードと拡張性重視の方法もある。
下記はBtoBのオウンドメディアに適したCMSの代表的な例だ。
Kuroco
国内企業導入4000社の実績をもつCMS「RCMS」をベースにした強力な拡張性が強み
https://kuroco.app/ja/
Microcms
無料プランでもAPIコール数が無制限、かつSEOに強い
https://microcms.io/
Newt
シンプルなUIと強力なコンテンツ管理機能をもつ
https://www.newt.so/
Shifter Headless
WordPress の管理画面のままヘッドレス化が可能
さらに海外製のCMSとしては、
- Storyblok
- strapi
- Contentful
- Contentstack
- Flamelink
- GraphCMS
- prismic
などが有名だ。
海外製のCMSは日本語のサポートが提供されていないこともあるため注意しておこう。
サイト構築を外部委託で賄う場合は、選定したCMSを扱うベンダーに連絡し、見積もりを依頼しよう。
複数のベンダーが候補に挙がる場合は、ベンダーの実績や予算との適合を重視しつつ選定を行う。
3.オウンドメディアを「動かす」
これまではオウンドメディアの「作り方」の部分に焦点を当てて解説してきた。
ここからは「動かす」、つまる運用の部分について解説する。
冒頭で紹介した5つのステップのうち、以下2つが運用の部分だ。
それぞれ詳しく見ていこう。
ステップ4:コンテンツ制作
勘違いされがちだが、コンテンツ制作は「運用」に該当する。
オウンドメディアは、長期で市場の見込み客を引き寄せるために、継続的なコンテンツの追加が必要だからだ。
オウンドメディアのコンテンツは、以下5つに分類でき、それぞれ内容や役割が異なる。
制作上の注意点とともに見ていこう。
記事コンテンツ
記事コンテンツはテキスト中心のコンテンツ総称であり、BtoB領域ではトレンド解説、ノウハウ紹介、導入事例、ホワイトペーパーが含まれる。
記事コンテンツの制作時には「情報の濃さ」「可読性」を両立することを心がけよう。
テキストのみならず、インフォグラフィックや要約を適宜挟むことで、読者の認知負荷を下げることができる。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーはダウンロード形式の資料型コンテンツで、テキストとインフォグラフィックにより訴求力を高める。
Web記事の末尾やLPのCTA部分、メルマガにダウンロードリンクを配置する方法が一般的だ。
ホワイトペーパーにもいくつかの「型」があり、それぞれ役割が異なる。ホワイトペーパーの種類については、こちらで解説している。
ホワイトペーパーは1ページあたりの文字数を300~400字程度に抑えつつ、「特徴」ではなく「価値(何ができるか)」を重視した書き方を心がけよう。
これにより、事例紹介や製品紹介とは異なるアプローチが可能になる。
事例、インタビュー記事
事例・インタビュー記事は、自社の解決方法を具体的に示しユーザーの納得感を高める。
課題→施策→効果のストーリー提供により、認知拡大やリード獲得に効果があるコンテンツだ。
ただし、SEOの効果はそれほど高くない。
MAを併用したピンポイントな配信を意識することが重要だ。
動画コンテンツ
動画コンテンツでは、ウェビナーや製品紹介動画などを提供する。
視覚的な訴求効果と汎用性が高い。
会議資料や営業用資料をシナリオとして転用することも可能なため、まずは社内での情報収集に努めてみてほしい。
LP(ランディングページ)
LPは製品・サービスの魅力を直接的にアピールし、特にBtoBでは「問い合わせ」を目標とする。
Web広告の着地点や特設サイトのトップページなど、使用方法は多岐に及ぶ。
BtoBでのLPは使いどころが難しいコンテンツのひとつであり、単体で用いることはあまりない。
そのため、他のコンテンツとの連携を重視した制作がおすすめだ。
例えば、ノウハウ解説記事の内容から自社製品のLPに導線を張る場合は、両者の内容に齟齬がないように注意したい。
ステップ5:分析&改善
オウンドメディア運用では、コンテンツ制作と並行しながら分析&改善にも着手する。
戦略設計のステップで決定したKPIを定点観測し、一定のサイクルで効果測定と改善を実施していこう。
オウンドメディア運用で重視すべきKPI
すでに目的別のKPIを紹介しているが、ここでは一般的なオウンドメディア運用に役立つKPIを提示する。
- PV(ページビュー)数
- 記事数
- UU(ユニークユーザー)数
- SS(セッション)数
- オーガニック検索での流入数
- CV(コンバージョン)数
- 平均検索順位
まず分析では、上記のKPIを週1~月1回の単位で定点観測し、その変動を把握する。
データが蓄積されてくると「PVは増えているがUUが伸びない」「記事数の増加にオーガニック検索流入がついてこない」「CVが伸びない」などの課題が見えてくる。
こうした課題に対し個別の解決策を講じていくことで、オウンドメディアは成長していく。
例えばPVとUUが伸びているにもかかわらずCV数が伸びない場合は、「キラーコンテンツの質が低い」「導線のつなぎ方が不自然である」などの課題が見えてくるはずだ。
この課題を解決するためには、「ホワイトペーパーを新規に作成して差し替える」「ダウンロードフォームへの誘導部分を見直す」などの改善策が必要だ。
さらに、このような「分析→改善」を少なくとも1か月に1サイクルは消化できる体制が望ましい。
4.オウンドメディアの作り方で重視すべきポイント
ここまで紹介した内容は、オウンドメディアの作り方や動かし方に関する基礎的なノウハウだ。
ここからは、より実務的な視点で「重視すべきポイント」を2つ紹介する。
4.1.他サイトとの連携を意識する
現在はオウンドメディアを持つ企業が増え、どの分野でも競争が激しい。
したがってオウンドメディアのみでの目的達成が難しいこともある。
リード獲得~ナーチャリング~コンバージョンの全てをオウンドメディアで賄おうとせず、外部との連携によって成果を作り上げていこう。
具体的には、MAやペイドメディア(広告)、ECサイトとの連携が必要になってくる。
MAとの連携
MAとの連携では、主にナーチャリングが強化される。
獲得済みリードに対して「MAからメール配信→ピックアップしたコンテンツ」に誘導というルーティーンをこなすことで、ナーチャリングが進みやすくなる。
MAの中には「PDFファイルの、何ページのどの部分まで読んだか」を測定できるものもあり、見込み客の行動を精緻に把握することに役立つ。
CMSの中にはMA機能を内包する製品もあり、こうしたCMSを選定することでナーチャリングの効率化が図れる。
ナーチャリング例についてはこちらの記事を参考にしてもらいたい。
ペイドメディア(広告)との連携
ペイドメディアとオウンドメディアは得意分野が明確に異なる。
それだけに「補完関係」を構築しやすい。
オウンドメディアは長期目線で見込み客の裾野を広げていくことを得意とするが、ペイドメディアは短期目線で「いますぐ客」を取り込めることが強みだ。
例えば、短期で大量のリードが欲しい場合は広告からオウンドメディアへの導線を張り、ホワイトペーパーや製品紹介資料につなげていけば良いだろう。
こうした補完関係を実現しやすいように、広告出稿の計画に合わせたコンテンツ制作・配置を考えておくことも成果につながるポイントだ。
詳しくはこちらの記事を読んでもらいたい。
4.2.体制構築とサイト構築は平行する
オウンドメディアの作り方では「戦略設計から予算策定」「体制構築」「サイト構築」という3つのステップがある。
このうち、「体制構築」と「サイト構築」は並行して進めることが可能だ。
体制構築は運用体制に関するルール決めであり、サイト構築は物理的にオウンドメディアの土台を作る作業だ。
全く毛色の異なる作業であり、「片方が完了しなければもう片方が進まない」という性質のものではない。
スピーディーにオウンドメディアを立ち上げるためにも、この2つは並行して進めよう。
ウォーターフォールモデルのように、「体制ができあがってから実装」とするのではなく、並走を意識してプロジェクトを進めよう。
5.オウンドメディアの作り方を「内製」と「外注」で比較
最後に、オウンドメディアの作り方を内製と外部委託で比較し、注意すべき点を整理しておく。
5.1.内製
内製、つまり自社運営の場合はテーマとキーワード選定、コンテンツ制作、効果測定、改善などを全て社内で行う。
他部署の人材をライターとしてアサインすることができれば、良質なコンテンツを制作できるだろう。
さらに、運用ノウハウも蓄積されて自社の資産となる。
一方で、スピーディーな立ち上げは難しく、メディアの成長も遅くなりがちだ。
作り方のステップに沿って整理すると、①はノウハウがあれば十分に可能だ。
特に戦略設計の部分は可能な限り自社で行うべきだろう。
一方で、「ペルソナ」「カスタマージャーニー」などを設計にはノウハウが必要とされるため、この点で遅延が発生する可能性もある。
②の体制構築については、内製によるデメリットはほとんどない。
③のサイト構築の可否については、エンジニアリソースが社内にどれだけあるかに依存する。
また、CMS担当など専任者を置けるかどうかで運用効率が変わることも注意しておきたい。
5.2.外部委託
外部委託は、以下3つのパターンに大別できる。
- 「コンテンツ制作のみを委託する」
- 「効果測定と改善案の提示だけを委託する」
- 「運用全般を一貫して委託する」
Aでは、制作リソースの外部化によって社内人材の疲弊を防ぐことができる。
また、委託先の能力によっては、オウンドメディアの成長が著しく早まるだろう。
社内のリソースに応じて積極的に活用していきたい。
Bでは、内製したコンテンツに対して改善の効果を高めることが可能だ。
第三者の視点によって、オウンドメディアの弱点が可視化される。
Cの場合は、運用全般を任せることで日々の業務負荷が軽減できる。
「作り方」とは別の部分だが、あらかじめ運用を任せる想定で作りこんでいけば、費用対効果を意識した運用に移行しやすくなる。
ただし、社内にノウハウが蓄積されにくいという問題がある。
弊社のおすすめは、「まずAもしくはBのみを委託し、委託先の実力を見極めたうえでCに移行する」というものだ。
こうすることで、自社にノウハウを蓄積しつつ、コンテンツ制作のスピードを維持しやすくなる。
6.まとめ
ここでは、オウンドメディアの作り方から運用のノウハウまでを網羅的に解説した。
オウンドメディアを作る上でのボトルネックは、大半が人的リソースである。
戦略から予算策定までが完了した後は、思い切って外注に任せることでスピーディーな立ち上げが可能になることも多い。
まずは「作る」部分で外部のサポートを受けつつ、必要に応じて「動かす(運用)」についても任せるなど、外部のリソースを有効に使っていこう。