インサイドセールスとマーケティングの違いとは?効果的な連携のポイントも解説

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インサイドセールスは、非対面で顧客にアプローチを行う営業手法だ。

パンデミックの影響や人手不足、働き方の多様化などにより、多くの企業でインサイドセールスの導入が広がっている。

一方で、BtoBビジネスにおいて重要な役割を果たす「マーケティング」との境界が曖昧になってしまうこともあるだろう。

企業の成長と収益性の向上につなげるには、両者の役割を明確にし、強固に連携することが非常に重要だ。

本記事では、

「インサイドセールスとマーケティングの明確な違いがわからない」

「明確な説明ができず、社内での理解を得られない」

「導入・連携による効果の測定や検証方法がわからない」

といった疑問を解決するために、インサイドセールスとマーケティングの役割や業務内容、効果的な連携・運用方法を詳しく解説していく。

インサイドセールスとマーケティングの導入を検討する際の参考にしてほしい。

 

1.インサイドセールスとは?

 

本章では、インサイドセールスの基本的な役割や業務内容について詳しく解説する。

 

1.1.インサイドセールスの役割

 

インサイドセールスの概要

インサイドセールスは、社内から電話、メール、Web会議システムなどの非対面ツールを用いて顧客とコミュニケーションを取る営業方法、およびそのポジションを指す。

近年、インサイドセールスは「Sales Development Representative (SDR)」と「Business Development Representative (BDR)」の2つのモデルが主流となっており、職務範囲が限定されていることが特徴的だ。

SDRかBDRかによって、インサイドセールスが果たす役割は変わるため、ポイントを押さえておこう。

 

Sales Development Representative (SDR)

 

SDRは、見込み客へのアプローチを行い、リード獲得を目指すとともに、購入意欲や的確性を評価して(リードクオリフィケーション)、次の商談へつなげる役割を持つ。

SDRによって質の高いリードをフィールドセールスへ引き渡すことで、営業活動の効率化や成約率の向上につながる。

 

Business Development Representative (BDR)

 

BDRは、長期的なビジネスの成長や収益の増加を目的として、市場開拓や新規ビジネス機会の発掘を行う。

業界のトレンドや市場ニーズなどを詳細な調査を行い、新しい市場や顧客層の開拓を計画して戦略を立案・実行することが主な役割だ。

日本では、インサイドセールスといえばSDRを指すことが一般的だが、グローバルなビジネスシーンではBDRも重要な役割を担う。

SDRとBDRは異なるアプローチを採用しているが、どちらも企業の成長と収益性の向上を目指している。

 

1.2.インサイドセールスの業務内容

 

インサイドセールスの役割と業務内容は多岐にわたり、企業の販売戦略の実行や目標達成に欠かせない。

インサイドセールスの主なモデルである、SDRとBDRの業務内容を解説する。

 

Sales Development Representative (SDR)

 

SDRの業務は基本的に、

  1. リードの見極め
  2. 初期アプローチ
  3. ニーズの確認
  4. フォローアップ
  5. フィールドセールスへの引き継ぎ

の5つのフェーズで進んでいく。

それぞれのフェーズにおける業務内容、フォローアップのタイミング、業務の目的は以下の表のとおりだ。

<SDRの業務内容>

フェーズ 業務内容 フォローアップの

タイミング

目的
①リードの見極め マーケティング部門から得たリードを分析し、確度の高いリードを特定する。 リード情報を受け取ってから24時間以内に初回のコンタクトを行う。 高品質なリードを早期に特定し、効率的な営業を進めていくため。
②初期アプローチ 電話やメールを通じてリードにコンタクトを取り、製品やサービスへの関心度合いを探る。 初回のコンタクトの後、数日以内に関心の高いリードのフォローアップを行う。 興味を持っている内容を確認し、詳細なニーズや課題を把握する。
③ニーズの確認 詳細な説明やデモを行い、リードの具体的なニーズや課題を深掘りする。 デモ実施後、2営業日以内にフォローアップを行う。 リードの具体的なニーズを理解し、商品との適合性や訴求内容を吟味するため。
④フォローアップ リードの質問に回答したり、追加情報を提供したりして、関心の維持を図る。 前回のフォローアップから1週間以内に再度連絡する。 リードに具体的な提案を行い、 購入の意欲を高めるため。
⑤フィールドセールスへ引き継ぎ 商談化を行い、フィールドセールスに引き継ぐ。 すみやかにフィールドセールスに情報を提供する。 フィールドセールスが効果的な商談を行えるようにするため。

 

Business Development Representative (BDR)

 

BDRの業務は基本的に、

  1. 市場調査
  2. 新規リード獲得
  3. パートナーシップ開発
  4. 営業サポート
  5. 戦略の立案

の5つのフェーズで進んでいく。

それぞれのフェーズにおける業務内容、フォローアップのタイミング、業務の目的以下の表のとおりだ。

<BDRの業務内容>

フェーズ 業務内容 フォローアップの

タイミング

目的
①市場調査 新しいビジネスチャンスや市場動向を調査し、ターゲット市場を特定する。 調査データをもとに定期的に会議で報告する。 新たなビジネスチャンスを特定し、事業拡大の可能性を探るため。
②新規リード獲得 オンラインイベントや業界会議などを通して新規リードを獲得する。 イベントや会議後すぐにリードと初回のコンタクトを行う。 ビジネスの成長につながる、新たなリードを獲得するため。
③パートナーシップ開発 良好なパートナーシップを構築するために様々な企業や団体と連携を図る。 初回面談後、一週間以内にフォローアップを行う。 長期的な関係性を構築し、相互のビジネス拡大を図るため。
④営業サポート 製品デモのスケジューリング、資料の提供、リードの疑問解消を行う。 デモやコンタクトの後、24時間以内にフォローアップを行う。 フィールドセールスの商談を成功に導くサポートをするため。
⑤戦略の立案 新規市場開拓や新サービス展開のための戦略を立案し、実行する。 計画立案後、関連部門と月1回程度の進捗確認と課題整理を行う。 組織全体の成長戦略に沿ったビジネス戦略を立案し、実行するため。

ただし、国内でのBDRの業務内容は、上記の内容とは異なる場合がある。

欧米におけるBDRの主な業務は、新規ビジネス機会の発掘やリードとの関係構築に重点を置いている。

しかし、日本では、BDRが未接触の潜在顧客に直接コンタクトを取る業務を担当しており、「コールドコール部隊」として位置づけられているのが実情だ。

 

2.インサイドセールスとマーケティングとの違い

 

インサイドセールスとマーケティングとの違い

インサイドセールス(SDR)とマーケティングは、どちらも企業の成長と収益性の向上を目指しているが、役割には大きな違いがある。

マーケティングは、市場調査、広告キャンペーンの実施、ブランドポジショニングといった広範囲の活動を通じて、適切なターゲットに対する露出を増やす。

これにより、潜在顧客の関心を引き、認知度拡大やリード獲得につなげる役割をもつ。

一方でインサイドセールスは、マーケティングが獲得したリードを引き継ぎ、商談に転換することが主な役割だ。

電話、メール、Web会議システムなどを用いて直接顧客とコミュニケーションを取り、顧客のニーズや疑問に応えて購買意欲を高め、製品やサービスを訴求する。

このように、マーケティングが「リードを生み出す」ことに焦点を当てるのに対し、インサイドセールスは「リードを商談へと進展させる」ことを目指している。

両者が連携し合うことで、企業はマーケティングが獲得したリードを確実に売上に結びつけられるだろう。

また、BtoBマーケティングにおいて「リードを生み出す」ことを「リードジェネレーション」という。

リードジェネレーションについては以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてほしい。

リードジェネレーションとは?手法別の優先度や難易度、課題と解決策・効果測定方法を解説

 

3.インサイドセールスとフィールドセールスの違い

 

インサイドセールス(SDR、BDR)とフィールドセールスの違いは、以下の表のとおりだ。

<インサイドセールスとフィールドセールスの違い>

SDR BDR フィールドセールス
定義 マーケティングから引き継いだリードに対して、受注確度の高いリードを特定し、商談化を行う。 新しいビジネスチャンスを発掘し、市場を開拓するために戦略を立案し実行する。 顧客を直接訪問し、対面での営業活動を行い、契約締結を目指す。
主な役割 リードの質を見極め、商談に進むべきリードを特定する。顧客への初期コンタクトを担当し、関心を引き出す。 売上が見込める新規市場を特定し、ターゲット市場にアプローチする。 新規リードの獲得と長期的なパートナーシップの構築を行う。 商談相手からの信頼を勝ち取り、取引を成立させる。
業務内容 電話、Eメール、Web会議システムを用いてリードにアプローチし、関係性を構築する。 市場調査を行い、新規顧客を開拓するための戦略を立て、実行する。 対面でのプレゼンテーションやデモを実施し、顧客と直接交渉する。

インサイドセールスは、電話やメールなどの非対面ツールを用いて、リード獲得や質の高い見込み客の特定を行い、顧客へのコミュニケーションを通じて商談化へと導く。

一方、フィールドセールスは、インサイドセールスから引き継いだ、確度の高いリードを直接訪問し、詳細な提案〜受注に至るまでの商談を担当する。

ただし、両者は独立しているわけではなく、それぞれの強みを活かしてお互いを補完する関係性にある。

例えば、インサイドセールスがリードの課題や要望を細かく把握し、事前に適切な情報提供を行っておくことで、フィールドセールスはその課題に合わせた提案やデモが可能だ。

また、フィールドセールスが受け取ったリードの受注率や、顧客の反応など、実際の現場の情報をフィードバックすることで、インサイドセールスのリードクオリフィケーションの質は高まっていく。

このように、インサイドセールスとフィールドセールスが連携し、補完しあうことで、顧客獲得から受注までのプロセス全体がスムーズに運営され、企業の成長や売上向上につながる。

 

4.インサイドセールスとマーケティングの連携

 

BtoBの商談の成否を大きく左右するポイントの一つとして、インサイドセールスとマーケティングの連携体制の構築が挙げられる。

両部門が連携体制を築くための重要なポイントをみていこう。

 

4.1.共通の目標、KPIの設定

 

インサイドセールスとマーケティングの連携を成功させるためには、両部門が同じ目標やKPIに向かって、共通意識をもったうえで取り組むことが重要だ。

もし認識が一致していない、もしくは明確な指標を定めていなければ、両部門の作業プロセスや進行速度が噛みあわず、営業活動の効率が悪化するおそれがある。

また、共通の明確な基準を定めることで、両部門の活動結果を定量的に評価でき、問題点や改善策を具体的に議論しやすくなる。

その結果、マーケティング施策やインサイドセールス手法の改善が促され、組織全体の目標達成へ貢献できるだろう。

具体的なKPIとしては、以下が挙げられる。

名称 内容
リード獲得数 主にマーケティングが獲得したリードの数。

月間または四半期ごとに評価し、特定のキャンペーンやチャネルからのリードも含む。

リード転換率 マーケティングが獲得したリードが、インサイドセールスによりどの程度商談化されたかを評価する。

リードの質とインサイドセールスの効果を測定する。

商談成約数 フィールドセールスが行った商談のうち、成約に至った数。

マーケティング施策とセールスの活動が、どの程度効果を発揮しているかを評価するための指標。

マーケティングとインサイドセールスによるリードクオリフィケーションや、連携・トスアップの方法が適切かどうかも評価できる。

ROI(投資収益率) マーケティングとセールスの活動で投じた投資に対して、得られた収益の割合。

特定のキャンペーンや営業戦略から得られた効果を測定する。

顧客獲得コスト(CAC) 新規顧客一人当たりにかかった獲得費用。

この指標を計算することで、マーケティングとインサイドセールスの費用対効果を評価する。

CACが低ければ、効率良く顧客を獲得できていることを示す。

顧客生涯価値(LTV)とCAC比 顧客生涯価値(LTV)を顧客獲得コスト(CAC)で割った比率。

マーケティングとインサイドセールスの持続可能性を評価する。

LTVがCACを大きく上回る場合、長期的な利益が期待できる。

 

4.2.リードクオリフィケーションの明確化

 

リードクオリフィケーションの明確化は、インサイドセールスとマーケティングが効果的に連携し、営業活動の効率やリードの質を高めていくために重要だ。

マーケティング部門は、さまざまなキャンペーンやチャネルを通じて獲得したリードのなかから、インサイドセールスに連携すべきリードを選定する。

この選定基準を、リードの興味の度合い、購入意欲、行動履歴、セールスからのフィードバックなどにより明確化することで、マーケティングが提供するリードの品質を担保できるだろう。

また、インサイドセールスは、マーケティング部門からのリードを受け取り、確度の高いリードを商談化する。

この選定基準に関しても、顧客の反応や購入意欲などで明確化しておけば、高品質なリードをフィールドセールスへトスアップし、商談を効率的に進めることが可能だ。

このように、両部門が連携してリードクオリフィケーションの基準を明確化することで、時間やリソースの浪費を防ぎ、商談の質と成約率の向上が期待できる。

また、実際に高品質なリードを獲得できているかに関しては、前述のKPIを用いて定期的に評価を行い、改善していくことが重要だ。

繰り返しの評価と改善により、マーケティングとインサイドセールスの連携はより強固となり、売上につながる商談をより多く生み出せるだろう。

 

4.3.MAツールやSFAツールを利用した顧客情報の共有

 

インサイドセールスとマーケティングの連携では、MAやSFAなどのツールを利用した顧客情報の管理と共有が重要だ。

MAやSFAによって顧客データを一元化することで、インサイドセールスはマーケティング部門から提供されるリード情報を、過去から最新のものまで即座に把握でき、顧客の興味や傾向に合ったアプローチが可能となる。

特に、顧客の情報や行動データをもとに、最適なタイミングで顧客にメールなどでアプローチを行えるMAツールの利用が効果的だ。

例えば、顧客がウェブサイトで製品ページを閲覧したあとすぐに、関連情報やオファーをメールで送信すれば、顧客の関心や熱量が高いうちにアプローチできる。

また、SFAツールを使用すると、マーケティングやインサイドセールスは過去の顧客とのやり取りや、フィールドセールスによる商談の進捗を確認できる。

受注につながりやすい、もしくは受注に至らなかった顧客の情報をダイレクトに取得できるため、より確度の高いリードの選定や、効率的な営業活動を実現できるだろう。

 

4.4.定期的なコミュニケーションと課題の共有

 

インサイドセールスとマーケティング間で連携体制を継続するためには、定期的なコミュニケーションと課題の共有が不可欠だ。

これにより、マーケティングやインサイドセールスにおける検証・改善の速度と質が向上し、営業活動の効率や効果が底上げされる。

具体的には、週次または月次でのミーティングを設定し、そのなかでリードの質、キャンペーンの反応率、進行中の商談の状況など、重要なKPIや定性データ、顧客の実際の反応について情報共有を行っていこう。

マーケティングが獲得したリードの質と量、インサイドセールスによるフォローアップの効果を定期的に評価し、改善点の特定が可能となるはずだ。

さらに、四半期ごとのように、長めのスパンでの振り返りを行い、商談成約数、顧客獲得コストなどの長期的なKPIの評価も行う。

これにより、マーケティングキャンペーンやセールスプロセスの総合的な効果を把握し、営業活動全体におけるリードの選定基準、KPIやKGIなどの総合的な見直しを図ることができる。

 

5.まとめ

 

マーケティングの主な役割は、市場調査や広告キャンペーンの実施などを通じて潜在顧客の関心を引き、リードを生成することだ。

一方、インサイドセールスは、電話やメールなどの非対面ツールを用いてリードとコミュニケーションを取り、質の高いリードを商談へと進展させることを目的としている。

両者の連携により、高品質なリードの受け渡しや営業活動の効率化が可能となるだろう。

両者の連携や運用においては、本記事で解説したKPI指標も活用し、具体的な評価と改善を進めていってほしい。

組織体制や営業プロセスの変更は体力を要するが、インサイドセールスとマーケティングの密接な連携は、企業の持続的な成長に貢献してくれるはずだ。

ノウハウがない場合は、外部の支援も検討しながら、最適な組織を作り上げていこう。

 

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