ユニークユーザー(UU)数とは、特定の期間内にサイトを訪れた個別のユーザーの数を指す。
同じ人が何度訪れても1カウントとなるため、実際にどれだけの人がサイトやサービスに興味を持ったかを測る指標となり、本質的な「集客力」を把握できる。
一方で、以下のような悩みや課題もよく耳にする。
「PVは順調に増えているのに、ユーザー数が増えない」
「認知度の向上が重要な時期なので、ユーザー数を大幅に増やしたい」
「広告施策以外でユーザー数を増やすのが難しい」
そこで本記事では、ユニークユーザー数の基礎知識、重要性、増加のための具体的な施策まで詳しく解説する。
Web集客に課題がある方はぜひ最後までご覧いただきたい。
1.ユニークユーザー数とは?
ユニークユーザー数(UU数)は、Webサイトに訪問した個別のユーザー数を表す。
一定期間内で100人のユーザーが合計でウェブサイトを1000回見た場合、ユニークユーザー数は100だ。
Webサイトに訪れた実質的な人数がわかるため、Web上での集客力を把握するうえで最も重要ともいえる指標だ。
図で表すと以下のようになる。
また、GA4などのWebサイト分析ツールでは「ユーザー数」と表現される場合が多い。
2.ユニークユーザー数が計測される仕組み
ユニークユーザー数(UU数)は、ブラウザのCookie情報からユーザーを識別して計測するのが従来の方式だ。
Cookie(クッキー)とは、ブラウザがユーザーの閲覧情報を一時的に保存するデータを指す。
しかし以下のようなケースでは、同じユーザーであっても異なるユニークユーザーとしてカウントされ、必ずしも正確な計測とならない課題が存在していた。
- 異なるデバイスでアクセス(例:同一人物が、PCとスマートフォンでアクセスした場合)
- 異なるブラウザでアクセス(例:同一人物が、ChromeとFirefoxでアクセスした場合)
- 閲覧ユーザーがCookieを削除して再訪問した場合
- 閲覧ユーザーがCookieを拒否している場合
- Cookieの有効期限が過ぎた場合
- ブラウザのシークレットモードでアクセスした場合
ところが、Googleアナリティクスの現行バージョン「GA4」では、上記のような課題や個人情報保護に対する規制対策として、ファーストパーティCookieにくわえてCookieレストラッキングを併用している。
具体的には、ユーザーIDと呼ばれる識別子やデバイスID、「Googleシグナル」機能を活用して、Cookieに頼らずユーザー属性や行動を計測できる環境を提供している。
GA4では多面的なアクセス解析により、従来よりも正確性の高いユニークユーザー数の計測が可能となっているのだ。
参考:
[GA4] ユーザー提供データの収集|アナリティクス ヘルプ
[GA4] ウェブサイトでの Cookie の使用 – アナリティクス ヘルプ
ga4におけるユーザー識別について教えてください|Google アナリティクス コミュニティ
3.ユニークユーザー数とほかの指標との違い・関係性
ユニークユーザー数以外にもサイトパフォーマンスを測るために押さえるべき指標は多い。
各指標にはそれぞれ意味があり、組み合わせて分析を行えば、より精度の高い課題抽出や戦略策定が可能となる。
ユニークユーザー数と合わせて代表的な指標は「セッション(SS)数」や「ページビュー(PV)数」だ。
- UU数(ユニークユーザー数)
サイトを訪れた「人」の数(同じ人が何度訪れても1カウント) - PV数(ページビュー数)
ページが開かれた「回数」(同じ人が何回見てもすべてカウント) - SS数(セッション数)
訪問の「回数」(1人が1日に何度も訪問すれば、その分カウント)
これらの指標は、単独で計測するより、組み合わせて分析するほうが、サイト全体や各ページの効果・課題をつかみやすい。
たとえば、ページAのPV数が増えていて、ユーザー数は変わらないという場合、ページAに対する反応は良く、ユーザーのエンゲージメントが高まっていると予測できる。
一方で、ユーザー数が増えていないのは新規のユーザーを取り込めていないことを示唆するため、広告施策やSEOの強化など、認知拡大のための施策が必要となる。
以下の記事では「セッション数」について詳しく解説しているため、合わせて参考にしていただきたい。
これら3つの指標以外にも、GA4に関していえば、「ユーザー」に関する指標が複数ある。
ユーザーの行動や反応をより詳細に把握するヒントとなるため、ぜひ覚えていただきたい。
指標 | 定義 |
総ユーザー数(=ユニークユーザー数) | 特定の期間内にサイトを訪れた個別のユーザーの数。
GA4では「総ユーザー数」という指標で計測される。 |
ページビュー数(PV数) | Webサイト内の各ページが閲覧された総数。同一ユーザーが同じページを複数回閲覧した場合も、その都度カウントされる。
GA4では「表示回数」という名称。 |
セッション数(SS数数) | ユーザーがWebサイトへ訪問してから離脱するまでの一連の活動を1回のセッションとしてカウントする。
セッションは30分間操作がない場合に終了する。 |
新規ユーザー数 | 新規ユーザー数とは、特定の期間内に初めてWebサイトへ訪れたユニークユーザーの数を指す。 |
アクティブユーザー数 | 何かしらの興味・目的をもってページを閲覧したユーザーのこと。
GA4では「エンゲージメントセッション」「first_visitイベント」「engagement_time_msec パラメータ」のいずれかが発生・収集されたユーザーと定義している |
コンバージョン数 | コンバージョンとは、Webサイトにおける最終的な目標達成地点を指す。
たとえばBtoBならば、購入や資料請求、見積もり依頼などがコンバージョンとして設定される。これらの目標達成数がコンバージョン数となる。 |
参考:
[GA4] ユーザーに関する指標を理解する|アナリティクス ヘルプ
[UA→GA4] 指標の比較: Google アナリティクス 4 とユニバーサル アナリティクス|アナリティクス ヘルプ
[GA4] アナリティクスのディメンションと指標|アナリティクス ヘルプ
なお、Webサイトのパフォーマンスの測定方法は以下の記事をご覧いただきたい。
BtoBにおけるWebサイトのKPIと戦略設計のポイントまで詳しく解説している。
4.ユニークユーザー数の重要性とは?
ユニークユーザー数の分析や増加戦略は、BtoBビジネスと相性がよく、改善すべき指標である。
ここではその「重要性」について、理解しておこう。
- リード獲得の機会が増える
- 検索エンジンからの評価向上につながる
- コンテンツ制作の効率化
以下より詳しく見ていこう。
重要性1.リード獲得の機会が増える
BtoB向けのWebサイトでは、ユニークユーザーを継続的に増やすことが、リード(見込み客)獲得機会の創出に直結する。
リード獲得の入り口の多くは、オンライン上にある。
検索結果や広告などのきっかけからサイトへ流入し、企業やサービスについて知り、コンテンツやナーチャリング施策を通じてリード獲得につながることが一般的だ。
よって、ユニークユーザー数の増加は「リード獲得につながるユーザーの母数」の増加を意味する。
つまり「リード獲得の機会」が増え、量の部分でリードジェネレーションに貢献する。
これにプラスしてリードの「質」を高めたい場合は、テーマ選定やターゲティングを調整し、エンゲージメントの高いコンテンツの蓄積が有効だ。
重要性2.検索エンジンからの評価向上につながる
ユニークユーザー数が多い、つまり多くのユーザーが訪問するコンテンツは、高品質で人気のコンテンツと捉えられ、SEO評価が高まりやすい。
検索エンジンはユーザーに満足されるコンテンツを評価するため、多くのユーザーが来訪しエンゲージメントが高いページは検索上位を取れる可能性が高まるためだ。
結果、検索上位表示によって、より多くのユーザーを獲得できる好循環に持つながる。
重要性3.コンテンツ制作の効率化
ページ別にユニークユーザー数を分析すると、どのコンテンツが新規ユーザーの集客に貢献しているのかを可視化できる。
この結果をもとにテーマの選定などを進めれば「刺さりやすい」コンテンツを効率的に生み出せる。
さらに、流入経路別でのユニークユーザー数にも目を向けてみよう。
自然検索(Organic)によるユーザーを増やせれば、広告への依存を回避できるため、マーケティングコストの削減にもつながる。
リードタイムが長いBtoBでは、顧客獲得の費用対効果の最適化が課題だが、この課題でもユニークユーザー数は役立つ指標となる。
5.ユニークユーザー数の調べ方【GA4】
ここからは、Googleアナリティクス(GA4)を使ったユニークユーザー数(UU数)の調べ方を3パターン紹介する。
GA4では、「ユーザー」という指標でUU数を確認できる。
一定時間の滞在や反応のあるユーザーを増やすという実践的な目的を考え、ここでは「アクティブユーザー数」を調べる方法を見ていこう。
さっそく、実際の画面を見ながら解説しよう。
5.1.サイト全体のユニークユーザー数の確認方法
1.GA4にログインしてホーム画面を開く。
2.ホーム画面左側のメニューにある[レポート]をクリック。「レポートのスナップショット」が表示される。レポートのスナップショット中の「アクティブユーザー」が指定期間内のユニークユーザー数に該当する。
3.集計期間の指定は、同メニュー画面の右側の日付選択メニューより任意で選択可能。(デフォルトでは28日間が指定されている。)
5.2.ページ別ユニークユーザー数の確認方法
1.GA4にログインしてホーム画面を開く。
2.ホーム画面左側のメニューにある、[レポート] > [エンゲージメント] > [ページとスクリーン] の順にクリック。
3.表示された「ページパスとスクリーンクラス」の中に、ページタイトルごとに「アクティブユーザー」が表示される。ここで表示されるアクティブユーザーの値が、ページ別のユニークユーザー数を示している。
※この方法でも、デフォルトの期間指定は「28日間」で、任意に変更が可能。
※このレポートでは、ページ別のPV数(表示回数)やユーザーのページ別平均閲覧時間(アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間)も同時に確認可能。
5.3.データ探索機能での詳細分析
1.GA4にログインしてホーム画面を開く。
2.ホーム画面左側のメニューにある、[探索] をクリック。
3.「データ探索」画面の [空白] をクリックする。
4.「ディメンション」には「ページタイトル」や「ページパス」もしくは「ページタイトルとスクリーンクラス」を設定し「行」の項目にセット。同じく「指標」には「ユーザー」や「アクティブユーザー」を追加し、「値」の項目へセット。
5.ページタイトルごとに「アクティブユーザー」が表示される。ここで表示されるアクティブユーザーの値が、ページ別のユニークユーザー数を示している。
※レポートの出力条件を細かく設定すれば、特定のページやセクションごとのUU数を詳細に分析できる。
6.ユニークユーザー数を増やす具体的な施策
ユニークユーザー数を増やすためには、新規ユーザーにWebサイトの存在を認知させ、サイトへ流入させる仕組み作りが欠かせない。
本章ではBtoB向けのWebサイトにおける、ユニークユーザー数を伸ばすための5つの実践方法を解説する。
施策1.良質なコンテンツの作成
ユニークユーザー数を増やすための基本となるのは、良質なコンテンツの提供だ。
ここでいう良質なコンテンツとは、検索ユーザーの顕在ニーズに合致するだけでなく、潜在ニーズを満たし、ユーザーの満足度を高めるコンテンツを指す。
ユーザーの満足度が向上すれば、検索エンジンから評価を得て、上位表示につながる。
よって、自然検索経由の流入が拡大し、ユニークユーザー数の増加をもたらすというわけだ。
良質なコンテンツ制作のコツについては、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしていただきたい。
施策2.SEO(検索エンジン最適化)対策
前段の「良質なコンテンツ」を作成とも関連するが、SEO対策はユニークユーザー数を増やすための基本的な施策だ。
現在では、集客において自然検索による流入を増やすため、SEOに取り組む企業が増えたが、本質を捉えて行えている企業は多くない。
特にBtoBでは、品質を重視しないコンテンツの量産や、キーワード起点でのSEO対策が効かなくなる状況が予測される。
Google検索においても生成AIが導入され、単純な知識や特に独自性や専門性が必要のないキーワードに対しては、すべてAIがさばいてくれるという未来も遠くない。
そんな中で重要となるのは、以前よりGoogleが提唱している「E-E-A-T」の充実だ。
BtoBの場合、専門的な情報や「ノウハウ」を求めるユーザーが多いため、専門家による執筆や監修、独自の一次情報の収集や解説がより評価されるだろう。
また、1記事だけではなく、関連する複数のコンテンツで潜在ニーズも包括的に満たしてエンゲージメントを高め、Googleに「人気のコンテンツ」と認識させることも効果的だと考えられる。
SEO対策について理解を深めるならば、以下の記事がおすすめだ。
ぜひご確認いただきたい。
施策3.Web広告の活用
Web広告では費用がかかるが、即効性が高く「手っ取り早く」ユーザーを増やせる。
また、年齢や性別、職種、興味関心など、細かいターゲティング設定が可能で、自社製品・サービスに関心を持つ確率が高いユーザーに絞ってアプローチできることも魅力だ。
コストはかかるもののユニークユーザー数を増やし、短期間で集客やリード獲得につなげたい場合に有効だといえる。
BtoBにおけるWeb広告運用を基本から理解するには、以下の記事が参考になるため、ぜひご覧いただきたい。
施策4.外部メディアの活用
BtoBでは業界内での専門性の認知や信頼性を高めるPR活動が、ユニークユーザー数を増やす有効な策となる。
なぜなら、BtoBでは企業の信頼が購買や取引の判断に大きく影響するからだ。
具体例のひとつとして、プレスリリース配信サービスの活用がある。新サービスの告知や第三者からの評価・称号、受賞歴などをプレスリリース配信すれば、PRの間口を広げられる。
注目を浴びれば、業界メディアで取り上げられたり、口コミで専門性や権威性を高められたりといったチャンスも生まれる。
そのほかにも製品比較サイトへの掲載により、競合他社に対する優位性を訴求して認知拡大をめざす方法もある。
外部メディアの活用が信頼性や認知度向上へ貢献し、ユニークユーザー獲得の拡大につながるのだ。
施策5.SNSの活用
近年ではBtoBでも、SNSの活用がユニークユーザー拡大に無視できない存在となっている。
幅広い年齢層や興味・関心を持つユーザーが利用するSNSは、高い情報拡散力が特徴だ。
良質なコンテンツは拡散により多くのユーザーの目に触れるため、ターゲット層だけでなく潜在層にもアプローチできる点が魅力となる。
さらに、SNS上でのエンゲージメントが高まれば、ブランドに対するファン化の促進という相乗効果をもたらす。
BtoBにおける活用例としては、製品・サービスに関する情報や業界ニュースの発信にくわえ、オウンドメディア記事やホワイトペーパー、セミナーなどのコンテンツ配信が代表的だ。
いずれもユーザーの興味・関心を引きつけ、Webサイトへの誘導を促す。
7.まとめ
本記事では「ユニークユーザー数」の概要から、重要性、増加施策まで網羅的に解説してきた。
BtoBにおけるでユニークユーザー数は、リード獲得に直結するという点で追跡・改善する必要のある指標だといえる。
ユニークユーザー数の増加を達成するには、単に数値を追いかけるだけでなく、ユーザーにとって価値ある情報を提供し、長期的な関係構築をめざすことが不可欠だ。
もし自社サイトのユニークユーザー数に問題があるならば、ぜひ本記事を参考として対策に取り組んでいただきたい。
弊社ではIT企業に特化したマーケティング支援を行っている。
Web集客に課題がある場合は、ぜひお気軽にお問い合わせいただきたい。