ホームページはデジタルマーケティングの中でもポピュラーな施策だ。
多くの企業において、集客の中心として機能しているといえる。
一方で、以下のような悩みを抱える企業も多い。
「ホームページを作成したものの、集客の効果を体感できていない」
「Web広告を出してもホームページへの集客効果がない」
「PVは増えてきたがコンバージョンが発生しない」
オンライン施策によるマーケティングが重視される現代において、ホームページの重要性は増している。
ただし、「企業のプロフィールと製品情報を載せただけ」のホームページ制作では効果が出にくい時代だ。
特にIT企業やSaaS事業者においては、CV(コンバージョン)を上げるための導線設計や、SEO/コンテンツマーケティングとの融合が欠かせない。
検索エンジン最適化(SEO)、メールマーケティング、SNS連携などの手段を組み合わせた「集客方法とコツ」を戦略的に活用する必要がある。
本記事では、ホームページを活用したBtoB集客の重要性を解説するとともに、成果を得るための基本的な 方法 や、コンバージョンにつなげる戦略設計のコツを紹介する。
AI検索やゼロクリック時代に求められる最新の対応策についても触れながら、広告との併用方法などを解説する。
目次
1.BtoBの集客でホームページを活用すべき理由
まず、BtoBビジネスにおけるホームページの重要性とメリットを解説する。
先に、ホームページを含む全体的な集客チャネル設計について理解を深めたい方は、こちらの記事(マーケティングチャネル設計・最適化マニュアル)も参考にしてほしい。
マーケティングチャネルとは?IT企業のための完全設計ガイド
1.1.ホームページの重要性
ホームページは、個人や企業がWeb上でコミュニケーションを行う場として重宝されてきた。
ただし現在は、オウンドメディアがその役割を引き継いでおり「集客という点では重要性が高くない」と考える方もいるようだ。
しかし、BtoBでは依然としてホームページが重要な存在である。
なぜなら、BtoB取引で最も重要な「信頼性」「実績」を提示する場となるためだ。
BtoBは企業対企業の取引であり、商材そのものよりも「信頼に足る企業か」が重視される。
特にITシステムやSaaSのような無形商材を販売する場合には、信頼性と実績の重要性が倍増する。
サポート情報に加え、バージョンアップや機能改善の継続的な提供を対外的に示す存在となるためだ。
この他にもホームページはBtoB集客において、以下のような役割を担っている。

・顧客の第一印象を形成する
ホームページは企業の「顔」であり、訪問者に対して企業の信頼性を高める役割を担っている。
企業の歴史や成り立ち、主要事業、実績、財務情報などを複数ページで展開し、企業の信頼性とブランドイメージを強化するのだ。
ホームページは、企業の「第一印象」を決める情報の集合体となる。
・広範な対象にリーチする
ホームページは24時間365日、どこからでもアクセスできる。
営業時間外でも見込み客を引き付けることができ、物理的な制限もない。
集客の観点では、依然として優秀なツールであることに変わりはない。
また、オウンドメディアほどではないにせよ、リードジェネレーションやナーチャリングの効果も期待できる。
・製品やサービスの詳細な情報を提供する
ホームページは、製品やサービスの詳細情報、カタログ、スペックシートなども提供する。
これらの情報により自社サービスに対する理解を深め、見込み客の検討段階を押し進める効果も期待できる。
魅力的かつ詳細なサービスページでは、広告との組み合わせによりコンバージョンにもつなげられるだろう。
・マーケティングコストを削減する
ホームページを、コンテンツマーケティングやSEOの起点として活用することも可能だ。
SEO効果を狙った記事の集合体であるオウンドメディアだけでなく、豊富な情報が詰め込まれたホームページでも、十分SEO効果は期待できるだろう。
また、デジタルツールを活用して訪問者の行動を分析し、マーケティングの効果を測定・改善するためにも役立つ。
・競争優位の確立
ホームページで独自の価値提案や強みを明確に伝えることで、競合他社との差別化につながる。
特に新製品のリリースや業界のトレンドに関する最新情報は集客効果があるため、積極的に活用したい。
・ビジネスの成長とスケーリング
見逃されがちだが、「ビジネスの拡張性」においてもホームページは重要だ。
ビジネスの成長に合わせてコンテンツをアップデートできるほか、オウンドメディアやECサイトと組み合わせることで集客対象を拡大できる。
集客の場として機能していれば、新しいサービスや製品ラインの訴求にも活用し、ある程度の即効性を狙うことも可能だ。
1.2.ホームページのメリット
以上の内容を踏まえた上で、ホームページのメリットをまとめる。

・提供側のメリット
- 信頼性の強化
- 恒常的な集客、販促効果(コンテンツマーケティングとの融和により)
- 時間、場所に縛られず広範な対象にリーチ(効率的な情報提供)
- 集客後も問い合わせフォーム等から効率的に見込み顧客の情報を収集できる
- 競争優位性の確保
・顧客側のメリット
- 購入前にインターネットで情報収集を行い選定作業が効率化
2025年現在、BtoB企業のほぼ全てがホームページを持っていると言ってよい。
一方で、重要性やメリットを理解して集客に役立てている企業はそれほど多くない印象だ。
ホームページを集客の基盤とする一方で、企業の成長フェーズやターゲット特性に応じて戦略を変えることも欠かせない。
この点については「BtoBにおける集客とマーケティング|ターゲットと企業成長度別の戦略選定方法」で解説している。
BtoBにおける集客とマーケティング|ターゲットと企業成長度別の戦略選定方法
2.ホームページによる集客から成約(CV)までの流れ
次に、ホームページによる集客からコンバージョン(以下、CV)までの流れを理解しておこう。
ホームページ経由での集客、CVには複数のパターンがある。
ここでは、BtoBビジネスの実情を踏まえてそれぞれのパターンを解説する。
パターン①:検索流入からサービスページ

ホームページによる集客で最も太い導線がこのパターンだ。
一般的にサービスページは、ホームページの一部として製作される。
サービスページは、製品やサービスのコンセプト、機能、ユースケースなどを網羅的に解説したページだ。
ホームページ内にサービスページを設けておくと、サービスページに含まれるキーワードがSEO効果を生み、検索エンジンからの流入を促す。
また、サービスページ内に問い合わせフォームや資料ダウンロード機能が設置されていると、そのままCV(リード獲得)につながりやすい。
「サービスサイト」として独立させている場合でも、リンクやバナーで結合することで検索流入が発生する。
さらにメルマガ登録を組み合わせると、流入ユーザーをリード変換し、メールでのナーチャリングにつなげることも可能だ。
本パターンとは逆でメルマガからの流入もパターン⑤で後ほど解説する。
ナーチャリングメールを成功に導く作り方と活用ポイント
パターン②:検索流入からコラム記事など

ホームページ内にオウンドメディアとしての機能が内包されている場合も、検索流入が発生する。
オウンドメディアに配置されるコラムの量や質によるが、流入量としてはパターン1よりも大きくなる。
理由としては以下2つが挙げられる。
- コンテンツSEOによって自社を認知していない層の流入増加が見込める
- ホームページのドメイン評価をオウンドメディアが引き継ぐため上位表示されやすい
コンテンツSEOは、ターゲットとペルソナの選定、キーワード選定を含むSEO対策をコンテンツに施すことで、集客効果の最大化を狙う施策だ。
自社事業と関連性の強いキーワードで評価されれば、濃いニーズを持つユーザーが流入する。
パターン1のように自然の流れに任せる方法よりも、流入用をコントロールしやすくなる。
また、検索ボリュームが大きいキーワードでの集客は、ドメインの評価が高いほど有利だ。
コーポレートサイトのドメインが評価されている場合、サブドメインにオウンドメディアを配置することで、コンテンツの露出効率が高くなる。
ホームページを活用した集客の王道と言えるだろう。
検索順位を高めるだけでなく、クリック率の改善も集客効果を左右する重要な要素だ。
実際のクリック率改善のヒントは「検索順位とクリック率の関係性」で詳しく取り上げている。
検索順位とクリック率の関係性 「現実的な集客力」につながるクリック率改善のヒントとは
パターン③:オフラインの出会いからホームページへ流入

BtoBでは展示会やセミナーといったオフラインの集客方法が根強く活用されている。
オフラインの集客をホームページに着地させ、CVにつながるパターンもあるのだ。
具体的には、展示会やセミナーで出会い、名刺交換やパンフレットから自社ホームページを知ってもらう。
さらにホームページ閲覧→コンテンツ回遊を経て商談につながるという流れだ。
展示会やセミナーは、開催や出展のためのコストとリソースが必要になるが、1~3日で100件以上の出会いにつながることもある。
展示会の場では十分な説明ができない場合でも、ホームページのコンテンツを経由して理解を深めてもらえるため、ホームページを充実させ、整えておく必要がある。
展示会やセミナーと同様に、ウェビナーもBtoB集客では重要なタッチポイントとなる。
ウェビナー集客の具体的な方法は以下の記事で解説している。
ウェビナー集客で商談化率を高める!IT業界向け実践ステップと少人数体制の成功事例
パターン④:プレスリリースから検索流入を経てホームページへ
4つ目は、外部のプレスリリースサイトからホームページへの検索流入が生まれるパターンだ。
外部メディアの集客力を間借りする形になるが、プレスリリースのタイミングで大きな流入が生まれる。
一般的なコンテンツSEOよりも集客のタイミングをコントロールしやすい。
こちらも外部メディアに支払うコストが発生するが、ホームページによる集客として有望な施策のひとつだ。
パターン⑤:メールマーケティングからの流入
メールマガジンやステップメールなどのメールマーケティングを通じてホームページへ誘導するパターンもある。
既存リードやセミナー参加者など、すでに接点を持っているユーザーに対してメールを配信し、事例紹介ページ・資料ダウンロードページ・サービスページ へリンクを設置することで、CVへ直結させやすい。
特にBtoBビジネスでは、見込み顧客が複数の情報を比較検討しながら時間をかけて購買判断を行う。
そのため、定期的な情報提供=ナーチャリング を行い、顧客の関心度が高まったタイミングでホームページに訪れてもらうことが重要だ。
この流れを図にすると下記のようになる。
メルマガのCTAからホームページ内の各種コンテンツ(ブログ記事、ホワイトペーパー、ウェビナーなど)へ誘導し、そこで詳細な情報提供や資料ダウンロードを経てCVにつなげる仕組みだ。

さらに、配信メールにパーソナライズ要素を取り入れたり、メールの開封やクリックデータを活用して最適なタイミングで再アプローチを行うと、CV率を大きく高めることができる。
メルマガの作り方完全ガイド|成果へのポイントとメール配信時のチェックリストを紹介
3. IT業界のホームページ集客事例
ホームページによる集客は、IT業界の企業にとって基礎的かつ重要な施策である。
ここでは実際の成功事例、失敗事例、そして避けるべきNG施策を整理する。
担当者が自社の運営や情報発信に活かせるノウハウを学び、有効な手法として活用できるようにまとめたのでぜひ参考にしてほしい。
3.1 ホームページ集客の成功事例
ホームページによる集客は、IT業界の企業にとって基礎的かつ重要な施策である。ここでは実際の成功事例、失敗事例、そして避けるべきNG施策を整理する。
マーケティング担当者が自社の運営や情報発信に活かせるノウハウを学び、有効な手法として活用できるようにまとめたので参考にしてほしい。
<セキュリティ製品ベンダーのケース>
あるセキュリティ製品を提供する株式会社では、脆弱性診断の無料トライアルをホームページ上で案内し、メールアドレス取得フォームを設置した。
さらに、ブログ投稿や動画解説で「ランサムウェア対策」や「ゼロトラストの導入手法」を定期的に発信。
これにより、情報セキュリティ担当者や経営層が知識を得られる場を作り、twitterやlinkedinで拡散することで、新規訪問者を増やし売上につなげることに成功した。
<業務系システムベンダーのケース>
業務系ERPを扱う企業は、導入事例動画や顧客インタビュー記事を作成。
QRコード付きのチラシや名刺からアクセスできるようにし、営業現場でも活用した。
料金プランや機能一覧をわかりやすく掲載したことで、導入検討時の不安を解消し、商談依頼数を増やす結果となった。
<金融システムベンダーのケース>
金融業界向けシステムを扱う会社では、システム更改のポイントをまとめたホワイトペーパーを公開。
ダウンロードにはアカウント登録を求める形にした。
instagramやfacebookなどのMeta広告やディスプレイ広告と組み合わせることで、潜在層へのブランド認知を高めつつ、顕在層の資料請求を増やすことに成功した。
3.2 ホームページ集客の失敗事例
あるITサービス会社では、ホームページを開設したものの、各ページの更新頻度が低く、旧情報のまま放置されていた。
結果として検索エンジンに正しく反映されず、流入が伸びないまま広告費だけがかかる状況となった。
さらに、ポータルサイトやアフィリエイトに依存し、有料広告を乱発したが、効果的なリライトやタグ設計を怠ったために検索順位が上がらない。
マーケ費用をかけても成果が出ないケースとなってしまった。
加えて、MEO対策(googleマップ登録)を誤った方法で行い、オフライン施策が有効な業界にも関わらず、実店舗向けの枠を使うなど意味のない取り組みを続けたことも失敗の一因である。
ターゲットを正しく把握せずに「とりあえず取り組む」と、こういった失敗策につながる場合が多い。
3.3 ホームページ集客で避けたいNG施策
BtoBのIT企業が避けるべき施策は多い。代表的なものを以下の表にまとめる。
|
NG施策 |
内容 |
|
トップページ依存 |
全流入をトップに集めると、ユーザーがどこで何を見ればよいかわからず、ストレスを抱えて離脱する。 |
|
ブランディング軽視 |
ブランドのイメージや企業の代表メッセージを打ち出さず、人気の一時的なテーマばかりに頼ると、長期的な効果は得られない。 |
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情報の詰め込みすぎ |
文字数が多く、カテゴリー分けも不十分だと、初心者や潜在顧客にとって読みづらくなる。 |
|
CTAやメールアドレス取得の仕組みを作らない |
資料請求や相談依頼フォームを設置しないと、今すぐ行動したい顧客を取り逃がす。 |
|
成果の検証不足 |
一度試しに施策を実施しても、効果測定や改善を行わなければ意味がない。 |
これらのNG施策に共通するのは、スキルや知識を軽視し、計画を立てずに始めることである。
プロによるコンサルティングや代行サービスなどの伴走支援を活用すれば、労力や不安を抑えつつ、効果的な施策の導入が可能になる。
体制の例としては以下のようなハイブリッド体制がおすすめだ。
|
領域 |
主担当 |
外部の活用方法 |
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戦略・優先テーマの設計 |
社内(+外部伴走) |
BtoBに強いマーケティングパートナーと協働し、ホームページを中核に据えた集客戦略フレームの整理/優先テーマの設定を支援してもらう |
|
コンテンツ設計・制作 |
外部(+社内監修) |
IT商材に精通した外部制作パートナーが記事・ホワイトペーパー・事例コンテンツを制作、社内が監修してE-E-A-Tに適合させる |
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導線設計・CV設計 |
社内(+外部助言) |
CTA設計・フォーム最適化・メルマガ連携などを外部の専門家に設計支援してもらい、社内でシナリオに落とし込む |
|
運用・改善 |
外部代行 + 社内確認 |
アクセス解析・検索順位/クリック率の検証・効果測定を外部がレポーティングし、社内が改善方針を決定する。 必要に応じてMA(マーケティングオートメーション)やメール設計を外部に依頼 |
|
広告活用・流入設計 |
外部(+社内承認) |
Web広告・ディスプレイ広告・SNS広告などを外部が運用し、社内は戦略・予算管理と承認に集中 |
4.ホームページによる集客の注意点
ホームページは集客において、さまざまなパターンで貢献してくれるが、注意点も紹介しておきたい。
注意点①:広告からホームページへの直接的な着地はレア
「広告からホームページへの着地」というパターンは極めてレアである。
広告からの流入をホームページに着地させてしまうと、流入を受け止めるコンテンツがないためにリード獲得などのCVにつながらない。
広告で集客する場合は、「LPに近いデザインサービスページ」や「オウンドメディア用のコンテンツ」など、広告キャンペーン専用の着地点を設けることが重要だ。
注意点②:ホームページ単体での成約にこだわらないこと
製造、小売りのように有形商材の場合はホームページ単体での成約も可能だ。
ただしSaaSのように顧客ごとの契約条件や予算規模がバラバラな場合、ホームページ単体での成約は難しい。
したがって、問い合わせ、トライアル申し込み、商談をゴールとして、上述の4つのパターンを参考に、導線を設計したい。
注意点③:ホームページ設計・更新不足
ホームページは公開して終わりではなく、定期的な更新と設計の見直しが欠かせない。
更新情報を滞ると、検索エンジンからの評価が下がり、お客様からの信頼も得にくくなる。
特に画像や動画の利用方法が古いままだったり、文章やテキストの質が低下していたりすると、認知度やブランドの魅力を正しく伝えられない。
また、ページ構成が複雑で目的の情報にたどり着けない場合や、スマートフォン画面での使用感が悪い場合は、せっかくアクセスがあっても離脱が増えるリスクが高まる。
ユーザーの年齢や性別、職業、居住地など属性に合った導線設計を行い、ターゲットを特定してしっかり作り込むことが重要だ。
導線設計・CTA設計は以下のようなポイントに注意して制作することがおすすめだ。

BtoBビジネスにおいては、業種ごとの特徴を踏まえた有益なコンテンツ制作とUI/UXの最適化が意思決定に直結する。
したがって、最新情報の発信、広告費に見合う効果的なキャンペーン設計、フォロワー拡大のためのSNS投稿などを丁寧に続ける工夫が欠かせない。
成果を上げ続けるには、webマーケティングの基礎に立ち返り、プロや外部パートナーのガイドを得ながら常に改善を図る運用も重要だ。
注意点④:ホームページ効果測定不足
ホームページの改善は効果測定を前提に進める必要がある。
アクセス数や滞在時間、CVRなどのデータを分析しなければ、どの施策が成果を生んでいるのか判断できない。
Google Analyticsやヒートマップを活用すれば、訪問者がどのページで離脱しているか、どのCTAが機能しているかを確認できる。
データに基づいて改善を重ねることで、ホームページを安定した集客基盤として運用できるようになる。
効果測定を進める上では、単にアクセス数を見るのではなく、KPIを明確に定めることが不可欠だ。
具体的な指標設定や分析方法については「集客の効果測定に欠かせないKPIと戦略設計のポイント」で詳しく解説している。
IT企業必見!集客効果の測定方法とKPI設計のコツを紹介
5.BtoBのホームページで集客とCVの効果を上げるポイント
続いて、ホームページ上で集客からCVの効果を高めるためのポイントを解説する。
ホームページの運用では、集客からCVを担うサービスページやオウンドメディア用のコンテンツを、いかに素早く高品質に作れるかで効果が変わる。
ここでは、集客力を高める方法と、CVを高める方法の2軸でポイントを解説する。
5.1.集客力を高めるポイント
集客力を高める方法としては以下4つが挙げられる。
- コンテンツSEOによる上位表示
- トレンドキーワードを含める
- 中長期の集客力を高めるロングテールキーワード戦略
- 適切な広告の選択
①コンテンツSEOによる上位表示
一般的にSEO対策は、コンテンツSEOとテクニカルSEOに大別される。
前者はコンテンツの質に注力し、後者は技術的な側面(サイト構造や表示速度の改善など)からアプローチする。
質を追求するコンテンツSEO完全ガイド|キーワード選定や競合調査のやり方も解説
ホームページの場合はオウンドメディアと同じように、コンテンツの力による集客が望ましい。
コーポレートサイトはドメインの評価が高い傾向にあり、この力を借りることで検索結果で上位表示されやすくなるのだ。
ただし、企業の歴史や概要などは検索流入を生みにくいため、集客を狙ったページを別途構築していこう。
具体的には、「ユーザー目線でのサービスページ」や「”できること”にフォーカスした製品紹介ページ」などだ。
サービスページや製品紹介ページを単なる機能紹介にせず、「何を解決するか」「どのように使われているか」を具体的かつ、わかりやすく解説しよう。
また、後述の「トレンドキーワード」や「ロングテールキーワード」を考慮することで、集客力を高めることもできる。
②トレンドキーワードを含める
トレンドキーワードとは、短期的に大きな検索需要が発生している「流行りのキーワード」だ。
BtoBでは、法改正やビジネストレンドの変化をとらえたものが多い。
トレンドキーワードは「スパイク的な検索ニーズ」を伴うため、うまく取り込むことで大量の流入が発生する。
BtoBはBtoCと比較して検索ボリュームが小さく、大量の検索流入を呼び込める機会は少ないため、トレンドの発生はホームページのPVを底上げするための、数少ないチャンスだ。
ただしトレンドキーワードは短期間でニーズが低下するため、Googleトレンドなどのチェックツールを駆使したスピーディーな制作が必須となる。
リソースがない場合は、外部の支援に頼ることも検討していきたい。
SEOのキーワード選定ではGoogleトレンドを活用すべきなのか
③ロングテールキーワード戦略
ロングテールキーワードは、検索数は少ないものの「一定の需要」が「長期間」発生するキーワードだ。

ロングテールキーワードは複合語が主体であり、専門性が高く、ニーズが具体的だ。
また、濃いニーズを持つユーザーのみが触れる傾向にあり、レッドオーシャン化しにくい。
濃いニーズ(具体的で課題感を伴うニーズ)をうまくキャッチできれば、長期的な集客効果を獲得できる。
ホームページ内に、ロングテールキーワードを組み込んだコンテンツをいくつも配置することで、長期的な集客力を強化できる。
ただし、ロングテールキーワード戦略は難易度が高めだ。
そもそも発見しにくいうえに、濃いニーズを満たすための専門知識や実務経験が必要とされるからだ。
こちらも、必要に応じて外部の支援を検討したい。
ロングテールキーワードの真のメリットとは?成果につながる選定方法も徹底解説!
5.2.CVを高めるポイント
ホームページ集客には、ターゲットの明確化と施策の組み合わせ方が重要である。
BtoB全体の戦略視点から整理した解説は以下の記事で確認できる。
BtoBの集客戦略を成功に導く方法|ターゲットの選び方と施策の組み合わせ効果を解説
ここでは、ホームページでCVを高めるためのポイント5つを紹介する。
- ペルソナの設計と対応するコンテンツの制作
- 人とクローラーの両方のアピールする高品質なコンテンツ
- オウンドメディアとホームページ分離、あるいは統合(連携)
- CVのポイントを複数用意し、それぞれに導線を張る
- 分析による可視化、PDCA
①ペルソナと対応するコンテンツの制作
BtoBではペルソナ(顧客像)を意識したコンテンツの制作が非常に重要だ。
ユーザーが求める専門性や具体性が高いBtoBでは、CVを生むために高精度なコンテンツ制作が要求される。
具体的なペルソナを作成し、ペルソナに対して刺さるコンテンツを制作することで、CVへの経路が大きく広がるだろう。
ペルソナの例:
- 事業会社の物流部門社員。30代中盤以降の男性。
- ロジスティクス全体を管轄する部署に異動して4年程度
- ITシステム開発職の経験はない
- 部署内では委託先の運送業者やドライバーの配車業務を管理する立場にある
- 2024年問題の到来による人手不足対策の立案を任されている
また、ペルソナの心理と思考の変遷をカスタマージャーニーに起こし、これに基づいてコンテンツを制作しても良い。
ペルソナとジャーニーによるコンテンツ制作については、こちらでも詳しく解説している。
効果を高めるコンテンツマーケティングの種類と手法の使いどころやジャーニー例を解説
②E-E-A-Tに配慮した高品質なコンテンツ
Googleでは、検索結果ガイドラインとして「E-E-A-T」を公表している。
E-E-A-Tとは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trust(信頼性)の頭文字をとったもので、Googleがウェブページの品質を評価するための基準だ。
E-E-A-Tを考慮したコンテンツは、長期的に評価される傾向にある。
E-E-A-Tの詳細については、こちらを参照してほしい。
E-E-A-Tとは?SEOでGoogleが重要視する評価基準と対策方法を徹底解説!
検索エンジンが扱う情報量が爆発的に増加した結果、低品質なコンテンツが増えた。
こうした状況を受けて、Googleは信頼性の高い情報を優先的に表示し、品質の低いコンテンツを表示させないようアップデートを繰り返している。
E-E-A-Tは特に重要なアップデートであり、2023年ころからコンテンツ制作の最重要トピックとなっている。
<E-E-A-Tを用いた戦略>
- 専門性の強化
業界レポートやホワイトペーパー、サーベイの結果公表 - 権威性の向上
業界イベントやカンファレンスへの参加、アーンドメディアとの連携 - 経験の提示
導入事例や解決事例をコンテンツ化して公表 - 信頼性の向上
上記すべての施策を継続することで信頼性を強化
信頼性や権威性を重視するE-E-A-Tは、ホームページとの相性が良い。
トレンドキーワードやロングテールキーワードで集客を促し、E-E-A-Tを重視したコンテンツでCVを狙うという戦略がおすすめだ。
③オウンドメディアとホームページの統合(連携)
ホームページをオウンドメディアと統合することでもCV効果を高められる。
特にコーポレートサイトのドメイン評価が高い場合は、サブドメインとしてオウンドメディアを配置することでコンテンツが上位表示されるまでの速度が向上する。
④CVのポイントを複数用意し、それぞれに導線を張る
例えばリード獲得をCVとする場合、以下のように複数のポイントを設けることでCV率が向上する。
- 問い合わせフォーム
- ホワイトペーパーダウンロード
- LP内に配置したCTA
こうしたCVポイントに対して、それぞれ集客を促すコンテンツを配置しよう。
また、コンテンツを複数のキーワードで対策しつつ、内部リンクで接続することで、CVまでの道のりが増え、CV率も高まる。
⑤分析による可視化、PDCA
さまざまな施策を打っても効果が出ない場合は、Webサイト分析による可視化に着手しよう。
Webサイト分析では、「ボトルネックになっているポイント」を炙り出すことができる。
以下は、ボトルネックポイントの具体例だ。
- フォームへの遷移率
- フォーム入力完了率
- 直帰率
- PV数、SS(セッション)数
可視化されたボトルネックに対してPDCAを回すことにより、CV率の改善が期待できる。
Webサイト分析とは?オウンドメディアを成果改善に導く7つのポイント
弊社では、主にIT企業に対して、集客やCV改善を促すサービスを提供している。
特にITやテクノロジー領域での実務経験を持つ制作陣が専門性の高いコンテンツの制作を支援している。
ホームページでの集客のみならず、コンテンツマーケティング全般に対する課題がある場合は、是非お気軽にお問合せいただきたい。
6.ホームページ集客におけるWeb広告の使い方
最後に、Web広告の活用方法を紹介する。
Web広告は、集客力の強化に欠かせないツールだ。
また、ユーザーの属性や行動履歴、検索キーワードに応じて、表示・非表示を切り替えられる。
つまり集客の本質である「自社製品やサービスを使ってくれそうな人を集める」ことが実現できる。
さらに費用次第で大量の流入を獲得できることもあり、短期目線では有用なツールだ。
ただし、ホームページとの組み合わせではいくつかの注意点がある。
6.1.Web広告の「受け皿」を配置する
ただし、単に広告とホームページを接続しても効果は出にくい。
ホームページにWeb広告経由で集客する場合は、以下2つのいずれかが必須だ。
- サービスページ(サービス単体ページ)
- ホワイトペーパーDLなどのCTAが組み込まれた記事
大切なのは「Web広告による流入に対する受け皿」である。
一般的なコーポレートサイトはWeb広告の受け皿になりにくい。
ターゲットへの訴求を含めたサービスページやCTAが組み込まれたコンテンツがなければ、PVを集客に転換できないためだ。
また、検索連動型のリスティング広告の場合、出稿ワードとLPの内容は強い関連を持つことが重要だが、ホームページでは柔軟な最適化を行いづらいという便宜的な問題もある。
このような理由から、Web広告を活用する場合は別途広告用のLPなどを準備しよう。
詳しくは次項で後述する。
6.2.広告で集客する場合はホームページ以外の活用も視野に
Web広告 × ホームページは、決して悪手ではない。
しかし、広告を主体とした集客ならば、ホームページよりも適したツールがある。
例えば、
- ランディングページ(LP)
- LPのようなデザインを持つサービス詳細ページ
- 資料DLページ専用のページ
などだ。
これらはホームページに無理に組み込むよりも、独立したページを設けて広告の着地点にしたい。
ホームページの構造を変更することなく、集客に特化した仕組みを構築できるからだ。
以下の記事では、集客のためのLP制作のポイントをまとめているため、合わせて確認してほしい。
売れるランディングページ(LP)の構成に通ずる6つの法則
7.まとめ
ここでは、BtoBにおけるホームページの集客について解説してきた。
ホームページによる集客の主体は「コンテンツ」である。
商品の特徴や作り方を紹介するブログ記事、動画や写真を活用したレビュー記事などは、お客様の興味を高める有効な手法だ。
どのような導線で、ホームページのどの部分に着地するかを踏まえつつ、ニーズを満たす高品質なコンテンツを作ることが大切である。
インターネット上での情報発信は、正しく編集し、カテゴリーを分け、良質な記事を続けて配布することで成果に直結する。
また、短期での即効性を狙う場合はWeb広告やリターゲティング広告との併用も検討しよう。
キャンペーン期間中に効果的なクリエイティブを利用すれば、フォロワーや訪問者を増やす可能性が広がる。
ただし、広告費がかかる以上、成果を検証し、改善を行う負担も発生する点には注意が必要だ。
Web広告を活用する場合は、ホームページのSEO評価を引き継ぎながらも、広告の受け皿としての専用ページを用意するのがおすすめだ。
ホームページは会社案内や自社サービスの詳細だけでなく、企業側の想いやブランド価値を届けるプラットフォームである。
顧客が安心してサービス導入を検討できる資料ダウンロードなどのコンテンツを設置し、目標達成につながる導線をしっかり設計していきたい。
本記事を参考に、自社の状況に合った戦略を立て、丁寧に運営を続けることが、これからの時代における効果的なホームページ集客のカギとなることを願う。
