ウェビナー集客で商談化率を高める!IT業界向け実践ステップと少人数体制の成功事例

ウェビナー集客が安定する7つのコツと集客経路の選び方

BtoBにおける集客は、オンラインとオフラインの施策を組み合わせて行うのが有効である。

近年では、オンライン集客の成否が売上の伸びを大きく左右するようになっている。

中でも「ウェビナー」は、見込み客の購買行動を一気に進める効果があり、BtoB企業にとって非常に有効な施策だ。

一方で、次のような課題を抱える企業も少なくない。

「展示会・広告・オウンドメディアなど、いろいろ施策を試しているが成果が伸びない」
「セミナーやウェビナーは有効と分かっているけれど、集客できるか不安」
「少人数でリソースが限られているから、ウェビナー運営は難しそう…」

こうした悩みを解決するために、本記事では IT業界で成果を出す集客チャネルの中でも、特にウェビナーを成功させるためのポイント を整理し、さらに 社内リソースをかけずに実施できるウェビナー集客の方法を具体的に解説する。

バナー_1010.pptx (ナーチャリング運用)

1.ウェビナー集客の基本と理由

オンラインでのさまざまな顧客接点が主流となった今、IT企業やSaaS事業者にとってウェビナーによる集客は重要な施策である。  

ウェビナーに限らず集客(リード獲得)とナーチャリングをどう連携させるかは成果を左右する大きなポイントである。ウェビナー以外のチャネル施策については以下の記事で詳しく公開している。

マーケティングチャネルとは?IT企業のための完全設計ガイド

展示会やオフラインセミナーと比べ、ウェビナーは開催コストを抑えつつ効率的に新規リードを獲得できる方法として注目を集めている。

気軽に訪問できるオンラインでの顧客接点が主流となった今、IT企業やSaaS事業者にとって「ウェビナー集客」は重要な施策である。

申込フォームから参加データ、アンケート結果まで一元管理できる点は、リードナーチャリングや営業活動と直結しやすい。

ここでは、ウェビナー集客の基本的な位置づけと、少人数体制でも継続して実施できる運営方法、さらにアンケートやアーカイブ活用によるリード育成のポイントを確認していく。

リードナーチャリング①

リードナーチャリングについてはこちらの記事でも詳しく解説している。

リードナーチャリングとは?意味や手法・ツール・施策の手順を事例付きで紹介|成果につながるメール活用も解説

1.1 ウェビナーの位置づけと特徴

ウェビナーとは、オンライン上で開催されるセミナーの総称であり、リアルタイムでの情報発信と参加者との双方向コミュニケーションが可能である点に特徴がある。

オフラインセミナーでは会場準備や移動コストが発生する一方、ウェビナーはWeb上のプラットフォーム(ZoomやTeamsなど)を活用することで、短期間で開催でき、参加ハードルも低い。

また、集客チャネルとしても多様で、メルマガやHP告知、ポータルサイト、Web広告、バナー広告など複数の経路を組み合わせて告知できる。

これにより、IT業界特有の「限られたターゲットに効率よくリーチしたい」という目的に応えやすい。

この時の注意点は、申込フォームのデザインを整え、日時や場所を明確に説明することで、視聴者にとってシンプルかつ伝わる案内を心がけることだ。

EFO(エントリーフォーム最適化)とは?実装方法や11個の対策ポイント、ツールなどを紹介

ウェビナーは単なる代替手段ではなく、リード獲得から育成までを一貫して支援する集客基盤と位置づけられる。

1.2 リソース不足でも継続実施する方法

「ウェビナーを開催したいが、社内スタッフが少なく運営が難しい」という課題は多い。

特に中小規模のIT企業では、マーケティング部門の人数が限られており、1回の開催準備に手間や時間をかけられないのが現実だ。

解決策としては、外部の集客サービスや共催セミナー、運営代行サービスを活用する方法がある。

たとえば、アイティメディアやマーケメディアといったBtoB専門メディアの集客サービスを利用すれば、短期間で多くのリードを集めることができる。

共催セミナーでは、協業パートナーとの相互送客で母数を増やせるため、リソースをかけずに安定的に集客が可能になる。

また、開催に必要なフォームや告知ページは、テンプレートやマーケティングオートメーション(MA)を使って自動で送信すれば、効率的に進めることができる。

これにより、リソース不足でも定期的なウェビナー運営を継続でき、集客効果を長期的に積み上げられる。

外部体制は、以下のような社内と外注を柔軟に組み合わせるハイブリッド体制を取ると、ノウハウが社内に蓄積しやすく、今後の継続開催にも役立ちやすい。

領域 主担当 外部の活用方法
戦略・優先テーマの設計 社内(+外部伴走) 戦略フレームや優先軸の整理支援・設計パートナー
コンテンツ設計・制作 外部(+社内監修) ITに強い外部パートナーによる制作
運用・改善 外部代行+社内確認 MA・メール・レポート設計支援

1.3 ウェビナーのアンケートとアーカイブ活用

ウェビナーの価値は当日の集客だけでなく、参加後のアンケート結果や録画アーカイブの活用にある。

アンケートでは「導入予定時期」「現在の課題」「興味がある機能」など営業に直結する情報を収集でき、これをリードスコアリングに活用することでフォローアップの優先順位を決めやすくなる。

さらに、アーカイブ配信は「当日参加できなかった層」や「後から比較検討を進める層」に届けることができる。

動画コンテンツとしてWebサイトやブログ、メルマガで再利用すれば、新規流入のきっかけや既存リードのナーチャリング資産となる。

IT業界における顧客は情報収集をオンラインで完結させる傾向が強いため、アーカイブは「リードが自分のペースで学べる」有効な手段である。

ウェビナーは単発で終わらせず、アンケート→分析→アーカイブ配信→フォローアップという流れを設計することで、継続的な集客とリード育成を実現できる。

アンケートで商談化に近い回答やシグナルがあった場合は、しっかりと営業部門へ共有しよう。

リードスコアリングとは?BtoBでの設計、運用のポイントや実施すべきタイミングを徹底解説!

ウェビナーを起点としたリード獲得は、単発で終わらせず、ナーチャリングや営業活動とどう接続するかを設計することで成果が最大化する。

以下の図は、その流れを整理したイメージである。

イベントを起点のフロー図

2. ウェビナー集客のメリット

BtoBにおける集客手段は多様だが、近年は「効率性」と「信頼性」を両立できる施策が求められている。

展示会や対面セミナーは信頼構築に強い一方、コストや移動の負担が大きく、継続的な運用が難しい。そこで注目されているのが、オンラインで開催できる「ウェビナー集客」である。

ウェビナーは、低コストで効率的にリードを獲得でき、さらにデータ収集やアーカイブ配信を通じてナーチャリングにつなげられる点に大きな強みがある。

ここでは、その主なメリットを3つに絞って解説する。

ウェビナー集客のメリット

2.1 コスト効率が高い(会場費・交通費不要)

ウェビナーの最大のメリットのひとつは、オフラインイベントに比べて圧倒的にコスト効率が高いことである。

会場を借りる必要がなく、設営・撤収や参加者の交通費も不要となる。

必要なのは配信環境と資料作成、講師やパネリストの準備程度であり、ほとんどを社内リソースで対応できる。

特にSaaSやIT企業では、短期間で複数回の開催を重ねるケースも多く、小さなコストで大きな集客効果を積み上げることが可能である。

これにより「少人数体制でも続けられる施策」として定着している。

2.2 動画コンテンツとして再利用できる

ウェビナーは一度の開催で終わらない資産となる点も特徴的である。

録画したアーカイブを活用すれば、当日参加できなかった見込み客にも届けることができ、長期的なリード獲得の仕組みとして機能する。

また、アーカイブ動画をオウンドメディアに掲載したり、メルマガで配信したりすることで、継続的な流入チャネルを構築できる。

さらに、営業担当が商談前に「過去のウェビナー動画」を共有すれば、顧客理解を深めるための教育コンテンツとしても役立つ。

このように、ウェビナーは「開催後も繰り返し使えるコンテンツ」として、集客活動のROIを高める。

2.3 データ取得が容易(登録・参加・アンケート)

ウェビナーでは、参加登録からアンケートまでの一連のデータを体系的に取得できる。

申込フォームに入力された企業規模や役職、参加状況や離脱率、アンケート回答などは、リードのスコアリングや商談化率を高めるための重要な材料となる。

オフライン施策では「名刺交換」程度の情報に留まることが多いが、ウェビナーでは顧客の関心度を数値で把握できるのが強みである。

例えば「最後まで参加したリード」「アンケートで導入検討を選んだリード」などを抽出すれば、営業が優先してアプローチすべき対象を明確にできる。

このように、ウェビナーは集客とデータ活用を同時に実現する施策として、BtoB企業に広く活用されている。

3.ウェビナー集客を成功させるポイント

ウェビナー集客を成功させるポイントは、「複数の経路で告知を行い、参加者を増やす」ことだ。

そこでまずは、ウェビナー集客における告知の方法を整理していこう。

ポイント①:メルマガ配信

ウェビナーの告知方法として最も一般的なのがメルマガだ。

メルマガは非常に手軽でコストも低い告知方法でありながら、常に一定の効果が見込める。

普段はほとんどメールを開封しないにも関わらず、ウェビナー開催の告知だけはチェックする層もいる。

メールのタイトルに「ウェビナー開催の告知」であることを明示するとより効果的だ。

メルマガの作り方完全ガイド|成果へのポイントとメール配信時のチェックリストを紹介

ポイント②:HP上での告知

ホームページの集客効果を活用することで、効率よく参加者を集められる。

ホームページに告知を出す場合は、

  • 告知専用のページに掲載する
  • 更新履歴に告知の事実を掲載する
  • PVが上がりやすいトップページなどに告知を出す

といった工夫を凝らすことで、集客力が高まる。

ただし、ホームページ自体に十分な集客力がない場合は、後述するウェビナー集客専用サイトも併用していこう。

ホームページでの集客でCVを獲得するために重要なコト

ポイント③:ウェビナー告知サイトの利用

ウェビナーの開催経験が少なく、自社のウェビナーに対して特定のファン層が形成されていない場合は、外部サイトの力を借りることも有効だ。

現在は、ウェビナー開催告知専用のサイトがいくつも存在する。

下記はその一例だ。

Bizocean

ウェビナー開催告知専用サイト:Bizocean

日本最大級のビジネステンプレートサイトだが、ウェビナー情報の告知サービスも提供している。

300万人以上の会員にアプローチできる圧倒的な集客力が強みだ。

また、成果報酬型なので必要以上にコストが嵩むこともない。

申し込みから最短3営業日で掲載可能というスピード感も魅力だ。

セミナーBiZ

ウェビナー開催告知専用サイト:セミナーBiZ

セミナー告知専用のサイトであり、幅広いジャンルのセミナーに対応している。

ビジネスパーソン向けに特化したセミナー情報サイトなので、ターゲットのブレが生じにくい。

参加費が3,000円未満のウェビナーであれば掲載費用は無料であり、告知費用を抑えたい企業に最適だ。

TECH PLAY

ウェビナー開催告知専用サイト:TECH PLAY

IT関連のイベントに特化した告知サイトだ。

主なターゲットを、情報システム部門やエンジニアに設定しているため、BtoB企業向けのSaaS製品を扱う企業にとって有望な集客サイトである。

ポイント④:DM(ダイレクトメール)送付

DMはその性質上、受信者がより積極的にメッセージを受け取る傾向がある。

特に、「特別なオファー」や「限定された情報」を含んでいる場合、受信者は高い関心を持って行動に移しやすい。

ウェビナー集客の観点で言えば、過去に自社ウェビナーに参加した履歴があるユーザーに対して効果が高い。

過去の参加履歴から傾向を把握し、関連したテーマのウェビナーを告知していこう。

ポイント⑤:Web広告

Web広告は短期での集客力が高く、即効性がある。

専用のランディングページや告知ページに着地させるなど、広告の集客力を無駄にしないような導線を心がけよう。

リード広告とは?BtoB企業向けの最適チャネルと効果を出すコツ|CPA改善にも対応

ポイント⑥:プレスリリース・ポータルサイトでの拡散

プレスリリースや業界ポータルサイトを通じた情報発信は、信頼性の高い媒体を活用して広く周知できる方法である。

特にBtoB業界では「第三者を通じた情報拡散」が信頼の担保につながりやすい。

プレスリリースを活用する場合は、開催日時・テーマ・講師情報・申込フォームのリンクを簡潔にまとめ、検索エンジンに拾われやすいようキーワードを盛り込むことが重要だ。

ポータルサイトについては、IT・SaaS系に特化したサイトや、業界別に特化したメディアを選ぶと効果が高い。

ポータルサイトについては、IT・SaaS系に特化したサイトや、業界別に特化したメディアを選ぶと効果的だ。

効果測定やレポート機能を提供する媒体もあるため、実際の集客効果を見ながら柔軟に改善が可能である。

自社チャネルだけでなく外部メディアの力を借りることで、普段接点を持てない新規リード層にもウェビナーを届けられる。

こうした外部との連携は、シェアや口コミを通じた波及効果を生み出し、結果として自社だけで行うよりも効率の良いプロモーション展開につながる。

ポイント⑦:ウェビナー集客サービスを活用

ウェビナー開催に慣れていない企業や、短期間でリードを増やしたい企業には、ポイント③の告知だけでなく、専用の集客サービスを活用する方法が有効だ。

企画から運営まで外部に委託できるため、担当者はリードフォローや商談化に注力できるのが大きな利点だ。

以下に主なサービスと特徴を記載する。

・ アイティメディア

アイティメディア

サービス内容:IT・ビジネス領域に強い専業メディアが、ウェビナー/ハイブリッドセミナーの企画・集客・運営を一括支援。

配信代行、登録ページ制作、講師手配、機材手配も含まれる。

特徴>

  • IT/SaaS系読者が集まるメディア会員へのリーチが可能(専門性の高いターゲット)
  • 成果課金型プランやクリック保証広告プランを用意、予算に応じた選択肢あり
  • 製品導入フェーズや技術部門向けのテーマで「専門性+信頼性」の訴求を強めたい場合に有効
  • 企画から運営まで丸ごと外部に任せたい場合にリソースを節約できる

・ マーケメディア

マーケメディア

サービス内容:ウェビナー/セミナーの「まるなげ」支援サービスを提供。

企画・集客・運営を一括代行(例:「まるなげセミナー」)

<特徴>

  • 集客に特化した支援があり、多様なプラン(成果報酬型・広告併用型)を選べる
  • 比較的低コストからの導入も可能、集客がうまくいかないという課題を抱える企業にも選ばれている
  • 小規模テーマ(ニッチな技術・モジュールサービスなど)で経験を積むフェーズなどにマッチ

・ マジセミ

マジセミ

サービス内容:IT/製造業向けに特化したウェビナー企画・集客・運営・フォローまでをワンストップで支援する代行サービス。

年間1000回以上のウェビナー開催実績あり。

<特徴>

  • 見込み度の高い「決裁者・検討中層」をターゲットにした集客実績が豊富(商談化率向上に実績あり)
  • 成果報酬または集客保証型プランあり、コストコントロールしながら運用できる
  • SaaS/基幹システム/クラウドサービスを扱う企業で「比較検討フェーズ」「評価・選定フェーズ」のリードを獲得したい場合に最適

上記のようなサービスを利用すれば、自社のメルマガリストやWebサイトだけでは届かない層に効率的にリーチできる。

また、開催後の参加データやアンケート結果を取得できるため、リードナーチャリングの次のステップにも活かせる。

特に、少人数体制でも運営を継続したいIT企業にとって、集客サービスは強力なサポートとなるだろう。

ポイント⑧:共催セミナー(協業パートナーと相互送客)

共催セミナーは、パートナー企業と協力してウェビナーを開催し、相互にリードを共有する方法である。

単独開催に比べ、母数を大きく増やせるだけでなく、パートナー企業の信頼やブランド力を借りて参加者の安心感を高められる。

たとえば、クラウドサービスを提供するSaaS企業が、会計システムやセキュリティサービスを扱う企業と共催すれば、課題解決の幅を広げられるため、参加者にとっても「一度に複数の比較情報を得られる」メリットがある。

また、共催によって発生した新規リードをどのようにフォローするか、相互送客のルールやフォロー体制を事前に合意しておくことが成功のポイントだ。

共催セミナーは単なる集客数の拡大だけでなく、新規市場の開拓やブランド認知の拡大にもつながる。

4.ウェビナー集客のコツ

以上のような一般的なポイントを押さえることで、ある程度の集客が期待できる。

ただし、集客の向こう側、つまりCV(コンバージョン)を見据えた場合には、もう一歩踏み込んだ工夫が求められる。

ここでは、CVまでを見据えたウェビナー集客のコツを解説する。

ウェビナー集客のコツ

コツ①:ペルソナを明確にする

ウェビナー集客を成功させる第一歩は、「誰に向けて実施するのか」というターゲットを明確にすることだ。

ペルソナを具体的に設計することで、告知媒体の選び方やテーマの打ち出し方、配布資料の内容まで一貫性を持たせることができる。

例えば、同じ「情報システム部門の担当者」であっても、企業規模や担当フェーズによって求める情報は大きく異なる。

大企業の企画担当者と、中小企業の実務担当者では、意思決定プロセスや興味を持つテーマが異なるため、設計するペルソナの粒度が成果を左右すると言っても過言ではない。

下図のように、「企業属性 × 担当者属性」でペルソナを整理し、さらに、「企業属性 × 担当者属性 × フェーズ」までペルソナの解像度を上げることで、具体的なターゲット像を鮮明に描けるため、活用してほしい。

ペルソナ設計シート「企業属性×担当者」の例

ペルソナ設計シート「企業属性×担当者×フェーズ」の例

コツ②:複数の告知媒体を活用する

ウェビナーの告知は、複数の媒体を併用して「目に触れる機会」を増やそう。

例えば、ビジネス要素の強いSNS(LinkedIn、Facebookなど)は効果的な無料の告知ツールとして機能する。

さらに前述のウェビナー告知サイト、DM、Web広告を併用することもおすすめだ。

また、メルマガで「Tips型の情報」を事前に提供することで、参加意欲を高めることもできる。

さらに、ウェビナー告知専用LP(ランディングページ)の設置によって、集客力はより高まる。

LPはセミナー開催に準じて制作する専用の集客ページだ。

セミナー詳細を提示し、参加者の興味を持たせるために作り込む必要がある。

ただし、制作コストや開催までの日数によっては使用できないこともあるため、臨機応変に選択していきたい。

コツ③:参加特典を用意する

参加者に対する特典の提供も、集客効果を高める有効な手段だ。

最も手軽かつ効果が高いのは「ウェビナーで使用する資料の配布」だろう。

ウェビナーは最初から最後まで視聴するユーザーばかりとは限らない。

また、一人でじっくりと資料を読み込みたいユーザーもいる。

こうした層にアプローチできるのが、資料配布の強みだ。

さらに、ウェビナーを最後まで視聴した層に対しては、限定資料や追加のコンテンツ提供も検討しよう。

これらは参加者の満足度を高め、次回以降の参加につなげる効果を生む。

コツ④:複数日程、時間帯で開催する

複数の日程や時間帯で開催することにより、潜在的な参加者を逃さずにキャッチできる。

一般的にウェビナーは、初回開催の参加率が最も高い。

しかし、2回目、3回目の開催でも一定の集客効果が見込める。

ざっくりとした試算だが、潜在的参加者の数を100とした場合、「1回目に60、2回目と3回目に残り40程度」が参加する。

日程や時間帯を変えながら開催することで、より多くの参加者を引き込むことが可能だ。

ちなみに、1回目はライブ配信で行い、2回目以降は録画配信(疑似ライブ配信)にするという方法もある。

2回目、3回目は質疑応答をカットする形になるが、運用工数を小さくするという点では有効だ。

ライブ配信と疑似ライブ配信の比較

ライブ配信 録画は配信
(疑似ライブ配信)
運用方法 毎回ライブ配信 1回目のみライブ配信
(2回目以降 録画配信)
メリット
  • 開催ごとにブラッシュアップが可能
  • 毎回、双方向型のコミュニケーションが可能
  • 1回目の準備のみで済むため、運用工数が小さい
  • 登壇者のスケジュール調整などが不要
デメリット
  • 日程の確保、登壇者の調整などが難しい
  • 2回目以降の配信で双方向性が失われる
  • 1回目の開催がCVRを決定してしまう

コツ⑤:アーカイブ配信の活用

複数日程での開催が難しい場合は、アーカイブ配信の活用が有効だ。

具体的には、リアルタイムなライブ配信への参加できない層に対して、後日視聴できるURLを送付する。

後日視聴できる環境を提供することで、ウェビナーの内容を広く共有し、集客効果を持続させることができる。

リマインドメールの中で、下記のようにアーカイブ配信が可能なことを告知しておこう。

「配信終了後、○日間視聴可能なアーカイブ配信のURLを送付いたします。当日ご都合が合わない方も、ぜひお申し込みください。」

一般的には、ライブ配信が行われた3日~1週間後にアーカイブ配信を開始する。

また、アーカイブ配信のリンクを送付するメールは開封率が高い。

このメールに「次回のウェビナーの案内」を記載することで、その後の集客効果を高めることもできる。

ちなみに前述した疑似ライブ配信との違いは、「時間的な縛りの有無」だ。

疑似ライブ配信は、録画とはいえ開催時間が固定されている。

一方アーカイブ配信ならば、参加者が好きなタイミングでウェビナーにアクセスできる。

コツ⑥:アンケートから参加への導線を作る

連続してウェビナーを開催する場合は、前回のウェビナー参加者に対して次回ウェビナーへの導線(URLなど)も準備しておきたい。

具体的には、Aウェビナーのアンケートの最後にBウェビナーへの参加リンクを設置することで、参加者を自然に次回へ誘導できる。

これにより関心を維持しながら、継続的に参加者を獲得でき、CV(商談化)につながる確率を高められる施策だ。

さらに、前回欠席者に対してもアプローチを欠かさないことが大切だ。

申込はしたものの参加できなかった層は「興味はあったが、予定の都合で参加できなかった」見込み度の高い層とも言える。

この場合は、ステップメールの活用が効果的だ。欠席者を含めたウェビナー申し込み者全員に向けて以下のようなメール配信でアプローチできる。

ステップメール (ウェビナー後)

具体的な配信例としては以下の通りだ。

  • 1〜2日以内:ウェビナー後のフォローアップ(お礼・資料配布・アーカイブ案内)
  • 1週間後:追加の啓蒙コンテンツを提供(関連記事・事例紹介)
  • 2週間後:対話を促す質問とフィードバック収集(アンケート・Q&A)
  • 1か月後:関連製品やサービスの紹介

こうしたフォローを体系化することで、出席者だけでなく欠席者まで含めたリードナーチャリングが可能になる。

結果として、単発ではなく「継続的な集客サイクル」の構築につながるだろう。

ステップメール完全ガイド|BtoBマーケティング事例と改善策

コツ⑦:事前告知とこまめなリマインド

ウェビナーの告知は、最低でも開催の1ヵ月前から行うことが望ましい。

参加希望者にスケジュール調整の猶予を提示し、参加率を高めてもらうためだ。

また、意図しない欠席を防ぐために、定期的なリマインドメールは欠かさないようにしたい。

リマインドメールは、開催1週間前、3日前、前日、当日朝に送るのが一般的だ。

コツ⑧:顧客フェーズ別に最適なウェビナーテーマを設計

ウェビナーの集客効果を最大化するには、参加者がどの顧客フェーズにいるかを意識してテーマを設計することが重要である。

単に「話題性のあるテーマ」を設定するだけでは、リードが商談化に進みにくい。そのため、目的や課題に合わせて柔軟にテーマを選ぶ必要がある。

つまり、「集客数を増やせばよい」というものではなく、どのフェーズの顧客をターゲットにするかが重要だ。

大規模なカンファレンス型イベントは参加者を多く集められるが、課題認識前の層が中心となるケースも多く、商談化率は低いと感じる企業もある。

一方で、比較検討や導入直前の層に向けたテーマはすぎるほど具体的で、商談化に直結しやすい。イメージ図を以下に示す。

集客数と商談化率の関係図

IT業界のテーマ例を以下に示す。

  • 認知段階:トレンド解説型(例:生成AIの最新動向、DXの進展)
  • 課題認識段階:課題解決型(例:なぜ経理の電子化が進まないのか?改善ポイント解説)
  • 比較検討段階:比較型(例:主要なSaaSツールの徹底比較、導入事例紹介)
  • 評価・選定段階:製品デモ型(例:クラウドシステム導入のROIシミュレーション、請求管理・SFA連携の事例)

このように顧客のフェーズに応じてテーマを最適化することで、「数」ではなく「質」を重視した集客も実現できる。

5. IT業界のウェビナー成功事例

ここまで解説したように、ウェビナーはテーマ設計や顧客フェーズの見極めによって成果が大きく変わる。

ここでは、実際にIT業界で行われたウェビナーの活用事例を取り上げ、どのように商談や受注に結び付けられたのかを具体的に紹介する。

・A社の事例

A社では少人数体制でありながら、毎月ウェビナーを継続開催している。

ウェビナー終了後には、申し込み者(欠席者も含む)全員に対してフォローメールやステップメールを自動配信し、ナーチャリングを強化。

さらにウェビナー後のアンケートの回答を分析し、すぐに商談化しない顧客と、商談化に近い顧客を明確に切り分ける仕組みを導入した。

これにより、確実にリードを分類し、適切なナーチャリングやプロモーションに展開できる。

その結果、見込み顧客全体の中から商談化率5%を安定して実現できている。

・B社の事例

B社では、自社のメルマガリストだけでは集客に限界があると考え、外部の集客サービスや共催セミナーを積極的に活用した。

アイティメディアやマーケメディアなどのBtoB専門メディアを通じて、社内ではリーチできなかった新規リード層に効率的にアプローチ。

また、共催セミナーも活用。

パートナー企業と相互送客の仕組みを構築し、参加者母数を増やすと同時に「比較検討フェーズ」のリードを多数獲得した。

さらに、セミナー後のアンケート結果と参加データをMA(マーケティングオートメーション)に連携し、ホットリードを営業へ即時引き渡す一方、情報収集段階のリードにはナーチャリングメールを配信。

外部サービス+MA連携による効率化を徹底した結果、B社では 商談化率7%超 を安定的に実現。自社単独での集客に依存せず、外部チャネルを組み合わせる戦略が成果につながった。

6.まとめ

ここでは、BtoBにおける集客のポイントを紹介しながら、「ウェビナー集客」について具体的に解説してきた。

ウェビナー運営は手間やコストがかかると考えられがちだが、MAツールやダウンロード資料の提供、SNSでの発信(例:twitter投稿やフォロワーへの共有)などを組み合わせれば、シンプルかつ効果的に運用できる。

さらに、アンケート結果をレポート化し社内でご覧いただけるようにすれば、今後の施策にも参考になる。

ウェビナーのテーマ設計は単なるイベント企画ではなく、お客様への価値提供を明確に伝えるための基礎だ。

BtoB集客の仕組みとして統合的に活用することで、新たな商談機会の創出やリードの促進につながる。

ウェビナーを活用し、厳選されたユーザーから質の高いリード獲得を狙っていこう。

バナー_1010.pptx (ナーチャリング運用)

監修者情報

野崎 晋平(btobマーケティングコンサルタント)

SIerにてERPの開発・導入を経験後、東証プライム上場企業の情報システム部門にてIT企画や全社プロジェクトを推進。情シス向けに個人で立ち上げたオウンドメディアは月間10万PVを達成。現在は、ITとマーケティングの知見を組み合わせて、IT企業向けにBtoBマーケティング支援を手がけている。