効果を高めるコンテンツマーケティングの種類と手法の使いどころやジャーニー例を解説

コンテンツマーケティングは、さまざまな種類のコンテンツを駆使しながら、受注や問い合わせにつなげる仕組みを作り上げていく施策だ。

マーケティング戦略のなかでも注目を集める手法であり、オンラインでの情報発信を通じて商品やサービスの価値を伝えられる点に大きなメリットがある。

一方で、マーケティング施策のなかではポピュラーな存在になっているものの

「コンテンツを一通り制作してみたが成果が出ない」
「webサイトのアクセスは集められたものの、コンバージョンや登録など次の目標につながらない」

といったケースも見られる。

コンテンツが一通りそろっているにも関わらず成果が出ない場合は「コンテンツの種類と活用方法」が戦略とマッチしていない可能性が高いだろう。

ここでは、コンテンツマーケティングで使われるコンテンツの種類や活用方法、配信の例などについて詳しく解説していきたい。

IT業界の会社やマーケティング活動に役立つ手法や知識を提供するため、ぜひ参考にしてほしい。

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1.コンテンツマーケティングの定義を再確認

コンテンツの種類を解説する前に、コンテンツマーケティングの定義を再認識しておこう。

コンテンツマーケティングで成果が出ていないのであれば、定義の認識から間違っている可能性がある。

基本を正しく理解すると、目的に対しての適切な戦略や手順がそもそもコンテンツマーケティングではないこともよくあるため、しっかりと確認しておいてほしい。

【IT企業向け】顧客に選ばれるための良質なコンテンツを徹底解説

1.1.マーケティング領域におけるコンテンツとSEO

コンテンツマーケティングで扱われるコンテンツ=「有益な情報の塊」

マーケティング領域でのコンテンツとは、主にオウンドメディアに掲載されるコラムやホワイトペーパー、ユースケース集や事例集、動画や画像などを指す。

こうした情報資産を活用し、購買プロセスごとに顧客との接点を作ることが、「コンテンツマーケティング」だ。

さらに、コンテンツマーケティングはデジタルマーケティングの一種でもあり、SEO対策やリスティング広告と共に実践されるケースが増えている。

このことから「コンテンツマーケティング=SEO」「デジタルマーケティング=コンテンツマーケティング」という誤った認識をもつ人も少なくない。

厳密にいえばこれらはまったく別の施策であり、その関係性は相互に支援し合い、下記のように整理できる。

まず、マーケティングの一種としてデジタルマーケティングがあり、さらにデジタルマーケティングのひとつとしてコンテンツマーケティングやSEOがある、というのが実態に近い考え方だ。

1.2.広義と狭義、どこまでを「コンテンツ」と呼ぶべきか?

ウェビナーやプレスリリース、メールマガジン、SNS投稿をコンテンツマーケティングの一環とみなす見方もある。

確かに情報発信という観点では間違いではないが、営業やPRの要素が強い場合も多く、本来の狭義の定義とは異なる。

初心者が理解を深めるには、狭義のコンテンツ―すなわちブログやホワイトペーパー、事例集といった情報資産―にフォーカスして考えると混乱が少ないだろう。

まずは「顧客の役に立つ情報を提供し、継続的に届ける」という本質を押さえることが企業の価値向上につながる。

SEOとコンテンツマーケティングの違いとは?活用法まで徹底解説

1.3.AI検索(AIモード)時代における定義の再解釈

従来のコンテンツマーケティングは、SEOを前提に「検索エンジンで上位に表示されるための情報設計」が中心だった。

だが、GoogleのAI検索(AIモード)や生成AI(GPTやGemini、Copilot)の普及によって業界全体の状況は大きく変化し始めている。

AImode

AI検索は単なるキーワード一致ではなく、ユーザーの質問文脈に応じて要約された回答を返す仕組みだ。

そのため、従来型のSEO手法だけでは上位表示や参照を狙いにくく、成果を上げにくい。

今の時代におけるコンテンツマーケティングの定義は「AIに拾われやすい一次情報を提供すること」を含めて考える必要がある。

製品の技術仕様や導入事例、独自の調査データといった、汎用的には手に入らない情報を提示することが、AI検索に取り上げられる近道となる。

たとえば、製品仕様や導入実績の詳細データ、CRMやインサイドセールスの活用事例など、一般的な情報では得られない内容を提示することがAIに参照される近道となる。

1.4.従来のSEOとAI検索の違いは何か?

従来のSEOは、キーワード配置やリンク構造の最適化が中心だった。

一方で現在話題となるAI検索は「質問に対する根拠」となる一次情報や専門性を重視する傾向となる見込みだ。

つまり、単なる情報量よりも「信頼できる出典」と「独自の知見」が評価対象となる。

IT企業が取り組むべきは、記事を量産し続けることではなく、FAQ形式やWhy/Howといった疑問形の見出しを設けるイメージを持つことだ。

これによりAIが情報を抽出し、結果的に検索回答の根拠として参照されやすくなると言われている。

2. コンテンツ主要5種の使いどころ

コンテンツマーケティングで活用される代表的なコンテンツとして、以下の5種類が挙げられる。

種類 特徴
記事コンテンツ コンテンツSEOの主軸でもあり、比較的低予算で集客効果が見込める。
ホワイトペーパー テキストとインフォグラフィックを織り交ぜながら訴求力を高める。
情報の質、量ともに高い水準が求められる。
事例・インタビュー 「自社独自の解決方法」を具体的に提示できるため、納得感を高めやすい。
「課題→施策→効果」というストーリーを提示できるため訴求力も高い。
動画コンテンツ ウェビナー、セミナーの編集動画や製品紹介動画など。
認知負荷が低く、視覚的な訴求効果も強い。
LP 製品・サービスの魅力を「一枚絵」のように見せる。
記事コンテンツよりも意思決定を促す効果が高い。

2.1.記事コンテンツ

記事コンテンツは、端的にいえば「テキスト主体のコンテンツ」の総称。

BtoBでよく使われるのは「トレンド解説記事」「ノウハウ紹介記事」「導入事例」などで、内容によって役割が異なる。

記事コンテンツについてはこちらの記事も参考にしてほしい。

記事コンテンツとは?種類やステップ、SEOと読者ニーズの考え方を解説

記事コンテンツは、コンテンツSEOの主軸でもあり、比較的低予算で集客効果が見込めるツールだ。

ただし「SEOキーワードが散りばめられた長い記事を公開すればPVが上がる」という時代は終わり、近年では質が重視されている。

したがって、以前に比べると制作難易度が上がっており、検索順位の維持も難化傾向にある。

記事コンテンツの効果

記事コンテンツの効果は多岐にわたり

  • 認知拡大
  • 興味関心の喚起
  • リード獲得
  • ナーチャリング

などが期待できる。

ただし、BtoBでは意思決定プロセスが複雑であることから、Web上にアップした記事のみで成果につなげることは難しいのが実情だ。

意思決定を促すコンテンツ(ホワイトペーパーやダウンロード資料)を別途制作し、これらへの導線として活用するよいだろう。

コンテンツマップの例

記事コンテンツの使いどころ

潜在層、準顕在層、顕在層、明確層の顧客すべてに対して訴求力を持たせることが可能だ。

「課題を把握していない潜在顧客」に対してはノウハウや事例紹介で気づきを促し、「競合他社との比較をしたい顕在層」に対してはホワイトペーパーで訴求する、などといった使い方が想定される。

2.2.ホワイトペーパー

ホワイトペーパーは、ダウンロード形式の資料型コンテンツであり、テキストとインフォグラフィックや図形、図表を織り交ぜながら視覚的にもわかりやすく情報を提供して訴求力を高めるのが特徴。

Web上に公開される記事コンテンツに比べると情報の質、量ともに高い水準が求められる。

ホワイトペーパーの効果

ホワイトペーパーの主な効果はリード獲得とナーチャリングだ。

ダウンロードの条件としてメールアドレスや所属企業の情報などを求めることでリード獲得が進むほか、定期的に配信することで情報源としての信頼性も増していくだろう。

課題解決と製品紹介をメインにしたホワイトペーパーであれば、意思決定を後押しする効果もある。

ホワイトペーパーの使いどころ

主に準顕在層や顕在層、明確層へのアピールのために使われる。

ダウンロードという手間をかけてでも情報が欲しい層は「すでに自社の課題やニーズを把握しており、より詳しい検討材料が欲しい層」であると推測できるからだ。

ただし、単に掲載しているだけではダウンロードされにくいため、より読者の懐に入り込んだ部分でダウンロードを促す工夫が必要となる。

コンテンツマーケティングの現場では、PVが多いWeb記事の末尾にダウンロードリンクを配置する、LPのCTA部分に配置する、メルマガにダウンロードリンクを配置するといった施策が一般的である。

ページ導線設計の例

ホワイトペーパーの種類についてはこちらの記事で解説しているため、あわせて読んでみてほしい。

ホワイトペーパーにはどんな種類がある?選び方のポイントと事例を紹介

2.3.事例、インタビュー

導入事例やインタビュー記事は記事コンテンツの一種である。

ただし、ほかの記事コンテンツのように一般論を中心とした内容ではなく「自社独自の解決方法」を具体的に提示できるため、納得感を高めやすいことが特徴。

また、現場の目線で、かつ人物や時系列がはっきりした状態で「課題→施策→効果」というストーリーを提示できることも強みといえる。

事例、インタビューの効果

事例やインタビューは、認知拡大、興味関心の喚起、リード獲得、ナーチャリングなどさまざまな効果が期待できる。

コンテンツの作り方にもよるが、ホワイトペーパーへの導線として配置するとより効果的だ。

事例、インタビューの使いどころ

特定の課題を認識しており、解決方法やツールを探している「顕在層」や「明確層」を意識して制作する。

具体的な活用方法としては「ホワイトペーパーへの導線」「製品特設サイトへの誘導」「問い合わせ画面への誘導」などが主流だ。

近年では、あえてWeb上に公開せず、MA(マーケティングオートメーション)ツールから既存顧客向けに直接配信して問い合わせにつなげる使い方も増えている。

事例やインタビューの内容は、必ずしも検索キーワードと一致しない。

そのため、検索エンジンで無理に上位表示を狙うよりも、ターゲットやペルソナを絞りつつ、ピンポイントで配信したほうが効果を得やすいだろう。

2.4.動画コンテンツ

コロナ禍を経て一気に一般化した「ウェビナー」や、通常のオフラインセミナー、製品紹介などを動画として編集したコンテンツだ。

記事コンテンツよりも認知負荷が低く、視覚的な訴求効果も強いことが特徴だ。

近年では、Youtubeをはじめとした無料動画プラットフォームの普及によって、非常に汎用性の高いコンテンツとなった。

また、公開形式をクローズドにして、希少性の高い情報源としてアピールすることもできる。

動画コンテンツの効果

動画コンテンツの主な効果はナーチャリングだ。

一定以上の時間拘束が発生するというコンテンツの性質上「もともと興味をもっている層」が対象となる。

動画コンテンツの使いどころ

準顕在層、顕在層に対する訴求(明確層へのステップアップ)を狙った使い方が主流だ。

具体的には、SNSや記事コンテンツからの流入をより深く、強くするために使用される(動画が埋め込まれる)ことが多いだろう。

「スライド」と「スピーチ用テキスト」という2つのコンテンツを制作するため手間はかかるものの、社内資料の転用や応用で制作できるケースも多く、パターン化することで制作コストの圧縮が可能となる。

2.5.LP(ランディングページ)

LPは広告の一種だが、コンテンツマーケティングでも用いられる。

キャッチコピーやイラスト、写真、インフォグラフィックを駆使することで、製品・サービスの魅力を「一枚絵」のように見せられるのが特徴だ。

また、適切に制作されたLPは、1枚の中で導入から訴求まで誘導できるため、記事コンテンツよりも意思決定を促す効果が高くなる。

ちなみにBtoBでは、読み物や統計としての性質を併せ持つ「記事LP(テキストの割合が多いLP)」が用いられることもある。

記事LPとは?通常のLPとの違いや制作のステップ、配信方法を解説

LPの効果

問い合わせ数のアップなど、自社に対して何らかのアクションを起こしてもらう効果が期待できる。

BtoBは、BtoCのように「閲覧者=意思決定者」ではない。

そのため、LPの内容も「購入・契約」ではなく「問い合わせ」をゴールにしたものが一般的だ。

LPの使いどころ

準顕在層や顕在層、明確層に向けて製品・サービスの魅力を直接的にアピールする際に使用される。

Web広告の着地点として使用されるほか、トレンドキーワードからの流入を狙ってオウンドメディアに配置する、特設サイトのトップページに配置するなど、使い方はさまざまだ。

3.コンテンツ活用の勘所

コンテンツマーケティングでは、これらさまざまな種類のコンテンツを組み合わせながら施策を設計していく。

ただし、いくらコンテンツが優秀であっても、活用方法に合理性がなければ成果は生まれない。

そこで、実際にコンテンツを活用する際の勘所を紹介していきたい。

3.1.ジャーニーの設計でコンテンツ活用の流れをつかむ

コンテンツマーケティングでもっとも重要なのが「ジャーニー」の設計だ。

ジャーニーとは「ユーザーの認識の変化」を連続的にとらえたもの。

コンテンツマーケティングでは主に以下2つのジャーニーを意識していこう。

①カスタマージャーニー

カスタマージャーニーとは、認知から意思決定までのユーザー体験をまとめたものだ。

マーケティングでは想定する顧客を「ペルソナ」として設定するが、カスタマージャーニーでは、このペルソナが辿るであろう認識や体験を旅のように表現する。

カスタマージャーニーを設計することで「その時点でペルソナが考えていること、欲していること」に合わせたコンテンツの配置が可能となり、成果につなげやすくなる。

【事例付き】カスタマージャーニーとは?作り方やすぐに使える作成例を紹介

②サーチジャーニー

サーチジャーニーとは、検索キーワードベースで認識変化を捉えたものだ。

SEOを意識したコンテツマーケティング(コンテンツSEO)では、ペルソナの検索意図を把握し、意図に即したコンテンツ配信を続けることで成果に結びつきやすくなる。

3.2.コンテンツ単体の品質を高めつつ「バランス」も考慮する

コンテンツマーケティングは、単体で成果を目指すものではなく、複数のコンテンツを組み合わせながら行う必要がある。

また、組み合わせでは「情報の粒度や濃度」と「コンテンツの種類」の考慮が欠かせない。

例えば、Web上にアップした記事コンテンツでは一般論を述べつつ、個別の具体的な解決法についてはホワイトペーパーに落とすなど、同一のテーマを異なる粒度・濃度で見せることを意識しよう。

読者のなかで情報が体系化され、信頼感や納得感を高めることが可能であるからだ。

こうした組み合わせによるアピールでは、コンテンツ単体の品質はもとより「どのコンテンツで、何について、どのくらい述べるか」といったバランス感覚も求められる。

3.3.配信されるコンテンツの役割を理解する

上記のバランスに関連して、コンテンツの役割を理解することも大切だ。

ノウハウ解説記事では「認知拡大と興味関心の喚起」、導入事例では「リード獲得」など明確に役割を設定し、ジャーニーに沿って配信することでナーチャリング効果が高まる。

特に、露出以外の効果を狙う場合には、コンテンツの役割と配信タイミングの把握が必須となるだろう。

3.4.探って固める「バタフライサーキット」を意識する

バタフライサーキットとは、検索ユーザーの検索行動を蝶の動きになぞらえた考え方だ。

検索ユーザーの多くは「情報を集める(さぐる)」「確かめる(固める)」という行動を連続的に往復しており、これを繰り返すことで意思決定を行う。

効果的なコンテンツ活用のためには「メディア内のコンテンツをいかに周回させるか」という視点で、内部リンクの貼り方やサイト構造の見直しを行っていこう。

3.5.AI検索で拾われるための工夫

AI検索時代においては、単に人気の記事などを発信するだけでは不十分である。

AIは「質問に対する根拠」を重視するため、拾われやすいコンテンツにはいくつかの条件がある。

ここではIT業界の企業がすぐに取り組める具体的な手法や実行する方法を紹介する。

① 一次データを提示する

AIは信頼性の高い情報を優先的に参照する。

そのため、分析結果や自社サービスの利用状況など、一次データを含めることが重要である。

例えば「導入企業の満足度調査」や「システム稼働率の実績データ」といった具体的な数字は、AIが回答までのアプローチの裏付けとなる。

また、アクセス解析や効果測定のレポートを公開すれば、費用対効果やCVRの改善に役立つ情報として検索で引用されやすい。

事前に、展示会やイベントで得られた声や成功事例をまとめて用意することも、実務的なブランド価値を示す一次情報になる。

さらに、CRMやコーポレートサイトに最新の更新情報を掲載してリンクすれば、AIは「鮮度の高い情報」として判断する。

最新情報をもとに認知度や市場動向を説明できれば、記事の影響力は大きく高まる。

② 出典リンクを明示する

公式webサイトや専門的なレポートへのリンクを明示することで、AIにとって信頼の担保となる。

特にGoogleのガイドラインでは「出典の透明性」が評価対象となっており、記事中に関連するホワイトペーパーや統計資料をリンクに適宜追加することは有効な改善策だ。

③ 専門家監修を加える

専門家のコメントや監修を加えることで、コンテンツの権威性を高められる。

AIはE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を基準に情報を選別するため、第三者の専門家による裏付けはコンテンツマーケティングの成果向上を後押しする。

特に、DXやwebマーケティング、ECサイトなどの変化が激しいジャンルでは、社内担当だけでなく外部のプロや代行サービスに依頼して監修してもらうのも有効だ。

提案や選び方を専門家に委ねることで、記事全体の信頼性と重要性が増し、AIに拾われやすくなる。

4.コンテンツ配信の実例と流れ

最後に、コンテンツ配信の例を紹介していきたい。

「2024年問題」というテーマ対するペルソナとカスタマージャーニーを設定し、自社製品(クラウドサービス)への問い合わせにつなげるための例をみていこう。

ペルソナ

まず、以下のようにペルソナを設定していく。

  • 事業会社の物流部門社員。30代中盤以降の男性。
  • ロジスティクス全体を管轄する部署に異動して4年程度
  • ITシステム開発職の経験はない
  • 部署内では委託先の運送業者やドライバーの配車業務を管理する立場にある
  • 2024年問題の到来による人手不足対策の立案を任されている

・ペルソナ設計の整理

こうしたニーズを整理するために「ペルソナ設計シート」を活用するとよい。

基本属性、業務課題、顕在・潜在ニーズ、情報収集経路などを具体的に記載することで、記事の切り口が明確になる。

ユーザー像を描き出すことで、顕在ニーズの解説にとどまらず「課題や悩みに寄り添う」コンテンツを設計できるようになる。

以下のような「ペルソナ作成テンプレート」を使うと、誰もが同じ基準でペルソナ像を共有(シェア)できる状態をつくることができる。

ペルソナ設計シート「企業属性×担当者」の例

さらに、ペルソナを「購買フェーズ」で区切ることで、各段階に応じた適切な情報提供が可能となる。

「企業属性×担当者×フェーズ」の例

「認知」「興味・関心」「比較・検討」といった購買フェーズに対応づけて、ペルソナをより具体化することが重要だ。

「企業属性(業種・規模)」「担当者(役職・部門)」「フェーズ(検討段階)」の3軸を掛け合わせることで「誰に・どのタイミングで・何を提示すべきか」が明確となる。

カスタマージャーニーの例

次にカスタマージャーニーを設計していこう。

カスタマージャーニーは、カスタマージャーニーマップとして表形式にまとめると、ペルソナの意識変化が明確になる。

また、コンテンツマーケティングではSEOも考慮し、検索キーワードの変遷も同時にまとめておくと配信計画が立てやすくなるだろう。

以下に例を挙げる。

 

コンテンツ配信例:カスタマージャーニー

ジャーニーに従ったコンテンツ配信の例

さらに、ジャーニーに沿ってコンテンツの配信計画を作成していく。

ジャーニーに従ったコンテンツ配信例

上の図では、記事コンテンツをすべてのフェーズで使用し、フェーズの境目の部分にホワイトペーパーやLPを織り交ぜることで問い合わせ数の増加も狙っている。

SEOによる露出効果や競合の知名度などによってコンテンツの活用方法は変わるため、いくつかのパターンを作成してテストを重ね、効果を比較してみる方法もおすすめだ。

ジャーニーの導線設計例

★AI検索を前提にしたコンテンツ配信シナリオ

AI検索(AIモード)は、従来の検索エンジンよりも「質問形式のクエリ」に強く反応する傾向がある。

そのため、IT企業が配信するコンテンツにも、FAQ形式やWhy/Howといった疑問文を組み込むことが効果的だ。

・FAQ形式は「根拠情報」をAIに伝える入り口になる

AI検索(AIモード)は、従来の検索エンジンよりも「質問形式のクエリ」に強く反応する傾向がある。

そのため、IT企業が配信するコンテンツにも、FAQ形式やWhy/How疑問文を組み込むことが効果的だ。

  • FAQ形式は「根拠情報」をAIに伝える入り口になる
  • Why/How疑問文は検索ニーズと一致しやすく、購買の比較検討段階に作用する
  • 質問の連続性を意識したシナリオ設計(Why→How→Comparison→Pitfalls)は、ユーザーの行動変容を支援する

こうした設計により、AI検索で拾われやすいコンテンツを作りつつ、読者の悩みに応える自然なコミュニケーションが実現できる。

・Why/How疑問文は検索ニーズと一致しやすい

「なぜ導入が必要なのか?」「どのように運用すれば効率化できるのか?」といったWhy/How形式は、意思決定の比較検討段階に強く作用する。

特にBtoBのSaaS導入やシステム移行の場面では、ユーザーはHow型の問いで調査を進める傾向が強い。

こうした見出しを積極的に取り入れることで、AIに拾われやすいだけでなく、読者の検索ニーズにも的確に応えられる。

・シナリオ設計で活きる「質問の連続性」

AI検索を前提とした配信戦略では、単発的なFAQを並べるだけでは不十分である。

重要なのは「段階的に質問がつながっていく流れ=シナリオ」を意識して設計することだ。

ユーザーは一度の検索で結論にたどり着くのではなく、「Why → How → Comparison → Pitfalls」という複数の問いを経て最終的な判断を下す。

AIモードを活用した検索行動

具体的には次のような流れが考えられる。

  • 「なぜ必要か?」(Why)
    例:なぜ今、物流業界でクラウドシステム導入が求められているのか?
  • 「どう始めるか?」(How to start)
    例:システム導入を最小限のコストで始めるにはどうすればよいか?
  • 「比較すると何が違うか?」(Comparison)
    例:オンプレミスとクラウド、どちらが自社に適しているのか?
  • 「導入後に注意すべき点は?」(Pitfalls)
    例:導入後に発生しやすい運用トラブルや費用増加をどう防ぐか?

このように段階的な質問をシナリオ化して記事やホワイトペーパーに組み込むと、読者は自分の思考プロセスに沿って情報を得られるため理解が深まり、次の行動につながりやすい。

さらにAI検索も、質問と回答が連続した形で提示されていれば参照しやすく、まとめ情報として引用されやすい。

結果として、ユーザー体験(UX)の向上と検索露出の最大化を同時に実現できるのが「質問の連続性」を意識したシナリオ設計の強みである。

5.まとめ

この記事では、コンテンツマーケティングの種類と、コンテンツの活用方法などについて解説してきた。

コンテンツマーケティングで使用されるコンテンツは主に5種類であり、それぞれに明確な役割がある。

これらの役割とジャーニーを照らし合わせ、適切に配信してくことで、コンテンツマーケティングの成功につながるだろう。

まずはペルソナとジャーニー、テーマ選定をしっかりと行い、コンテンツマーケティングの方向性を定めていこう。

コンテンツは「作ること」が目的ではなく、マーケティング戦略全体における重要性を理解し、媒体やチャンネルを最適に選んで展開していくことで成果を最大化できる。

特に、SEOやwebマーケティングにとどまらず、展示会やイベント、メールやSNS(twitter/tiktok)といった複数の接点を組み合わせることが有効だ。

さらに、kpiやcvrを設定し、効果測定やアクセス解析を通じて改善を続けることで、費用対効果を高めながら成果達成へと近づける。

アクションプラン:コンテンツマーケティング成功のステップ

ステップ1:目的と指標を設定する

  • kpiやcvを明確に決める
  • 費用対効果や認知度など、測定可能なゴールを設ける

ステップ2:ターゲットとチャネルを選定する

  • ペルソナや属性を整理
  • 媒体(オウンドメディア、ecサイト、SNS、メール)を比較し、自社に最適な選び方をする

ステップ3:効果的なコンテンツを企画・制作する

  • ブログ記事やホワイトペーパー、成功事例を活用
  • cmsやコーポレートサイトを基盤に整備し、最新情報を反映する

ステップ4:配信と拡散を行う

  • twitterやtiktokでのシェア・拡散
  • 展示会やイベントでのオフライン施策と連動

ステップ5:測定と改善を繰り返す

  • アクセス解析や効果測定で進捗を把握
  • 代行やコンサルティングを利用し、改善ポイントをプロに提案してもらう
  • 社内の担当者の育成や体制強化も同時に進める

なお、AI検索はまだ発展途中であり、必ずしも正解が一つに定まっているわけではない。

だからこそ、最新の動向を踏まえて小さく試し、効果を測定しながら調整していく姿勢が重要だ。

ジャーニーの設計とコンテンツ制作にはノウハウとリソースが必要だ。

もし社内にリソースがない場合は、外部企業のコンサルティングなどのサポートや委託も検討してみてほしい。

専門家に依頼することで、より最適な配信計画や改善のポイントを得られるはずだ。

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監修者情報

野崎 晋平(btobマーケティングコンサルタント)

SIerにてERPの開発・導入を経験後、東証プライム上場企業の情報システム部門にてIT企画や全社プロジェクトを推進。情シス向けに個人で立ち上げたオウンドメディアは月間10万PVを達成。現在は、ITとマーケティングの知見を組み合わせて、IT企業向けにBtoBマーケティング支援を手がけている。

アイティベルのコンテンツマーケティング全体戦略設計は、
ディレクター・ライター全員がIT業界出身。

アイティベルは、コンテンツマーケティングの全体戦略設計を行っています。ペルソナ・カスタマージャーニー・チャネルを一気通貫で設計。顧客に「選ばれる」ための仕組みづくりを支援します。

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