検索クエリは、ユーザーが実際に検索エンジンに入力する検索語句全体を指し、背景にある検索意図を反映している。
「検索クエリ」と背後の検索意図を分析すると、よりターゲットに刺さるコンテンツを作りやすくなるため、SEOでは欠かせない作業だ。
一方で
「検索キーワードとの違いは?」
「どのように抽出、分類していけばよい?」
などの疑問も多い。
そこで本記事では、検索クエリの基礎知識や分類方法から、Google Search ConsoleやGoogleアナリティクスでの確認、分析手法まで詳しく解説する。
オウンドメディア運営やSEOでのキーワード設計やニーズ把握などに役立つ内容となるため、ぜひご覧いただきたい。
1.検索クエリとは
検索クエリとは、ユーザーが検索エンジンの検索窓に入力した語句を指す。
ユーザーの意図や行動を直接反映した生のデータであり、複数のキーワードを組み合わせることで検索者の具体的なニーズを表現したものだ。
マーケティングにおいて、効果的な記事コンテンツの制作や広告運用などを行う際に、ユーザーがどのような背景で、どのような情報を必要としているかを把握するための貴重な手がかりだ。
2.検索クエリとキーワードとの違い
検索クエリとキーワードには明確な違いがあり、特に検索意図の違いが顕著に表れる。
キーワードは、ユーザー視点ではなく、自社で定めるコンテンツの対策キーワードや、広告の出稿キーワードを指す。
つまり、マーケター視点での「単語」や「語句」であるのに対し、検索クエリはユーザーが「実際に入力した検索語句」を指す。
よって、検索クエリは「効果的なSEO対策の方法」「初心者向けデジタルマーケティング入門」のような具体的な文脈を持つ傾向にある。
検索クエリ | 検索キーワード | |
特徴 | ユーザーが実際に検索する語句 | SEO・広告のターゲットワード
マーケター視点 |
形式 | 文章やフレーズ・質問形式 | 単語・短いフレーズ |
目的 | ユーザーの検索意図を表す | コンテンツや広告の運用・最適化で活用 |
例 | SEO対策 何がある
オウンドメディア構築 いくらかかる |
SEO対策
オウンドメディア構築 費用 |
3.検索クエリ4分類と対応コンテンツ
Googleが提唱する分類に基づき、検索クエリは主に4つに分類できる。
それぞれの種類によって、ユーザーの検索意図が異なるため、対応するコンテンツやその作り方が変わってくる。
引用元:4 new moments every marketer should know|Think with Google
3.1.Knowクエリ(知りたい)
情報や知識の獲得を目的とするクエリである。
質問形式で表現される場合が多く、「何」「どう」「なぜ」などの疑問詞を含む。
事実確認や学習目的の検索意図を示す。
目的 | 情報収集や疑問解決 | |
検索意図 | 知識や概念を理解する、課題を解決する | |
対応コンテンツ |
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3.2.Goクエリ(行きたい)
場所や目的地への訪問を意図するクエリである。
地名や施設名を含む場合が多く、アクセス方法や営業時間などの関連情報を求める傾向がある。
アクセスしたいサイトを直接指定する「指名検索」も含まれる。
目的 | 特定のWebサイトや店舗、場所を探す | |
検索意図 | 特定のWebページや実店舗へのアクセスを希望 | |
対応コンテンツ |
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3.3.Doクエリ(やりたい)
行動や活動の実行を目的とするクエリである。
「方法」や「手順」を求める傾向があり、実践的なアドバイスや指示を必要とする。問題解決や新しいスキル習得に関連している。
目的 | 特定のアクションを起こす | |
検索意図 | 操作や手順を知り、実際に行動を起こしたい(ユーザーが実際に行動する段階またはその直前にいる) | |
対応コンテンツ |
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3.4.Buyクエリ(買いたい)
商品やサービスの購入を意図するクエリである。
製品名や価格比較を含む場合が多く、検討段階が進んでおり、ファネルの下部に位置するユーザーが使用する検索クエリだ。
目的 | 商品やサービスの購入 | |
検索意図 | 商品やサービスの比較検討や購入 | |
対応コンテンツ |
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4.検索クエリを調べる3つの方法
検索クエリを効果的に調査するには、以下のツールが活用できる。
- Googleアナリティクス
- Google Search Console
- Google広告
各ツールの特徴を捉えつつ、検索クエリを洗い出し、コンテンツ制作につなげていこう。
方法1.Googleアナリティクス
Googleアナリティクスでは、以下の方法でユーザーが流入に至った検索クエリや、そのクエリにおけるクリック率を把握できる。
- Google アナリティクス 4(GA4)にログイン
- 左側のナビゲーションメニューから「レポート」>「Search Console」>「クエリ」を選択>「セクション」を選択
- 検索クエリごとの表示回数やクリック率、平均掲載順位を確認できる。
方法2.Google Search Console
Google Search Consoleは検索エンジンからの流入に特化した分析ツールだ。
Google検索における自社サイトのパフォーマンスを詳細に把握できる。
検索クエリごとの表示回数・クリック数の確認
Google Search Consoleでは、検索クエリごとの表示回数(インプレッション)とクリック数を正確に確認できる。
具体的には「パフォーマンス」レポートにて、どの検索語句がどれだけの表示機会を得て、実際にクリックされたかを数値で把握できる。
検索結果に表示されているにもかかわらずクリックされていないクエリの特定が可能だ。
- Google Search Consoleにログイン
- 左側のナビゲーションメニューからプロパティ(サイト)を選択
- 左側のメニューから「検索パフォーマンス」>「検索結果」を選択
- 画面上部の日付範囲を設定(デフォルトは過去3ヶ月間)
- 「クエリ」タブを選択(デフォルトで表示されている場合が多い)
- データテーブルに検索クエリごとの以下の指標が表示される
・表示回数(インプレッション数)
・クリック数
・クリック率(CTR)
・平均掲載順位 - 特定のクエリを検索するには、データテーブル上部の検索ボックスを使用
- データをソートするには、列見出しをクリック(例:クリック数が多い順)
- 詳細なフィルタリングをするには、上部の「新しいフィルタ」ボタンを使用
- データをエクスポートするには、右上の「エクスポート」ボタンからCSV形式などでダウンロード
モバイル・PC別の検索クエリ分析
Google Search ConsoleではモバイルとPC別の検索クエリ分析が可能だ。
デバイスごとにフィルタリングすると、モバイルユーザーとPCユーザーの検索行動の違いを把握できる。
フィルタリングの方法は、画面上部にある「フィルタを追加」をクリックし「デバイス」>「PC」or「モバイル」or「タブレット」を選択する。
期間比較による傾向把握
Google Search Consoleの期間比較機能を使用すれば、検索クエリのパフォーマンス傾向を時系列で把握できる。
特定の期間と別の期間を比較すると、クエリの人気度の変化や季節性、トレンドの影響を分析できる。
上部の「詳細▼」をクリックし「比較」タブから比較する期間を選択しよう。
施策実施前後の比較も容易に行えるため、SEO対策の効果検証に最適だ。
方法3.Google広告
Google広告を出稿している場合は、どの検索語句から広告が表示され、クリックやコンバージョンにつながったかを管理画面で把握できる。
この作業は「広告運用」においては基本的だが「コンバージョンに近い検索クエリ」を把握できる点で、SEOやコンテンツマーケティング全体に意味があるといえるだろう。
方法は以下だ。
- Google広告アカウントにログイン
- 左側のナビゲーションメニューから「レポート」をクリック
- 「レポート」タブから「検索語句」(または「検索クエリ」)を選択
- 日付範囲を設定して、分析したい期間を指定
- 表示されるデータには主要指標が含まれるため(表示回数やクリック率など)クエリ(検索語句)ごとのパフォーマンスを分析可能
除外キーワードの設定根拠となるデータ
Google広告の検索クエリレポートは、除外キーワード設定の重要な根拠データとなる。
広告表示されるものの、コンバージョンにつながらない検索クエリや、ビジネスに関連性の低い検索語句を特定できる。
これらを除外キーワードとして設定すると、広告予算の無駄遣いを防ぎ、より効率的な広告運用が可能だ。
また、定期的に検索クエリレポートを確認し、除外キーワードリストを更新すると、継続的な広告パフォーマンスの改善につながる。
リスティング広告の運用については以下で解説しているため、参考にしていただきたい。
オーガニック検索との比較分析
Google広告とGoogle Search Consoleのデータを組み合わせれば、検索広告とオーガニック検索におけるクエリの比較分析が可能だ。
たとえば、検索広告でコンバージョン率やクリック率が高いクエリは、自社の製品と相性がよく、SEOコンテンツの対策にも活用できる場合が多い。
反対に、オーガニック検索での流入が大きいクエリについても、広告の出稿キーワードのヒントとなる可能性もある。
5.検索クエリによる検索意図の分析方法
SEOやコンテンツマーケティングでは、検索クエリから背後にある疑問や課題、ユーザーの検索行動パターンまでの深掘りが重要だ。
特に、生成AIが普及している現代において、単なる単語の知識や概要などの解説についてはAIが適切な回答を返し、ユーザーは「ゼロクリック」で検索体験を終える場合もある。
人間にしかできない検索意図の洞察をもとにすれば、よりコンテンツを新鮮で有用なものにできる。
5.1.Googleサジェスト
Googleサジェストは検索バーに入力した際に表示される関連キーワードの提案機能である。
これはGoogleのアルゴリズムが過去の検索履歴や一般的な検索パターンから自動生成するもので、ユーザーの関心事項を直接反映している。
たとえば「BtoB マーケティング」と入力すると「BtoB マーケティング 手法」「BtoB マーケティング ツール」などが表示される。
これにより、検索者がよく組み合わせるキーワードや関連して知りたい情報が明らかになる。
また、検索量の多いキーワードほど上位に表示される傾向があるため、ユーザーの一般的な検索パターンを効率的に把握できる。
特に「なぜ」「どうやって」などの疑問形での提案は、ユーザーが抱える具体的な悩みや課題を直接表すため、コンテンツのテーマへと活用しやすい。
5.2.再検索キーワード
再検索キーワードとは、ユーザーが同一セッション内で最初の検索結果を確認したあと、さらに詳しい情報を求めて行う次の検索語句を指す。
たとえば「SEO対策」を検索したあとに「SEO対策 費用」「SEO対策 期間」と検索するケースだ。
再検索キーワードは「再検索キーワード調査ツール」や「GetKeyword」などのツールを用いて調べられる。
再検索キーワードには、はじめに検索したキーワードで表示されたコンテンツでは満たされなかったニーズが反映される。
よって、該当の検索クエリを入力したユーザーが併せ持つニーズや、関連深いニーズの把握につながるのだ。
再検索キーワードに関する内容をコンテンツ制作に組み込めば、離脱を防ぎ、満足度を高められるだろう。
6.検索クエリの活用における注意点とポイント
検索クエリそのものは、ユーザーの検索意図を反映する貴重な情報源である。
一方で、誤った解釈や不十分な分析に基づいた施策は、期待した効果を生み出さないばかりか、リソースの無駄遣いにつながるおそれがあるため、以下の点を押さえて活用をすすめよう。
6.1.ターゲット層とのミスマッチング
同じ検索クエリでも、ターゲットによってコンテンツの方向性は大きく異なる。
専門的な技術記事を一般ユーザー向けに書いてしまうと、専門家には物足りず、一般ユーザーには難解すぎるという中途半端な結果となる。
反対に初心者向けの内容を上級者向けに提供すれば、情報の価値を感じてもらえず離脱につながる。
BtoBでは、サービスの提供範囲が限定的である場合も多いため、うまくターゲットに届かなければ制作リソースの無駄が生じてしまうおそれもある。
自社のサービスや既存顧客の分析からコンテンツのターゲットを定め、受注やリード獲得に近いコンテンツ制作を心がける必要があるだろう。
6.2.トレンドの反映
デジタル環境は急速に変化しており、特にテクノロジー関連のBtoB領域では、新たな技術やソリューションが次々と登場する。
過去の検索クエリだけに対応したコンテンツを提供すると、専門知識や最新動向に敏感なターゲットからの信頼を失うおそれもある。
検索クエリデータは過去の行動に基づくものであり、未来のトレンドを直接予測するものではないとの理解が必要だ。
Googleトレンドなどのツールや、専門フォーラム・業界ニュース・ソーシャルメディア上の議論など、多様な情報源からトレンド情報の収集が有効だ。
これらの分析に基づき、トレンド変化に対応したコンテンツ戦略を構築し、常に市場の一歩先を行く情報提供を心がけよう。
6.3.生成AI時代を意識した「Do」クエリへの対策
生成AIが進化する中で、SEO対策も変化してきている。
特に「Do」クエリ、すなわち「行動を起こしたい」「購入したい」といったニーズに応えることが重要だ。
AIによる回答が検索結果に表示される現代、情報提供型の「Know」クエリでは「ゼロクリックリサーチ」となりやすい。
そこで、行動を促す「Do」クエリへの対策も強化する必要がある。
たとえば「ERPシステム 導入方法」や「業務システム クラウド移行」といった、ユーザーが具体的なアクションを取るために必要かつ専門性が必要な「ノウハウ」を求めるクエリだ。
これにより、ユーザーの濃いニーズを満たし、コンバージョンにつなげやすくなる。
7.まとめ
検索クエリは、ユーザーが実際に検索エンジンに入力する検索語句全体を指し、背景にある検索意図を反映している。
これらを適切に理解し活用すると、ユーザーニーズに合致した効果的なマーケティング施策が実現するだろう。
また、コンテンツ戦略を立てる際には、検索クエリだけを用いるのではなく、本記事で解説したGoogleサジェストやGoogleトレンドの活用、ターゲットの明確化などを合わせて行おう。
より精度が高く、成果につながる戦略につながるはずだ。
弊社では、オウンドメディアや広告運用、メールマーケティングなどに関して、BtoB IT領域での支援を行っている。
お悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせいただきたい。