URLの正規化は、SEOやオウンドメディアの取り組みにおけるテクニカルな側面を持った対策だ。
苦手意識を持つ方も多いかもしれないが、URLの正規化の仕組みや方法はエンジニアでなくとも理解できるためご安心いただきたい。
本記事では、URLの正規化の目的やメリット、具体的な実践方法について詳しく解説する。
SEO評価の向上やペナルティの回避には欠かせない内容であるので、ぜひご確認いただきたい。
1.URLの正規化とは
URLの正規化とは、同一コンテンツに対して複数の異なるURLが存在する場合、1つのURLを正式なもの(正規URL)として検索エンジンに認識させるプロセスを指す。
同じ(または類似の)コンテンツをすべて検索エンジンがクロールし、別々のものだと判断した場合、SEO評価が分散されたり、重複コンテンツとして認識されたりするおそれがある。
このようなリスクを回避するために、検索エンジンが評価に用いるための代表ページ(URL)を1つ決めるという取り組みが「URLの正規化」だ。
たとえば、以下のように複数のURLが存在するものの、これらのURLはすべて「同じ」ページに遷移する場合がある。
- https://example.com/page
- https://example.com/page/
- https://www.example.com/page
微妙に異なるURLが複数存在すると、上述のようにSEO的なリスクが発生する。
その場合「1.https://example.com/page」を正規URLに指定すれば、検索エンジンはクロールして、評価対象とすべきURLを読み込み、かつ3つのURLに対する評価を1つのコンテンツへの評価として集約できる。
Googleは、公式ガイドラインで「正規URLを指定すべき理由」を公開している。より詳しく仕組みを学びたい人は参照してほしい。
rel=”canonical” などを利用して正規 URL を指定する方法|Google検索セントラル
2.URLの正規化を行う6つのメリット
前段でも少し触れたが、URLの正規化を行う真のメリットをもう少し深く理解しておこう。
- SEO効果の最大化
- クロール効率の向上
- ウェブサイトの分析をシンプルにする
メリット1. SEO効果の最大化
URLの正規化がされていない場合、検索エンジンは同一または類似するページを複数の異なるURLとして認識する可能性がある。
これにより、検索順位が分散するリスクが生じる。
BtoB企業では、検索上位を確保して、多くのトラフィックを獲得することがリード獲得や信頼性向上に直結する。
よって、URLの正規化はSEOの基本施策として不可欠であるといえるだろう。
メリット2. クロール効率の向上
検索エンジンは、常にインターネット上のウェブページを巡回(クロール)し、各ページの評価を行っている。
クロールは、クローラーというロボットによって行われ、リンクをたどって、ウェブページを発見したり、情報を得たりするプロセスだ。
URLの正規化は、クロールの効率を高め、適切なSEO評価のスピーディな獲得につながる。
URLの正規化がされていない場合、不要なクローリングが発生し、SEO評価の効率が下がるおそれがあるのだ。
さらに、ウェブサイト全体のURL構造の把握にも時間がかかり、ページ単位ではなくサイト全体のSEO評価にも影響を与えるかもしれない。
適切なSEO評価を得るための「土台作り」として、URLの正規化は欠かせないのだ。
メリット3. ウェブサイトの分析をシンプルにする
ウェブサイトのアクセス解析や行動分析を行う場合、URLの正規化がされていないと、同じページのデータが別々に記録されるおそれがあり、分析作業が複雑化する。
特にLP上でのユーザー行動、リード獲得率やコンバージョン率の分析はマーケティングや営業のパフォーマンスにも影響する。
URLの正規化によってデータや指標を一貫させれば、シンプルかつ正確なKPI分析につながるのだ。
3.URLの正規化が必要なケース
次に、URLの正規化が必要なケースとは具体的にどのような場合を指すかを説明しよう。
ケース1. URLにパラメータが含まれる
同じコンテンツを表示するURLにクエリパラメータ(例:「?id=123」 や「 ?utm_source=google」)が含まれるケース。
ウェブページへの流入元を特定するためによく用いられるが、検索エンジンはこれらを異なるページとして認識する可能性があるため、正規化が必要である。
例:
https://example.com/product?id=123
https://example.com/product?utm_source=google
→これらを https://example.com/productに正規化
ケース2. wwwあり・なしの混在
「www」を含むURLと含まないURLが混在しているケース。
例:
https://www.example.com
https://example.com
→どちらかを正規URLとして設定し、評価の分散を防ぐ。
ケース3. HTTPとHTTPSの混在
サイト全体でHTTPとHTTPSが混在している場合も同様に正規化が必要である。
例:
http://example.com
https://example.com
→HTTPSを正規URLとして設定することが推奨される(現在ではセキュリティ面の理由でHTTPSが標準であるため)。
ケース4. 末尾スラッシュやindex.htmlの有無
URLに末尾スラッシュがあるバージョンとないバージョン、またはindex.htmlが含まれるバージョンが混在している場合、検索エンジンはこれらを異なるページと認識する可能性がある。
これを回避するために正規化が必要である。
例:
https://example.com/page
https://example.com/page/
https://example.com/page/index.html
→いずれかを正規URLとして設定する。
ケース5. デバイスでURLが異なる
PC用とスマホ用に異なるURLを設定している場合、検索エンジンはこれらを別々のページとして認識する可能性がある。
これを回避するために正規化が必要である。
例:
PC版: https://example.com/page
モバイル版:https://m.example.com/page
→モバイル版のページに正規URLを指定する。
ケース6. 同一のコンテンツでURLが異なる
異なるURLで同じコンテンツを指す場合、検索エンジンはこれらを重複コンテンツとみなし、評価が分散する可能性がある。これを防ぐために正規化が必要である。
例:
https://example.com/page
https://example.com/page?ref=google
https://example.com/page?sort=asc
→これらを「https://example.com/page」に正規化すれば、評価の分散や重複コンテンツを回避できる。
4. URLの正規化を行う方法
URLの正規化の方法はいくつかあるが、大半は「301リダイレクトを使用する方法」と「caonnicalタグを使用する方法」のどちらかで対応可能だ。
4.1.方法の選び方
まずは、どのようなケースでどちらの方法が適しているのかを確認しよう。
301リダイレクトを選ぶべき場合
- ユーザーがアクセスした際に正規URLへ永久的に「転送」したい場合
- 正規URL以外のURLが今後は明確に不要という場合
具体的には「wwwあり・なしの混在」「HTTPとHTTPSの混在」「末尾スラッシュやindex.htmlの有無」が当てはまる。
canonicalタグを選ぶべき場合
- 複数のURLは引き続き使用される可能性がある場合
上述のケースでは「URLにパラメータが含まれる」「デバイスでURLが異なる」「同一のコンテンツでURLが異なる」が当てはまる。
4.2. 301リダイレクトを使用する方法
301リダイレクトは、ユーザーや検索エンジンを正規URLに自動転送する方法である。
恒久的なリダイレクトであり、正規化だけでなくSEO評価の引き継ぎにも効果的である。
301リダイレクトについては、以下の記事でより詳しく解説しているため、ぜひ参考にしていただきたい。
ステップ1.正規URLを決定する
サイトのポリシーを決定し、すべてのURLバリエーションの中から1つを正規URLとして採用する。
ステップ2.ウェブサーバーの設定を変更する
使用しているウェブサーバー(Apache, Nginxなど)の設定ファイルにリダイレクトルールを記述する。
- Apacheの場合
.htaccessファイルに以下のコードを追加。
RewriteEngine On
RewriteCond %{REQUEST_URI} !/$ RewriteRule ^(.*)$ https://example.com/$1/ [R=301,L] |
- Nginxの場合
nginx.confに以下のコードを追加。
server {
rewrite ^(/.*[^/])$ $1/ permanent; } |
4.3. canonicalタグを使用する方法
HTMLの<head>セクションにcanonicalタグを記述し、検索エンジンに対して正規URLを明示する方法である。
ユーザーには直接、影響しないが、検索エンジンの評価を集約する効果がある。
ステップ1.正規URLを決定する
サイトのポリシーを決定し、正規URLを選定する。
ステップ2.canonicalタグをHTMLに追加する
重複している各ページの<head>セクション内に以下のコードを記述する。
<link rel=”canonical” href=”https://example.com/page/(正規URL)”> |
4.4. CMSのプラグインを使用してもOK
WordPressなどのCMSを使用している場合、301リダイレクトやcanonicaタグの設定をノーコードで簡単に行えるプラグインがある。
プラグインを使用すれば、ページに対応する正規URLを入力するだけで設定できるため、CMSを活用している場合はおすすめの方法だ。
WordPressを使用している場合、301リダイレクトの設定には「Redirection」、canonicalタグの設定には「Yoast SEO」や「All in One SEO Pack」がおすすめだ。
5. URLの正規化が適切に行えているか確認する方法
URLの正規化を行ったら、適切に設定できているかを確認しておこう。
主な確認方法は以下の2つだ。
- Google Search Consoleを使う方法
- リダイレクトチェックツールを使う方法
確認方法1. Google Search Consoleを使う方法
Google Search Consoleは、検索エンジンに自社サイトがどのように認識されているかを包括的に確認できるGoogle公式のツールである。
検索エンジンの認識状況を詳細に確認したい場合や、正規URLに関する問題を全体的に把握したい場合に活用するとよい。
ステップ1.Google Search Consoleにログイン
自分のサイトが登録されているGoogle Search Consoleにアクセスする。
ステップ2.URL検査ツールを使用
上部の検索バーに調査対象のURLを入力し「Enter」を押す。
ステップ3.正規URLを確認する
検索結果ページで「カバレッジ」の情報が表示される。
「ユーザーが選択した正規URL」と「Googleが選択した正規URL」が一致しているかを確認する。
ステップ4.一致しない場合の対応
Googleが異なる正規URLを選択している場合、canonicalタグが正しく設定されているか、または301リダイレクトが動作しているかを確認する。
そして、URL正規化の設定を行っても、検索エンジンがまだ新たにクロールをしていない場合は、正規化の前の状態でインデックスされている可能性が考えられる。
よって、新たにインデックス登録をリクエストすれば、URL正規化の設定を反映できる可能性が高いため、試してみよう。
ステップ5.サイト全体のインデックス状況を確認する
サイドメニューの「カバレッジ」や「ページ」レポートを使用し、検索エンジンがどのURLをインデックスしているかをチェックする。
確認方法2. リダイレクトチェックツールを使う方法
リダイレクトチェックツールは、301リダイレクトや302リダイレクトの動作を確認するためのオンラインツールである。
固有のURLを直接入力して、リダイレクト動作やステータスコードの状況を即時に確認したい場合に活用するとよい。
ステップ1.リダイレクトチェックツールにアクセスする
まずはリダイレクトチェックツールにアクセスしよう。
以下は無料のおすすめツールだ。
ステップ2.URLを入力する
調査対象のURLをツールの入力欄に入力する。
ステップ3.リダイレクト状況を確認する
ツールの出力結果で以下を確認する
- リダイレクトが発生している場合、HTTPステータスコードが「301(永久移動)」になっているか。
- 最終的なリダイレクト先のURLが正規URLと一致しているか。
6.まとめ
URLの正規化は、適切なSEO評価を得るための「土台」となる対策だ。
広告に頼らない集客対策として、SEO対策が多くの企業で用いられている現代では、必須といえる知識だろう。
とはいっても「社内にSEOに精通した人材がいない」「エンジニアはいるが開発にリソースが圧迫されている」など、自社マーケティングに余裕を持って取り組める企業は多くはないだろう。
弊社は、そんなIT企業様にむけて、SEO対策やコンテンツマーケティングを得意としている。お悩みや不明点があればお気軽に問い合わせいただきたい。