コンテンツマーケティングのメリットとは?広告との投資対効果の比較や活用ポイントを解説

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企業のマーケティング担当者のなかには、

  • 「コンテンツマーケティングの投資対効果はどうなのだろうか」
  • 「コンテンツマーケティングと広告のどちらが安いかよくわからない」
  • 「他の施策との使い分けが分からない」

という悩みを抱える方が少なくない。

コンテンツマーケティングは、インターネット広告に比べて低コストで着手できるイメージがある。

確かに、少額の予算から始められるのはコンテンツマーケティングのメリットだ。

しかし、実際には状況に応じた広告との使い分けや併用が必要となる。

現代のコンテンツマーケティングで結果を出すためには、デメリットや注意点を理解した施策が必須といえるだろう。

この記事では、コンテンツマーケティングの効果を高めるために、メリットやデメリット、ほかのマーケティング施策を考慮した使いどころ、広告との投資対効果の比較などについて解説していきたい。

 

1.コンテンツマーケティングのメリットとデメリット

 

まず、コンテンツマーケティングのメリットとデメリットを把握しておこう。

 

1.1.コンテンツマーケティングのメリット

 

コンテンツマーケティングのメリットは「コストパフォーマンスの良さ」「資産化」「幅広い層に訴求できる」の3点に集約される。

 

メリット1:コストパフォーマンスの良さ

 

コンテンツマーケティングは、しっかりと機能すればコストパフォーマンスの高い施策である。

初期コストが高いインターネット広告とは異なり、月々数万円程度の少額から継続できるからだ。

したがって、ROI(Return On Investment=投資利益率)の面でいえばインターネット広告よりも優れた施策といえるだろう。

もちろん、成果をどれだけ得られるかにもよるが「継続的な検索流入効果」「ナーチャリングの効果」「顧客とのタッチポイント増加」などを含めると、その効果は決して広告に引けを取らない。

特に、SEOと質(内容の濃さ、有益性)を両立したコンテンツは、長期にわたって見込み客との接点になる。

また、制作したコンテンツは、ブログ形式からウェビナー資料、ホワイトペーパーと形を変えながら再利用することもでき、さまざまなルートからのリード獲得が期待できる。

初期コストの低さのみが強調されがちだが、実際には「再利用性」「継続性」の面でもコストパフォーマンスに優れている施策だ。

 

メリット2:コンテンツが自社の資産になる

 

コンテンツマーケティングは、複数のコンテンツを積み上げながら行う「ストック型の施策」である。

「ストック型の施策」とは、コンテンツを継続的に制作・公開し、それを蓄積していくアプローチであり、一度制作したコンテンツは将来にわたって活用される。

例えば、専門知識を共有するブログ記事は、サイトに公開することで長期間にわたって読まれるようになるだろう。

また、メールマーケティングや広告、ウェビナーへの利活用など、幅広いマーケティング施策に活用可能だ。

つまり、蓄積されたコンテンツは時間の経過とともに自社の価値を拡散する「デジタル資産」となる。

そのほか、コンテンツマーケティングは以下のような効果も期待できる。

  • 専門領域で信頼を獲得した結果、優良顧客との出会いにつながる
  • サイテーション(言及、引用)が増えて権威性が増す

BtoBでは特に後者の効果が大きいことから、検索上位表示のみに捉われない施策として活用されている。

 

メリット3:潜在層から明確層まで幅広くアピールできる

 

認知段階から意思決定段階に至るまで、顧客が滞在する「層」にかかわらず訴求できる点もメリットだ。

例えば、認知段階の顧客には「話題性のある情報をかみ砕いて伝える」、明確層の顧客には「数値や機能、実績でアピールする」など、コンテンツの内容を分けていくことで、さまざまな層に対応できる。

広告でもこうしたチューニングは可能だが、コンテンツマーケティングほど精彩かつ濃密なアピールはできない。

 

1.2.コンテンツマーケティングのデメリット

 

コンテンツマーケティングのデメリットとしては「即効性の低さ」「ノウハウが必要」「質によって効率が変わる」の3点が挙げられる。

 

デメリット1:即効性が低い

 

検索ボリュームや競合コンテンツの質にもよるが、一般的にコンテンツマーケティングの効果があらわれるまでには数か月以上の時間を要する。

実際に海外のSEO対策企業の調査において、検索上位コンテンツは公開から平均1年以上経過しているとの結果が出ている。

さらに、BtoBの場合は顧客企業の「態度変容」に時間がかかることも覚えておいてほしい。

BtoBの場合は、意思決定にさまざまな利害関係者が絡むため、問い合わせや商談につながるまでに数か月~1年程度を要することもある。

もし「リード獲得」が短期的な最重要ミッションの場合は、ほかの施策を活用すべきだろう。

施策別のリード獲得難易度や費用の比較は、こちらの記事を参考にしてほしい。

リードジェネレーションとは?手法別の優先度や難易度、課題と解決策・効果測定方法を解説

 

デメリット2:コンテンツ制作、配信にノウハウが必要である

 

コンテンツ制作にはノウハウが必要だ。

BtoBのコンテンツマーケティングでは、専門性の高いニッチなロングテールキーワードを狙い、専門性や権威性、信頼感を高めていく。

BtoCのように知名度に比例して優良顧客との出会いが生まれるわけではなく、長期目線でのパートナーと出会う必要があるからだ。

ロングテールキーワードをテーマにしつつ、質の良いコンテンツを制作するためには、業界知識・製品知識・基礎技術に関する知識やノウハウが求められる。

また、ライター陣や編集ユニットの確保など、体制面の整備も欠かせない。

近年では、社内にコンテンツ制作・編集チームを持つ企業も増えてきたが、ノウハウや人材獲得に要するコストの面から、まだまだ一般的とはいえないのが実情だ。

 

デメリット3:コンテンツの質次第で効率が大きく上下する

 

コンテンツの質によって効果が大きく変わることもデメリットだ。

低品質なコンテンツは信頼性を損なうおそれがある。

信頼性は「人」が判断するものであることから、低品質なコンテンツは実務担当者に評価されず、未来のパートナー企業を遠ざけてしまうだろう。

裏を返せば、質の良いコンテンツであれば、広告よりもはるかに小さなコストで良質なパートナーを引き寄せられる可能性がある。

コンテンツマーケティングは広告よりも安定した効果が見込めると思われがちだが、実際にはコンテンツの質によって大きな差が生まれることを覚えておいてほしい。

 

メリット デメリット
コストパフォーマンスの良さ

・月々数万円程度の少額から継続可能

・ROI(投資利益率)の面でいえばインターネット広告よりも優れることも

・コンテンツの「再利用性」にも優れる

即効性が低い

・効果があらわれるまでに数か月以上を要する

・BtoBの場合は顧客企業の「態度変容」に時間がかかる

コンテンツが自社の資産になる

・自社の価値を拡散する「デジタル資産」となる

・専門領域で権威性が増すことで優良顧客との出会いにつながる

コンテンツ制作、配信にノウハウが必要である

・ロングテールを狙う場合、業界知識・製品知識・基礎技術に関する知識などさまざまなノウハウが必要

・ライターや編集ユニットの確保など、体制面の整備も必須

潜在層から明確層まで幅広くアピールできる

・認知段階から意思決定段階に至るまで、顧客が滞在する「層」にかかわらず訴求できる

・同じテーマでもコンテンツの内容を書き分けていくことで、さまざまな層に対応できる

コンテンツの質次第で効率が大きく上下する

・質が低いコンテンツは未来の顧客を遠ざける

・質によって成果の出方が大きく変わる

 

2.コンテンツマーケティングの注意点

 

上記で紹介したコンテンツマーケティングのメリット・デメリットを踏まえて、コンテンツマーケティングを実施する際の注意点をみていこう。

 

2.1.自社の価値とキーワードを紐づける

 

BtoBのコンテンツマーケティングは、SEOの効果のみを狙うものではない。

また、コンテンツSEOに注力する場合であっても「質」が問われる時代になりつつある。

出現キーワード数や共起語の数はほとんど順位に関係しなくなった。

しかし、検索キーワードの抽出が無意味なわけではない。

キーワードは「どのようなユーザーが何を求めているか」「自社の価値をいつどのように提供すべきか」を知る良い機会であるからだ。

具体的には、

  • 自社の持つ価値を把握する
  • ペルソナからキーワードを抽出し、自社のもつ価値と紐づきそうなキーワードをピックアップする
  • キーワードと自社価値の紐づきを意識してコンテンツを制作する

といったステップが重要となる。

 

2.2.レッドオーシャン化への対応が必須

 

コンテンツマーケティングは、インターネット広告に比べると確かにコストパフォーマンスが良い。

ただしそれは「想定通りにリードを獲得できた場合」だ。

BtoBでもキーワード単位、検索クエリ単位で見るとレッドオーシャン化が進んでいる。

レッドオーシャン化が進むと流入量の変動が大きくなり、リード獲得量が落ちるおそれがある。

こうしたレッドオーシャン化の弊害を防ぐためには、単に更新頻度を上げるだけではなく、

  • コンテンツ配信のルートを多様化させ、トータルの流入量を維持する
  • 安定したコンテンツ制作と配信が可能な体制をつくる

などの戦略的な視点が必須となる。

 

2.3.「コンテンツスパム」化を防ぎつつオリジナリティも確保

 

海外ではここ数年「コンテンツスパム」が問題視されている。

コンテンツスパムとは「ある程度の質はあるが、オリジナリティや新しい知見がない記事」のこと。

現在の検索エンジンのアルゴリズムでは、特に目新しい情報が含まれていなくても「害」とみなされない程度の質があれば、それなりに上位表示される。

これは、特にBtoCで問題視された現象だが、近年ではBtoBでも同じ傾向が見られる。

とはいえ、内容の濃さだけに注力すると検索エンジンから評価されずにコンテンツスパムに埋もれるリスクもある。

したがって、検索順位は意識せざるを得ないだろう。

そこで重要なのは「ニーズを的確に捉えた質の高い情報」にどう誘導するかだ。

具体的には「検索エンジンからの評価を意識した部分」と「内容を重視した部分」の両立を意識してコンテンツ制作を進めていこう。

詳しくはこちらの記事を参考にしてほしい。

コンテンツマーケティングとSEOの違いとは?「集客」と「質」を両立する7つのポイント

 

2.4.ビッグワードをメインにしない

 

デメリットの部分でも少し触れたが、BtoBのコンテンツマーケティングではビッグワードだけをターゲットにすべきではない。

なぜなら、BtoBに属する企業は、DMU(購買ユニット)が常に購買をチェックしており、BtoCのように「知名度が高い=良い製品だろう」という単純な理論が働かないからだ。

ビッグワードで露出を狙うことも大切だが、それ以上にDMUを納得させるコンテンツを制作する必要がある。

DMUは業界知識や製品知識をもつ人材であり、ビッグワードよりも細かく正確な情報を求めている。

つまり「ロングテールに属するニッチなキーワード」でリサーチしている可能性が高い。

また、DMUを納得させるコンテンツは、ジャーニーやペルソナをしっかりと設計しなければ制作できない。

逆をいえば、ジャーニーやペルソナが精密になるほどキーワードはニッチになってくる。

 

ペルソナの内容 推測されるキーワード
ペルソナA 30代男性

事業会社に属する社内SE

セキュリティ対策が主な職務

セキュリティ対策 ツール

(月間検索ボリューム 1300)

ペルソナB 30代男性

事業会社に属する社内SE

セキュリティ対策が主な職務

APIを用いた仕組みが多いことから、APIセキュリティに関する対策を任されている

APIセキュリティ 対策

(月間検索ボリューム 90)

 

ペルソナBではAよりも具体的に顧客像を設定しており、それに伴いキーワードもニッチになっている。

ニッチなロングテールキーワードはレッドオーシャン化しにくく、かつ専門的な知見が評価されやすい。

逆に「セキュリティ対策 ツール」のようなざっくりしたキーワードでは、APIセキュリティに関する専門的な知見がコンテンツスパムに埋もれてしまい、適正な評価を得られないリスクがある。

もちろんケースバイケースな側面はあるが、BtoBでは「切実なニーズに対して、的確に情報を届ける」ことが成果につながるため、ニッチなロングテールキーワードを積極的に狙うべきだろう。

 

2.5.「証明」を増やす

 

少し毛色が異なるが、コピーライティングの世界では「購入金額が多くなるほど、人を納得させるための社会的証明が必要になる」とされている。

つまり、BtoCよりも取引金額が大きいBtoBでは、顧客側を納得させるための証明が必須といえる。

ここでいう証明とは「製品やサービスのスペック、機能」「スペックや機能を裏付ける数値」「過去の実績」「実績の中で確認できる具体的な効果」など。

これは、BtoCがメインのAmazonよりも、BtoBがメインのAlibabaのほうが製品ページの情報量が多いことからもわかるだろう。

 

3.コンテンツマーケティングの活用ポイント

 

続いて、コンテンツマーケティングの弱点である「即効性の低さ」を克服するためのポイントを紹介していきたい。

前述したように、BtoBでは態度変容のスパンが長いことから、コンテンツを公開しても思うように反応が得られないことがある。

この点を補強するのが「インターネット広告」だ。

 

3.1.広告と併用して弱点を補強

 

デジタルマーケティングの世界では「インターネット広告かコンテンツマーケティングか」という2者択一の議論をよく見かける。

コストの面では、この議論も間違いではない。

しかし、本当に重要なのは「成果につながる仕組みをつくること」。

成果につながる仕組みという点で見ると、インターネット広告とコンテンツマーケティングは相互補完の関係にあるため「併用」がおすすめだ。

一般的に、リード獲得のスピードはインターネット広告が勝る。

しかし、獲得したリードに情報を提供してナーチャリングし、長期的なパートナーになってもらうためにはコンテンツが必要となる。

 

3.2.着火は広告、継続はコンテンツ

 

スタートアップなどでリードがまったくない状態であれば、コンテンツマーケティングで時間をかけるよりも、広告やウェビナーなどで獲得したほう成果を得やすい。

イメージ的には「着火は広告、火力の維持と増大はコンテンツマーケティング」。

具体的には、広告で獲得したリードに対して、MAから配信するメールなどを絡めながらコンテンツに誘導し、ナーチャリングを狙っていこう。

検索流入のみに頼るよりも時間効率が良く、さらにコンテンツの閲覧量も増えることから、上位表示を狙いやすくなる。

 

4.インターネット広告とコンテンツマーケティングの比較

 

最後に、インターネット広告とコンテンツマーケティングについて、労力や制作コスト、成果までのスピードなどを比較していこう。

 

インターネット広告 コンテンツマーケティング
費用 月数十万~数百万程度 月数万円~200万円程度
即効性 非常に高い

(検索流入量ベースでみれば数日で効果が出ることも)

やや低い

(効果が確認できるまでに数か月~1年以上)

労力と効果 ・制作日数は1本あたり1か月程度

・コピーライティングや広告配信のノウハウが必要

・記事コンテンツ1本あたり1週間~10日程度

・テーマによっては広告以上に時間を要する

・ライター陣と編集ユニットの確保、育成が必須

難易度、コストパフォーマンス

(投下予算に比例して効果が出やすい)

低~高まで

(コンテンツの質に比例して効果が変わる)

 

費用に関しては、インターネット広告のほうが高額となりやすい。

そもそもの製作単価が異なるうえに「成果連動型(クリック数やインプレッション数で金額が決まる)」が主流になっているため、効果とコストは正比例の関係にある。

一方、コンテンツマーケティングは、成果と費用が連動しないため、うまくいけば非常にコストパフォーマンスが良い施策となる。

 

ただし、コンテンツの数と質を両立させるための難易度が高く、効果が出るまでの時間も長い。

例えば「イニシャルコストをおさえてじっくりメディアを育てたい」のであれば、コンテンツマーケティングが向いているだろう。

しかし、時間短縮を望むのであれば、早い段階でインターネット広告の併用も検討すべきだ。

また、コンテンツマーケティングでもっとも労力を要するのは「ライター陣と編集ユニットの確保」であることから、この点を外注で賄う方法も視野に入れてみてほしい。

内製化は理想的な選択肢だが、コア人材のリソースを消費してしまうリスクもある。

 

5.まとめ

 

この記事では、コンテンツマーケティングのメリットとデメリット、注意点、活用ポイントや広告との比較を紹介してきた。

コンテンツマーケティングはコスパの良さや資産化といったメリットがある一方で、即効性の低さが問題視されている。

また、コンテンツSEOが行き過ぎることで、信頼性の低下を招くリスクもある。

限られた予算のなかで結果を出すためには、コンテンツマーケティングと広告をうまく使い分け、それぞれの利点が噛み合うように運用していくことが重要だ。

 

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