ランディングページ(LP)とは、商品やサービスの購入、資料請求などの「コンバージョン」を目的としたWebページだ。
Web広告とあわせて運用することにより、短期間で流入を増やし、売上の向上やリードの獲得につなげられる。
Webマーケティングにおいて、ランディングページの最適化は必須の施策といえるだろう。
一方で、
- 「具体的なメリットや効果がわかりにくい」
- 「制作方法や最適なツールがわからない」
- 「ランディングページで本当に効果がでるのか不安だ」
という声もある。
そこで本記事では、ランディングページの基礎をわかりやすくまとめたうえで、メリットや具体的な作り方、効果的な運用方法について、実務にも落とし込めるよう詳しく解説していく。
1.ランディングページ(LP)とは
ランディングページ(LP)とは、特定の商品やキャンペーンの「コンバージョン」につなげるためのWebページを指す。
つまり、企業がユーザーに対し、お問い合わせや資料請求、商品の購入などを促す、セールス要素が比較的強いWebページだ。
一方で、広義では「ユーザーがはじめに着地したページすべて」を指すこともあるため、混乱を招きやすい。
本章では、これらの整理も含めて、ランディングページの基本を解説していく。
1.1.ランディングページ(LP)の定義
ランディングページ(LP)は、英語で「Landing Page」と表記する。
ユーザーがWebページに「着地する(land)」イメージからついた名称で、検索結果、広告、他サイトでのリンクなどを経由して「はじめに閲覧するページ」のことだ。
ただし、Webマーケティングの世界における「LP」は、一般的に広告を経由してユーザーが到達したページ、つまり「広告の遷移先ページ」に限定される。
よって、マーケティング活動でのランディングページは「広告の遷移先」という認識で問題ない。
なお、本記事でも広告の遷移先ページとしてのランディングページについての解説を進めていく。
1.2.ランディングページ(LP)の役割
広告の遷移先として設定するランディングページには、ユーザーを特定の行動(コンバージョン)へ誘導する役割がある。
「特定の行動」とは具体的に以下のようなものだ。
- お問い合わせ
- 資料請求
- ウェビナーへの参加登録
- ホワイトペーパーのダウンロード
- 無料トライアルへの登録
これらのコンバージョンは、BtoBではリードの獲得に活用されることが多い。
ユーザーが問い合わせやホワイトペーパーのダウンロードを行う際に、企業名、役職、お悩みなどの情報を入力させることで、将来顧客となる見込みのあるリード情報として蓄積できる。
1.3.ランディングページ(LP)の特徴
ランディングページの主な特徴は、以下のとおりだ。
- 内容は1つのトピック(特定の商品、キャンペーン、ノウハウなど)のみ
- 単一ページからなる
- コンバージョンに向けて上から下へストーリを展開する(スクロールで完結する)
- コンバージョンに関係のないリンクは設置されない
- 各所に「CTA(Call to Action=行動喚起)」が設置される
ランディングページは、縦長の1ページで構成される。
上から下へと読み進めることでユーザーの心を動かし、コンバージョンへ誘導する流れで展開される。
そのため、行動を阻害する関係のない情報やリンクは極力省かれ、スクロールするだけで情報を得られるシンプルで明確な構造となっている。
そして、各所に購入、お問い合わせ、資料請求などにつながる、強力な「CTA」が設置されていることが大きな特徴だ。
このCTAによりコンバージョンが生まれ、企業の売上向上や顧客の増加につながる。
1.4.ランディングページ(LP)への流入経路
ランディングページへの主な流入経路はWeb広告だ。
Web広告には、以下のような種類がある。
- リスティング広告
- SNS広告
- ディスプレイ広告
- DSP広告
ランディングページのターゲット(行動を起こしてもらいたいユーザー層)や商品との親和性を考えて、広告の種類を決め、その遷移先としてランディングページのURLを設定する。
つまり、ランディングページの運用とWeb広告の運用は切り離せない。
ランディングページとWeb広告をあわせたキャンペーンの運用方法については、後段で詳しく解説しているため、ぜひ読み進めてほしい。
2.ランディングページ(LP)を制作・運用するメリット
ランディングページ(LP)を制作・運用するメリットは、以下のとおりだ。
- コンバージョンを狙いやすい
- リード獲得(リードジェネレーション)を強化できる
- データ分析により顧客行動を理解しやすくなる
- 短期の施策でも即効性や確実性が期待できる
- Web広告の品質が向上し、質の高いトラフィックが増加する
詳しくみていこう。
メリット1:コンバージョンを狙いやすい
ランディングページでは、対象となる商品やキャンペーンについてのコンバージョンを狙いやすい。
その理由は、以下のとおりだ。
- 内容とターゲットを絞ることで、ターゲットに響く具体的な訴求ができる
- ユーザーの出口となるリンクが少ない
- サイトを回遊する必要がなく、ユーザーのストレスが少ない
- ストーリーを展開し、企業が意図する形で行動を誘導できる
ランディングページには、Web広告に興味をもったユーザーが訪れることが多い。
ユーザーの流入元が限定されるため、広告からの流入を意識して興味を増幅させ、行動へ誘導するというシナリオ設計を行いやすいのだ。
よって、ランディングページを制作・運用することで、コンバージョンを狙いやすくなり、収益や売上増加への道筋が明確となる。
メリット2:リード獲得(リードジェネレーション)を強化できる
ランディングページでは、コンバージョンの際にユーザーの情報(企業名、役職、名前など)を入力してもらうことで、自社やサービスに興味をもつ、質の高いリードを獲得できる。
ランディングページのコンバージョンからリードを獲得したあとは、電話やメールによるフォローアップ、リードナーチャリングを適切に行い、顧客へと昇華させることもマーケティングの重要な役割だ。
リードジェネレーションについては、以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてほしい。
メリット3:データ分析により顧客行動を理解しやすくなる
複数ページからなるコーポレートサイトやオウンドメディアと比較して、ランディングページではより詳細なデータ分析が可能なため、顧客行動を理解しやすい。
基本的には1ページの分析にリソースを費やせるうえに、ある程度ユーザーの行動パターンが限定されているためだ。
セッション数、クリック率、コンバージョン率などの定量的な分析に加えて、ヒートマップツールを活用した定性的な分析も有効だろう。
ランディングページ上のどの要素に興味をもっているか、どの要素が行動にリンクしていくかを把握し、改善をスピーディーに進めていくことができる。
メリット4:短期の施策でも即効性や確実性が期待できる
本来であれば、ランディングページのような短期的で単一のWebページは、コンテンツ量やサイト構造的な対策が難しく、検索エンジンからの評価を得られないため、SEOによる流入が期待できない。
一方で、短期の施策でもコンバージョンや認知度向上に対する即効性や確実性は期待できる。
なぜなら、ランディングページはWeb広告との併用により、一定の露出が確保され、すぐにトラフィックやユーザーの反応を得られるためだ。
さらに、データをもとに、ターゲティングや内容の最適化を行えば、より早く広告やページ制作の投資額以上の効果を得られるだろう。
具体的な運用のポイントは後段で解説していく。
メリット5:Web広告の品質が向上し、質の高いトラフィックが増加する
ランディングページとWeb広告の運用は、質の高いトラフィックの増加につながる。
ターゲットを深く理解し、良質な広告クリエイティブとランディングページを制作することで、検索エンジンからの評価が上がり、適切なターゲットへ広告が優先的に上位表示されるようになるためだ。
(GoogleやYahoo!などの検索エンジンでは、出稿される広告の品質を評価し、質の高い広告をより上位に表示させる仕組みがある。)
良質なリードを多く取り込めれば、コンバージョン率や「リード→顧客」の転換率が高まり、マーケティングの投資対利益(ROI)向上にもつながるだろう。
ランディングページと広告の品質を上げるためのポイントは、後段で詳しく解説する。
3.ランディングページ(LP)は本当に必要か?
ランディングページのメリットを把握しただけでは、自社への導入が「本当に必要なのか」を判断することは難しい。
成果が見込めるとはわかっているものの、コストやリソースの観点から、導入を足踏みしている企業も多いのではないだろうか。
そこで本章では、ランディングページの重要性について、ある場合とない場合を比較しながら解説していく。
まずは、ランディングページがある場合とない場合で、メリットとデメリットを比較してみよう。
<ランディングページがある場合とない場合のメリット・デメリット>
ランディングページがある場合 | ランディングページがない場合 | |
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
なかでも大きな違いは、コンバージョンの高さから得られる成果だ。
ランディンページがあれば、資料請求やお問い合わせなどのコンバージョンが増え、リードの獲得や認知度の拡大が見込める。
ランディングページを制作・運用するにはコストとリソースが必要だが、コストに対して得られる効果や利益のほうに目を向けてほしい。
仮に、ランディングページがなければ、ユーザーの行動は複数のメディアへ分散し、パフォーマンスの分析もしにくくなる。
課題の把握や戦略の策定も難しくなり、企業を成長させるポイントが掴みにくくなってしまうだろう。
ランディングページのように目標、コンバージョン、ターゲットが明確なページがあれば、ターゲットのニーズと提供コンテンツのズレ、課題、収益増加のためのポイントを把握しやすい。
つまり、ランディングページは広告の力によって短期的な成果を得られるだけではなく、継続して取り組むことで長期的な収益の向上にもつなげられるのだ。
以下では、ランディングページがある場合とない場合において、項目別に比較しているため、導入の判断に役立ててほしい。
<ランディングページがある場合とない場合の比較>
項目 | ランディングページがある場合 | ランディングページがない場合 |
コンバージョンの成果 | 高い
|
低い
|
ユーザー体験 | 良好
|
普通
|
トラッキングの精度 | 高い
|
低い
|
コスト | 初期コストと維持コストがかかる
|
低い
|
運用リソース | 必要
|
低い
|
4.ランディングページ(LP)とホームページ(HP)の違い
ランディングページ(LP)は、特定のコンバージョンを目的として制作されるのに対し、ホームページ(HP)は幅広いユーザーへの情報提供を主な目的とする。
両者の違いは以下のとおりだ。
特徴 | ランディングページ(LP) | ホームページ(HP) |
目的 | 特定の行動を起こさせること(コンバージョン) | 自社、事業、商品に関する情報提供 |
ページの内容 | 特定の商品、コンテンツ、イベント、キャンペーンに関する内容 | 広範囲の情報(企業概要、事業内容、IR情報、採用情報など) |
ページ数と構造 |
|
|
ターゲット | 特定のユーザー層 | あらゆるユーザー層(見込み顧客、既存顧客、取引先、株主、求職者など) |
期間 | 短期間 | 長期間 |
ユーザーの流入経路 | 主にWeb広告 | 主に自然検索 |
制作費用の相場
(中小企業の場合) |
10万〜50万円程度 | 20万〜100万円程度 |
ホームページは、企業のコーポレートサイトやECサイト、オウンドメディアのように複数のページからなり、ユーザー自身がカテゴリーや階層をつたって情報を探し出す構造となっている。
単一ページでトピックとコンテンツ量が限定されているランディングページとは異なり、多様なコンテンツが含まれ、SEO対策が有効となるため、各ページへ自然検索での流入が期待できる。
ランディングページとホームページは目的や役割が異なるため、ビジネスでは両者をうまく使い分け、集客や認知度の拡大を図っていこう。
ランディングページとホームページの違いや運用については、以下の記事を参考にしてほしい。
5.ランディングページ(LP)の作り方
ランディングページ(LP)の作り方は、以下のとおりだ。
より詳しい解説は、以下の記事を参考にしてほしい。
ステップ1:方針・戦略を考案する
実際の制作に取りかかる前に、まずはランディングページの方針と戦略を立てていこう。
この作業は、ランディングページのパフォーマンスを測定して改善し、効果を最大化するために欠かせない。
具体的には、ランディングページの目的、目標(KGI・KPI)、ターゲット、訴求軸を決めていく。
それぞれの説明と具体例は、以下のとおりだ。
項目 | 説明 | 具体例 |
目的 | ランディングページを通じてユーザーに起こさせたい行動のゴール |
|
目標(KGI) | KGI:重要目標達成指数
ランディングページの運用における最終目標 |
|
目標(KPI) | KPI:重要業績評価指数
KGI達成のための中間目標 |
|
ターゲット | 対象の商品やキャンペーンのターゲット | 以下の指標でセグメントする
|
訴求軸 | ターゲットに提供する価値の訴求方法 |
|
ステップ2:構成(ワイヤーフレーム)を作成する
次に、ランディングページの設計図となるワイヤーフレームを作成する。
ランディングページは、大きく分けてファーストビュー、ボディ、クロージングの3つのエリアからなる。
ランディングページの構成の作り方については、以下で詳しく解説しているため、参考にしてほしい。
ステップ3:制作する
構成に沿って、ランディングページのコピーライティングやデザインなどの作業を進めていく。
- コンテンツを制作・整理する(ライティング、画像・動画の撮影、イラストの制作)
- デザインを制作する(配色、配置、CTAボタンなど)
コピーライティングやWebデザインには専門的な知識が求められるため、リソースの確保も必要だ。
ステップ4:公開する
制作したランディングページをWeb上へ公開しよう。
公開するには、ランディングページのコンテンツやデザインを、HTML、CSS、JavaScriptなどのコードを用いて記述しなければならない。
このコーディングを1から行うには、専門的な知識・スキルをもつ人材が必要だ。
しかし現在は、ドラッグ&ドロップで直感的にページを制作し、コーディングが自動的に行われるCMSやノーコードツールを利用する手段もある。
これらの制作手段については、後段で詳しく解説する。
ステップ5:ランディングページの最適化を行う
ランディングページを公開したら、KPI・KGIの追跡、ヒートマップツールでのパフォーマンスの分析を行っていこう。
データが蓄積されたタイミングでA/Bテストを実施し、ユーザー体験を向上させ、コンバージョンにつながる要素を残して最適化を進める。
実際のユーザー行動やKPIの進捗をもとに改善することが、目標達成への近道となるはずだ。
ランディングページの作り方については、以下の記事でより詳しく解説している。
6.Web広告+ランディングページの運用の流れ
ビジネスでは、ランディングページをWeb広告と併せて運用することが一般的だ。
そこで、Web広告とあわせた一連の広告キャンペーンを進める流れを解説していく。
順にみていこう。
6.1.全体の戦略の策定
まずは、広告運用の一連のキャンペーンの戦略(計画や目標)を策定する。
顧客分析、競合分析など、徹底的なリサーチのうえで戦略を定めておかなければ、広告キャンペーンへの投資に対する効果は小さくなり、コストの無駄遣いで終わってしまうためだ。
以下のような項目を明確にし、施策への効果を最大化するための準備をしよう。
- キャンペーン全体の目標=KGI(売上の○%増加、リードを○件獲得など)
- KPI(クリック率、セッション数、コンバージョン率など)
- ターゲット(ターゲット市場のセグメント、ペルソナ、検索ニーズ)
- 訴求内容やベネフィットの洗い出し、明確化
- キャンペーンのスケジュール(開始日、終了日、ミーティング日など)
- 広告チャネルの選定、予算の割り当てなど
全体の計画や目標を明確にしておくことで、リソース配分を最適化でき、効果を追跡しやすくなるだろう。
また、チームの組織力やモチベーションを高める効果もある。
6.2.ランディングページの制作
計画をもとに、対象のサービスやコンテンツ、イベントを訴求し、コンバージョンへつなげるためのランディングページを制する。
制作の手順については、前章を参考にしてほしい。
6.3.広告クリエイティブの制作
広告クリエイティブとは、広告のコピーやバナーの画像、イラストなど、広告として制作・表示されるコンテンツを指す。
例えば、リスティング広告であれば、一番大きく表示される見出し、その下の説明文、表示オプションなどの要素を作っていく。
画像や動画を使用する場合は、ターゲットやベネフィットが伝わりやすく、かつランディングページの内容と関連性が高くなるように意識してほしい。
6.4.広告の設定と配信
適切なプラットフォームを選定し、広告配信設定を進めていこう。
ここまでのリサーチや分析をもとに、以下のような項目を設定し、広告を配信する。
- 広告予算(全体予算・日別予算)
- ターゲティング(ユーザーの属性、デバイス、エリア、検索キーワードなど)
- 広告配信スケジュール(配信開始日、終了日、時間帯など)
設定項目は、プラットフォームや広告の種類によって異なるため、リサーチに基づいてそれぞれに最適な内容を設定しよう。
6.5.データの収集と分析
Web広告とランディングページのパフォーマンスデータを収集・分析する。
ここまでの戦略策定は仮説を含んだものだが、運用開始後は実際のユーザーの行動データに基づいた、より精度の高い現状把握と改善が可能となるためだ。
Web広告とランディングページのパフォーマンスデータは、アナリティクスツールや広告プラットフォームの管理画面から収集できる。
追跡・改善していくべき項目の例は、以下のとおりだ。
データの種類 | 追跡する指標(例) |
Web広告のデータ
※広告プラットフォームの管理画面から確認可能 |
|
ランディングページのデータ
※アナリティクスツールや専用ツールで確認可能 |
|
Web広告+ランディングページのデータ |
|
6.6.広告とランディングページの最適化
収集したデータをもとに、Web広告とランディングページを最適化し、ユーザーの満足度を高めていこう。
そうすれば、当該広告キャンペーンにおいて、より低いコストで大きな効果を得られるようになる。
データをもとにした改善や、A/Bテストを通じて、よりコンバージョンにつながる要素を見極め、取り入れていこう。
短期間のキャンペーンでは、検証と改善のサイクルも素早く回していく必要がある。
最適化をスピーディに進めるために、分析に利用するツールの導入や社員教育など、運用体制の整備も忘れないようにしよう。
7.ランディングページで成果を出すには「利便性」を高めること
ランディングページで成果を上げる、つまりコンバージョンを多く獲得するには「ランディングページの利便性」を高める必要がある。
ユーザーニーズを素早く満たし、ユーザーが使いやすく見やすいページにすることが重要だ。
「ランディングページの利便性」は、Web広告の品質評価の基準でもある。
これを高めることで、広告は適切なターゲットに向けて上位表示されるようになる。
低いクリック単価で適切なターゲットへの露出が増えるため、コンバージョンの増加、ROIの増加へと、好循環が生まれるだろう。
ここでは、ランディングページで成果を上げるために「利便性」を高めるポイントを紹介する。
より詳しい解説は、以下の記事も参考にしてほしい。
7.1.関連性と独自性を高める
ターゲットや検索キーワード、ターゲットのニーズ、広告クリエイティブ、ランディングページ、それぞれの関連性を高めることが重要だ。
ユーザーが何かしらのニーズをもち、広告に興味を抱いてクリックし、その興味を失うことなくランディングページを読み進められる流れを作るためだ。
また、ユーザーの意図を深く理解した広告キャンペーンは、検索エンジンからの評価も上がる。
さらに、市場が成熟し、類似したサービスが飽和している現代では、自社だけの強みや独自性を訴求する必要がある。
このような「オリジナリティ」は、SEOで重要視される項目だが、広告品質の評価でも独自のコンテンツやセールスポイントの提供は重要だ。
参考サイト:Google広告「広告とランディング ページを最適化する」
市場、競合他社、顧客、自社を徹底的に分析し、ユーザーが自社を選ぶための魅力的な価値を明確にしてランディングページや広告に反映しよう。
7.2.見やすく操作しやすいデザインにする
ランディングページは、ユーザー自身でページ内を探し回らなくても、ほしい情報がすぐに見つかるレイアウトやデザインにする必要がある。
ただでさえ半信半疑で訪問しているユーザーは、ランディングページに少しでもストレスや使いにくさを感じると、すぐに離脱してしまうためだ。
具体的には、以下の対策を検討しよう。
- CTAをファーストビューで見える範囲に設置する
- CTAボタンはコントラストや空白を活用して目立たせる
- 方向指示を設置する
- テキストだけではなくイラスト、画像、動画も活用する
7.3.信頼を得るための情報を充実させる
ランディングページでは、ユーザーが企業やサービスを信頼し、安心して行動を起こせるよう、情報を充実させなければならない。
上述のとおり、ランディングページを訪問した多くのユーザーは、興味をもちながらも半信半疑の状態だ。
その状態で、ランディングページの読了や、目的の行動に至る確率は極めて低い。
よって、企業やビジネスに関する正確な情報、他社の導入事例、権威性の高い企業からの口コミなどを充実させる必要がある。
コンテンツが過多になる場合は、ホームページへのリンクを設置してもよいだろう。
7.4.モバイルフレンドリーにする
ランディングページに限らず、ビジネスで使用するWebページすべてにおいて、モバイルフレンドリーにすることが重要だ。
大半のユーザーは、Webページをスマートフォンで閲覧しているためだ。
具体的な対策として、レスポンシブWebデザインを採用し、行間や空白、文字やCTAボタンの大きさなどを調整していこう。
7.5.ページの読み込み速度を高める
ランディングページの読み込み速度が速いほど、ユーザー体験は向上する。
読み込み速度が遅ければ、ユーザーがほしい情報を取得するまでに時間がかかり、ストレスを感じて離脱されかねない。
Googleの調査では、読み込み速度が3秒以下のページからは、53%のユーザーが離脱するとのデータがある。
よって、読み込み速度は2秒以下になるように対策を講じていこう。
具体的な方法は、以下のとおりだ。
- 画像・動画の容量の圧縮
- コードの圧縮
- 遅延ロードの実装
- 根本のサーバーの問題を解決する
コーディングやプログラミングの知識が必要な場合もあるため、専門的な内容については、エンジニアや有識者の協力を得ながら進めていこう。
8.ランディングページ(LP)の制作手段
ランディングページ(LP)の制作手段には、以下の3つがある。
- WordPressなどのCMSで制作する
- フルスクラッチ(コーディング)で制作する
- ノーコードツールで制作する
それぞれ見ていこう。
制作手段1:WordPressなどのCMSで制作する
CMSとは「Contents Management System(コンテンツ管理システム)」のことで、テキスト、画像、動画、テンプレートなどをアップロードし、一元管理できるシステムだ。
直感的な操作でシステム内のコンテンツを組み合わせてWebページを制作できる。
プラグインや設定次第でカスタマイズが可能なうえに、ランディングページの制作自体は比較的容易に行えるため、柔軟性と使いやすさのバランスが良い方法といえるだろう。
ただし、初期設定やメンテナンスには専門スキルを要する場合もあるため、リソースは確保しておきたい。
なお、世界シェアNo.1のCMSは、WordPressだ。
制作手段2:フルスクラッチで制作する
フルスクラッチとは、1からすべてコーディングで制作することだ。
HTML、CSS、JavaScriptなどの専門的な知識とスキルが必要となる。
そのため、自社のリソースがなければ、エンジニアやプログラマーなどの専門人材の採用、もしくは外部委託で対応することになる。
開発に時間やコストはかかるが、いわば「オーダーメイド」でランディングページを制作できるため、独自性やデザインの柔軟性が高く、競合との差異化も図りやすい点がメリットだ。
制作手段3:ノーコードツールで制作する
ノーコードツールとは、コーディングやCMSの専門的なスキルがなくとも、直感的な操作でランディングページを制作できるツールだ。
費用は無料〜月額数千円程度で利用できるものが多く、コストと手間を抑えられるメリットがある。
ランディングページの運用を想定して、分析やA/Bテストなど、最適化のための機能を備えたツールもある。
一方で、サービスに依存し、独自性を出すことが難しいため、競合優位性を高めにくい点がデメリットだ。
このように、それぞれの制作手段にメリット・デメリットがあるため、自社のコスト、リソース、スキルなどを総合的に考慮したうえで適切な方法を選択しよう。
まずはノーコードツールから導入し、データやノウハウが蓄積されてきた段階で、CMSやフルスクラッチに移行する方法もよいだろう。
以下の表では、それぞれの制作手段を項目ごとに比較しているため、自社での判断の参考にしてほしい。
項目 | CMS
(例:WordPress) |
フルスクラッチ | ノーコードツール |
コスト | 中程度。
初期費用は低いが、プラグインやテーマに追加費用がかかることもある。 |
高い。
初期費用と維持費ともに高い。 専門人材への人件費も必要。 |
低い。
多くは月額サブスクリプションで利用できる。 |
カスタマイズ性 | やや高い。
豊富なテーマやプラグインの活用によりカスタマイズできる。 |
高い。
デザイン、機能ともにカスタマイズできる。 |
低い。
サービス内のテンプレートに依存する。 |
制作スピード | やや速い。
初期設計ができれば直感的な操作で制作できる。 |
遅い。
すべてをコードで記述するため時間がかかる。 |
非常に速い。
直感的な操作で簡単に制作できる。 |
必要なスキル | 高い。
HTML、CSS、JavaScriptなどのプログラミングスキルが必要。 |
やや高い。
知識がなければ初期設計やセキュリティの整備は難しい。 |
低い。
専門知識がゼロでも簡単に制作できる。 |
メンテナンスの必要性 | 高い。
アップデートやセキュリティ対策もすべて自身で実装する必要がある。 |
中程度。
CMSやプラグインの定期的なアップデートが必要。 |
低い。
サービス側でメンテナンスやアップデートが行われる。 |
9.BtoBで押さえておくべきランディングページ(LP)運用の展望
ランディングページの構成や制作ノウハウなどは、ある程度確立されている。
ただし、その範囲にとどまらないことが、競合との差異化を図るためには重要だ。
例えば、近年注目を集めているAI技術や顧客とのインタラクティブなコンテンツは、ランディングページにも活用できる。
BtoBビジネスで「今後」も成果を上げていくために、押さえておきたいランディングページの展望についてみていこう。
- AIと機械学習の活用
- インタラクティブコンテンツの導入
- マルチチャネルの統合
- 高度なデータ分析と活用
- セキュリティとプライバシーの強化
9.1.AIと機械学習の活用
AIと機械学習を活用することで、ランディングページの最適化を迅速に行い、リソースの削減とユーザー体験の向上を実現できる。
ランディングページの最適化では、データの収集と分析、A/Bテスト、実装(パーソナライズ)の流れを繰り返す。
このサイクルをAIで自動化し、機械学習によりパーソナライズの精度を高められる。
今後、ランディングページの制作ツールや分析ツールを選択するうえでは、AIや機械学習機能が充実しているかも重要なポイントだ。
9.2.インタラクティブコンテンツの導入
インタラクティブコンテンツとは、ユーザーとの双方向のコミュニケーションが可能なコンテンツだ。
例えば、計算機での見積もりやROIの計算、クイズ(診断やテスト)などが挙げられる。
インタラクティブコンテンツでは、ユーザーが入力した情報をもとに、パーソナライズされたコンテンツを提供し、ユーザーの印象に強く残すことができる。
これにより、エンゲージメントの強化や競合との差異化を実現できるだろう。
9.3.マルチチャネルの統合
ランディングページと他のチャネル(メール、SNS、ウェビナーなど)それぞれで提供するメッセージやビジュアルの統一も進めていきたい。
これにより、シームレスなユーザー体験が可能となり、ユーザーからのイメージやブランド認知を定着させ、企業への信頼や安心感を確保できる。
また、ユーザーのマルチチャネルでの行動データを統合して分析することで、ユーザーへの理解が深まり、精度の高いアプローチを行えるだろう。
9.4.高度なデータ分析と活用
ランディングページの最適化において、データの分析と活用は不可欠だ。
AIを用いた分析機能や強力な視覚化機能など、最新かつ高度な技術を備えた分析ツールを活用することで、よりスピーディかつ精度の高い最適化が実現する。
データ分析ツールの具体例は、以下のとおりだ。
ツールの例 | 高度な機能 | ツールの特徴 |
Google Analytics 4 (GA4) |
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Hotjar |
|
|
Tableau |
|
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Looker
(Google Cloud) |
|
|
HubSpot |
|
|
9.5.セキュリティとプライバシーの強化
技術やツールの進化により、ユーザーの行動をより詳細に分析し、活用できるようになったが、その分セキュリティやプライバシーの強化も欠かせない。
セキュリティやプライバシーに問題があれば、ユーザーや取引先の信頼損失につながるおそれがある。
実際の取り組みには、専門的な知識が必要となるため、有識者や専門人材と相談のもと進めていこう。
施策の具体例は以下のとおりだ。
<セキュリティの取り組み>
- データの暗号化(SSL/TLSの使用)
- アクセス制御(多要素認証、ロールベースのアクセス制御)
- 定期的なセキュリティ監査(ペネトレーションテスト、セキュリティパッチの適用)
<プライバシー保護の取り組み>
- データ収集の最小化(必要なデータのみ収集、匿名化)
- ユーザーの同意(バナーやポップアップによる同意の取得、プライバシーポリシーの整備)
- ユーザー権利の尊重(データアクセス権、オプトアウトオプション)
10.まとめ
ランディングページの概要、役割、作り方、効果的な運用方法、今後の展望などについて総合的に解説した。
ランディングページの制作は、BtoBマーケティングにおいて実施するメリットが大きいため、ぜひ取り組んでいきたい。
Web広告と併用し、ポイントを押さえ、ユーザー視点の制作と配信を行うことで「速く」「大きな」効果を得られるはずだ。
ただし、効果的なランディングページの戦略策定、制作、運用には専門知識や経験が必要となる。
自社のリソースが間に合わない場合は、外部の支援も視野に入れながら、取り組んでみてはいかがだろうか。