インプレッション数の基礎知識と増やすための具体的な施策

インプレッション数とは一般的に、広告やコンテンツがユーザーの画面上や検索結果上に表示された回数を表す。

とくに広告の分野で多く使われる指標だが、コンバージョン数やクリック数にとらわれて適切な運用や改善を行えていないケースも多い。

「基本的な数値把握にとどまっている」

「他の指標との分析方法がわからない」

「改善が進まない」

このような課題やお悩みを抱えている方もいるだろう。

そこで本記事では、インプレッション数の基礎知識やKPI設定、効果測定のポイントを解説する。

広告運用における実践的な取り組みもわかりやすく解説するため、マーケティングに従事する方はぜひ最後までご覧いただきたい。

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1.インプレッション数の基礎知識

 

インプレッション数とは、広告やコンテンツがユーザーの画面上に表示された回数を示す指標だ。

マーケティング施策のリーチを測る重要な基準であり、おもに以下の3つの領域で活用されている。

  • 広告運用
  • SEO
  • SNS運用

それぞれの領域でインプレッション数の厳密な定義は異なるものの、基本的にはユーザーにコンテンツが表示された総数をカウントしたものを指す。

詳しくは以下の表をご確認いただきたい。

広告運用での

インプレッション数

配信した広告がユーザーの画面上に表示された回数を示す指標。

広告キャンペーンの規模やリーチを測る基本的な指標として、広告費用の算出にも使用される。

SEOでの

インプレッション数

検索結果においてWebページやコンテンツが表示された回数を示す指標。

Google Search Consoleなどのツールで確認し、検索エンジン経由での露出状況を把握するうえで重要。

これにより、SEO施策の効果測定や改善点の特定が可能となる。

SNS運用での

インプレッション数

投稿したコンテンツがユーザーのタイムラインやフィード上に表示された回数を示す指標。

フォロワー以外のユーザーへ波及も含めた総合的な効果を測定でき、SNSマーケティングの効果測定において重要な役割を果たす。

 

1.1.他の指標との比較

 

インプレッション数は、とくにSEOやSNS運用の分野において、他の指標と見分けにくいケースがある。

たとえば、PV(ページビュー)数やリーチ、フリークエンシーなどだ。

正確な分析や戦略構築のために、これらの指標についても軽く触れておこう。

  • PV数:ウェブページが閲覧された回数(GA4では「表示」された回数)
  • リーチ:コンテンツに接触した「ユニークユーザー」の数
  • フリークエンシー:1人のユーザーが同じコンテンツに接触した平均回数

これらの指標はそれぞれ異なる側面からマーケティング効果を測定するものだ。

インプレッション数と組み合わせて活用することで、より詳細な分析が可能となる。

 

1.2.広告の課金形態「CPM」の基準になる

 

CPM(Cost Per Mille)とは、1000インプレッションあたりの広告コストを示す指標だ。

広告主はCPMを基準に予算を設定し、効率的な広告運用を図る。

たとえば、CPMが500円の場合、1000回の広告表示ごとに500円の費用が発生する。

おもにディスプレイ広告やSNS広告における課金形態であり、コンバージョンを得るために必要なインプレッション数と、それに基づく費用を試算したうえで運用していくことが重要だ。

 

2.インプレッション数の目標設定のポイント

 

Webマーケティングでは、Web上で得られるさまざまな定量指標を分析し、PDCAを回すことで効果が発揮される。

インプレッション数も、そのプロセスのなかで重要な指標の一つだ。

過去のデータや業界動向を分析しながら、目標値を設定する必要がある。

 

2.1.目標設定の考え方

 

インプレッション数の目標値は、データに基づいた現実的な設定が重要だ。

同様の分野やサービスにおける月別や季節ごとの変動パターンを把握・分析することから始めよう。

また、業界平均値と比較して自社の現状位置を確認し、達成可能な目標値を設定することも欠かせない。

とくにBtoBでは、企業の決算や採用など、時期によって広告に関する数値が変動するため、これらの特性を理解したうえで設定しよう。

 

2.2.関連指標の理解

 

CTR(クリック率)

 

CTRは、インプレッション数に対する実際のクリック数の割合を示す重要な指標だ。

業界平均のCTRを参考にしながら、自社のコンテンツや広告の効果を測定し、改善のための具体的な施策を検討する。

とくにBtoB分野では、業界特性や商材に応じて適切な目標CTRを設定することが重要となる。

 

コンバージョン率

 

コンバージョン率は、訪問者が実際に商談や資料請求といった目的のアクションを達成した割合を示す。

広告運用では、インプレッション→クリック→コンバージョンの流れが一般的だ。

インプレッション数からクリック率、クリック数との関係を分析することで、マーケティングファネル全体の効率を把握し、改善点を特定できる。

BtoBでは、BtoCよりもコンバージョンへ至るハードルが高いため、特有の長期的な商談プロセスを考慮した目標設定が必要だ。

 

直帰率

 

直帰率は、ユーザーがランディングページのみを閲覧して離脱する割合を示す指標だ。

インプレッション数が増加していても、直帰率が増加していれば、表示されている広告とLPの内容の関連性が薄い、ターゲティングが適切でないなどの課題が考えられる。

直帰率と合わせて分析し、広告やLPの質を高めていこう。

 

滞在時間

 

コンテンツへの平均滞在時間からは、ユーザーのエンゲージメント(ユーザーがコンテンツ(LP)に興味を持っているか、内容をしっかり閲覧しているか)を分析できる。

よって、インプレッション数の増加と共に、長い滞在時間を維持することがベストだ。

 

エンゲージメント率

 

SNS運用や広告運用におけるエンゲージメント率は、インプレッション数に対する具体的なアクションの割合を示す。

この指標を通じて、コンテンツやLPの共感度や品質、ターゲティング精度の高さを測定できる。

 

コスト指標

 

CPC(クリック単価)やCPA(獲得単価)などのコスト指標は、インプレッション数と密接に関連している。

適切な予算管理と効率的な広告運用のために、これらの指標との関係性を常に監視する必要がある。(詳細は後述)

 

ROI

 

投資対効果(ROI)を正確に測定するために、インプレッション数から最終的な売上までの転換プロセスを明確に設計する。

各段階での損失率を考慮した現実的な目標設定が重要となる。

 

2.3.目標数値からの逆算

 

効果的な目標設定には、最終的な売上目標からの逆算が有効だ。

  1. 目標売上からコンバージョン率を算出
  2. 過去のCTR実績値から必要なクリック数を計算
  3. 必要なインプレッション数を導き出す

この過程で、季節変動要因や市場動向を加味し、月次での具体的な数値目標を設定する。とくにBtoB分野では、商談期間の長さや業界特性を考慮した慎重な目標設定が求められる。

目標数値からの逆算

 

3.インプレッション数を増やす施策

 

インプレッション数の増加は、デジタルマーケティングにおける重要な課題だ。

効果的な施策を組み合わせることで、質を維持しながら表示回数を増やせる。

ここでは、主要な改善アプローチとその具体的な実施方法について解説する。

 

施策1.広告入札額の最適化

 

広告のインプレッション数(表示回数)は、入札額に大きく左右される。

その理由は以下のとおりだ。

  • 入札額が低すぎると、競合他社に負けて広告が表示されにくくなるため。
  • 入札額が高すぎると、一時的にはインプレッションが増えるが、予算が早く消化され、配信停止につながるため。

つまり、適切な入札額を設定することで、限られた予算内で最大限のインプレッションを獲得できる。

では、どのように最適化していくべきかを確認していこう。

 

競争力のある入札額の設定

 

各広告プラットフォーム(Google広告、Yahoo!広告など)では、過去の入札データや競合の入札額を確認できる。

これらを参考にしながら入札額を定めよう。

 

重要キーワードへの予算配分増加

 

過去の広告データを分析し、CVR(コンバージョン率)やCTR(クリック率)が高いキーワードを特定する。

効果の高いキーワードには入札額を引き上げ、より高い成果につなげよう。

一方で、効果が低いものは削減または停止を行い、他に成果につながるキーワードを調査・追加していく必要がある。

 

配信時間帯の調整による効率化

 

広告の表示時間帯ごとに効果を分析し、パフォーマンスが良い時間帯に予算を集中させる。

たとえば、朝9〜12時のインプレッション数やクリック率が高い場合、この時間帯の入札額を上げ、夜間は下げるか停止するなどの対応ができる。

 

施策2.ターゲティングの拡大

 

ターゲティングを拡大すれば、その分広告配信の対象となるユーザーが増え、インプレッション数が増加することは想像しやすいだろう。

ただし、やみくもにターゲティングを拡大すると、成果につながらない予算の消化になってしまうため、戦略的に行う必要がある。

 

類似オーディエンスの活用

 

既存の優良顧客や、現在成果の出ているユーザーと類似したユーザー層をターゲティングすることで、成果につながりやすくなる。

たとえば、Google広告やFacebook広告では、既存の顧客データをもとに類似オーディエンスを生成し、配信の最適化に活用できる。

 

関連キーワードの追加

 

特定のキーワードや興味関心に絞ると、その分リーチできるユーザーは絞られ、インプレッション数も増えない。

そこで、ターゲットとするユーザーが検索しそうなキーワードや興味関心を再度掘り下げて分析し、ターゲティングを拡大すれば、インプレッションの質を保ちながら数を増やせる。

 

配信地域や年齢層の見直し

 

これまで特定の地域や年齢層に限定していた場合、配信エリアを広げることでリーチを増やせる。

たとえば「都市部のみ配信していた広告を、郊外や全国規模に広げる」などだ。

 

施策3.広告の品質を改善

 

広告のインプレッション数は、広告ランクによって決まる。

広告ランクは以下の計算式で求められる。

 

広告ランク = 品質スコア × 入札額

 

品質スコアは、Google広告やYahoo!広告で「広告の関連性」や「クリックのされやすさ」を数値化した指標で、つまりは「広告の品質」を表す。

スコアが高いほど少ない入札額で上位に掲載され、インプレッション数が増加する。

よって「品質スコア」を高めることは、インプレッション数の向上に直結する。

  • 品質スコアが低いと、高い入札額でも広告の表示機会が減る。
  • 品質スコアが高いと、入札額を抑えても競合より上位に表示されるため、インプレッションを最大化できる。

つまり、品質スコアを改善すれば、低コストでより多くのユーザーに広告を表示できるというわけだ。

品質スコアの改善

品質スコアは以下の3つの要素で構成されるため、それぞれを改善することで全体のスコアが引き上がる。

 

クリック率(CTR)の向上

 

クリック率は「広告の魅力」を示す指標であり、CTRが高いほど品質スコアも向上する。

<改善策>

  • 広告文・タイトルの最適化
    「ユーザーの検索意図」に合った強い訴求を含める。
  • クリエイティブの改善
    画像広告や動画広告の場合は、視覚的に目を引くデザインを採用。
  • レスポンシブ検索広告の活用
    Google広告では、複数の見出しや説明文を自動で組み合わせて最適化する機能を活用。

 

広告と検索クエリの関連性を向上

 

ユーザーの検索意図と広告の内容が合致していないと、品質スコアが低くなり、インプレッションが減少する。

<改善策>

  • キーワードと広告文の整合性を強化
    検索クエリに近いキーワードをタイトルや説明文に含める。
  • 検索ニーズを考慮した広告文の作成
  • 広告と関連性の高い検索クエリの調査と選定

 

ランディングページの利便性向上

 

広告をクリックしたあとのランディングページ(LP)が使いにくかったり、情報が不十分だったりすると、品質スコアが低下し、インプレッション数にも悪影響を与える。

<改善策>

  • 表示速度を改善
    例:GoogleのPageSpeed Insightsを活用し、改善を行う。
  • 広告とLPの内容を統一
    広告とLPの内容の関連性を高め、ターゲットユーザーのニーズや期待を満たす。
  • モバイルフレンドリーへの対応
    レスポンシブデザインを導入し、スマートフォンでのUIやUXを整える。

ランディングページの利便性を上げるには?確認方法や改善・検証の施策を徹底解説!

 

4.まとめ

 

本記事では、インプレッション数の基礎的概要から実践的な改善手法まで体系的に解説した。

インプレッション数は、デジタルマーケティングにおける基盤的な指標であり、広告運用、SEO、SNS運用の各領域で重要な役割を果たしている。

インプレッション数を増やすには、広告入札額の最適化、ターゲティングの拡大、クリエイティブの改善という3つの主要アプローチを戦略的に組み合わせることが効果的だ。

これらの施策を適切なレポーティングと分析で継続的に改善し、デジタルマーケティングの効果を最大化しよう。

 

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