オウンドメディアの【実際の】メリットとは?デメリットやおすすめの運用方法も解説

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一般的に、オウンドメディアのメリットとしては「ブランディングやロイヤルティの向上」が挙げられる。

一方で、

  • メリットが抽象的で社内の稟議がおりない
  • ブランディングの向上を体感しにくい
  • なかなかPVが伸びない

といったお悩みを持つ担当者も少なくない。

オウンドメディアはコンテンツマーケティングの主要チャネルであり、ある程度の投資が必要だ。

予算の稟議を通すには「体感しやすく、かつ現実的なメリット」が求められる。

また、リスクの可視化という意味で、デメリットも具体的に把握しておきたいところだ。

そこでこの記事では、BtoBにおけるオウンドメディアの【実際のところの】メリットとデメリットや効率的な運用方法を解説する。

 

1.オウンドメディアのメリット

 

まず、オウンドメディアのメリットを理解しておこう。

オウンドメディアのメリットは、主に以下4つだ。

  1. 「いますぐ客」以外にアプローチできる
  2. 売上への貢献
  3. ブランディング
  4. ナーチャリングコストの低減と自動化

順に詳しく見ていこう。

 

メリット1:今すぐ客以外にアプローチできる

 

オウンドメディアのメリットとして最初に挙げられるのが「購入意欲が低い顧客に対してアプローチできる」という点だ。

一般的なマーケティングでは、購買意欲が高い見込み客に対するアプローチが中心であり、デジタルマーケティングも同様の傾向を持つ。

見込み客は大きく「いますぐ客」「おなやみ客」「そのうち客」「まだまだ客」の4つに分類され、ペイドメディアやSEOのビッグキーワードを用いた施策は、主に前者3つに焦点を当てている。

  • いますぐ客(必要性、欲求ともに高い状態で購入に近い)
  • おなやみ客(必要性の割には欲求が低い)
  • そのうち客(魅力を感じていて欲求はあるが、必要性が低い)
  • まだまだ客(必要性も欲求も著しく低い、もしくは気づいていない)

 

しかし、「いますぐ客」は市場全体の1%に過ぎない。

また、次に購入確度が高いおやなみ客・そのうち客を含めても、一般的には市場全体の20%程度に過ぎないことに注意したい。

「いますぐ客」は広告の効果が出やすいことも相まって、非常に競争が激しい。

SEO的に見ても、いますぐ客が連想する検索キーワードは軒並みレッドオーシャン化しやすく、攻略難易度が高いものとなっている。

一方、市場の80%を占める「まだまだ客」へのアプローチはどうだろうか。

この領域の見込み客は「潜在見込客」ともよばれ、最も購入から遠い層である。

それだけに、広告やビッグキーワード主体のSEOでは対象にされにくい層でもあった。

しかし「まだまだ客」を少しずつ切り崩し、徐々に購入へと誘うことができれば、継続的な成果につながる。

実は「まだまだ客」へのアプローチとリード化、ナーチャリングにおいてオウンドメディアは非常に有用なのだ。

具体的には、ロングテールキーワードを意識した高品質なコンテンツの制作と、ペルソナとジャーニーに沿った計画的なコンテンツの配信によって、「まだまだ客」は徐々に態度を変容させる。

取引額が大きくリピート率が高いBtoBでは、年に1~2社程度の新規受注があるだけで、十分な成果につながる。

まだまだ客から「じっくりと確実にリードを切り取る」ことを意識したほうが、長期的な成果に結びつきやすいのだ。

逆に、成果がすぐに欲しい場合は「いますぐ客」を刈り取るための広告を打つべきだろう。

オウンドメディアだけでは「いますぐ客」獲得の競争に勝つことは難しいからだ。

 

メリット2:長期的に売上へ貢献する

 

オウンドメディアのメリットは「売上」の面でも確認できる。

ただし注意したいのは、「オウンドメディア自体で収益をあげる」方法ではないという点だ。

BtoBのオウンドメディアでは、「受注への貢献」という形を目指す。

オウンドメディアは、通常の案件受注とは異なるルートで売上を発生させることができる。

つまり、インターネットからのリード獲得、コンテンツでのナーチャリングを経て、問い合わせや商談につなげるのだ。

また、インサイドセールスやフィールドセールスに渡したリードが、どの程度受注につながっているかを定期的に確認することも忘れないようにしたい。

さらに投資対効果の推計と確認にも取り組むべきだろう。

例えば、下記のように3年分の投資対効果を推測し予実管理に活用するなど、常に定量化を続けることが大切だ。

 

月額課金型のソリューションにおけるオウンドメディア投資対効果

 

  • 商材:インフラ運用管理ツール
  • 有効商談率:40%
  • 受注率:35%
  • 受注単価平均:月額10万円
  • PV目標(月間):1年目5万、2年目8万、3年目12万

 

売上目標(月間)

 

  • 問い合わせ数=PV目標×CVR(1%)
  • 有効商談数=問い合わせ数×有効商談率
  • 受注数=有効商談数×受注率
  • 売上目標=受注数×受注単価

※解約率は考慮せず

1年目 2年目 3年目
累計公開記事数 180 360 540
PV数(月間/年間) 5万/60万 8万/96万 12万/144万
問い合わせ数 50 80 120
有効商談数 20 32 48
新規受注数 7 11 17
売上目標(月間) 70万円 180万円

(前年+110万円)

350万円

(前年+170万円)

売上目標(年間) 840万円 2160万円 4200万円

 

オウンドメディアの投資対効果については、下記の記事も参考にしてみてほしい。

オウンドメディア マネタイズの記事へのリンク

 

メリット3:ブランディングの向上が見込める

 

オウンドメディアが持つ3つ目のメリットとしては、「ブランディングの向上」が上げられる。

ブランディングはBtoCで重視されるが、BtoBでも無視できない要素だ。

特に、製品力で差が付きにくいニッチな分野では、ブランディングが受注の決定打になることもある。

ここでいうブランディングとは「自社の価値がしっかり見込み客に浸透していること」と言えるだろう。

製品自体に大きな差がない状態であっても、自社の考え方や保有するノウハウの多さ、実績などがしっかりと見込み客に伝われば、ブランディングは成立する。

特にコモディティ化した現代では、独自性のある情報発信や顧客フォローが受注の決定打となることも少なくない。

具体的には、オウンドメディアで専門性の高いロングテールキーワードをフォローし、線も制の高い記事を量産していくことから始めたい。

ロングテールキーワードは「実務に携わる人間」がチェックすることから、コンテンツが積みあがるごとに実務担当者へのブランディング効果が高まっていく。

担当者から上長レベルへの提案が続けば、いずれは企業としての態度が変容する。

こうして徐々にではあるが、確実にブランディング効果が現れるわけだ。

 

メリット4:ナーチャリングコストの低減と自動化

 

近年のマーケティングは、単一の施策のみで成立しないものだ。

SEOや広告、セミナーを含め、複数の施策の集合体である。

したがって、さまざまな経路から得たリードを常にナーチャリングし続ける必要がある。

このナーチャリングに要するコストは無視できないほど大きいものだ。

特にBtoBでは販売サイクルが長く、受注のためには定期的なナーチャリングが必須である。

ナーチャリングのためには、深く精密な情報を定期的に発信する必要があるが、そのためのリソースをねん出し続けるのは難しい。

例えばメルマガ配信でナーチャリングを実施する場合、マーケティング担当者は月間で数十時間を執筆に費やすこともある。

一方で、あらかじめオウンドメディアにさまざまなコンテンツを用意しておき、随時誘導するようにしておけば、ナーチャリングは半ば自動化される。

この方法は獲得済みリードや既存顧客に対しても有効で、汎用性が高い。

ナーチャリングについては下記記事も参照してみてほしい。

リードナーチャリングとは?意味や施策、手順、メールの活用方法をまとめて解説

 

2.オウンドメディアのデメリット

 

オウンドメディアには、さまざまなメリットがある反面、デメリットもある。

デメリットは主に「時間」と「コスト」に関するものだ。具体的には以下のとおり。

 

デメリット1:ゼロからの集客に時間が掛かる

 

オウンドメディアを集客目的で運用する場合は、効果が出るまでに長い時間を要する。

特にBtoBの場合はBtoCのようにビッグワードでの集客が難しいため、最低でも半年~1年程度はPVが思うように上がらない場合が多い。

一方で、既に多くのリードを保有している企業であれば、この点は無視できる。

オウンドメディアを作りこみつつ、獲得済みリードを流し込んでいけば、自然とナーチャリングが進むからだ。

メリットでも述べたように、オウンドメディアはナーチャリングチャネルとして優秀であり、実はリード獲得よりも即効性が高い。

したがって、ゼロベースでの集客を目的とするよりも、ナーチャリングを目的としたほうが成果に結びつきやすい場合もある。

 

デメリット2:コンテンツの作成にノウハウが必要

 

オウンドメディアで成果を挙げるには「記事コンテンツ」や「ホワイトペーパー」を、継続的に積み上げていく必要がある。

ただし、BtoBの場合は情報粒度が荒く、浅いコンテンツは敬遠される傾向にある。

SEOを考慮することでPVは向上するのだが、PV=成果ではないことはご存じの通りだ。

BtoBのオウンドメディアは、売上(受注)への貢献が求められるため、リード獲得数やセールスに渡したあとの受注率、最終的な売上の金額などが指標となる。

こうした成果に結びつくためには、実務経験や専門的なノウハウなどをベースにしつつ、ペルソナに沿ったコンテンツが求められる。

また、複数のコンテンツをどう結び付け、配置するかの計画(ジャーニー、コンテンツマップ)の作成も必須だ。

こうした事前準備の質が低いために、成果がでていないケースも少なくない。

 

デメリット3:運用コスト

 

3つ目のデメリットは運用コストだ。

具体的には、「コンテンツ制作費用」や「サイトの運用」などの人件費が毎月必要となる。

ちなみに、オウンドメディアにコンテンツを追加する場合、月2~3本程度では効果が得られず、コンテンツスパムに埋もれるリスクがある。

逆に、毎月一定量(最低5~10本)のコンテンツをアップすることで効果がでやすくなることも確認されている。

ただし、コンテンツの本数と比例してコストも嵩む。

以下は、3000文字程度の記事コンテンツを毎月10本程度アップするために必要なコストのモデルだ。

 

コストの例

 

ライター2人、編集担当1人の場合

  • 人件費(月):15万×2(ライター)、20万×1(編集担当)=50万円
  • 人件費(年):50万×12=600万円
  • CMS構築、サーバー運用、デザインなどの外注費:約1000万円

合計:年間1600万円(月133万円)

 

初年度は成果が出ない場合も少なくない。

逆にしっかりと継続できれば、2年目以降は投資対効果がプラスになる可能性も十分にある。

 

デメリット4:質の低いコンテンツは逆効果

 

4つ目のデメリットは、「質の低いコンテンツによる悪影響がでやすい」ことだ。

オウンドメディアはコンテンツマーケティングの中にあるが、近年はSEOの要素も欠かせないものとなっている。

つまり「コンテンツSEO」も意識しながらコンテンツを制作する必要がある。

一方で、SEO的な側面、つまり「露出とPV集め」だけに注力すると、長期的にメディアの信頼性が低下するというリスクがある。

検索上位に表示したいだけであれば、検索キーワードと上位記事の見出しを模倣するだけでもある程度のコンテンツはできてしまう。

実際に多少なりとも成果(この場合はPV)が上がるだろう。

一方で、そう遠くない未来に「直帰率の上昇」が起こり、コンバージョンしにくいという状況が生み出される。

PVを稼ぐためには検索結果の中で人目に付きやすい場所に表示されなくてはならい。

しかし、本当に情報を探している人に刺さるのは「潜在ニーズを満たしたコンテンツ」なのだ。潜在ニーズを満たす質の高いコンテンツは、直帰率が低く、コンバージョンを促す可能性が高い。

質の高いコンテンツについては、下記の記事でも解説しているため、参考にしてみてほしい。

コンテンツマーケティングとSEOの違いとは?「集客」と「質」を両立する7つのポイント

 

オウンドメディアのメリットデメリットは、まとめると以下となる。

メリット デメリット
いますぐ客以外に広くアプローチできる ゼロベースの集客に時間がかかる
長期的に売り上げに貢献する コンテンツ作成と配信にノウハウが必要
ブランディングの向上 成果をだすための運用コストが高い
ナーチャリングコストの低減と自動化 PV重視の低品質なコンテンツによる信頼性の低下

 

3.内製か外注か?オウンドメディア運用のポイント

 

オウンドメディアの構築・運用を内製で賄うか外注するかで悩む企業は少なくない。

この点について弊社は、「オウンドメディア運用の経験がない場合は、一度は外注化してノウハウを得るべき」という立場をとっている。

高品質なコンテンツの制作自体は、内製でも十分に可能だ。

ただし、継続的に、かつ戦略的にメディア内の情報を充実させていくには、最低でも1年以上の取り組みが必須となる。

その間のリソースを確保する労力や、高品質なコンテンツを作り続けるためのノウハウは、外注化によって得るほうが早いだろう。

また、BtoBのオウンドメディアは、本業の売上への貢献が目的であり、本業のリソースを削ると本末転倒の結果になりかねない。

以上のことから、まずは外注によってリソースを確保し、徐々に内製にシフトしていくという方法もおすすめである。

 

4.まとめ

 

ここでは、オウンドメディアのメリットとデメリットを、より現実的な視点で解説した。

BtoBのオウンドメディアは、ニッチで専門的な情報を戦略的に提供していかなくてはならない。

うまく機能すれば広告でアプローチできなかった顧客との出会いが生まれる。

ただし、ノウハウやリソースの問題が生じがちなことも事実でる。

メリットをしっかりと享受するために、まずは外部企業の支援を受けることも検討してみてほしい。

 

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