BtoBビジネスにおいて、新規リードの獲得は企業の成長に不可欠だ。
特に、デジタルマーケティングが主流となった現代では、あらゆるチャネルを利用した広告戦略が求められる。
しかし、多様な広告チャネルが存在するなかで、自社に最適な広告の選定や戦略の立て方に悩む企業も少なくない。
「リード獲得のために、自社ではどの広告を活用すればよいのかわからない」
「広告戦略の立て方がわからない」
「広告効果を高めるためのポイントを知りたい」
このような声も多い。
そこで本記事では、これらの課題を解決するために、BtoBのリード獲得に効果的な広告チャネルの種類、広告を含む複数メディアを活用した戦略、広告効果を高めるポイントについて紹介する。
本記事を通じて、リードや新規顧客を獲得し、商談や売上の増加を実現するためのヒントを得てほしい。
1.BtoBにおけるリード獲得のための広告の種類
BtoBマーケティングにおいてリード獲得を目指すためには、適切な広告チャネルの選定が欠かせない。
主要な広告チャネルは以下のとおりだ。
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
- SNS広告
- ネイティブ広告
- 動画広告
それぞれの概要、メリット、デメリット、獲得しやすいリードのフェーズについてみていこう。
1.1.リスティング広告
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、ユーザーが特定のキーワードを検索した際に、検索結果ページに表示される広告を指す。
検索結果の上部だけではなく、中段や下部にも表示される。
広告の表示順は、入札価格と広告の品質(Googleでは品質スコアという)にもとづいて決定される。
広告の品質は、広告の関連性、ランディングページの利便性、クリック率などで評価され、高い評価を得ると上位表示されやすくなる。
リスティング広告のメリット
リスティング広告のメリットは以下のとおりだ。
- ユーザーの検索ニーズと関連性の高い広告を表示でき、高い成約率につながる
- 予算とターゲットの設定が柔軟に行え、コスト管理をしやすい
- 検索キーワードの追加や除外、入札価格の調整などを迅速に行える
精度の高いターゲティングと予算設定も柔軟に行えるため、非常に利便性が高い広告といえる。
リスティング広告のデメリット
顧客ニーズが顕在化しており、検索される回数が多いキーワードは、競合が多くクリック単価(クリック1回あたりの広告費)が高くなる可能性がある。
また、広告運用には一定の知識と経験が必要であり、適切な運用ができない場合、コストを無駄に消化してしまうリスクがある。
獲得しやすい顧客のフェーズ
リスティング広告は、潜在層から顕在層まで幅広い層にアプローチ可能だ。
なかでも大きな強みは、実際の検索キーワードに対して出稿できるため「受注に近い層」「ニーズが顕在化している層」のリード(検討段階・購入段階)を獲得できる点だ。
例えば、「CRMツール 導入」というKWで検索しているユーザーは、CRMツールの導入意欲が顕在化している。
このKWに対する広告は、より受注の確度が高い層へ表示できる可能性が高い。
1.2.ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリ上にバナー形式や画像形式で表示する広告を指す。
検索エンジンが提供するディスプレイ広告ネットワークや、各メディアが提供する広告枠(ペイドメディア)におけるバナー広告が代表的だ。
ディスプレイ広告 | 詳細 |
ディスプレイ広告ネットワーク | 画像、動画、テキストなどを使って、あらゆるWebサイトや、検索エンジンの提携サービスに広告を表示できる。
属性や興味関心などあらゆる軸でターゲティングが可能。 |
各メディア(ペイドメディア)が提供するバナー広告枠 | SNSやニュースサイト、業界特化型メディアなど、各メディアが提供する広告枠へ出稿し、バナー広告を表示させる。
ターゲットと関連性が高いメディアを選定することでターゲティングとブランド性の確保が可能。 |
ディスプレイ広告のメリット
ディスプレイ広告は、潜在層を含めた幅広いユーザーへ視覚的なインパクトが大きい広告を表示できるため、ブランド認知度の向上に効果的だ。
また、相性の良いメディアの広告枠へ出稿することで、特定のターゲット層を狙えるほか、出稿先との関係性構築につながるメリットもある。
また、過去に自社サイトを訪問したユーザーに再度アプローチできる「リターゲティング機能」により、自社に興味をもった確度の高いユーザーを効率的に獲得できる。
ディスプレイ広告のデメリット
ディスプレイ広告は、検索キーワードによる顧客ニーズの特定ができない。
そのため、リスティング広告と比較してターゲティングの精度が低く、クリック率やコンバージョン率が上がらないおそれがある。
また、アドネットワークを利用する場合、表示されるWebサイトやページを完全にコントロールできない。
不適切なサイトに広告が表示されるリスクもあるため、ブランドセーフティには注意が必要だ。
獲得しやすい顧客のフェーズ
ディスプレイ広告は認知段階や興味関心段階での活用がおすすめだ。
視覚的な広告は多くの人の目にとまりやすく、自社ブランドを認知、かつ想起してもらえる可能性がある。
また、リターゲティングを活用すると、自社に少しでも興味をもったユーザーを逃さないための対策も可能となる。
1.3.SNS広告
SNS広告は、FacebookやLinkedIn、Xなどのソーシャルメディア上で、テキスト、画像、動画などの広告を表示する形式だ。
ユーザーの属性や行動、興味関心にもとづいた詳細なターゲティングが可能で、リード獲得広告(※)やダイナミック広告(※)など、多様な広告フォーマットを活用できる。
※
リード獲得広告:SNS上で製品やサービスに関心をもつ潜在顧客の情報を獲得するための広告。ユーザーが広告内のフォームに必要事項を入力することで、見込み客のリストを獲得できる。
ダイナミック広告:ユーザーの行動データや興味関心にもとづいて、リアルタイムにパーソナライズされる広告。
SNS広告のメリット
ユーザーの属性や興味にもとづいたターゲティングができ、自社の分野やサービスをまったく知らない潜在層にも幅広く訴求できる。
また、ソーシャルメディア上でのシェアやコメントなどの反応を通じた拡散効果も期待できるだろう。
さらに、広告とオーガニックの投稿を組み合わせれば、広告戦略の精度をより高めることが可能だ。
例えば、オーガニック投稿に反応したユーザー層を広告のターゲットにすることなどが挙げられる。
SNS広告のデメリット
SNSプラットフォームのルールや規制の変更によって、広告の表示頻度や効果が影響を受けるおそれがある。
LinkedIn、Facebook、Xなど複数のSNSを併用する場合は、それぞれ仕様や審査基準が異なるため、運用が複雑となるだろう。
また、ターゲティングによって同じ広告が多く表示された場合、ユーザーの広告疲れを引き起こし、広告効果が低下するリスクがある。
SNS広告の獲得しやすい顧客のフェーズ
SNS広告は、認知段階、興味関心段階、検討段階での活用がおすすめだ。
特に、LinkedInは企業の意思決定者やBtoB業界に特化したターゲティングができるため、BtoBマーケティングに適している。
一方、FacebookやXは、カスタマージャーニーの初期段階において効果を発揮する。
FacebookやXは幅広い年齢層やユーザー属性をカバーしており、かつビジュアルや動画を活用することで、サービスやコンテンツ(ホワイトペーパーやウェビナーなど)の内容やベネフィットを効果的に伝えられるからだ。
1.4.ネイティブ広告
ネイティブ広告は、メディアのコンテンツに溶け込んだ形式の広告で、記事やコンテンツのような形で表示される。
例えば、スポンサード記事(例:日経ビジネスの「特集記事」)、記事広告(例:マイナビニュースのPR記事)、インフィード広告(例:Xのプロモツイート)がある。
メディアのデザインや編集方針に合わせて広告を制作するため、ユーザーの興味を自然に惹きつけやすい。
ネイティブ広告のメリット
広告とコンテンツの区別がつきにくいため、ユーザーに受け入れられやすく、高い反応率が期待できる。
また、メディアのターゲティングや信頼性を活用できるため、質の高い見込み客の獲得につながる点もメリットだ。
記事形式の広告では、掲載枠が限られるディスプレイ広告やSNS広告よりも、長尺のコンテンツを活用でき、サービスやコンテンツの訴求を充実させられる。
ネイティブ広告のデメリット
記事型広告は、ディスプレイ広告やSNS広告と比較して、広告の制作に手間とコストがかかる場合がある。
また、外部メディアの記事広告やスポンサード記事では、訪問データや行動データが出稿先へ蓄積されるため、効果測定が難しい。
ただし、掲載先メディアから一定のレポーティングを得ることは可能だ。
そのほか、記事内のリンクにパラメータを設定する、専用ランディングページへのリンクを設定するなどの工夫はできるが、運用には知識が必要となる。
加えて、各メディアの方針によって、広告の内容や分量に制限がかかる場合もあるため、事前にしっかりと確認しておかなければならない。
ネイティブ広告の獲得しやすい顧客のフェーズ
ネイティブ広告は、認知段階、興味関心段階での活用がおすすめだ。
特に、専門的な情報を求めているユーザーに対して、有益なコンテンツを提供することで、出稿先メディアの力を活用した認知の獲得とリード育成に役立つ。
1.5.動画広告
動画広告は、YouTube、Facebook、Linkedinなどのプラットフォームやウェブサイト上で、動画形式の広告を表示する形式だ。
動画の前後や途中に表示されるインストリーム広告と、動画コンテンツに関連して表示されるインディスプレイ広告などがあり、スキップ可能な広告と不可能な広告の2種類が存在する。
動画広告のメリット
視覚と聴覚に訴求できるため、高い注目度と反応が期待できる点がメリットだ。
また、サービスのデモやチュートリアルなど、複雑な内容も視覚的にわかりやすく説明でき、ユーザーの理解や信頼を深めることができる。
さらに、広告の再生数や再生時間、エンゲージメントなどの詳細な指標で効果測定が可能だ。
動画広告のデメリット
動画制作には時間と費用がかかる。
また、YouTubeのような動画プラットフォームにおける広告の場合、ユーザーがスキップボタンを押して広告を飛ばしてしまうおそれがある。
動画広告の配信先が不適切なコンテンツである場合、ブランドイメージを損ねるリスクもあるため注意が必要だ。
動画広告の獲得しやすい顧客のフェーズ
動画広告は、認知段階、興味関心段階、検討段階での活用がおすすめだ。
特に、商品やサービスの特徴を視覚的に伝えたい場合や、ブランドストーリーを伝えたい場合に効果的といえる。
2.リード獲得に効果的な広告チャネルの選び方
広告チャネルにはそれぞれ特徴やメリット、デメリットがある。
よって、自社のサービスやターゲットへの親和性、投資に対して得られる効果を見極めて、効果的な広告チャネルを選定しなければならない。
広告費の無駄やリード獲得の機会損失、競合他社への流入などが発生しないように、まずは適切な広告チャネルを選定しよう。
基本的には、ターゲットとする層を決め、大きく顕在層または潜在層に分類し、相性の良いチャネルを選ぶ流れで進める。
詳しくみていこう。
2.1.広告で獲得したいリードの層を決める
まず、リード獲得を狙う層を明確にすることが重要だ。
ターゲットは、大きく顕在層と潜在層に分けられる。
顕在層とは
顕在層とは、すでに購入意欲が高く、解決策を探している層だ。
具体的なニーズや問題を抱えており、製品やサービスの購入を検討している段階にある。
顕在層に対しては、ニーズに即した情報を提供することで、高い成約率が期待できる。
潜在層とは
潜在層とは、製品やサービスの必要性に気づいていない、または問題認識はしているが解決策を積極的に探していない層だ。
この層に対しては、まず問題認識を促し、次に解決策として自社の製品やサービスを提案するという流れで、リードとして育成していく必要がある。
2.2.チャネルの選定
ターゲット層を決定したら、それぞれの層に効果的な広告チャネルを選定しよう。
ここでは、顕在層と潜在層それぞれに適したチャネルについて詳しく解説する。
顕在層に効果的な広告チャネル
すでに課題の認識や購入意欲が明確である顕在層をターゲットとする場合、以下2つの広告チャネルが有効だ。
①リスティング広告
ユーザーが具体的なキーワードで検索した際に表示されるリスティング広告は、すでに購入意欲が高く、解決策を積極的に探している顕在層に対して効果的だ。
広告の内容とユーザーの検索意図を一致させることで、高い成約率が期待できる。
例えば「CRM 導入」というキーワードで検索するユーザーは、すでに具体的なソリューションを探している可能性が高く、購入意欲が高い。
②ディスプレイ広告(リターゲティングを活用)
リターゲティング広告は、過去に自社サイトを訪問したユーザーに対して再度アプローチする手法だ。
一度は興味を示したものの、購入に至らなかったユーザーに対して再度広告を表示することで、購入意欲を高められる。
これにより、顕在層の取り込みが可能となる。
潜在層に効果的な広告チャネル
まだサービスの必要性や魅力に気づいていない潜在層に効果的な広告チャネルは以下のとおりだ。
①SNS広告
SNS広告は、ユーザーの属性や行動、興味関心にもとづいて詳細なターゲティングができるため、潜在層へのアプローチに効果的だ。
特に、LinkedInは企業の意思決定者やBtoB業界に特化したターゲティングができるため、BtoBマーケティングにおいて潜在層の開拓に適している。
SNS広告を活用することで、ブランドの認知度を高め、製品やサービスのニーズを創出する情報を提供できるだろう。
②ネイティブ広告
ネイティブ広告は、メディアのコンテンツに溶け込んだ形式の広告で、ユーザーに受け入れられやすい特徴がある。
潜在層に対して、問題認識を促すような有益なコンテンツを提供すれば、潜在ニーズを顕在化させ、興味や共感を促すことが可能だ。
例えば、記事広告を通じて、業界の最新トレンドや成功事例を紹介しながら、自然に自社の製品やサービスをアピールできる。
③動画広告
動画広告は、視覚と聴覚に訴求し、潜在層の注目を集められる。
製品やサービスの特徴をわかりやすく説明して潜在層の問題認識を促し、ニーズを喚起することが可能だ。
また、ブランドストーリーを伝えることで、ブランド認知度の向上にも寄与する。例えば、YouTubeなどの動画プラットフォームを活用して、製品デモや顧客の声を動画で紹介すれば、視覚的に強いインパクトを与えられるだろう。
2.3.広告を最適化する
最適化とは主に、CPA(Cost Per Acquisition)やCVR(Conversion Rate)などの指標を業界標準にもっていくことを意味する。
- CPA(Cost Per Acquisition)=顧客獲得単価
1人の顧客を獲得するために必要なコスト(広告費) - CVR(Conversion Rate)=コンバージョン率
広告をクリックまたは閲覧したユーザーのうち特定の行動(資料請求、ホワイトペーパーダウンロード、ウェビナー参加登録など)に至った確率
参考までに、BtoBにおけるCPA(顧客獲得単価:1人の顧客を獲得するために必要なコスト)の相場は以下のとおりだ。
<顧客獲得単価の相場>
- リスティング広告:17,018円
- ディスプレイ広告:19,103円
出典:wordstream|Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!](2023年3月30日)をもとに、1ドル = 146.54円(2023年9月12日時点)で計算
ちなみに、BtoBにおいてリード獲得を目的とした広告のコンバージョン率は、業種や規模によってさまざまだ。
例えば、Web広告のクリック率は1%〜5%程度、遷移先のランディングページから資料請求などのコンバージョンに至る確率は5〜15%程度といわれている。
これらの数値を改善していくことで、ROIの高い広告キャンペーンへと最適化できる。
そして、それぞれの広告チャネルで最適化の方法は異なる。
リスティング広告であれば、キーワードの設計、ランディングページ(LP)のA/Bテスト、フォームの最適化などの作業が必要だ。
例えば、キーワード戦略を見直し、より具体的なニーズに対応するキーワードを追加することで、広告の関連性を高められる。
また、LPのA/Bテストを実施し、ユーザーがコンバージョンしやすいデザインやコンテンツを見つけ出すことも重要だ。
各種広告は簡単に出稿できるが、1つのチャネルのパフォーマンスを高めてから次のチャネルに移行することで、費用の無駄遣いを防げるだろう。
例えば、リスティング広告のCPAが目標値に達したあとで、ディスプレイ広告やSNS広告に取り組むといった段階的なアプローチが効果的だ。
2.4.まずは顕在層向けのチャネルから攻略すべき
リード獲得に活用できるチャネルは非常に幅広い。
そのため、多くのチャネルを活用したほうが、より多くのリードを獲得できると考えるかもしれない。
しかし、一度に手を広げるのではなく、まずは顕在層向けのチャネルから1つひとつ最適化していくことが大切だ。
大手企業などで広告費やリソースが潤沢にある場合は、手広く広告を展開してもよいが、リソースに限りがある場合や、広告運用のノウハウがまだ蓄積されていない場合は顕在層を優先しよう。
なぜなら顕在層は、低コストかつ短期間で成果を出せる可能性が高いからだ。
リード獲得や売上向上の見通しが立てば、潜在層の獲得にもリソースを割き、持続的で安定したリード獲得を目指して広告戦略を立てていこう。
3.各広告チャネルにおけるリード獲得戦略の例
BtoBマーケティングにおけるリスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告、ネイティブ広告の活用例を紹介していく。
3.1.リスティング広告を利用したリード獲得戦略
リスティング広告は、ユーザーの検索意図(ニーズ)にもとづいて広告を表示するため、ターゲット層に対して高い精度でアプローチできる。
顕在層に向けた「リスティング広告 × 無料トライアルLP」
顕在層向けのリスティング広告を利用して、製品やサービスの無料トライアルを提供する自社のランディングページ(LP)に誘導する。
例えば「プロジェクト管理ツール」という具体的なキーワードで広告を出稿し、無料トライアルの申し込みページに誘導することで、購入意欲の高いユーザーを効率的に見つけ出し、リードへと転換できるはずだ。
潜在層に向けた「リスティング広告 × ホワイトペーパーLP」
業界に関連する幅広いキーワード(例えば「DXの推進方法」「サステナビリティの最新動向」など)でリスティング広告を展開する。
広告は、業界のトレンドや最新の研究にもとづいた洞察を提供するホワイトペーパーや、研究レポートのダウンロードを促すランディングページへリンクさせよう。
ユーザーが業務を行ううえで有用な内容を提供することで、専門性の高さやノウハウの豊富さをアピールし、ブランドの信頼性を構築できる。
3.2.ディスプレイ広告を利用したリード獲得戦略
Webサイトやアプリ上にバナー広告や画像広告を表示するディスプレイ広告は、ユーザーの興味関心や行動履歴にもとづいたターゲティングと視覚効果を活用した認知度の拡大が可能だ。
顕在層に向けた「リターゲティング広告 × 製品デモLP」
顕在層に向けて、リターゲティング広告を活用し、そこから製品デモ動画を含むランディングページへリンクさせる戦略だ。
すでに自社サービスについて何らかの興味を示しているユーザーに対して、リターゲティング広告を提示し、デモ動画を提供することで、無駄な広告予算を削減しながらサービスに対する具体的な理解を促せる。
潜在層に向けた「ディスプレイ広告 × 業界ホワイトペーパーLP」
業界のトレンドや課題に関するホワイトペーパーをダウンロードできるランディングページへのリンクを含む広告を展開する。
ユーザーの課題や悩みを解決できる有用な情報を提供することで、ブランドへの信頼性や潜在顧客との関係を強化できるだろう。
例えば、最新の業界動向や成功事例を紹介するホワイトペーパーを提供し、潜在層の関心を引きつけつつリード情報を獲得する。
ここで獲得したリードは、継続的なナーチャリングとクオリフィケーションにより、将来的に商談や受注へとつながる可能性も秘めている。
3.3.SNS広告を利用したリード獲得戦略
SNS広告は、FacebookやLinkedIn、Twitterなどのソーシャルメディア上で広告を表示する形式だ。
ユーザーの属性や行動、興味関心にもとづいて詳細なターゲティングができる。
潜在層に向けた「SNS広告 × ホワイトペーパーLP」
SNS広告を展開し、ノウハウや業界トレンドをわかりやすく提供するホワイトペーパーのダウンロードへと誘導する。
有用な知識の提供によりユーザーは信頼感を抱き、自社や自社サービスに興味をもつようになる。
BtoBビジネスでは、エグゼクティブや役職者などをターゲットにし、広告を届けることも重要だ。
例えば、LinkedIn上で業界の最新動向やベストプラクティスを紹介するホワイトペーパーを広告し、関心を引く方法がある。
3.4.ネイティブ広告を利用したリード獲得戦略
ネイティブ広告は、メディアのコンテンツに溶け込んだ形式の広告であり、ユーザーに自然と受け入れられやすいという特徴がある。
潜在層に向けた「ネイティブ広告 × 業界トレンド記事LP」
業界の課題や解決策に関する記事へのリンクを含む、ノウハウやケーススタディなどの教育的な内容の広告を配信する。
掲載先のターゲットや権威性を活用して、より意思決定に近い層への訴求や信頼の構築につながることがメリットだ。
例えば、IT業界では「ITmedia」などの業界専門メディアやウェブサイトに記事形式で広告を掲載すると、読者が自然に情報を受け取りながらも、自社サービスへの認知を広めることが可能となる。
4.リード獲得におけるトリプルメディアの活用
ここまで、BtoBのリード獲得における広告チャネルについて解説してきた。
ただし、リード獲得に活用できるメディアは「広告」だけではない。
むしろ、リード獲得のために広告戦略だけに取り組もうとしている場合は、考えを改める必要がある。
広告費をかければ一時的には効果を得られるが、広告掲載をやめれば流入は一気に減少する。
企業の存続や成長を目指すのであれば、ベストな施策とはいえないだろう。
そこで、広告のほかに、オウンドメディアやアーンドメディアをあわせた「トリプルメディア」を活用して、リード獲得と顧客への転換を狙う方法がおすすめだ。
トリプルメディアは、ペイドメディア、オウンドメディア、アーンドメディアの3つメディアの総称であり、それぞれの特性を活かして幅広い層へリーチし、ユーザーとのエンゲージメントを高めるメディア戦略だ。
4.1ペイドメディア
ペイドメディアとは、広告費を支払って露出を得るメディアを指す。
本記事で詳細に解説してきたリード獲得のための広告は、この「ペイドメディア」だ。
4.2.オウンドメディア
オウンドメディアとは、自社が所有するメディアのことだ。
具体的には、企業の公式Webサイトやブログ、SNSの公式アカウントなどが該当する。
企業が自由にコンテンツを発信できるため、ブランドのメッセージや価値観を直接伝えられるメリットがある。
オウンドメディアについて詳しくは、以下の記事で解説しているため参考にしてほしい。
4.3.アーンドメディア
アーンドメディアとは、第三者によって取り上げられることで得られるメディアだ。
具体的には、取材や報道、SNSでの共有、レビューサイトでの口コミ、広告以外の外部メディアへの掲載などが該当する。
信頼性が高く、ユーザーからの共感や反応を得やすい特徴がある。
ペイドメディアはユーザーが自社を認知する入り口となるが、そこから自社への信頼やエンゲージメントを高めるためには、オウンドメディアやアーンドメディアの活用が不可欠だ。
また、特にオウンドメディアはSEO対策によって、各コンテンツの検索順位を上げ、広告費をかけずに検索結果からの流入を狙える。
よって、長期的な対策により、オウンドメディア自体がリード獲得の入り口となることも可能だ。
目の前のリード獲得だけではなく、長期的な顧客獲得や売上向上を視野に入れて、トリプルメディアすべての整備を行っていこう。
5.リードジェネレーションサービスの活用も有効
ターゲット層に対して効率的にアプローチし、見込み顧客(リード)を獲得することは容易ではない。
そこで注目されるのがリードジェネレーションサービスの活用だ。
5.1.リードジェネレーションサービスとは
リードジェネレーションサービスとは、サービスを提供する企業のプラットフォームを利用して、ホワイトペーパーやメルマガの配信、記事広告の掲載を行い、見込み顧客(リード)の情報を獲得するサービスだ。
あらゆる企業がリードジェネレーションサービスを提供しているが、プラットフォームのジャンルや購読者の属性と、自社サービスのターゲットがマッチするものを選ぶ必要がある。
さらに、ターゲット企業の業界、業種、企業規模、部門、役職などの属性を絞り込むことで、リードに対してより精度の高いアプローチが可能だ。
しかし、属性を絞り込むほど母数が少なくなり、リード単価が高くなる点には注意してほしい。
5.2.主なリードジェネレーションサービス
市場には多くのリードジェネレーションサービスがあり、それぞれに特徴や強みがある。
企業はこれらのサービスを利用することで、効率的に見込み顧客を獲得し、営業活動を強化できる。
以下では、代表的なリードジェネレーションサービスの概要を紹介する。
ITmedia
ITmediaのリードジェネレーションサービスは、1.17万人の読者をもつBtoB専門メディアだ。
年間20万件以上のリードを提供し、15年以上の運営実績がある。
記事、PDF、動画コンテンツの制作をサポートし、リードの獲得から利用までを一貫してサポートしている。
リードの属性保証とケース数保証を行い、効率的にターゲットリードの確保が可能だ。
インプレス
インプレスのリードジェネレーションサービスは、資料を活用したリード収集から特定の条件に当てはまるリードの納品、さらにはリード収集の起点となる資料の制作まで、幅広いサービスを提供している。
オンラインやセミナー、イベント協賛などの方法でリード獲得が可能であり、プライベートセミナーの企画運営も行っている。
マイナビ「TECH+」
マイナビが運営するIT・テクノロジー専門メディア「TECH+」のBtoB企業向けリードジェネレーションサービスは、BtoB企業向けにテレマーケティングを駆使してリードを獲得する。
ターゲット企業に対して、マイナビニュース名義でテレマーケティングを行い、高い突破率とリード獲得率を実現する。
特定のターゲット層に絞ったアプローチが可能で、最新の在籍情報を提供する点も特徴だ。
BizHint
BizHintのリードジェネレーションサービスは、経営者や決裁者を中心に60万人以上の会員を有する。
月間2.4万件以上のホワイトペーパーDL数を誇り、役職者や大企業をターゲットとした高い質のリードを提供する。
成果報酬型で安定的にリードを獲得でき、初期費用も必要ない。
ダイヤモンド・オンライン
ダイヤモンド・オンラインのリードジェネレーションサービスは、高品質なビジネス情報を提供するメディアを活用している。
主にビジネスリーダーや経営層をターゲットとしており、信頼性の高いリードを獲得できる。
専門的な記事やリサーチレポートを通じて、ターゲット層に深く浸透するのが特徴だ。
これらのサービスを活用することで、BtoB企業は効率的にリードを獲得し、営業活動を強化できるだろう。
それぞれのサービスの特徴を理解し、自社のニーズに合ったサービスを選定することが重要だ。
6.まとめ
BtoBのリード獲得においては、顕在層と潜在層それぞれに効果的な広告チャネルを理解し、適切に組み合わせることが重要だ。
特に、トリプルメディア戦略を活用し、リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告を適切に組み合わせると、購買検討プロセスの多くの部分をカバーできる。
また、ネイティブ広告や動画広告、リードジェネレーションサービスも状況に応じて活用すれば、より効果的なリード獲得が可能となるだろう。
BtoBマーケターには、これらの知識を踏まえて、自社のビジネスに最適な広告戦略を構築し、マーケティングファネルの各段階に適した施策を実行していくことが求められる。