リードナーチャリングの代表的な手段として用いられる「メール」。
「どのようにメールを活用すればよいかわからない」「活用はしているが、思うような反応を得られない」といった課題を抱えている方もいるのではないだろうか。
そこで本記事では、BtoBマーケティングに取り組む担当者向けに、メールを活用したリードナーチャリングの方法について詳しく解説していきたい。
メールナーチャリングの種類や効果的なメール設計テクニック、IT業界における事例、最適な配信頻度とタイミング、配信ツール、効果検証指標についてみていこう。
目次
Toggle1.リードナーチャリングとは
リードナーチャリング(Lead Nurturing)とは、獲得したリード(=見込み客)が、より具体的に自社商材を検討してくれるようになるまで「育成」することである。
BtoBマーケティングにおいて、獲得した見込み客が数日や数週間といった短期間で発注を決めることは稀だ。
長い検討期間の中で顧客に合わせた適切な情報提供を行い、検討意向を高めていくリードナーチャリングの重要性が増している。
リードナーチャリングについては、こちらの記事も参考にしてほしい。
2.ナーチャリングにメールを使うメリット・デメリット
リードナーチャリングのアプローチ手段のひとつに「メール」がある。
メールを用いたナーチャリングのメリットとデメリットは以下のとおり。
2.1.メリット
コスト効率が高い
一度に大量の宛先へ配信できるため、コスト効率を高められる。
紙で郵送するDMに比べて、配信一通あたりにかかる費用は圧倒的に安くなるだろう。
また、営業が自力で一社一社にアプローチをかけるよりも、はるかに早いスピードで一斉アプローチが可能だ。
施策の効果検証ができる
ツールを用いてメール配信結果の分析・効果検証を行うことで、施策のPDCAを回しやすくなる。
具体的な効果検証の指標は後述する「ナーチャリングメールの効果測定指標と改善方法」を参照してほしい。
2.2.デメリット
コンテンツ制作・配信の手間
コンテンツの制作・配信といった一連の業務には、それなりの手間や時間がかかる。
毎週配信するメルマガを1通作るのに1〜2時間かけている企業も少なくない。
見てもらえない可能性がある
多くの企業がメルマガを用いているため、埋もれてしまうおそれがある。
特に、不特定多数の人に配信するメルマガは、未開封のままゴミ箱に入れられることも少なくない。
そのため、メルマガだけではなく、さまざまメールの手法を組み合わせることが大切だ。
詳細は次に紹介する「メールナーチャリングの種類・特徴・ポイント」を参照してほしい。
3.メールナーチャリングの種類・特徴・ポイント
リードナーチャリングに活用できるメールには、以下のような種類がある。
- メルマガ(メールマガジン)
- ステップメール
- セグメントメール
- フォローメール
- サンクスメール
- 休眠顧客向けメール
それぞれの特徴と活用する際のポイントをみていこう。
施策の種類 | 目的 | 対象者 | 頻度 | 内容の特徴 |
メルマガ | 情報提供、
ブランディング |
一般登録者 | 定期的 | 企業ニュース、業界情報、製品情報など |
ステップメール | 教育、リード育成 | 興味を示した見込み客 | 段階的 | 段階ごとの情報提供、教育的な内容 |
セグメントメール | パーソナライズされたマーケティング | 特定の属性や行動をもつ顧客グループ | 不定期 | 顧客の特性に合わせてカスタマイズされた内容 |
フォローメール | リードのフォローアップ、関係構築 | 問い合わせや購入した顧客 | 応答に基づく | 個別の問い合わせや購入に関するフォローアップ |
サンクスメール | 感謝の表明、リレーションシップの強化 | 購入者、イベント参加者 | 購入・参加後 | お礼のメッセージ、関連情報の提供 |
休眠顧客向けメール | 再エンゲージメント、既存顧客の再活性化 | 長期間活動がない顧客 | 不定期 | 特別オファー、最新情報の提供 |
3.1.メルマガ(メールマガジン)
目的: 情報提供、ブランディング
特徴: 週1回や2週に1回などの定期的な頻度で、新着情報やお役立ち情報、セミナー案内などを保有リードに一斉配信する。
活用のポイント: 特定の層ではなく、広いユーザー層の関心を引けるようなコンテンツを届け、見込み客との関係維持に役立てる。
3.2.ステップメール
目的: 教育、リード育成
特徴: あらかじめ組まれたシナリオにもとづき、個別に複数回のメールを段階的に配信する。
活用のポイント: 見込み客の検討フェーズに応じた適切な情報を提供し、コンバージョンを促進する。
潜在層には啓蒙的なコンテンツを、顕在層には製品導入に役立つ情報を提供しよう。
3.3.セグメントメール
目的: パーソナライズされたマーケティング
特徴: 見込み客を任意のセグメントに分け、各セグメントに対してパーソナライズされたメッセージを配信する。
活用のポイント: ターゲットに合わせたコンテンツや提案を送ることで関心を高め、コンバージョン率を向上させる。
業界、職種、地域、関心テーマなどでセグメント化が可能。
3.4.フォローメール
目的: リードのフォローアップ、関係構築
特徴: 特定のアクション(資料ダウンロード、セミナー参加など)に対する追加情報や確認メールを配信する。
活用のポイント: アクションに応じた追加情報提供や打ち合わせの打診などで、見込み客の行動に応じた迅速なフォローを行い、信頼関係を構築する。
3.5.サンクスメール
目的: 感謝の表明、リレーションシップの強化
特徴: セミナー申込、資料ダウンロードなど特定のアクション後に、内容確認および感謝の意を示すメールを自動配信する。
活用のポイント: 開封率が高いため、単なる確認・感謝に加え、追加情報(セミナー案内など)を提供してコンバージョンに寄与する。
3.6.休眠顧客向けメール
目的: 再エンゲージメント、既存顧客の再活性化
特徴: 長期間接触がない顧客や失注した顧客に対してアプローチするメール。
活用のポイント: 不信感を抱かせずに連絡するために、連絡の「理由」を明確にしよう。
新サービスの案内や期間限定キャンペーンの案内が効果的だ。
4.効果的なナーチャリングメールの設計テクニック
ナーチャリングメールを効果的な施策にするためには、いくつか大事なポイントがある。
- ゴール設定
- 配信するメールの内容(コンテンツ)
- ナーチャリング初期の顧客にはステップメールを配信する
- その他のテクニック
それぞれ詳しく解説していきたい。
4.1.ゴール設定
取り組む施策のゴールを明確にしよう。
ナーチャリングでは、見込み客の興味やニーズを深く理解し、関連性の高いコミュニケーションを通じて関係を築き上げる必要がある。
長期的には受注がゴールとなるが、検討フェーズに応じた「短期的なゴール」を設定することが効果的だ。
これにより、見込み客が購入決定に至るまでのプロセスを効率的に進められる。
例えば「認知層」ではWebサイトに訪問してもらうことをゴールとして設定すると、ブランドや製品の認知度向上につながる。
「興味・関心層」ではセミナーへの参加を促すことで、見込み客の関心を具体的な行動に結び付け、製品やサービスへの理解を深めてもらえるだろう。
「比較・検討層」では無料トライアルへの登録をゴールに設定し、見込み客が実際に製品やサービスを体験することで購入に至る可能性を高めていこう。
このように、各検討フェーズに応じた短期的なゴール設定によって、見込み客の購買プロセスを効果的にサポートし、最終的な受注へと導くことができる。
<リードナーチャリングにおけるゴール設定例>
4.2.配信するメールの内容(コンテンツ)
配信するメールの内容が、最もリードナーチャリングの効果に影響するといっても過言ではない。
見込み客が普段からどんな情報を欲しているのか、営業担当による日々の顧客接点も踏まえながらメールの内容に反映していくことが大切だ。
例えば、IT業界における訴求力の高いメールコンテンツとしては、最新技術の動向、業界の課題や解決策、革新的なケーススタディ、専門的な知見の共有などが挙げられる。
IT業界における代表的なメールコンテンツの種類
カテゴリー | 内容の具体例 |
テクノロジーの動向・予測 | ● 新興技術: AI、ブロックチェーン、IoT、クラウドコンピューティングなど、新しい技術の動向
● 市場の予測と分析: 技術進歩が業界に与える影響や、今後数年間の市場の動きに関する予測 |
業界課題とその解決策 | ● 課題解決のアプローチ: IT業界が直面している主要な課題と、それらを克服するための具体的な戦略やソリューションの紹介
● セキュリティとプライバシー: データ保護、サイバーセキュリティの最新トレンドや事例 |
成功事例・導入事例 | ● 成功事例: 技術を活用して顕著な成果を上げた企業やプロジェクトの事例
● 導入事例: 製品やサービスの実際のユーザーがどのように恩恵を受けているかの事例 |
教育的なコンテンツ
|
● How to: 特定の技術やツールの使い方、活用方法に関する実践的なガイド
● セミナー/ウェビナー: 知見向上につながるセミナーやウェビナーの案内 |
製品に関する情報 | ● 製品レビュー: 新しいソフトウェアやツールの詳細なレビューと評価
● 比較分析: 類似する製品やサービスの比較と評価 |
専門家・オピニオンリーダー
|
● 専門家コラム: 業界の専門家やオピニオンリーダーによる意見や考察
● 対談・パネルディスカッション: 分野のリーダーとの対談やパネルディスカッション |
ひとつのテーマに特化するよりも、複数のテーマをバランスよく組み合わせて配信を行っていくことで、幅広い情報提供をしてくれる会社であるという意識の醸成につながる。
4.3.ナーチャリング初期の見込み客に対するステップメール(事例)
受注の見込みが高い「比較・検討層」は、単発のメールでもすぐにアクションを起こしてくれる傾向がある。
しかし、ナーチャリング初期の「認知層」は、一度きりのメールで期待するコンバージョンの獲得は難しいだろう。
そこで、ナーチャリング初期の見込み客に対しては、先に紹介した「ステップメール」が有効だ。
最初はハードルの低い内容から入り、少しずつゴールに近づくコンテンツを配信することで、ゆるやかなパーセプションチェンジを促す。
パーセプションチェンジについてはこちらの記事を参考にしてほしい。
例
対象: ランサムウェア対策に興味を持つメール購読者
ゴール: ランサムウェア対策ソリューションのウェビナー参加
ステップメール1: ランサムウェアのリスクに関する啓蒙
- 目的: ランサムウェアのリスクと最近の攻撃例について認識を深める
- 内容: 最新のランサムウェア攻撃の事例、その影響、防御策の必要性についての情報
- タイミング: キャンペーン開始直後に送信
ステップメール2: ランサムウェア防御のベストプラクティス
- 目的: 効果的なランサムウェア対策の方法を提供する
- 内容: ランサムウェアから身を守るための一般的なベストプラクティス、注意点、予防策
- タイミング: 初回メール送信後2~3日
ステップメール3: ケーススタディの共有
- 目的: 実際にランサムウェア攻撃を防いだ事例を共有する
- 内容: 自社ソリューションがどのようにランサムウェア攻撃を阻止したかの具体的なケーススタディ
- タイミング: 第2のメール送信後3~4日
ステップメール4: ウェビナーの予告と情報提供
- 目的: 近日開催されるランサムウェア対策ウェビナーの案内
- 内容: ウェビナーの詳細、スピーカーの紹介、ウェビナーで得られる情報のハイライト
- タイミング: 第3のメール送信後3~4日
ステップメール5: ウェビナーへの最終招待と緊急性の強調
- 目的: ウェビナーへの参加を促進する
- 内容: ウェビナーへの参加を促す最終コール、参加登録の期限や緊急性の強調、参加のメリットの再強調
- タイミング: ウェビナー開催日の1~2日前
5.その他のテクニック
そのほか、以下のようなポイントを押さえておくと、効果的なメールコンテンツを制作できるだろう。
5.1.メールタイトルは具体的かつ簡潔にする
メールのタイトルは開封率に大きく影響する要素だ。
タイトルを見ただけでコンテンツのおおまかな内容がわかるほうが、特定のユーザーの関心は引きやすい。
また、メールタイトルは簡潔であることも重要。
長すぎると見切れてしまう可能性がある。
メーラーの設定によっては、タイトルの先頭10文字程度しか表示されないケースもあるため、重要なメッセージはできるだけ先頭に寄せてタイトルを作ってみてほしい。
(例)
「ランサムウェアのリスクを避けるためのトップ5戦略」
5.2.本文は読みやすい長さ・構成にする
メール本文が長すぎると、受け手にとっては心理的ストレスにつながる。
最適な文字数はメールの種類によっても異なりますが、メルマガの場合は500〜1,000字程度が適切。
また、構成を工夫することも欠かせない。
最も伝えたいメッセージ・コンテンツはメールの冒頭に持ってくるのが鉄則だ。
HTMLメールでは、サムネイル画像やCTA(コールトゥアクション)ボタンなども組み合わせながら、視覚的にキャッチーな構成を目指していこう。
メルマガの構成イメージ図
5.3.オウンドメディアやホワイトペーパーを活用する
伝えたい内容が多くの説明を必要とする複雑なものである場合、メールの文章で端的にまとめることは難しい。
そこで、オウンドメディア内の記事やホワイトペーパーを有効活用してみてほしい。
メールでは「誰に向けたものか」と「特に注目すべき内容」を簡潔に説明し、「詳しくはこちら」のような形でオウンドメディアやホワイトペーパーへ誘導しよう。
オウンドメディアに誘導できれば、リンク先のコンテンツだけではなく、ほかのページも回遊してくれる可能性がある。
また、リンクを貼るとクリック率を計測できるため、効果検証にも役立つだろう。
ホワイトペーパーを活用したマーケティング施策については、こちらの記事を参考にしてほしい。
5.4.CTAを配置する
CTA(コールトゥアクション)とは、Webサイトへの訪問を促す画像やボタン、テキストのこと。リンクの存在を目立たせるため、「詳しく見る」「申込はこちら」といった明示的な表現を用いる。
CTAを設置することでクリック率の上昇が期待できるだろう。
CTAの例
・無料のセキュリティ診断の申込
・ランサムウェア対策ガイドのダウンロード
・ケーススタディや成功事例のダウンロード
・ウェビナーへの参加申込
5.5.送付相手の名前を入れる
ステップメールやフォローメールといった個人にフォーカスするメールでは、メールタイトルやメール文冒頭、文章内に送付相手の名前を入れることで個別性がより高まる。
MAツールを活用すれば、リード情報と接続した差し込み文字として挿入可能だ。
自動配信ながらも、特定の個人へ向けられたメッセージという雰囲気を醸成できる。
5.6.差出人を営業担当にする
新着情報の案内や無料トライアルの案内など、営業担当名義で送っても違和感のない内容であれば、メールの差出人を営業担当にすることもひとつの工夫だ。
受け手は「自分宛てに人からメールがきた」という印象を受けるため、メルマガのようなマス向けのアプローチと比べて返信率や反応率が高まる。
実際に営業担当が手を動かさなくても、MAツールを用いて差出人を営業担当にすることが可能だ。
6.ナーチャリングメールの最適な頻度・タイミング
ナーチャリングメールの最適な頻度とタイミングは、メールの種類によって異なる。
メールの種類別に最適な頻度・タイミングをみていこう。
6.1.メルマガ
頻度:週次または月次が一般的だが、対象とする業界や読者のニーズに応じて柔軟に調整するのが望ましい。
タイミング:平日の午前中に送ると開封率が高い。また、同じ時間帯に定期的に送ることで、受信者の予想や習慣に合わせられる。
6.2.ステップメール
頻度: 内容によって異なるが、次のメールまで2〜7日空けると効果的。これは、受信者が自社の存在を忘れないようにするための一般的なガイドラインだ。
タイミング: 通常はリードの特定のアクションや設定したトリガーにもとづいて送信する。初回のメールはアクションやトリガーが発生した直後に送ることが多い。
6.3.セグメントメール
頻度: 各セグメントと目的に応じて異なる。定期的な情報提供を行う場合は、週次または月次が一般的だが、単発での案内もあり得る。
タイミング: 開封率が高いのは平日の午前中だが、セグメントとメールの目的によって適切なタイミングは変わってくる。
6.4.フォローメール
頻度: 主にリードの特定のアクションに対する反応として送信されるため、一度限りの送信が一般的。リマインドのために同様の内容で再送することもある。
タイミング: リードのアクションに応じて送信され、通常はアクション直後に送られる。特に期間限定のアクションでは、その期間内に送ることが重要。
6.5.サンクスメール
頻度: 特定のアクション(申込やダウンロードなど)に対して一度のみ送信される。
タイミング: アクション完了の直後に送信される。迅速な送信は、申込の確認や安心感を与えるために重要だ。
6.6.休眠顧客向けメール
頻度: 内容と目的によって異なるが、休眠状態の顧客に対しては頻繁すぎない間隔が適切。
タイミング: 休眠状態の定義にもとづいて送信。
顧客が一定期間アクションを取らなかった場合など、条件に合致したときに送信するのが一般的だ。
7.ナーチャリングに使えるメール配信ツール
リードナーチャリングを行う場合、通常のメーラーでは一斉配信に向いていない、効果検証がまったくできないなどのデメリットがあるため、ツールを用いるのが一般的だ。
メール配信が行えるツールには主に「メール配信スタンド」と「MAツール」がある。
予算に余裕があり、リードナーチャリングやリードクオリフィケーションを、腰を据えてやっていきたいのであれば、MAツールをおすすめしたい。
予算が限られている場合や、まだ事業としてマーケティングの初期段階であり手始めにメール配信から始めたい場合は、メール配信スタンドも選択肢に入ってくるだろう。
比較項目 | メール配信スタンド | MAツール |
主な機能 | メール配信、基本的なリスト管理 | メール配信、詳細なリスト管理、リード管理、キャンペーン管理、リードスコアリング |
目的と適用範囲 | 単一または簡単なメール配信、限定されたリストへの送信 | 広範囲にわたるマーケティング活動、大量のリストや複雑なリード管理が必要な場合 |
カスタマイズ | 基本的に不可 | 基本的に不可 |
価格帯 | 一般的に低コスト 月額数百円〜数千円 |
中から高コスト 月額数千円〜数十万円 |
ユーザビリティ | シンプルで使いやすいインターフェース | 機能が多く、学習に時間がかかる |
データ分析とレポーティング | 基本的なレポート機能、オープン率やクリック率の追跡 | 詳細なレポーティングと分析機能、ユーザー行動の追跡と分析 |
適合する業務範囲 | 簡単なメールマーケティングキャンペーン、定期的なニュースレター配信 | 複雑なマーケティング戦略の実行、自動化とセグメンテーションを活用したキャンペーン |
それぞれに以下のようなメリット・デメリットがあるため、よく検討して導入しよう。
7.1.メール配信スタンド
メリット
導入ハードルが低い: シンプルな設計であり、直感的に操作可能。小規模ビジネスや短期キャンペーンに最適。
価格が安い: 機能が限定的なため、MAツールに比べてコストが低い。
デメリット
限定的な機能: メール配信に特化しているため、リード管理や詳細な分析機能が不足している。
カスタマイズの制限: ステップメール機能はあるが、ユーザーのウェブ行動に基づく自動化やパーソナライズが限定的。
7.2.MAツール
メリット
豊富な機能: メール配信の他、リード管理、ウェブサイトの訪問者追跡、リードスコアリング、シナリオベースのキャンペーン管理などを含む。
高度なセグメンテーション: ユーザー行動にもとづいた詳細なターゲティングとパーソナライズが可能。
デメリット
操作の複雑さ: 豊富な機能により操作が複雑で、十分なトレーニングが必要。
データ統合の課題: 既存のリード管理やほかのツールとのデータ統合が必要な場合、導入時に課題となることがある。
価格が高い: 機能が多いほど、コストが高くなる傾向がある。
このように、メール配信スタンドは低コストで簡単に操作できる反面、使える機能の範囲が限られている。
MAツールは広範囲の機能を提供するが、その分価格が高く、操作も複雑となる傾向がある。
8.ナーチャリングメールの効果測定指標と改善方法
ナーチャリングメールの効果測定指標としては以下が挙げられる。
・開封率
・クリック率
・コンバージョン率(CV率)
・配信停止率
それぞれの算出方法と、改善のポイントを解説していきたい。
8.1.開封率
メールが受信者によって開封された割合。一般的に以下の計算式で算出する。
開封率=メールを開封した人数/メールを送信した人数 |
開封率を改善するために重要なポイントは以下のとおり。
- 件名の工夫:トレンドに沿ったキーワードや問題提起を含む件名は開封率を高くする。セミナーやキャンペーンの案内であれば【〆切間近】などの限定訴求も有効。
- プレヘッダーの工夫:メーラーによっては、本文の最初の数十文字が開封前に読める仕様となっているため、文章の書き出しを意識することが効果的。
- 送信タイミングの工夫:企業向けメールの場合、平日の午前中が比較的開封率が高いといわれている。
8.2.クリック率
受信者がメール内のリンクをクリックした割合。一般的に以下の計算式で算出する。
クリック率=メール内のリンクをクリックした人数/メールを送信した人数 |
クリック率を改善するために重要なポイントは以下のとおり。
- コンテンツの工夫:件名と同様に、コンテンツ自体もトレンドに沿っており、新たな示唆を得られることが重要。
- パーソナライズ:フォローメールやステップメールの場合、個人の関心に合わせたコンテンツにすることでクリック率が高まる。
- デザイン:写真や画像を使用したり、テンプレートを工夫したりすることが有効。複数のデザインをA/Bテストして、より良いデザインを検証しよう。
- CTAの設置:「詳しくはこちら」といったCTA(コールトゥアクション)をわかりやすい場所に設置すると、クリック率が高まる。
- 複数のリンク設置:CTAのボタンだけではなく、原稿内の写真やテキストなどにも整合性のとれる範囲でリンクを設置すると効果的。
8.3.コンバージョン率(CV率)
メールの受信者がWebサイトに遷移したあと、期待されるアクション(申込やダウンロード、登録など)を実際に行った割合。
一般的に以下の計算式で算出する。
コンバージョン率(CV率)=コンバージョンした人数/メールを送信した人数 |
コンバージョン率を改善するために重要なポイントは以下のとおり。
- ランディングページの工夫:メールのリンク先からコンバージョン地点までの導線はできるだけ短くしよう。例えば、セミナー申込の場合、トップページではなくセミナーの申込フォームをランディングページとする。
- 分析:アクセス解析ツールを用いてWebサイトに遷移したあとのユーザーの行動をトラッキングし、コンバージョンの障壁を特定して改善策を導入する。
8.4.配信停止率
メールの受信者が配信停止(購読解除)をリクエストした割合。
一般的に以下の計算式で算出する。
配信停止率=配信停止した人数/メールを送信した人数 |
配信停止率を低減させるために重要なポイントは以下のとおり。
- 配信頻度の調節:あまりに高頻度でメールを送付すると、配信停止率が高まるおそれがある。配信頻度の調節を行い、配信停止率の変化を検証してみてほしい。
- 販促色の弱いコンテンツ:時々であれば問題ないが、毎回のように販促色の強いメールを送ることは不信感につながるため控えよう。
9.まとめ
今回は、リードナーチャリングにおけるメール活用について解説してきた。
一言でメールといってもさまざまな種類がある。
メルマガやステップメール、フォローメールなど、それぞれの特徴を活かしながら工夫したコンテンツを配信することで、リードナーチャリングの効果を最大限に発揮できるだろう。
本記事で紹介した内容を参考に、ぜひ実践してみてほしい。