「リード獲得にホワイトペーパーは有効だろうか?」
「他社はよくホワイトペーパーを使っているが、どのような効果があるのだろうか?」
ホワイトペーパーにおいて、このような課題を抱えていないでしょうか?
ホワイトペーパーは、IT業界をはじめさまざまな業界でマーケティング施策の一つとして活用されています。
そこで本記事では、ホワイトペーパーに関する基礎情報と、ホワイトペーパーマーケティングの具体的な活用方法を例に挙げながら、それぞれのメリット・デメリット、IT企業において実践的に活用できるチャネルやステップについて詳しく解説していきます。
1.ホワイトペーパーとは
ホワイトペーパーは本来、政府などが出す「白書」を指す言葉で、ある特定の分野において政策や課題、対策の共有のために発行されるものです。
これがマーケティング施策でも用いられるようになりました。
具体的には、ビジネスにおいて企業が抱える課題に対して、サービスを提供する側の持つノウハウや技術力、ケーススタディ、事例などを資料化し、提供するものがホワイトペーパーです。
ホワイトペーパー自体についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
2.ホワイトペーパーマーケティングとは?
ホワイトペーパーマーケティングとは、コンテンツマーケティングの一種で、IT企業などでも広く活用されているマーケティング手法です。
主に、「リードジェネレーション」と「ナーチャリング」フェーズで活用されています。
リードジェネレーション
リードとは見込み顧客のことを指し、ホワイトペーパーマーケティングにおけるリードジェネレーションは、新たな潜在顧客を獲得し、興味関心を惹き、顧客との関係を築くための重要なステップです。
ホワイトペーパーは、リードの注意を引きつけ、高品質な情報を提供する代わりに顧客情報を収集するのに役立つ効果的なツールとして利用されます。
リードジェネレーションの詳しい情報は、こちらの記事で解説しています。ぜひ、合わせてお読み下さい。
リードナーチャリング
ホワイトペーパーマーケティングにおけるリードナーチャリングとは、ホワイトペーパーの提供によって獲得したリードと長期的な関係を築き、購買・契約成立に至るまでのプロセスを効果的に管理するためのマーケティング施策です。
リードに対し、質の高いコンテンツを提供することで関係構築をします。
情報提供によって、自社のサービスや商品への興味関心を高め、適切なタイミングで成約に向けてアプローチをしていきます。
具体的には、ナーチャリングのフェーズでは、ケーススタディや導入事例、費用対効果といった、選定フェーズの手助けとなる情報などです。
また、ホワイトペーパーをダウンロードした人は、見込み度が高い顧客であるとも判断することができます。
リードナーチャリングの詳しい情報は、こちらの記事で解説しています。ぜひ、合わせてお読み下さい。
3. ホワイトペーパーを活用したリードジェネレーション施策とは
ここからは、具体的にどのようにホワイトペーパーをリードジェネレーションに活用していくのかを解説していきます。
ホワイトペーパーを活用したマーケティング施策の大きなメリットは、顧客情報の収集が比較的容易な点です。
提供するチャネルは様々ですが、ホワイトペーパーをダウンロードするにあたってメールアドレスや電話番号の入力が必須という仕組みになっています。
良質な情報やノウハウを提供するホワイトペーパーは、資料請求や問い合わせよりもハードルが低く、容易にアクションを促します。
よって、企業はよりスムーズに顧客情報の獲得をすることが可能となります。
そしてホワイトペーパーの情報により、企業が提供する商品やサービスに対し興味関心を持ってもらうことで、リードを顧客へ育てることができるという点もホワイトペーパーの大きなメリットです。
4. リードジェネレーションの主なチャネル
ホワイトペーパーを活用するチャネルはさまざまです。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、目的に応じたチャネルを活用することでホワイトペーパーマーケティングの利用効果を高めることができます。
ここではホワイトペーパーマーケティングで活用される主なチャネル6つを詳しく解説していきます。
4.1 オウンドメディア
リードジェネレーションの代表的なチャネルがオウンドメディアです。
課題解決の為に情報収集している見込み客がインターネットで検索をし、オウンドメディアにたどり着いたとしても、企業情報や商品・サービスの情報を訴求するだけのLPであった場合、ユーザーはアクションを起こすことなく離脱する可能性が非常に高いです。
ですが、LPにユーザーの興味を惹く有益な情報を提供するホワイトペーパーを設置することで、リード獲得に繋げることができます。
LP内にコンテンツ記事を制作し、関連性の高いホワイトペーパーを設置したり、閲覧途中にポップアップでホワイトペーパーを表示させる方法も効果的です。
メリット
・アナリティクスを使用することで、ユーザーがどのようなページを閲覧してからダウンロードしたのかなどのトラフィックやコンバージョンの分析をすることが可能
・導線設計の自由度が高い
デメリット
・オウンドメディアにトラフィックを集める必要性がある(SEO対策)
4.2 SNS
近年のSNSの利用率増加に伴い、IT企業を含めSNS上で企業アカウントを作成し、情報を発信する事例も増えています。
魅力的なコンテンツを発信することができれば急速に認知を高めることができ、ファン化に繋がりやすいのが特徴です。
一方で、Googleなどの検索エンジンでは、検索順位で上位を獲得できれば、一定期間継続して流入を獲得できますが、SNSの場合は日々新しい投稿にリーチが集まり、過去の投稿は埋もれてしまうため、継続的に発信する必要があります。
メリット
・ユーザーがシェアしやすく自然な拡散を見込め、露出を増やすことができる
・ユーザーと直接コミュニケーションを取ることが可能なのでフィードバックや情報収集をすることが可能
デメリット
・情報が過多で競争が激しいため、目立つのが難しい
・継続して発信する必要があるので運用工数がかかる
4.3 インターネット広告
インターネット広告には、GoogleやYahoo!の検索エンジンを利用したリスティング広告、ディスプレイ広告、またSNSのプラットフォーム上に配信するSNS広告などがあります。
広告からLPに遷移させ、LPに設置したホワイトペーパーのダウンロードを促します。
ターゲットによって使用媒体を選出し、ターゲットに合わせた広告配信設定をできることが大きな特徴です。
メリット
・広告配信設定によりターゲティングやセグメンテーションが可能
・コンバージョン分析が可能
デメリット
・広告費が必要
4.4 業界関連のウェブサイト
先ほど、最も代表的なチャネルとしてオウンドメディアを紹介しましたが、同じインターネット上でも、自社サイトではなく、業界関連の情報サイトにホワイトペーパーを掲載するという方法もあります。
オウンドメディアではアクセスが少ない場合に活用することで露出の拡大を見込めます。
また関連するウェブサイトやブログは、特定の業界やトピックに関心を持つ読者からのトラフィックが期待できるのが特徴です。
一方でオウンドメディアと比べると自由度が低いことは念頭に置く必要があります。
メリット
・露出を高め認知拡大を見込める
・興味関心が高く確度の高いリード獲得に繋がる
デメリット
・掲載費用が必要
・同一プラットフォーム内で他社と競合する可能性が高い
4.4 ウェビナーとオンラインセミナー
著名人を講師として招いたセミナーや、業界内のトッププレイヤーの対談など、ユーザーにとって魅力的なイベントを開催し、そのレポートをホワイトペーパーとして提供する方法です。
スケジュールの制約により参加できなかった場合でも「都合がつかなくて参加できなかったが、どのような内容だったのか気になる」と思っている人は少なくありません。
そのためレポート形式でホワイトペーパーにすることで、多くのダウンロードを促すことができます。
メリット
・専門的な知識や洞察を共有し、リードの信頼を築ける
デメリット
・ウェビナーやセミナーの運営には時間とリソースが必要
4.5 業界イベントとカンファレンス
展示会などの業界イベントに出店した際に、ホワイトペーパー配布をするという方法です。
ホワイトペーパーの配布をきっかけに名刺交換することでリード獲得に繋げることができます。
メリット
・ 業界関係者とのネットワーキング機会を活用し、ビジネス関係の構築に繋がる
・直接ホワイトペーパーの内容について説明が可能
デメリット:
・参加費用や展示ブースの費用が必要
・競合他社が同じイベントに参加するため、差別化を図り注目を集めることが難しい
5. リードジェネレーションはどのチャネルから取り組むべきか
ホワイトペーパーマーケティングを行うにあたって、チャネルの選定は重要な要素です。
まずは、競合他社やターゲットがよく利用しているサービスやメディアを調べてみましょう。
そして、予算、時間、工数を考慮し、活用するチャネルの優先順位をつけることが大切です。
ここでは、それぞれのチャネルに対し、費用・スピード・難易度を相対的に示し、優先順位順を解説します。
5.1 SNS
費用: 低
スピード: 高
難易度: 低
SNSは低コストで活用できるチャネルです。
投稿や宣伝キャンペーンのスピードも速いため、リード獲得に効果的な方法です。
IT業界では、X(旧Twitter)が広く活用されています。
5.2 ウェビナー/オンラインセミナー
費用: 中程度
スピード: 中程度
難易度: 中程度
リード獲得を目的としたウェビナーやオンラインセミナーの開催は、広告などを用いた集客費用がかかります。
また、計画や実施にそれなりの時間と労力が必要です。
一方で、専門知識を共有する場として活用でき、確度の高いリード獲得が見込めます。
優先的に活用したチャネルの1つです。
5.3 インターネット広告
費用: 高
スピード: 中
難易度: 低
インターネット広告のうち、ディスプレイ広告はリード獲得に幅広く活用されています。
ディスプレイ広告は、掲載するメディアを選ぶことである程度質の高いリードを獲得できる点がメリットです。
一方で、最低出稿単価が数十万円以上が一般的なため、よく精査する必要があるでしょう。
また、リードの質を高められる分、リード獲得単価も安くても1万円以上の単価になります。
5.4 業界イベントとカンファレンス
費用: 高
スピード: 低
難易度: 高
参加費用やブースの設営などのコストが高いため、潤沢な予算が必要です。
またイベントの計画や参加も時間がかかり、多くのリソースが必要となります。
一方で、出展内容にもよりますが、短期間で数百以上などのまとまったリードを獲得できます。
5.5 オウンドメディア・LP
費用: 高
スピード: 低
難易度: 高
オウンドメディアの開発・維持には高い費用がかかり、コンテンツを公開するまでのスピードも低いです。
また、SEO対策が十分でない場合は効果を得るのが難しく、ゼロから行うには多くの労力が必要です。
一方で、SEOが育ってしまえばオウンドメディアほどリード獲得単価が低いチャネルはありません。
費用と時間、ノウハウが必要ですが、早期から取り組みたいチャネルです。
順位は相対的なものです。
実際に活用する際は、自社のターゲットや目的に応じてこれらのチャネルを組み合わせて戦略をチャネル設計する必要がります。
6. リードジェネレーションチャネルを選ぶ際の注意点
ここでは、チャネルを選ぶ際の注意点を解説します。
押さえておかなければならない注意点として、ほとんどのチャネルでは詳細なターゲティングができないことが挙げられます。
インターネット広告であれば、ある程度のターゲティングは可能です。
しかし、業界業種・企業規模・所属部門・役職など特定のリード属性を正確に把握することはできません。
したがって、ターゲティング戦略を考える際はリードジェネレーションサービスを活用する必要があります。
代表的なサービスにITmedia社(アイメディア)のサービスがあります。
同社のサービスは、100万人を超える会員データベースにアプローチすることができ、獲得リードの業種や従業員数、勤務地、役職などターゲットを細かく絞って見込み客の創出が可能です。
また、コンテンツ閲覧前アンケートの実施により業務課題や要望など、リードの優先順位付けやフォローコールの参考となる情報を取得できる点も大きなメリットです。
同社以外にもリードジェネレーションサービスはありますが、ITに特化したサービスとしてはアイティメディア社のものが最大と言えるでしょう。
7. ホワイトペーパーを掲載できるサービス
ここでは、ホワイトペーパーを掲載できる6つのサービスをご紹介します。
費用はかかるものの、トラフィックがあるため短期間でリードを獲得することができます。
7.1 ホワイトペーパーダウンロードセンター
企業内の情報システムを担当するターゲットへアプローチしたい企業向けのサイトです。
7.2 ITトレンド
法人向けのIT製品を比較検討できるサイト。認知度・利用率ともに高いのが特徴です。
7.3 メディアレーダー
マーケティング資料のポータルサイト。無料プランと通常プランがあります。
7.4 LISKUL ダウンロード
Webマーケティング情報を中心とした中小・ベンチャー企業向けのサイトです。AIなどITツールの資料も掲載されています。
7.5 日経クロステック Active
IT・製造業・建設業向けの製品やサービスについての情報支援を行うメディアです。
7.6 マーケメディア
マーケティングや広告・営業を担当する人々の仕事をサポートする資料のダウンロードサイトです。
8.ホワイトペーパーを活用したリードナーチャリング施策とは
リードナーチャリングとは、獲得したリードと長期的な関係を築き、購買・契約成立に至るまでのプロセスを効果的に管理するマーケティング施策です。
ここでは、ナーチャリング施策においてのホワイトペーパー活用方法を具体的に解説します。
8.1 ナーチャリング施策とそのメリット
メール配信は効果的なナーチャリング施策のひとつです。
受信者にとって価値があるコンテンツを提供していくことで、リードの信頼性を高め、長期的な関係構築に繋がります。
また、継続的なコンテンツ提供により、リードの商品やサービスに対する興味を育てることができるのがメリットです。
8.2 リードナーチャリングで配信すべきホワイトペーパーの種類
ナーチャリング施策では、リードの心理状態に応じた適切なテーマのホワイトペーパーを使い分けることも効果的です。
ホワイトペーパーを活用しパーセプションチェンジ(意識変容)を促すことで、リードを成約率の高い見込み顧客へと育成します。
以下は、リードの心理状態・興味段階レベル別に配信したいホワイトペーパーの種類です。
①非認知層
課題が具体化される前であり、商品やサービスに対し興味関心が低い段階のリードです。
配信するホワイトペーパーには、自社とリードのタッチポイントを形成する内容が効果的です。
ホワイトペーパーによる情報から課題形成をさせることが目的となります。
具体例
・啓蒙系
・用語集
・フレームワーク
など
②潜在層
課題意識を持ち、解決するための方法を模索=情報収集をしている段階のリードです。
情報収集から実行までの一連の流れを、ホワイトペーパーを活用した配信したり、課題解決方法として自社商品につなげられるようであれば、オファーページとして自社商品への導線を設けるのも有効的です。
具体例
・調査レポート
・ウェビナーやセミナーのレポート
・チェックリスト型
③比較検討段階
比較検討段階の層には、興味のある商品・サービスを導入することでどんなメリットを訴求することでより購買・成約のチャンスを高めます。
導入後のイメージを想像できるコンテンツの提供や、意思決定のための背中を押すコンテンツの配信が効果的です。ナーチャリングのアプローチの中でも最終段階となります。
具体例
・事例系
・製品/サービス比較型
・製品/サービス紹介
9. ナーチャリングにおけるホワイトペーパーの配信方法
ここでは、ナーチャリング時のホワイトペーパーの配信方法として、MAツールを活用するメリットやデメリットを解説します。
メールマーケティングを行う際は、MAツール(マーケティングオートメーションツール)の活用することでより効率的かつ効果的なメール配信に繋がります。
MAツールを使用することで、リードの管理、セグメンテーション、開封率などの効果測定が可能になります。
また、ラベリングされたリードに対し、それぞれに合わせた適切なメールの配信を行える点も大きなメリットです。
使用するMAツールによっては何ページ目、あるいはどのくらいの時間読んだか測定することも可能なので、離脱ポイントを特定することでメールの文面を改善したり、興味関心の高いコンテンツを特定するのに役立ちます。
MAツールを活用するメリットとデメリットをそれぞれ整理します。
メリット
・効率化と自動化によりより多くのリードにアプローチできる
・セグメンテーションとパーソナライゼーションすることで効果を高めることができる
・トラッキングと分析が可能
・ABテストの実施が可能
デメリット
・スパムメールとして扱われるリスクがある
・運用コストがかかる
10. ナーチャリングにおけるポイント
最後に、ナーチャリングにおいて重要なポイントを紹介します。
リードに対し、適切なタイミングで適切なアプローチを行うことがナーチャリングにおいて特に重要なポイントです。
メールの配信を行う際は、それぞれのリードの興味関心レベルに合わせ、順を追ってコンテンツを配信していきます。
ステップメールなどでセグメントされた成約に最も近いリードに対してホワイトペーパーを配信し、興味関心のレベルが十分に高まったタイミングで、インサイドセールス担当者や営業担当者からクロージングのアプローチを行います。
リードナーチャリングは、MAツールを使用してインサイドセールスとフィールドセールスのリレーションを仕組み化することで、より効率的な営業支援に繋がり、成約レベルが格段にアップします。
11.まとめ
この記事では、IT企業で活用できるホワイトペーパーの概要、リードジェネレーションやナーチャリングについて詳しく解説しました。
ホワイトペーパーを活用したマーケティング施策は、あらかじめターゲットや目的を明確にすることが重要です。
また、ターゲットや目的に応じた適切なコンテンツを適切なタイミングで提供することが成功の鍵となります。
そして、大前提としてホワイトペーパーの品質が高いことも忘れてはいけません。
本記事で紹介したホワイトペーパー活用のノウハウを活かし、リード獲得に効果的なホワイトペーパーの作成、マーケティング施策の運用を行ってみてください。