IT企業のマーケティング攻略ガイド|IT業界特有の課題、施策、実践ポイントを解説

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IT業界において、スタートアップとしての参入を考えている企業や、市場でのポジション確立に悩んでいる企業は多いだろう。

IT市場は成長の一途を辿っている。

IDC Japan 株式会社の調査によると、国内のIT市場規模は、2024年に前年比7.2%増の23兆4,589億円、2028年には27兆8,650億円まで拡大する見込みだ。

急速に成長するIT業界で生き残るためには、緻密なマーケティング戦略が欠かせない。

そこで本記事では、ソフトウェア、ハードウェア、通信、インターネットビジネスなどを含むIT企業ならではのマーケティング戦略の構築方法や具体的なプロセスを詳しく解説する。

IT企業の分類と概要

 

1.BtoB IT企業によくあるマーケティング課題

 

市場規模が大幅に拡大し、現在でも成長し続けているIT業界において、マーケティング施策を成功させる難易度は高い。

専門性の高さや市場競争の激しさなど、乗り越えるべき壁は複数あるが、これらを理解することでマーケティング施策の的中率を高められるだろう。

そこでまずは、BtoB IT企業によくあるマーケティング課題を解説する。

  1. 差別化が難しい
  2. 実績がないと受注しにくい
  3. サービスによってはスイッチコストが高い
  4. マーケターに高度な専門知識が必要

それぞれ見ていこう。

 

IT企業の課題1.差別化が難しい

 

ITサービス、特にSaaS市場は、ここ5年ほどで約2倍拡大するといわれており、競争が激化している

(※富士キメラ総研の「ソフトウェアビジネス新市場2022年版」では、2026年に2021年の約1.8倍となると試算されている。)

一方で、SaaSは大規模な設備投資や地理的な制約がなく、事業開始や開発にかかるコストを抑えやすいため、参入障壁が低い

つまり、現代のSaaS市場は競合が「すでに多い」うえに「さらに増えやすい」という状況だ。

一定の機能を備えたサービスはすでに飽和しており、コモディティ化が起こりつつある。

コモディティ化とは?原因やコンテンツマーケティングによる対策を解説

そのような業界で難しいのが「差別化」だ。

もちろん「低価格」を押し出すのは簡単だが、安易に価格競争に足を踏み入れてはいけない。

なぜなら「自社である理由」「自社だけの強み」は曖昧となり、顧客のロイヤルティやLTVを高めにくいビジネスとなってしまうためだ。

また、一定の機能はすでに既存企業が実装しているため「機能面での差別化」も非常に難しい

よって、IT企業のマーケティングでは、単なる「価格」や「機能」以外の部分で、自社サービスが選ばれる理由づくりやブランディングのような差別化が重要となる。

 

IT企業の課題2.実績がないと受注しにくい

 

IT企業では、サービス導入実績の豊富さや、信頼性の高さが受注への鍵となる。

なぜなら、無形の商品やサービス(ソフトウェアやクラウドサービス、コンサルティングや開発など)が多く、使用感や成果が事前に、かつ直接的にわかりにくいためだ。

また、大型のハードウェアや基幹システムなどの大規模な開発では、数百万円以上の高額なサービスも珍しくない

よって、まだ成果物がわからないものに対して、高額な費用を投じてもらうための「信頼」や「実績」が不可欠となる。

 

IT企業の課題3.サービスによってはスイッチコストが高い

 

IT企業のサービス(特に基幹システムや大規模な開発)は、他のサービスへの乗り換えが難しい。

言い換えると「スイッチコスト」が高い。

新たなサービスの「導入コストが高い」ことはもちろん、旧サービスからのデータの移行や既存システムとの連携、従業員のトレーニングなど、乗り換えに付随するコスト(労力)も大きくなる。

そのため、特に新規参入企業では、高いスイッチコストをかけてでも自社サービスに魅力を感じ、選んでもらうためのマーケティングが求められる

裏返せば、既存企業においても「単なる購買行動」ではなく「顧客のロイヤルティ」「独自の価値」を維持、向上できていなければ、顧客が離脱するおそれがあるということだ。

変化が激しいIT業界では、新規参入企業はもちろん既存企業も油断はできない。

 

IT企業の課題4.マーケターにも高度な専門知識が必要

 

IT企業のマーケティング担当者は、マーケティングの知識だけではなく、自社サービスの分野に関する技術的な内容(システムの設計やプロセスなど)を含めた専門知識がなければならない。

なぜなら、技術的な理解なしに、顧客のニーズを的確に捉えたマーケティング戦略を立案・実行することは難しいためだ。

例えば、LPや広告のテキストで語られるような、表面的な「自社サービスの魅力」だけではなく、サービスの仕組みや設計、競合他社との技術的な違いを含めて理解していることが理想だろう。

このようなマーケターは、顧客の課題を解決する方法について「必要なシステム・機能の設計」「顧客にあったオプション」「導入による技術的な懸念点やリスク」などをより具体的に理解している。

こうした知識は、マーケティング施策として行うコンテンツマーケティングやメルマガなどの企画に反映され、マーケティング施策の質向上につながるだろう。

IT業界で生き残るためには、開発や営業のスタッフだけではなく、マーケターにも専門知識の習得が求められるのだ。

Beto BのIT企業特有のマーケティング課題

 

2.BtoB IT企業が押さえるべきマーケティング施策

 

では、前段の課題を踏まえて、IT企業で実施すべき具体的なマーケティング施策を見ていこう。

IT企業によってサービスの特性やターゲットは異なるため、ここでは以下の分類ごとに最適な施策を紐解いていく。

  • サービス特性
    • 有形/無形
    • 高価格帯/低価格帯
  • ターゲット企業
    • 大企業向け/中小企業向け

施策の評価方法:

  • ◯:基本的には有効である
  • △:有効だが、取り組み方法に注意が必要である
  • ✕:基本的には有効に働かない(本章では有効に働く施策に絞っているので✕はない)

 

BtoB IT企業が押さえるべきマーケティング施策

 

施策1.導入事例・ケーススタディ

 

導入事例の制作・配信は、どのような企業でも非常に有効な施策だ。

導入事例は、サービスの効果や導入後のイメージを具体的に伝えられ信頼感の醸成につながるためだ。

既存顧客がいる場合は、顧客の協力も得ながら、ぜひ導入事例やケーススタディの制作に取り組んでいただきたい。

ここで、導入事例の制作に積極的に取り組んでいる企業を紹介しよう。

クラウド人事労務システムを提供している「SmartHR」は、ホリゾンタルSaaS(業界問わずに需要のあるSaaSサービス)であるため、業界や企業規模などの点で幅広く導入事例を用意している

これはターゲットが導入事例を検索した際に、自社の業界や自社と近しい従業員規模の事例があれば安心感・信頼感が高まるためだと考えられる。

さらにSmartHRは、導入事例の紹介動画を制作・配信し、文字だけでは伝えきれない既存顧客の雰囲気やロイヤルティを伝えることに成功している。

参考:SmartHR | Youtubeチャンネル

導入事例は他社メディアやプレスリリースなどとの連携も可能で、活用方法によっては認知度向上と信頼の醸成を同時に実現できる。

企業規模やサービスの形態に関わらず有効な施策だ。

<導入事例・ケーススタディ>

サービス・商品特性 ターゲット企業
有形・無形 価格帯 大企業向け 中小企業向け
有形 高単価帯
低価格帯
無形 高単価帯
低価格帯

 

施策2.ウェビナー

 

ウェビナーは主に、リードジェネレーションやリードナーチャリングで活用できる。

具体的には、ウェビナーへの登録フォームから個人情報(会社名やメールアドレス)を取得したり、既存リードに自社のノウハウや専門性をアピールし、検討段階を高めたりすることが挙げられる。

ウェビナーは基本的にすべての企業で有効だが、無形サービスでより効果的だといえる。

成果物や使用感がわからない無形商材では、自社独自のノウハウや有益情報を定期的に提供できるうえに、チャットや質問タイムなどの相互コミュニケーションによって、信頼を獲得しやすくなるためだ。

また、ウェビナーはオフラインセミナーや展示会と比較して準備コストが低く、多くのターゲットへ情報提供を行えるため、コストが限られる低単価帯のサービスや新規参入企業でも有効だ。

一方で、有形サービスは実際に商品を見ることができるオフラインセミナーやイベントへの登壇も有効となる。

なお、ウェビナーの集客ノウハウについては以下の記事で詳しく紹介しているため、参考にしていただきたい。

ウェビナー集客が安定する7つのコツと集客経路の選び方

サービス・商品特性 ターゲット企業
有形・無形 価格帯 大企業向け 中小企業向け
有形 高単価帯
低価格帯
無形 高単価帯
低価格帯

 

施策3.展示会

 

競合が多いIT業界では、顧客がサービスを探すのも一苦労だ。

そこで、自社の課題解決につながるITサービスを、1〜2日でまとめて探せるような展示会に参加することが多い

展示会では、気軽にサービス内容や競合との違いを聞けたり、実際にサービスを体験できたり、サービスを提供する企業の雰囲気を知れたりと、情報を効率的に獲得できる。

特に有形サービスの場合は、実際に商品に触れることができるため、より有効かつ重要な施策だ。

無形サービスにおいても、認知拡大としては有効だが、展示会の出展費用は数十万〜数百万円と決して安くはない。

無形の低価格帯サービスの場合、ある程度のリード獲得や商談獲得につながらなければ、費用対効果が見合わないおそれがあるため注意しよう。

サービス・商品特性 ターゲット企業
有形・無形 価格帯 大企業向け 中小企業向け
有形 高単価帯
低価格帯
無形 高単価帯
低価格帯

 

施策4.ホワイトペーパー

 

ホワイトペーパーとは、特定のテーマに関する専門的な情報やノウハウ、トレンド情報などをわかりやすくまとめた資料だ。

主に「リードジェネレーション」の手段として活用できる。

ホームページやLP上にダウンロードフォームを設置し、ダウンロードと引き換えに顧客の会社名やメールアドレスを獲得する、という流れだ。

自社サービスのターゲットが持つ悩みや課題、ニーズに対応するホワイトペーパーを作成することで、ある程度のターゲティングも可能となる。

基本的に、ホワイトペーパーはどの企業でも有効な施策だ。

自社の専門知識やノウハウ、サービスを活用した効果などを広く発信でき、IT企業において重要なブランディングや市場地位の確立などにも貢献する。

信頼の獲得が課題となるSaaSのような無形商材の創業期でも、積極的に取り組むべきだろう。

また企画次第では、SNSやプレスリリースを活用した「バズ」の効果が期待でき、認知度の拡大にもつなげられる。

サービス・商品特性 ターゲット企業
有形・無形 価格帯 大企業向け 中小企業向け
有形 高単価帯
低価格帯
無形 高単価帯
低価格帯

ホワイトペーパーマーケティングとは?リード獲得・ナーチャリングの活用方法や施策別の比較まで徹底解説

 

施策5.SEO

 

SEO(検索エンジン最適化)は、自社のサイトやコンテンツを検索結果の上位に表示させる施策だ。

主にウェブサイトへのトラフィック増加ブランド認知度の向上に貢献する。

具体的には、対策キーワード(ユーザーが検索窓に入力するキーワード)を選定し、そのキーワードから検索ニーズを分析して、ニーズを満たす記事・コンテンツを制作する。

ただし「自社サービスに関連するキーワードに対して記事コンテンツを制作する」という単純な取り組みだけでは不十分だ。

費用やリソースをかけて取り組む以上、ブランディングやリード獲得などの「成果」を見据えた計画を立てなければならない。

つまり、SEOで成果を出すには明確な根拠をもとにした「戦略」、そして最低でも半年〜1年以上の「時間」が必要となる。

戦略を立てるときは「自社の顧客になりそうな人(企業)」の像(ペルソナ)と、彼らのニーズの変化、カスタマージャーニーを明確にしたうえで「ニーズを満たすコンテンツ」が何かを分析しよう。

加えて、自社が求めているコンバージョンを照らし合わせ、ユーザーが興味を抱き、購買意欲が高まるような経路作りをすることが重要だ。

ここで、SEO戦略に関する成功事例を紹介しよう。

コミュニケーションツールを提供する「Slack」は、一般的なキーワードだけではなく、Slackと連携できるサービス(GoogleカレンダーやZapierなど)を検索した際、Slackのコンテンツが上位に表示されるようなSEO戦略を取っている。

そうすることで、自社を間接的に認知してもらえるだけでなく、サービス連携の多さも打ち出せる効果があるのだ。

ノウハウも時間も必要だが、SEOの成果が高まると、低コストで安定した集客を実現し、広告に頼らなければならない部分を圧縮できる。

創業期のフェーズにおいても、できるだけ早めにSEO戦略への投資を始めるのがおすすめだ。

サービス・商品特性 ターゲット企業
有形・無形 価格帯 大企業向け 中小企業向け
有形 高単価帯
低価格帯
無形 高単価帯
低価格帯

以下では、SEOに関する詳細なノウハウを定期的に発信している。ぜひ参考にしていただきたい。

https://it-bell.com/category/seo/

 

施策6.オウンドメディア

 

自社で運営するオウンドメディアは、顧客に役立つ情報を自由に発信できる手段だ。

オウンドメディアでは、記事コンテンツやホワイトペーパーの発信が主流であり、ターゲットとする企業にとって「有益」かつ「高品質」なコンテンツを発信することで、以下のような効果が見込める。

  • 各記事の上位表示(SEO)による認知度向上
  • リードジェネレーション・リードナーチャリング
  • ブランディング

例えば、グループウェアを開発・提供しているサイボウズは、2012年より「サイボウズ式」というオウンドメディアを運営している。

チームワークのメディアとしてブランドに沿った情報発信することで、競争が多い同業界において差別化やブランディングに成功している。

サイボウズ式の成功のポイントは、数値目標を設定しない、専属のメンバーを設置するなど、長期施策としてコミットしたことだ。

参考:サイボウズ式 | サイボウズ

オウンドメディアの効果は、属性との相性よりもコンテンツの内容と長期間にわたり「やりきれるか」が重要となる。

先の事例のように、認知施策やブランディング施策として割り切り、ROIは度外視で取り組むという選択もある。

なお、オウンドメディアについての詳細なノウハウは、弊社の以下のページでも解説している。

https://it-bell.com/category/ownedmedia/

Bto BのIT企業が取り組むべきマーケティング施策

 

3.IT企業のマーケティング施策で成果を出すためのポイント

 

IT企業がマーケティング施策でより成果を出すためのポイントを見ていこう。

Beto BのIT企業のマーケティング成功ポイント

 

ポイント1.ターゲットの明確化

 

ターゲットを明確に定義することで、

  • マーケティング施策の精度・効果向上
  • リソースの集中投下

につながる。

IT業界では「他社との差別化をどう行うか」の判断も難しいポイントだが、「機能」や「価格」だけではなく「ターゲティング」によっても差別化はできる。

わかりやすくいうと「〇〇向けの△△サービス」のように、訴求に独自性を持たせることだ。

「ターゲットを絞る」ことは「顧客の母数を減らす」ことにもつながるため、特に創業初期にはなかなか思い切れない企業も多い。

しかし視点を変えれば、一人ひとりの顧客に対してリソースやコストをより多く投下し、質の高いサービスや施策を行えるのだ。

例えば、株式会社ユーザーベースが提供する営業DXサービス「スピーダ(旧:FORCAS)」もターゲットを明確にし、リソースを投下する部分を絞ることで成果を上げている。

商談化分析と受注分析を通じて、成果に結びつくターゲットを特定し、それに該当する計600社以外の企業へのアプローチを停止する戦略を実行したという。

注意点は、ターゲットをどう絞るかは「データドリブン」でなくてはならないことだ。

株式会社ユーザーベースのように「どのような顧客が商談化/受注しやすいのか」を分析するために、まずは「社内のデータを収集し、分析できる体制」を整えることから始める必要があるだろう。

データドリブンマーケティングの教科書|基礎から実践プロセスまで徹底解説!

 

ポイント2.「信頼の獲得」を徹底的に追求する

 

BtoB IT企業のマーケティングでは「信頼の獲得」を徹底的に追求しよう。

繰り返しにはなるが、特にBtoBのITサービスは、高額かつ無形のものが多く、受注までに複数のステークホルダーが「サービス」と「自社」について評価を行う。

そのなかでの判断軸となるのが「実績」「信頼性」だ。

BtoBは、株主を背負った企業対企業のやり取りであり、少しでも「リスク」や「不安」が潜んでいれば受注にはつながらないだろう。

一方で「サービスの内容」「機能」「価格」だけで「信頼してもらう」ことは非常に難易度が高い。

企業に積み重ねられた「ノウハウ」や「既存顧客からの信頼(ロイヤルティ)」などが見えることで初めて「そんな企業が作った素晴らしいサービス」という価値が生まれるのだ。

では、具体的にどのような施策を行えばよいだろうか。

弊社のおすすめは「コンテンツマーケティング」に徹底的に取り組むことだ。

コンテンツマーケティングには、以下のような取り組みが含まれる。

  • オウンドメディアの構築・運用
  • 記事コンテンツの制作・公開
  • ホワイトペーパーの制作・公開
  • 導入事例・ケーススタディの制作・公開
  • メルマガ配信

「難しそう」という印象はないかもしれないが、これらの施策に1年、3年、10年と高いクオリティで取り組むとなるといかがだろう。

非常に根気がいる作業だと感じる方も多いはずだ。

しかし「信頼の獲得」は一朝一夕に達成できるものではなく「長期的な取り組み」が前提となる。

初期段階では投下したリソースに対して成果がでなくても、取り組む価値は大いにあると弊社は考えている。

なぜなら、これらのコンテンツはすべて企業の「資産」となり、あらゆる施策やチャネルで活用できる強力な集客装置となるためだ。

自社だけでの実行が難しい場合は、コンテンツマーケティングを支援している企業への委託も検討しよう。

コンテンツマーケティングについては、以下の記事で網羅的に解説しているため、あわせてご覧いただきたい。

コンテンツマーケティングとは?メリットや戦略、コンテンツの種類やツールなどを網羅的に解説

 

ポイント3.カスタマージャーニーとコンテンツマップの作成

 

マーケティング施策を考える際に必ず意識してほしいのが「顧客起点で考える」ことだ。

つまり、顧客のニーズや悩み、心情、行動のフェーズに合わせた施策を行う必要がある。

BtoBにおいて、顧客は「企業」であるものの、その中身は必ず「人」だ。

機械的な施策だけでは「人」を動かせない、つまり「企業」から受注することもできない。

そこで有効となるのが、カスタマージャーニーマップの作成だ。

カスタマージャーニーマップは「顧客の旅」という日本語訳のとおり、顧客の認知から購買までの行動プロセスを可視化したマップを指す。

ただし、IT SaaS企業では、購買までではなく、活用や継続まで含めたカスタマージャーニーを作成しよう。

【事例付き】カスタマージャーニーとは?作り方やすぐに使える作成例を紹介

カスタマージャーニーに基づき、それぞれのフェーズに合わせてどのようなコンテンツを提供すれば顧客を次のフェーズに導けるかを整理したものを「コンテンツマップ」という。

以下は、顧客の状況や検討フェーズの変遷に対応して、提供するコンテンツを整理したコンテンツマップの例だ。

カスタマージャーニーと対応するコンテンツの整理

 

このように整理しておけば、顧客の検討フェーズが進まない部分のコンテンツを変更・修正するなど、コンテンツマーケティングのPDCAも回しやすくなる。

コンテンツマーケティングとは?メリットや戦略、コンテンツの種類やツールなどを網羅的に解説

 

ポイント4.オフライン施策の活用も有効

 

オンライン施策のほうが「効率が良い」「リソースが削減できる」ことは事実だ。

一方で、オフラインの施策も、顧客やリードとの直接的なつながりをもち、率直なニーズや反応を得られる点でいうと、非常に貴重な機会といえる。

コロナ禍を機にオンラインの展示会やイベントが大幅に増加したものの、オフラインイベントも多く開催されている。

以下のような施策を検討してみよう。

  • EXPOや展示会への出展
  • ターゲット顧客同士の交流会や勉強会
  • クローズドで実施する業界別のセミナー
  • ロイヤルカスタマー同士の交流会など

さらに、オンライン施策とオフライン施策を組み合わせることで相乗効果が期待できる。

例えば、制作した導入事例などのコンテンツを展示会にてフライヤーとして配布したり、オフラインイベントの内容をWebコンテンツとして発信することが可能だ。

オンラインとオフラインの境界をなくすことで、顧客のロイヤリティがより高まり、購買につなげやすくなる。

つまり、オンラインとオフラインのマーケティングを別ものとして捉えず、うまく組み合わせて実施することが重要だ。

 

4.まとめ

 

本記事では、BtoBのIT企業におけるマーケティングの課題や施策、成功のポイントなどを解説してきた。

BtoBのIT企業は無形かつ高額なサービスが多く、競合もますます増えている。

そのため、まずは自社を認知してもらい、素早く信頼を獲得することが鍵となるだろう。

そのために有効な施策がコンテンツマーケティングだ。

カスタマージャーニーを使用したり、オフライン施策を組み合わせたりと、コンテンツマーケティングを有効に活用して顧客のロイヤリティを高めていこう。

弊社では、IT企業のマーケティング支援や、IT領域の高い専門性を備えたコンテンツ制作代行のサービスを提供している。

外部の支援を検討している方は、ぜひお気軽に問い合わせいただきたい。

 

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