リードジェネレーションは、BtoBマーケティングにおいて必須の施策だ。
受注や商談を増やすには、その前提となるリードを増やさなくてはならない。
一方で、リードジェネレーションのノウハウを確立している企業はそれほど多くない。
リードジェネレーションに取り組むにあたり、次のようなお悩みを持っていないだろうか。
「リードジェネレーションのパターンがわからない」
「リードの数がなかなか増えず、売上も思わしくない」
「自社が選択すべき施策がはっきりしない」
そこで本記事では、リードジェネレーションの意味、具体的な施策、選び方といった基本的な情報を提供する。
また、リードジェネレーションの現場でよくある課題や解決策も提示する。
1.リードジェネレーションとは
まずは、リードジェネレーションの概要と、リードジェネレーションと同様によく聞かれる言葉である「リードナーチャリング」や「リードクオリフィケーション」との関係性を確認していこう。
1-1. リードジェネレーションの概要
リードジェネレーション(Lead Generation)とは、リードを「獲得」することである。
ここでいうリードは「見込み客」、つまり自社の商材を検討してくれる可能性がある顧客を指す。
通常、リードを獲得するというのは、見込み客の名前・メールアドレス・電話番号といった個人情報を入手することを意味する。
対個人ではなく対企業のビジネスを行っているBtoB企業の場合、リードジェネレーションはすべての商談の起点ともいえるだろう。
例えば、自社のWebサイトに1,000人のユーザーが訪れていても、すべてのユーザーのリード情報を入手できるわけではない。
ユーザーが自社に興味をもち「問い合わせ」や「資料請求」といった経路でリード情報を登録してはじめて、それらのユーザーが見込み客として顕在化し、商談のためのアプローチを開始できる。
なお、リード情報を獲得する手法にはWebサイトだけではなく、さまざまなものがある。詳しくは後述の「リードジェネレーションの具体的な手法」を参考にしてほしい。
1-2.リードジェネレーションとリードナーチャリングの違い
リードナーチャリング(Lead Nurturing)とは、リードジェネレーション施策によって獲得したリードを、より具体的に自社商材を検討してくれるようになるまで「育成」することだ。
当然ながら、獲得したすべてのリードが前向きに商談を承諾してくれるわけではない。
「話を聞いてみようか」と思ってくれるようになるまで、定期的に有益な情報提供をする必要がある。また、商談を終えたあとも最後の一押しになるような情報提供をすることで受注率が上がるだろう。
リードナーチャリングの手法には、メールマガジンやセミナー、HPの事例コンテンツなどがある。
1-3.リードジェネレーションとリードクオリフィケーションの違い
リードクオリフィケーション(Lead Qualification)とは、リードジェネレーション施策によって獲得したリードのうち、より受注確度の高い見込み客を「選別」することだ。
どの企業でも社内のリソースには限りがあり、獲得したすべてのリードに総当たりで営業をかける行為は、かえって工数の無駄になるおそれがある。
そのため、より受注に近いと思われる見込み客を正しく評価し、優先順位を決めていくことが大切である。
リードクオリフィケーションは、セミナーでのアンケートの回答や、ステップメールの開封率、ホワイトペーパーのダウンロード率・数、ユーザーが自社サイトのどのページを見ているかといった情報から見込み客をスコアリング(点数付け)していく手法がある。
リードジェネレーション・リードナーチャリング・リードクオリフィケーションの関係性を図にまとめると以下のとおり。
プロセスが進むにつれてリードの量は減るものの、その分質が高いリードに絞られていく。
2.リードジェネレーションはなぜ重要なのか
では、リードジェネレーションはなぜ重要なのだろうか。ここでは、リードジェネレーションの重要性について解説していこう。
はじめに、以下の式をみてもらいたい。
売上(新規顧客) = リード数 × 商談化率 × 受注率 × 顧客単価 |
どの企業でも必ずといってよいほど売上目標を持っているが、それを構成する要素が以下の4点である。
- リード数
- 商談化率
- 受注率
- 顧客単価
このうち、最も改善できる余地が大きいのが「リード数」だ。
商談化率・受注率は営業の腕の見せ所だが、どんなに頑張っても2倍や3倍にするのは難しい。
顧客単価も同じで、商品構造を大きく変えない限りはある程度相場が決まる。
しかしリード数は、マーケティングの工夫によって数倍になったという事例も少なくない。
BtoB企業にとってのリードジェネレーションは、マーケティングの重要な手段という以上に、業績を上げるための重要な手段という認識をもち、全社的に対策を練っていくことが求められる。
3.リードジェネレーションの具体的な施策
ここからは、リードジェネレーションの具体的な手法について、個別に解説していきたい。
手法1.Web広告
Web広告では、Webサイトへのアクセス数を増やしたり、広告から直接ホワイトペーパーや資料のダウンロードフォームへ導線を作ったりすることでリード数の増加を狙う。
ただし、Web広告にはさまざまな種類があり、狙う層によって使い分ける方法が一般的だ。
BtoBの場合、1リードあたりのCPAは¥10,000〜が平均的で、ターゲットの属性を絞るほど一般的にCPAは上がる。
業務システムなどの高価なソリューションの場合、1リードあたり¥50,000〜というケースも少なくない。
コンテンツSEOと同じく、Webサイト内のコンバージョン導線設計に穴のない状態にしてから広告を開始することで、費用を有効に使えるだろう。
Web広告は、バナーやテキスト、ホワイトペーパーやダウンロード資料といった素材を用意すればすぐに始められる手間の少なさがメリットだ。
ホワイトペーパーについてはこちらの記事を参考にしてほしい。
運用も、近年ではほぼ自動化されており簡単に取り組める。
流入数に比例して費用が増えるが、1万円程度からの少額でも始めることが可能で、リーチ単価もオフラインの施策に比べて安い傾向がある。
難易度については、条件次第で効率良く成果をあげられるだろう。
必要な条件としては、ターゲティングが適切であること、クリエイティブの内容とランディングページの内容がマッチしていること、コンバージョンポイントが明確であることが挙げられる。
一方、Web広告は基本的に直帰率(Webサイトに流入してほかのページに遷移せず離脱する割合)が高いため、これらの条件が揃っていない場合はなかなかコンバージョンにつながらない。
弊社では、リードジェネレーションで特に有効なWeb広告を以下3つだと考えている。
リスティング広告(主に顕在層向け)
リスティング広告は、検索エンジンの検索結果ページに表示される広告だ。
ユーザーが特定のキーワードを検索すると、そのキーワードに関連する広告が検索結果の上部や右側に表示される。
テキスト形式であり、ユーザーが興味を持つ内容が簡潔に記載されている。
検索エンジンごとに異なる広告プラットフォームが提供されており、広告主はプラットフォーム通じて広告を出稿する。
主に顕在層向けの広告だが、キーワード選定によっては潜在層も狙うことができる。
リスティング広告のメリットは、ユーザーに直接アプローチできる点だ。
特定のキーワードを検索したユーザーに対して広告を表示するため、購入意欲の高い見込み客に直接アピールできる。
デメリットとしては、「ビッグキーワード」や「購買意欲が高いキーワード」など競合が多いキーワードを狙うと、高額な費用が必要になる点が挙げられる。
SNS広告(潜在層~顕在層向け)
SNS広告は、Facebook、Instagram、X、LinkedInなどのSNS上で配信される広告だ。
テキスト、画像、動画など多様なフォーマットが利用でき、高いターゲティング精度を誇る。
SNS広告では、広告プラットフォームが提供するターゲティングオプションを活用する。
広告主は、ユーザーの年齢、性別、地域、興味関心、行動履歴などに基づいてターゲティングを設定し、最も効果的に届くユーザー層に表示される仕組みだ。
一般的には広告の表示回数やクリック数に応じて費用が発生する。
また、広告のパフォーマンスはリアルタイムで監視・分析され、必要に応じて調整が行われる。
SNS広告のメリットは、他の広告ではアプローチしにくい層を狙い撃ちできる点だ。
また、潜在層から顕在層まで幅広いアプローチが可能な点も見逃せない。
さらにSNS特有の機能である「拡散」が起こると一気に露出効果が上がり、他の広告ではカバーできない潜在層の目にも届きやすくなる。
一方で、プラットフォームごとの仕様やアルゴリズムの変動に影響を受けやすい点がデメリットだ。
広告が表示されるタイミングや頻度が一定ではなく、広告の成果が安定しにくいのだ。
また、ターゲティングが精密であるがゆえに、誤った設定をすると無駄な広告費用が発生するリスクもある。
リード保証型広告(すべての層向け)
リード保証型広告とは、リード獲得広告における「成果保証型」の広告を指す。
この広告では、リード(見込み客)を獲得した場合にのみ費用が発生する。
リードジェネレーションの文脈でいえば、純粋な成果報酬型の広告と言える。
具体的には、問い合わせフォームの送信やメールマガジンの登録、資料ダウンロードなどが行われた場合に費用が発生する。
B2B向けの商材や単価の高い商品の販売促進に利用されることが多い。
リード保証型広告のメリットは、広告の効果をシンプルに、かつ直接測定できる点だ。
また、予算管理がしやすくリスクも比較的小さい。
一方で、獲得するリードの質がにバラつきが出やすいというデメリットもある。
これは、リードの質が広告内容やターゲティング設定に大きく依存するためだ。
不適切な広告内容の場合、受注や商談につながりにくい質の低いリードが集まりやすくなる。
さらに成果報酬型のため、一件あたりの費用が高額になりがちだ。
3.2.資料比較サイト、レビューサイト
資料比較サイトやレビューサイトを活用することでもリードジェネレーションは可能だ。
サイトに資料や機能概要などを登録することで、製品やサービスの情報を集めている層にアプローチできる。
この層は「比較検討層」に該当し、契約を見越して具体的な比較検討を行っている。
PVが大きい資料比較サイトやレビューサイトを利用することで、製品やサービスの露出が増える。
また、信頼性の高いレビューや評価を通じて、ユーザーの購買意欲を高めることができる。
比較検討のための詳細情報が提供されるため、購買決定プロセスの促進に効果がある。
一方で、競合他社と直接比較されるため、価格や機能が見劣りする場合は訴求力が落ちてしまう。
また、ネガティブなレビューが掲載されると、ブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性も否定できない。
さらに掲載料金が高すぎると効果に見合わない可能性がある。
3.3.リファラル
リファラル(紹介)は、既存の顧客の紹介などでリードを獲得する施策だ。
リファラルによって得られるリードは、既存の信頼関係を基盤としているため質が高い。
また、コンバージョン率が高いことでも知られており、顧客獲得コストの低減に寄与する。
紹介プログラムなどを設けることで、既存顧客の満足度やロイヤリティの向上にも貢献するだろう。
ただし、紹介によって得られるリードの量は限られているため、大規模なリード獲得には向いていない。
また、「信頼に足る既存顧客」を獲得するために多大なコストと時間が必要になることにも注意したい。
有力な既存顧客や人脈が確保できている場合にのみ有効な方法といえる。
3.4.メール
ターゲットリストを活用し、チューニングされたメッセージを送ることでリード獲得につなげる手法だ。
ノウハウを発信するメールマガジンやキャンペーン情報、フォローアップメールなど、多様な形式がある。
メールは低コストで実施でき、広範囲にわたってアプローチできる。
ターゲットリストさえ入手できれば、一定の確率でリードジェネレーションが見込める手法だ。
また、パフォーマンスの測定が比較的容易であり、効果的なマーケティング戦略の構築に役立つ。
一方で、大量のメールが「スパム」と見なされるリスクがある。
近年はメールによるサイバー攻撃が常態化しており、フィルタ設定やセキュリティソフトの機能によっては、メールが届きにくい状況になってしまう。
また、開封率やクリック率を上げるための手段も限られている。
さらにメールの文面作成には時間と労力が必要で、自動化もしにくい。
3.5.オンラインセミナー(ウェビナー)
コロナ禍を経て、一般的となったオンラインセミナー(ウェビナー)も、重要なリードジェネレーション施策だ。
対面のセミナーよりも準備や実施の工数が小さく、コストパフォーマンスが良い施策といえる。
例えば、営業資料やカスタマーサポートの資料を活用することで、現実的かつ納得感の高い内容を伝えられる。
この場合は特別な費用を必要とせず、既存の社内資料を流用することで訴求力の高いコンテンツになる。
また、近年では録画したセミナーをいつでも見れるオンデマンド配信にすることで、継続的に新規リードを獲得している企業も少なくない。
どの時点でリードジェネレーションと判断するかはケースバイケースだが、参加申し込みを受けた時点でリード獲得と判断することが多い。
一方で、参加申し込みの数を稼ぎにくいという欠点もある。
自社サイトに一定以上のPVがあれば有効だが、もし集客手段がない場合は外部メディアの力や広告の力を借りることも一つの方法だ。
この場合は、別途費用が必要になる。
3.6.コンテンツSEO
コンテンツSEOは、自社メディアのページが結果の上位に表示されるために行う施策を指す。
コンテンツマーケティングの文脈では、主にオウンドメディアに対して実施する。
検索ニーズの高いキーワードから対策キーワードを決め、Googleの基準に沿う質の高いコンテンツ(記事)を作成する。
リードが不足している原因は、自社のWebサイトのアクセスが少ないことかもしれない。
この場合は、コンテンツSEOによって、Webサイトのアクセスを継続的に増やしていこう。
コンテンツSEOでは、長期的な目線でリード獲得を目指すことができる。
コンテンツのキーワードを「顕在層向けのビッグキーワード」「比較検討層向けのミドルキーワード」「潜在層向けのスモールキーワード」という具合に分類することで、リード獲得の時間軸を調整することも可能だ。
「将来のリード」にもアプローチできる点が最大の特徴と言えるだろう。
コンテンツSEOやオウンドメディアについては、下記の記事でも詳しく解説している。
一度軌道に乗れば長期的にリードジェネレーションが進むため、中長期では非常に有望な施策と言える。
一方で、コンテンツSEOの実施には「ターゲットとペルソナの設計」「カスタマージャーニーの設計」「コンテンツ制作」が必須だ。
また、コンテンツ制作のためのリソースも確保しなくてはならない。
さらに、オウンドメディアが育つまでには数か月〜1年の期間を要する。
スピード重視の場合には適さないため、Web広告と並行して取り組む企業が多い。
オウンドメディアが育ったあとは、一般的に広告よりもかなり低いCPAでリードを獲得できる。
3.7. リードジェネレーション施策の比較
ここまで、オンラインにおけるリードジェネレーションの施策を紹介してきた。
これを踏まえて、リードジェネレーション施策の選び方について、概要やメリット・デメリット・コスト・難易度などの観点から比較する。
「多くのコストをかけてでも最短で成果に結びつけたい」「人手が少ないため最小限の手間でできることから始めたい」など、自社が置かれている状況に応じて検討してみてほしい。
◎:相対的に良い
◯:相対的に普通
△:相対的にあまり良くない(難易度が高い)
施策名 | 概要 | メリット | デメリット | コスト | 難易度 |
Web広告
・リスティング広告 ・SNS広告 ・リード保証型広告 |
Web上に出向し、ユーザーの属性や行動に応じて自動的に表示する広告 | ・ターゲットをプラットフォームのアルゴリズムに任せられる
・少額から開始できる ・キーワードや広告内容がターゲットとマッチすれば迅速かつ大量にリードを確保できる |
・常に分析やチューニングが必要
・ターゲットを外した時のリスクが大きい ・キーワードやターゲット選定のノウハウが必要 |
〇 | △ |
資料比較サイト、レビューサイト | PVが大きい比較サイトへの登録 | ・比較検討層に直接アプローチできる
・ダウンロードされた資料をじっくり読んでもらいやすい |
・競合他社との差が明らかになり、不利になる場合も
・ |
◎ | △ |
リファラル(紹介) | 既存顧客などからの紹介 | ・リードの質が高い
・リード獲得から商談、受注までのスピードが速い |
・大量のリード獲得には不向き
・紹介ルートの確保に時間とコストがかかる |
◎ | △ |
メール | Eメールによるリード獲得 | ・リストが入手済みであれば少額の費用で開始できる | ・メール作成のノウハウや手間がかかる
・スパム判定などメールが届かないリスク |
◎ | △ |
オンラインセミナー | オンライン上でのセミナー登録でリード獲得 | ・双方向型であれば信頼感を得やすい
・社内資料を流用することで実施コストが下げられる |
・参加者数を稼ぐための媒体が必要 | 〇~◎ | ○ |
コンテンツSEO | 主にオウンドメディアのコンテンツを用いた露出とリード獲得 | ・中長期的にリードを積み上げやすい
・少額から開始でき低リスク |
・実施のためにノウハウと人的リソースが必要
・結果が出るまでに時間を要する |
◎~〇 | △~○ |
4. リードジェネレーション施策を選ぶ際のポイント
次に、実際にリードジェネレーション施策を選ぶ場合のポイントを整理していきたい。
ポイント1.成長フェーズと時間軸に合わせた施策を選ぶ
まず意識すべきは、企業の成長フェーズだ。
企業の成長フェーズは、大きく「創業期」「成長期」「安定期」の3つに分類できる。
各フェーズごとに最適なリードジェネレーション施策があるため、まずはこの点を整理する。
自社が属するフェーズによって、実施すべきリードジェネレーション施策を絞りこんでみてほしい。
創業期
おすすめの施策
- Web広告
- オンラインセミナー
- 資料比較サイト
創業期は、調達した資金をもとに市場開拓を行うケースが多い。
この状態ではリードがほとんど存在しないか、ごくわずかであることが大半だ。
したがって、短期目線で効果が見込める施策を選んでいこう。
端的に言えば、Web広告やオンラインセミナー(ウェビナー)などが適している。
企業自体の認知度がなくても、コンテンツ自体がユーザーニーズに合致していれば一定の集客(=リード獲得)が見込めるからだ。
労力面については、オンラインのセミナーであれば講師1人・システムサポート1人の最低2人程度で実施できる。
一度実施したセミナーはオンデマンド配信にできる点もメリットといえるだろう。
自社の集客力が不足している場合は、WinWin関係を構築できる企業と共催セミナーにする、Web広告を回して参加者数を増やすなどの施策も検討してみてほしい。
さらに、製品力に自信があるのであれば、資料比較サイトへの掲載も検討しよう。
成長期
おすすめの施策
- コンテンツSEO(オウンドメディアへの投資)
- Web広告
- オンラインセミナー
成長期では、人員を増やしたり、販促費を戦略費として先行投資的に使ったりと資金循環が速くなる。
一方で、創業期に獲得したリードが枯渇し、受注数が頭打ちになるケースも少なくない。
こうした事態を防ぐために、中長期的にリードを獲得する「コンテンツSEO」や「レビューサイト」「メール」などの施策に取り組んでいこう。
これらは効果が出るまでに時間を要するため、資金に余裕がある段階で着手しておきたい。
また、コンテンツSEOと同時にWeb広告を併用した流入強化を実施しつつ、セミナーや展示会での接点強化も行っていこう。
コンテンツSEOは、初期投資や手間こそかかるものの、効果の持続性が長い。
また、コンテンツSEOを施したオウンドメディアは一度育ってしまえば低コストで運営することが可能なため、先行投資として無駄になりにくい。
安定期
おすすめの施策
- コンテンツSEO
- Web広告
- レビューサイト
安定期は、市場におけるポジション形成がひと段落し、販促予算も安定しているフェーズだ。
このフェーズでは、いかに競合と差別化しつつ、まだリーチしきれていない層へアプローチしていくかが課題となる。
コンテンツSEOやWeb広告、レビューサイトなどを活用しながら、新規リードの獲得を目指していこう。
安定期に入る頃には実績も積みあがっているため、レビューサイトで口コミ効果を狙うのも良い。
5.リードジェネレーションのKPIと効果測定方法
リードジェネレーションでは何をKPIに置き、どう効果測定を行っていけばよいのだろうか。
見るべき指標はいくつかあり、複合的に評価することが大切である。
ここでは、リードジェネレーションにおいて設定すべきKPIと効果測定方法についてお伝えしていきたい。
5.1.リード件数を見る
最もわかりやすいのはリードの件数を見ることだ。
施策を実施する前に、売上目標から逆算してリード件数目標を決めておき、まずシンプルにその目標件数を達成したのかどうかを振り返っていこう。
リード件数目標 = 売上目標 ÷ 平均顧客単価 ÷ 商談化率 ÷ 受注率 |
例えば、年間の売上目標が1億円で、平均顧客単価が100万円、商談化率が50%、受注率が20%の場合、リード件数目標は1,000件となり、月に80件〜のリード獲得が必要であることがわかる。
5.2.リード単価(CPL)を見る
リードの件数と同時に、リード単価(Cost Per Lead、CPL)を見ることも重要だ。
1件のリードを獲得するのにいくらの予算をかけたのかを表し、以下の式で算出できる。
リード単価(CPL)=リード獲得にかけた費用 ÷ 獲得したリードの件数 |
リード数を稼げても、獲得単価が高ければ赤字となるリスクがある。
単年で赤字でも、まず数を優先して取っていく戦略の取り方もあるが、自社にとって許容できる単価はいくらまでなのかを、事前に社内で合意形成しておくことが重要だ。
5.3.商談化率、受注率を見る
商談化率や受注率は、いわゆるリードの「質」を評価する指標である。
たくさんのリードを獲得しても、商談化率や受注率が落ちてしまうと売上は目標に達することができない。
商談化率や受注率はリード全体で見るよりも、リードを獲得したチャネル別(自然検索/広告/セミナーなど)に分けて見ていくと、質が下がった場合の要因分析がしやすくなる。
5.4.リード獲得〜受注までの期間を見る
リードの質を測る指標として、リード獲得〜受注までにどの程度の期間がかかったかという点にも注目してみてほしい。
BtoBはBtoCと異なり、検討期間が長くなるのが一般的だが、その長さが1か月なのか1年なのかによっても戦略の立て方は大きく変わってくる。
例えば、過去に実施したセミナーでリードを獲得した企業のうち受注した企業に絞り、受注までの期間が平均6か月かかっていたとしよう。
そのセミナーで獲得するリードは潜在層に近く、丁寧なナーチャリングを要する傾向があることがわかる。
悪いことではないものの、目先の売上を上げていきたいときには、足の長いリードばかりを獲得するわけにはいかない。
このように、受注までの期間を施策ごとに明らかにすることで「どの施策が未来のどの時点のリード件数に効いてくるのか」をシミュレーションできるようになる。
6.リードジェネレーションのよくある課題と解決策
最後に、リードジェネレーションを行ううえで発生しやすい課題と解決策と、リード獲得のためのポイントを整理する。
自社の状況と照らし合わせながら、適切な施策につなげていこう。
6.1.リードの量が少ない・足りない
リードの量が少ない・足りないという課題には、以下のような要因が考えられる。
コンバージョンのハードルが高い
リード獲得につながるコンバージョンポイントは、いくつも用意しておこう。
例えば、問い合わせや見積もりDLはリードの質は高いが、それだけでは潜在層のリードを獲得する機会を逃している可能性がある。
そこで、セミナーやホワイトペーパー、メルマガ登録などハードルの低いチャネルも用意していこう。
SaaSやサブスクリプションモデルの商材の場合は「無料トライアル」も用意したいところだ。
コンテンツが古い
Webサイトの記事、ホワイトペーパー、セミナーといったコンテンツは、潜在顧客が自社に興味を持つきっかけとなる。
一方で、段々と内容が古くなり、現状に沿わないものになってしまうリスクもある。
自社のコンテンツがユーザーのニーズに沿っているかを常に見直し「作り続ける」ことが大切だ。
ターゲティングが適切でない
ターゲティングが適切でなければリード獲得にはつながらない。
3C分析、SWOT分析、5-force分析、STP分析といったマーケティングフレームワークを用いて、自社のターゲティングを見直してみるとよいだろう。
さらに、カスタマージャーニーやマーケティングファネルを用いて、顧客の購買行動プロセスを可視化することも忘れないようにしたい。
6.2.リードの商談化率・受注率が低い
商談化率・受注率の低さを改善するためには、チャネルやコンテンツの見直しが有効だ。
例えば、ホワイトペーパーで獲得したリードの質が悪かったとしよう。
この場合は、以下2パターンの原因が考えられる。
- ホワイトペーパーへの導線を持つ記事の質が低い
- ホワイトペーパー自体の質が低い
前者はそもそもターゲットとしていない層にアプローチしている可能性がある。
また、後者はターゲットへの訴求効果が低いのかもしれない。
したがって、「導線となる記事」と「ホワイトペーパー」の両方に対して見直しを行おう。
チャネルやコンテンツに問題がない場合は、営業との連携に問題があるかもしれない。
営業チームがリードに向き合う時間があるか、マーケティングがサポートできることはないかをチェックしてみよう。
6.3.受注までのサイクルが長い
受注までのサイクルが長いという課題もよく挙げられる。
営業やインサイドセールスも関わってくるため一概にはいえないが、マーケティング側の要因としては以下の2つが考えられる。
施策がアウトバウンドに偏っている
受注までのサイクルは、ユーザーが自ら問い合わせをしてくれる「インバウンドのリード」よりも、広告などの「アウトバウンドのリード」のほうが長い。
したがって、アウトバウンドに偏ってしまうと受注までの期間が長くなってしまう。
そこで、直接的な問い合わせを促す施策に注力していこう。
例えばオウンドメディアだ。
オウンドメディアの導線を改善することでインバウンドのリードが増え、受注までのサイクルを短縮できるかもしれない。
ナーチャリングが不十分
獲得したリードに対して、最初の接点から何のアプローチもかけていないと、あっという間に忘れ去られてしまう。
メルマガなどを活用し、定期的に有益な情報を提供していこう。
7.リードジェネレーションを成功させるポイント
これら個別の対策を踏まえつつ、リードジェネレーションを成功させるポイントをまとめる。
今後の施策立案の参考にしてみてほしい。
ポイント1.まずは個別最適から
リードジェネレーションに問題がある場合は、ビッグバン的な対応よりも「個別最適」が効きやすい。
端的に言えば「チャネルごとに最適化を行う」わけだ。
例えば、Web広告は出稿コストとキーワード選定の見直しに注力する。
コンテンツSEO(オウンドメディア)は、キーワードの選定やコンテンツの再配置、リライトなどを実施してみよう。
さらにLPの分析および最適化、CTAの最適化など、EFOの実施なども効果が見込める。
こうした施策の優先度を決め、「決めたものをやりきる」という方針で進めていく。
要は「ボトルネックの特定」だ。
初期は非常に手間がかかるが、何度も繰り返すうちにボトルネックのパターンが見えてくる。
ビックバン的に実施してしまうと、このボトルネックが特定できないうえに、コストパフォーマンスも悪い。
ポイント2.ターゲット・ペルソナを精緻に作る
ターゲットは「顧客層」、ペルソナは「顧客像」と理解できる。
この2つの精度が低いと、すべての施策にズレが出てしまう。
まずターゲットを設定し、そこからより具体的な「人物像」を思い浮かべるかたちでペルソナを作っていこう。
ターゲットやペルソナの精度が高いと、広告・オウンドメディアのコンテンツ・メールのすべてにおいて「刺さるコンテンツ」を作りやすくなる。
結果的にリードジェネレーションが促進されるというわけだ。
以下はターゲットとペルソナの具体的な例だ。
●ターゲット
- 製造業に属する中堅規模(売上100億以上)の企業
- 社員数は100~500人程度
- 社内の情報システム担当者
- 30代以上で勤続5年以上の中堅クラス
●ペルソナ
- SEやPGとしての経験がある
- クラウドサービスがレガシーシステムより優れていることを理解している
- 普段は業務で利用するツールに関する問い合わせ対応やレクチャーに追われている
- どの部署もExcelによる手動入力の業務が多く、関数やマクロのメンテナンスが多い
- これまでの業務プロセスを変えずに、社内業務の効率化や自動化が進められるツールが欲しいと考えている
- 社内情報システムのメンバーは5人程度
- 決裁者が別に存在しており、ツールの導入には上長の許可が必要
- 上長は新しい技術への興味はあるものの、コスト面へのチェックが厳しい
ポイント3.VOCベースでニーズを把握する
VOCとは「顧客の声」である。
日本では主に、カスタマーサポートや営業が顧客の声を直接受け取っている。
顧客の声には「現実的」かつ「必然性が高い」内容が濃縮されている。
これらは「強く明らかなニーズ(顕在ニーズ)」に他ならない。
また、顕在ニーズを集めて分析していけば、「気づいていないニーズ(潜在ニーズ)」も見えてくる。
ニーズを真正面からとらえたコンテンツは、リードジェネレーションにつながりやすい。
営業部門やサポート部門から顧客の生の声を収集し、コンテンツ制作に活かそう。
ポイント4.データ主導でPDCAを回す
今やマーケティングもデータと数値の時代だ。
データ主導のPDCAを回さなければ、継続的にリードを増やすことはできない。
WebサイトのA/Bテスト、MAツールなどを駆使しながら、データの収集・分析・改善に取り組もう。
また、設定したKPIは定期的に確認を行い、達成度やボトルネックを数値で確認しよう。
8. まとめ
この記事では、リードジェネレーションの具体的な施策や、企業の成長フェーズに合わせた施策の選び方、よくある課題と解決方法、成功のためのポイントなどを解説してきた。
リードジェネレーションは、BtoBマーケティングの成否を左右する重要な要素である。
どのような施策があり、メリット・デメリットは何なのかを体系的に理解していこう。
本記事を参考に、自社に合ったリードジェネレーションの施策に取り組んでみてほしい。
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