SaaSビジネスは投資判断が難しいビジネスだ。
その理由は「収益性の評価が難しい」ことにある。
SaaSは月額を主としたサブスクリプションモデルが一般的であり、特に短期間で収益は立ちにくく、予測や評価も行いにくい。
そこで近年注目されている指標が「ユニットエコノミクス」だ。
ユニットエコノミクスとは、1人の顧客がビジネスにもたらす収益とコストのバランスを示す指標であり、SaaSモデルの健康状態を診断する「心拍数」のようなものである。
本記事では、ユニットエコノミクスの基礎知識、算出方法、SaaSビジネスにおけるユニットエコノミクスの重要性を解説する。
SaaSビジネスの評価方法を模索している方は、ぜひ参考にしてみてほしい。
1.ユニットエコノミクスとは
まず、ユニットエコノミクスの概要と計算方法を紹介する。
1.1.ユニットエコノミクスとは
ユニットエコノミクスはひとことでいうと「事業の健全性を計測するための指標」だ。
SaaSビジネスでは「顧客一人当たりの収益性」を表現する指標である。
勘違いされがちだが、ユニットエコノミクスは「短期的な収益性の指標」として使うことはできない。
後述の計算方法を見ればわかるが、ユニットエコノミクスは一定期間以上(おおむね1年程度)の継続的な収益データが前提となるためだ。
「特定の月にユーザーが使う金額」や「来月の契約継続率」などを算出するものではないことを覚えておこう。
ユニットエコノミクスでは「中長期的な継続購入の金額」「継続した期間」と顧客の獲得コストを比較し、事業の健全性を判断する。
現代では、特にSaaSビジネスの健全性評価に使われることが多く、中長期の投資判断において重要な役割を担っている。
では、計算方法をみていこう。
1.2.ユニットエコノミクスの計算方法
ユニットエコノミクスの計算方法は、以下2つだ。
①LTV(顧客生涯価値) ÷ CAC(顧客獲得コスト)
②平均継続期間 ÷ CAC Payback Period(CAC回収期間)
①LTV(顧客生涯価値) ÷ CAC(顧客獲得コスト)
1つ目の計算方法は「LTV(顧客生涯価値) ÷ CAC(顧客獲得コスト)」だ。
「LTV ÷ CAC」 は、1人の顧客がもたらす中長期的にもたらす収益(LTV)が、獲得に要したコスト(CAC)に対してどれだけ優秀かを示す指標である。
例えば、1顧客の獲得に5万円費やし、その顧客から1年間で15万円の収益を得たとすると、ユニットエコノミクスの数値は「3」となる。
ちなみにLTVは「顧客が契約期間中に企業にもたらす総収益」であり、以下の式で算出できる。
- LTV = ARPU (1ユーザーあたりの月間収益)× 平均継続期間
- LTV = ARPU ÷ Churn Rate(解約率)
また、CAC(顧客獲得コスト)は、文字通り 顧客1人を獲得するためのコストで、以下2つの方法で算出可能だ。
- CAC = マーケティング費用 ÷ 新規獲得顧客数
- CAC = ARPU × CAC Payback Period
②平均継続期間 ÷ CAC Payback Period(獲得コストの回収期間)
2つ目の計算方法は「顧客の平均継続期間÷獲得コストの回収期間」だ。
この計算方法では、顧客がサービスを利用する期間(平均継続期間)が、顧客獲得コストを回収するまでの期間(CAC回収期間)をどれだけ上回るかを計測している。
この比率が高いほど、「顧客はコスト回収後も利益を生み出している」といえる。
平均継続期間 ÷ CAC Payback Period(獲得コストの回収期間)は、下記の方法で算出できる。
- 平均継続期間 = 1 ÷ 解約率(Churn Rate)
- CAC Payback Period = CAC ÷ ARPU(1ユーザーあたりの月間収益)
LTVとCACについては、下記の記事でも解説している。
1.3.ユニットエコノミクスでわかること
ユニットエコノミクスでは、以下2つのことがわかる。
顧客あたりの採算性
ユニットエコノミクスを活用することで、1人の顧客を獲得・維持するために投下したコスト(CAC)に対して、どれだけの収益(LTV)を得られるかを明確に把握できる。
顧客単位での収益性や投資効率を評価することが可能だ。
自社サービスの健全性
ユニットエコノミクスには「目安」となる数値が存在する。
詳しくは後述するが、この目安を「LTV ÷ CAC」や「平均継続期間 ÷ CAC回収期間」
が上回っていれば「健全」という評価が可能だ。
SaaSビジネスのように「軌道には乗ったが、安定度の評価が難しい」といった場合には、ユニットエコノミクスの数値を見て判断する、という使い方ができる。
2.なぜSaaSでユニットエコノミクスが重要なのか
近年、SaaSビジネスでは事業の健全性評価としてユニットエコノミクスが非常に重視されている。
ユニットエコノミクス自体は、もともと店舗や事業所のように「収益をあげるユニット」が明確なビジネスで重宝されてきた。
ではなぜ今、SaaSビジネスで重要視されるのだろうか。
その背景には、以下3つの理由がある。
理由1.売り切り型のビジネスとSaaSの違い
売り切り型のビジネスでは、商品が売れた時点で売上と利益が確定する。
つまりこの時点で、商品にかけたコストと売上、そして収益が可視化でき、ビジネスの健全性も容易に測れる。なんなら、1日ごとの明確な収益を算出することも可能だ。
一方、SaaSモデルは継続的なサブスクリプション料金が収益の柱となる。
収益性を正しく把握するにはこの「取引の継続性」を加味した、顧客ごとのLTV(顧客生涯価値)とCAC(顧客獲得コスト)の分析が不可欠だ。
このため、LTVとCACから「相対的な健全性」を把握できるユニットエコノミクスが重視されている。
理由2.回収期間が長いから
SaaSモデルでは、毎月少しずつ収益が積みあがっていき、一定のラインを超えたところで利益が出始める。
また、顧客が一定期間以上サービスを継続して初めて「利益」が確定する。
さらに初期段階では、顧客獲得に大きな投資を必要とするため、投下コスト(CAC)の回収に長い時間を要する。
例えば、1人の顧客を獲得するために10万円のCACがかかった場合、月額料金が5,000円であれば、回収には20ヶ月が必要だ。
20ヶ月もの間、ビジネスを評価できないという状況はかなりリスクが高い。
しかしユニットエコノミクスならば「回収期間」が到達する前でも健全性を評価し、改善の策を打てる。
回収までのタイムラグが長いSaaSビジネスでは、ユニットエコノミクスを活用した健全性の確認が極めて重要だ。
理由3.成長・停滞の判断がしにくいから
SaaSビジネスにおいて、単純な契約数だけでは事業の成長・停滞を判断できない。
たとえば、顧客数が増えていても、獲得コスト(CAC)の増大が著しい場合、一定期間において収益性が低下する可能性がある。
逆に、顧客単価やLTVが高ければ、短期的な損失があっても投資が正当化される。
ユニットエコノミクスならば、「コストと収益による健全性の変動」を容易に把握できる。
3.ユニットエコノミクスを使ったビジネスの評価ポイント
では、実際にユニットエコノミクスを使ったビジネスの評価方法を見ていこう。
3.1.健全性評価「ユニットエコノミクス>3」
ユニットエコノミクスには「目安」となる数値がある。
それは「3」という数値だ。
具体的には「ユニットエコノミクス>3」であれば、そのビジネスは健全だと判断できるといわれている。
言い換えると、「LTV(顧客生涯価値)がCAC(獲得コスト)の3倍以上」になっていればビジネスは健全と判断されるわけだ。
この「3」という数値は、比較的メジャーであるが、その根拠についてはあまり知られていない。
そこで「なぜ3以上ならば健全なのか」という点も理解しておこう。
前述のとおり、ユニットエコノミクスは「LTV÷ CAC」で算出できる。
さらにLTVは「ARPU(1ユーザーあたりの月間収益) ÷ Churn Rate(解約率)」と説明できる。
また、CACは「ARPA × CAC Payback Period(コスト回収期間)」だ。
この2つの式を紐解くとユニットエコノミクスは以下のような式になる。
LTV/CAC(ユニットエコノミクス) = 1 / {(解約率)×(CAC Payback Period)}
ここで回収期間を平均的な数値(12か月)に設定し、解約率(月間)も同様に「3%」を設定する。
すると、計算結果はおよそ「2.8」となる。
平均的な回収期間と解約率を代入した結果が2.8になるわけだ。
このことが「3以上であれば健全」という説の根拠になっている。
3.2.ビジネスのフェーズごとに健全性を判断する
ユニットエコノミクスは「正解」こそないが、ビジネスのフェーズに応じた「適解」は存在する。
この適解を知ることで、自社に合った健全性の判断が可能だ。
1. 初期フェーズ(スタートアップ段階)
目的: 顧客獲得モデルの検証、収益性よりも市場拡大を重視。
ユニットエコノミクスの目安: 1.5~2.0
初期フェーズとは、製品やサービスをリリースしたばかりで、市場適合性を探っている段階だ。
顧客はゼロに近い状態なので、顧客獲得コスト(CAC)は自然と大きくなる。
また、契約の「継続期間」が限られているため、顧客から得られる収益の総額(=LTV)も小さい。
さらに、黒字化よりも市場への浸透が優先されるため、広告などへの投資も欠かせない。
この状態では、ユニットエコノミクス(LTV / CAC)はどうしても小さくなる。
一般的な目安である「>3」に到達できない場合が大半で、2未満になることも珍しくない。
2. 中期フェーズ(成長段階)
目的: 収益性を重視しながら市場シェアを拡大。
ユニットエコノミクスの目安 :3.0
中期フェーズは、顧客獲得が順調に進み、ビジネスが拡大し始める段階だ。
顧客獲得コストを小さくしながら、成長のために収益を大きくすることが求められる。
このフェーズでは、ユニットエコノミクスの目安である「>3」を目指したい。
平均的な回収期間と解約率のもとで、順調に成長できているかを注視しよう。
3. 成熟期(安定段階)
目的: 高収益構造を実現し、持続可能な成長と黒字化の維持。
ユニットエコノミクス: 3.5~5.0
成熟期に入ると、顧客獲得のペースが安定する。
爆発的に増えることもないが、大きく減ることもなく、予測できる範囲の微増傾向が続く。
また、既存顧客からの追加収益やリテンション率(顧客維持率)の上昇も起こるため、LTVが大きくなりやすい。
この状況でCAC(顧客獲得コスト)を絞っていけば、ユニットエコノミクスは自然と大きくなる。
3.3.収益モデルの設計と改善
ユニットエコノミクスを分析することで、価格設定やコスト構造を最適化するための材料を得られる。
例えば、顧客の多様なニーズに応じて、複数の料金プラン(例:ベーシック、プロフェッショナル、エンタープライズなど)を設定し、それぞれのLTVやCACを計測する。
料金プランごとのユニットエコノミクスを算出し、どのプランが最も健全か(効率よく儲けているか)を把握する。
プランごとの健全性を算出した後は「最も契約させたいプラン」を明確にし、ビジネスの戦略を改善する。
また、顧客獲得コストの削減が難しい場合は、「価格に上乗せすべきコスト」をユニットエコノミクスから逆算する方法もある。
獲得コストが価格へ適切に転嫁できれば、ビジネスの健全性は向上していくだろう。
4.ユニットエコノミクスの改善方法
ユニットエコノミクスの改善方法は、大きくわけて2つだ。
1つ目は「分母(CAC)を小さくする」こと、2つ目は「分子(LTV)を大きくする」ことだ。
この2つの選択肢には、それぞれ複数の施策が含まれる。
では「CACを小さくする」「LTVを大きくする」という2つの視点にわけて、ユニットエコノミクスの改善方法をまとめてみよう。
改善方法1. CACを下げる(分母を小さくする)
CAC(顧客獲得コスト)を小さくするためには、SEO対策やCVR向上対策、広告の最適化などが有効だ。
①SEO対策による検索流入増
SEO対策は、自然検索経由での顧客獲得を増やす。
自然検索からの獲得が増えると、Web広告に投入するコストを抑えることができる。
特に効果的なのは、コンテンツの力で検索流入を増やす「コンテンツSEO」への注力だ。
コンテンツSEOとは、コンテンツ(Webページ)を検索エンジンのアルゴリズムに最適化させる取り組みだ。
コンテンツSEOではまず、自社の製品・サービスのターゲットになるであろう対象を「ペルソナ」として定義する。
次に、ペルソナが興味・関心を持つであろうキーワードを選定する。
キーワードには検索ユーザーの「ニーズ」が含まれているので、このニーズを満たすコンテンツを制作してオウンドメディアなどへ掲載する。
コンテンツが、狙ったキーワードの検索上位に表示されることで、検索ユーザーが自動的に流入する。
さらに流入した検索ユーザーの中の一定数が「見込み客」となり、ナーチャリングを経て「顧客」となる。
大半は見込み客や成約顧客になる前に離脱してしまうが「半自動的に顧客獲得が進む」ため、長期的に見ればコストパフォーマンスが高い施策だ。
Web広告の効果を体感できていない場合は、コンテンツSEOでの顧客獲得に切り替えてみよう。
コンテンツSEOについては、下記の記事でも解説している。
また、コンテンツSEOで得られる効果は直接的な「見込み客や顧客の獲得」だけではない。
上位表示で露出を得ることによる認知拡大、ホームページやメディア全体でのブランディング、記事による専門性のアピールなどさまざまだ。
長期的に取り組むことで、これらの他の効果も得られ、間接的にリード獲得や集客の効果につながるのだ。
「ユニットエコノミクス」が振るわないときに限らず、ぜひSEOにはできる限り早めに、長期を見据えて取り組んでいただきたい。
②CVR(コンバージョン率)の向上
すでにコンテンツSEOに取り組んでいる場合は、CVR(コンバージョン率)の向上を狙おう。
CVRの向上によって「検索ユーザー→見込み顧客」「見込み顧客→成約顧客」への転換率が上がる。
同じ広告費やマーケティングコストでより多くの顧客を獲得できるため、CACの低下に貢献する。
CVRの向上対策として、具体的には以下が挙げられる。
- カスタマージャーニーをもとに顧客行動の分析を行い、離脱ポイントを洗い出す
- ユーザーの「入力行動」を中心に入力フォームの最適化やCTAの再配置を行う
- ターゲット・ペルソナとコンテンツが一致しているか分析する
上記3つの視点でランディングページや記事コンテンツ、問い合わせフォームなどを見直すことでCVRの向上が期待できる。
また、SaaSビジネスの場合は「フリートライアル」も活用しよう。
フリートライアルで興味関心を持つユーザーに「体験」を提供できれば「見込み顧客→成約顧客」の転換率が大きく上昇するからだ。
CVRについては、下記の記事でも解説しているため参考にしてほしい。
③広告の最適化
広告費もCACの低減を促す重要な要素だ。
リスティング広告やリターゲティング広告など活用して、最もコンバージョンしやすい顧客層にリーチしよう。
また、A/Bテストを継続的に実施し、広告のコピー、デザイン、ターゲット設定を微調整して、パフォーマンスを最大化する必要がある。
さらに、「広告で流入したユーザーの受け皿」を用意することも忘れないようにしたい。
SaaSビジネスの場合、広告からダイレクトに成約に至るケースは稀だ。
問い合わせ、トライアルの申し込みなどを促すフォームを設置し、広告からの流入を「見込み客」へと転換していこう。
改善方法2. LTVを上げる(分子を大きくする)
LTVを大きくするためには「ロイヤルカスタマーの育成」「リテンションの強化」「カスタマーサクセスの徹底」の3つに注力しよう。
①ロイヤルカスタマーの育成
ロイヤルカスタマーは「LTVが大きく、継続的に利益をもたらす最上位顧客」だ。
ロイヤルカスタマーは長期間にわたって複数回の購入を行うため、LTVが非常に高い。
高いLTV、そしてロイヤルカスタマーの多さは、企業の収益力を安定的に向上させる要因となる。
さらに、購買に至るまでに必要なコストが新規顧客に比べて圧倒的に低いことも見逃せない。
CACがゼロに近い状態で多大な利益をもたらしてくれるため、LTVの増大はもとより、ユニットエコノミクス自体の改善にも影響する。
一方で、ロイヤルカスタマーの大半は「自然に発生するもの」であり、育成が難しい。
そこで注力すべきが「ロイヤルティプログラム」だ
ロイヤルティプログラムでは、ポイントプログラムなど「特定の購買を行った顧客向けの優遇措置」を設けることで、ロイヤルカスタマーを育成する。
BtoBのSaaSビジネスでは、複数の製品・サービスを連動させるプログラムや、トレーニングや教育を提供するプログラムなどが効果的だ。
この点については、下記の記事でより深く解説しているため、参考にしていただきたい。
② リテンションマーケティングの強化
リテンションマーケティングとは、既存顧客との関係を深め、サービスや製品を継続利用してもらうことを目的としたマーケティング手法だ。
主に既存顧客に焦点を当てて「解約の防止」「リピート購入の促進」を目指す。
リテンションマーケティングはコスト効率が高く、LTVの向上やリファラル(顧客紹介)の促進、解約率(Churn Rate)の低減などさまざまな効果が見込める。
特にSaaSビジネスでは、解約率の低減がLTV増大に大きな効果を発揮する。
まずは解約時のアンケートを導入し、解約理由を詳細に分析していこう。
さらに解約の兆候(利用頻度の低下や支払いの遅延など)を早期に察知し、プロアクティブに対応する仕組みを構築することも有効だ。
これらの取り組みを行うには、アンケートだけでなく、CRMやBIツールなどを活用したデータドリブンマーケティングを本格的に導入することもおすすめだ。
③ カスタマーサクセスの徹底
カスタマーサクセスは「自社製品やサービスを顧客の成功に寄与するように提供する」という考え方だ。
カスタマーサクセスは施策ではなく「概念」だが、この概念が根底にあると、顧客の痛みや課題に寄り添ったアプローチが生まれやすい。
ちなみにSaaSを利用する企業の「成功」とは、端的に言えば「業務改善」「使い勝手の向上」である。
また、その粒度が細かく正確なほど顧客ロイヤルティが高まりやすい。
カスタマーサクセスの実現には長い時間を要するが、まずはオンボーディングプロセスを強化し、新規顧客がスムーズに製品やサービスを活用できる状態を作ろう。
また、顧客が目標を達成できているかを定期的に確認し、適切なサポートを提供する。
さらに成功事例の配信など、顧客が「成功のヒント」を得られるようなサービスを提供しても良いだろう。
改善方法3. 顧客獲得チャネルの最適化
すでに十分な顧客が獲得できている場合は、「顧客獲得チャネルの最適化」によってユニットエコノミクスが向上するかもしれない。
顧客をどのチャネルで獲得するかは、コスト効率と顧客の質に大きな影響を与える。
各チャネル(Web広告、オウンドメディアSEO、ウェビナー、SNSなど)の獲得単価とLTVを比較し、最も効率の良いチャネルを特定しよう。
BtoB向けの場合は、オウンドメディアやウェビナーでの獲得数が増えると、ユニットエコノミクスを向上させやすい。
各チャネルの解説や有効性については、以下の記事でも詳しく解説しているため、参考にしていただきたい。
5.まとめ
本記事では、ユニットエコノミクスの概念、計算方法、評価ポイント、改善方法などを解説してきた。
ユニットエコノミクスは健全性の判断が難しいSaaSビジネスにおいて、無くてはならない指標である。
一般的には「ユニットエコノミクス>3」が目安とされるが、ビジネスのフェーズによって最適値が異なる。
また、ユニットエコノミクスを改善さるためには、「CACを下げる」「LTVを上げる」という2つの視点から改善案を作成し、並行して実施していこう。