コンバージョン率の全知識〜CVRの平均値や成果を高めるテクニックを解説〜

目次

ホワイトペーパー制作サービス

記事制作代行サービス

 

コンバージョン率は「成果への到達率」を表す指標だ。

マーケターが注視すべき指標の中でも特に重要なことは言うまでもないだろう。

検索流入が増えたとしても、コンバージョンが発生しなければ成果につながらないからだ。

  • 「PVやセッション数は増えてきたが、リードが増えない」
  • 「ホワイトペーパーのダウンロード数は改善されたが、商談や問い合わせが無い」
  • 「検索流入が増えているが、フリートライアルへの申し込みが少ない」

といった課題がある場合は、コンバージョン率の向上に取り組むべきだろう。

特にオウンドメディアにおいては、コンバージョン率の足かせになっているボトルネックを特定し、改善していく必要がある。

ここでは、コンバージョン率の定義や基本の計算式、コンバージョン率の目安、成果を高めるポイント、フリートライアルなどBtoBで特に効きやすいコンバージョン改善策などを紹介する。

 

1.コンバージョン率(CVR)とは?基本の計算式を知ろう

 

まず、コンバージョン率の定義と計算式について簡単におさらいしておこう。

 

1.1.コンバージョン、コンバージョン率の定義

 

コンバージョンは日本語で「転換」と翻訳される。

マーケティング領域では「何らかの成果、目的を達成したこと」を指す。

つまり「転換」とは、目的の達成によって次のフェーズに移行したことを表している。

例えば以下のようなケースだ。

  • 検索によってオウンドメディアに流入したユーザーがリードに転換
  • リードがナーチャリングによって商談に移行
  • 商談中のリードがフリートライアルによって顧客に転換

このように、何らかの行動転換によって自社が定める目的に到達した状態を「コンバージョン」と定義することができる。

また、行動転換によって目的を達成した数を母数で除することで「率」を求めることもできる。

これがコンバージョン率だ。

コンバージョン率(CVR)は転換率や成果発生率と理解される。

具体的な計算式は後述するが、コンバージョン率はマーケティング領域において極めて重要な指標のひとつだ。

 

1.2.コンバージョン率がなぜ重要なのか

 

コンバージョン率が重要視される理由としては、下記が挙げられる。

 

マーケティング全体のパフォーマンス改善に役立つ

 

コンバージョン率を監視、改善することでさまざまなポイントでの転換状況が可視化される。

コンバージョン=商談、受注と考えられがちだが、実際にはさまざまな「転換」のポイントが存在する。

例えば、記事コンテンツ閲覧からのホワイトペーパーダウンロードや問い合わせなどだ。

これらはマーケティングファネルのフェーズ移行につながる「転換」のポイントである。

さまざまなポイントでコンバージョン率を監視することで、具体的なボトルネックが明らかになる。

 

KPI(もしくはKGI)として可視化しやすい

 

現在のマーケティング施策には定量的な評価基準が求められる。

また、コンバージョン率が高いほど施策の正当性が高いと言える。

このことから、複数の施策を同時並行する場合に、コンバージョン率への影響度によって施策の優先度を判断できる。

また、他のKPIとコンバージョン率の関連性を分析することで、重要度の高い指標の割り出しにも使うことができる。

 

1.3.コンバージョンのパターン

 

BtoBではBtoCに比べて注視すべきコンバージョンのパターンが多い。

「購入」以前のプロセスが長く複雑だからだ。

以下は、BtoBにおけるコンバージョンのパターンだ。

一般的なコンバージョン

コンバージョンの種類 成果の種類
単純な購入 売上
デモ依頼 受注
見積依頼 商談

オウンドメディア経由でのコンバージョン

コンバージョンの種類 成果の種類
問い合わせフォーム入力 リード獲得
フリートライアル申込 商談、受注(営業フェーズへ移行)
ホワイトペーパーダウンロード リード獲得
セミナー参加登録 リード獲得、商談(営業フェーズへ移行)
メルマガ登録 リード獲得

オウンドメディア経由の場合は、「リード獲得」「営業フェーズへの移行」のタイミングでもコンバージョンと定義することもある。

 

1.4.コンバージョン率(CVR)の計算式

 

コンバージョン率の計算式は「転換数(発生数)/母数×100」が基本だ。

ただし、目的によって分母の内容が変化する。

そのため、計算式もひとつではない。

下記は、代表的なコンバージョン率の計算式だ。

CVR=ホワイトペーパーダウンロード数/セッション数×100

CVR=問い合わせ数/UU×100

 

2.コンバージョン率の目安

 

次に、コンバージョン率の目安について見ていこう。

一般的にBtoBでのコンバージョン率は5%程度と言われている。

ちなみに海外の調査結果を参照すると、BtoB全体でのコンバージョン率は3.6%程度だ。※1

BtoB のSaaSビジネスに限定すると、1.1%という結果が公表されている。※2

出典:

※1 UpLead

※2 FirstpageSage

 

2.1.無視できない「検索流入からのコンバージョン」

 

さらにオウンドメディア、つまりWebサイトからのコンバージョン率も紹介する。

BtoBサービスにおけるマーケティングソース別コンバージョン率のサンプルを参照すると、オーガニック検索で年2.3%前後だ。※3

メールに比べると低い数値だが、そもそも検索流入は「アノニマス(匿名、不明)」状態からの接触だ。

メールを受信している層とは性質が異なる。

また、「匿名」状態のネットユーザーが母体であることから、実数としては大きいはずだ。

加えて、オウンドメディア経由の場合、運営が軌道に乗れば電話やメールよりも遥かに小さなコストでリードを獲得しつづける。

以上のことから、コンバージョンの「率」としては高くないが、実数ベースで見ると無視できない存在であることは自明だ。

出典:

※3 ruleranalytics

 

3.オウンドメディアにおけるコンバージョン率改善のポイント

 

そこでオウンドメディアに焦点を絞り、コンバージョン率改善のポイントを深っていこう。

コンバージョン率改善の方法としては、以下3つの視点からのアプローチがおすすめだ。

  • カスタマージャーニーベース
  • ユーザーの入力行動ベース
  • ターゲットとペルソナベース

これらはコンバージョン率最適化(CRO)としても有効である。

順に詳しく見ていこう。

 

3.1.ジャーニーと照らして分析を行い、離脱ポイントを洗い出す

 

オウンドメディアに流入したユーザーはさまざまなポイントで離脱する。

記事の内容がニーズに合わない、記事同士のつながりが悪いなど、その理由はさまざまだ。

離脱ポイントは、言い換えれば「バケツの穴」であり、穴をふさぐことでコンバージョン率の向上が期待できる。

このとき、カスタマージャーニーと照らすことで、「穴」がより正確に把握できる。

カスタマージャーニーは、購買行動プロセスの裏側、つまりユーザー視点での購買体験だ。

ユーザーの目線で徹底的にオウンドメディアを精査することで、「穴」のディテールが明らかになる。

実際の分析では、カスタマージャーニーマップを用いてサイト分析を進める。

カスタマージャーニーマップとWebサイト分析については下記の記事で詳しく解説している。

【事例付き】カスタマージャーニーとは?作り方やすぐに使える作成例を紹介

Webサイト分析とは?オウンドメディアを成果改善に導く7つのポイント

 

3.2.ユーザーの「入力行動」を中心に洗い出す

 

2つ目のポイントは、ユーザーが入力行動を起こすポイントに対して改善を加えることだ。

コンバージョン率が低迷しているオウンドメディアは、CTAボタンの配置に問題があることが多い。

また、入力フォームの項目数が多かったり、位置が適正ではなかったりというケースもある。

つまり、Webサイト全体のデザインやユーザビリティに難点があるわけだ。

BtoBのオウンドメディアでは、ユーザーの入力負荷を低減しつつ、シンプルで訴求力の高いデザインが求められる。

また、入力フォームについては、「必要十分な項目数」「パーソナライズされた項目」「入力アシスト機能」などの実装が望ましい。

これらをまとめて「EFO(エントリーフォーム最適化)」という施策でカバーすることも可能だ。

EFO(エントリーフォーム最適化)とは?実装方法や11個の対策ポイント、ツールなどを紹介

さらに、「無償の素材サイトから画像を流用している」「業界内の認定など信頼性を明確にするソースがない」といった事柄も、ユーザーの行動を鈍化させる要素だ。

 

3.3.ターゲット/ペルソナとコンテンツが一致しているかを洗い出す

 

3つ目のポイントは、コンテンツがターゲットとペルソナのニーズに一致しているかを精査することだ。

オウンドメディアに掲載されるコンテンツは、「記事コンテンツ」「ホワイトペーパー」が大半を占める。

この2つの内容がターゲット/ペルソナに合致していないと、離脱率が上がってしまう。

例えば、「エンドポイントセキュリティツールの具体的な情報を求めている」ユーザーに対して、「時事ネタを含むトレンド記事」を配信しても効果は薄い。

コンテンツは常にターゲット/ペルソナを意識し、カスタマージャーニーに沿ったものではなくてはならない。

コンテンツの制作ステップについては、こちらでも解説している。

記事コンテンツとは?種類やステップ、SEOと読者ニーズの考え方を解説

また、ホワイトペーパーについては、役割を明確にしながら複数の種類を制作していこう。

ホワイトペーパーの種類とは?特にダウンロードされやすい3つのタイプも解説

もし、ターゲット/ペルソナに沿ったコンテンツの制作が難しい場合は、外部企業のサービスを活用してみてはいかがだろうか。

弊社では、記事コンテンツ制作やホワイトペーパー制作など、オウンドメディア全体のコンバージョン率改善につながるサービスを提供している。

 

3.4.流入量も並行して見直す

 

「コンバージョン率の改善」ではないが、コンバージョンの絶対数(実数)を増やすために流入量も意識していきたい。

BtoBのオウンドメディアは、検索流入量がコンバージョン数と比例する。

したがって「コンバージョン率」だけが高くても、十分なコンバージョン数は得られず、売上も上向かない。

流入量についてはコンテンツSEOの実施、広告の見直しで対応しよう。

また、「率」を維持するためにLPの改善にも着手しておきたい。

LPにおけるCVRの改善については、下記でも解説している。

ランディングページの利便性を上げるには?確認方法や改善・検証の施策を徹底解説!

 

4.SaaSビジネスのCVRを上げる「フリートライアル」のすすめ

 

最後に、「SaaSビジネス」に特化したコンバージョン率改善施策として「フリートライアル」を紹介する。

SaaSビジネスでは、フリートライアルの申し込みが極めて重要なコンバージョンのポイントだ。

 

4.1.BtoB SaaSにおける最強のコンバージョン促進「フリートライアル」

 

SaaSビジネスにおいては、フリートライアルへ申し込んだユーザーの成約率が高い。

実際に、Salesforce、Zendesk、LinkedIn、HubSpotなど著名なB2B SaaS企業で採用されている。

ではなぜフリートライアルがここまで重宝されるのだろうか。

「試しに使ってみることで納得感や安心感が高まる」という効果があることは確かだ。

加えてBtoBの場合は、「仮の実績が得やすいこと」が強みとなる。

実績重視のBtoBビジネスでは、導入実績のないツールやシステムに対して組織的な抵抗がある。

例えば「現場の理解が得られない」「上長の承諾が得られない」「稟議が下りない」というようにだ。

しかし、実績を積むためには導入が必要であり、この点がジレンマとなってコンバージョンに至らない。

このジレンマを解消する手段として、フリートライアルがある。

コストや契約の縛りが無い状態で使用してもらい、仮の実績を積むことで組織的な抵抗を突破するわけだ。

 

4.2.フリートライアルへの申し込み率を上げるには?

 

フリートアイアルへの申し込み率を上げる方法としては、下記がある。

  • ユーザーが実際に価値を感じられる十分な期間のフリートライアルを提供する。
  • 利用制限を設ける場合でも、基本的な機能は十分に体験できるようにする。
  • 製品の主要な利点や特長を簡潔に、魅力的に伝えるプログラムにする。
  • ケーススタディや顧客の声を使用して、製品が提供する価値をわかりやすく伝える。
  • 初めて製品を使用するユーザーがスムーズに製品を理解し使い始められるよう、ガイダンスやサポートを提供する。
  • オンボーディング時に有用なリソースやチュートリアルを提供する。

基本的な方針としては「基本機能は解放しつつ、”実利”が伝わるプログラム」であることが望ましい。

「日常のどの業務がどのように改善されるか」など「体感ベースでのメリット」が訴求されていれば、フリートライアルへの申し込み率が上がりやすい。

 

4.3.フリートライアル後のコンバージョン率を高めるためのポイント

 

さらに、フリートライアルの申し込み後の受注や成約率を高めることにも配慮したい。

つまり最終的な「コンバージョン率」を上げるためのポイントだ。

 

制限を設ける

 

基本機能はすべて開放しつつ、付加機能については制限を設けていこう。

また、期間や試行回数などについて基準を設定しても良い。

例えば、「機能を実行できる回数」「データの入出力先の変更」「より深い分析を提供する機能」などに制限をかけることで、ユーザーの購買欲求を刺激できる。

 

営業との連携、継続的なフォローアップ

 

フリートライアルを申し込んだユーザーは、その半数以上が使用を辞めてしまうと言われる。

つまり半分以上はコンバージョンに至らず離脱してしまうわけだ。

この状態を改善する方法としては、インサイドセールスとの連携による継続的なアプローチ、VOC活動の実施、再度の期限付きフリートライアルの提供などがある。

 

5.まとめ

 

ここでは、コンバージョン率の定義や計算式、BtoBのSaaSビジネスにおけるオウンドメディアのコンバージョン率改善方法などを紹介してきた。

コンバージョン率は、単に契約や受注をカウントするものではない。

何を目的とするかによってコンバージョンの改善方法は変わる。

弊社ではBtoB IT業界向けのマーケティングを支援する企業としてコンバージョン率向上に役立つサービスを提供している。

もしお悩みがあれば、是非お問合せいただきたい。

 

ホワイトペーパー制作サービス

記事制作代行サービス

関連記事