インバウンドマーケティングとは、価値のある情報やコンテンツを発信することで、見込み客が自発的に自社のサービスに興味を持つよう促すマーケティング戦略を指す。
顧客のエンゲージメントを自然な流れで高めていくインバウンドマーケティングは、特にBtoBビジネスを展開する企業にとって不可欠だ。
一方で
「インバウンドマーケティングに取り組む必要性はあるのか」
「インバウンドマーケティングを活用してビジネスを拡大させたい」
「具体的なインバウンドマーケティングの実践方法を知りたい」
という疑問や課題を抱える企業も多いだろう。
そこで本記事では、インバウンドマーケティングの全体像、必要性、具体的な実践プロセスなどを網羅的に解説していく。
「インバウンドマーケティングの教科書」として活用できる内容となっているため、ぜひ参考にしてほしい。
1.インバウンドマーケティングとは
インバウンドマーケティングとは、見込み客の知的好奇心や課題解決欲求を満たすコンテンツを発信し、見込み客の自発的な購買行動につなげるマーケティング戦略だ。
売り込み主体のプッシュ型マーケティングとは真逆で、見込み客自らが行動を起こす「プル型」のマーケティング戦略といえる。
インバウンドマーケティングに取り組む企業は、さまざまなチャネル、適切なタッチポイントを探りながら将来の顧客とのコミュニケーション方法を試行錯誤する。
それに興味・関心を持った潜在顧客が引き寄せられ、さらなるコミュニケーションを通じて、購買意欲を自然に高めながら自発的な購買行動に至るのだ。
インバウンドマーケティングにおける最終的な目標は顧客への転換(コンバージョン)である。
2.インバウンドマーケティングに注力すべき3つの理由
近年では、以下の理由からインバウンドマーケティングに取り組む企業が増えている。
- インターネットの普及による顧客の購買行動の変化
- アウトバウンドマーケティングのレッドオーシャン化
- 求められる情報の信頼性と透明性
それぞれ見ていこう。
理由①:インターネットの普及による顧客の購買行動の変化
インターネットの普及により、ユーザーが自ら多くの情報を取得するようになった。
比較サイトや口コミサイト、インフルエンサーの発信、SNSなど、売り手が制御できない情報がインターネット上に溢れている。
買い手は、売り手が考える以上に豊富な情報を持っていることも少なくない。
そうした状況下において、サービス提供企業に求められるのは、顧客の購買行動を正しく理解し、ユーザーの期待を超える価値のある情報を積極的に発信していくことだ。
すなわち、顧客にとって有益なコンテンツを提供し、行動を誘導するインバウンドマーケティングは、現代の購買行動と非常に相性の良い戦略だといえる。
理由②:アウトバウンドマーケティングのレッドオーシャン化
従来のアウトバウンドマーケティングは、売り手主体の情報提供や、潜在顧客に対するプッシュ型の営業アプローチを行うマーケティング戦略だ。
具体的には、マス広告やWeb広告、テレマーケティング、飛び込み営業といった手法が用いられる。
この手法は、広告コストや人的コストがかかるうえ、競争が激しく効果を出しづらい。
ゆえに、資金力や組織力といった企業の体力勝負に陥りがちだ。
一方インバウンドマーケティングは、体力勝負ではなく、SEOやコンテンツの充実、ツールの戦略的な活用によって、リソースに乏しい中小企業でも大企業に勝てる可能性がある戦略だ。
理由③:情報の信頼性と透明性の重要性向上
インターネットが普及し、情報が氾濫する現代では、情報の信頼性と透明性の重要性が高まっている。
これは、GoogleがE-E-A-T(経験-専門性-権威性-信頼性)をSEO(検索エンジン最適化)評価で重視することからも明らかだ。
そして、顧客は企業からの売り込みよりも、自分の購買意思決定に自信と確証を持つことを重視する。
なぜなら、心理学でいう「プロスペクト理論」で述べられるように、購買行動には失敗や損失を避けたいという意志が常に働いているからだ。
顧客の信頼を獲得するには、インバウンドマーケティングを通じてサービス提供者としての信頼性を担保しながら、価値のあるコンテンツを積極的に発信することが求められている。
3.インバウンドマーケティングの5つのメリット
インバウンドマーケティングに取り組む主なメリットは以下の5つだ。
- 確度の高い顧客に興味を持ってもらえる
- 費用対効果が高く、会社の資産として蓄積できる
- 顧客データを蓄え、分析・活用できる
- SNSによる拡散がされやすい
- 営業活動の成果に貢献できる
それぞれ見ていこう。
メリット①:確度の高い顧客に興味を持ってもらえる
インバウンドマーケティングでは、すでに興味・関心が高い状態の見込み客が、リードとして自然に流入してくる。
学びや課題解決を求めるユーザーの知的好奇心・知的欲求を満たすコンテンツにより、その内容に沿ったユーザーを引き寄せられるためだ。
例えば、CRMツールを提供する会社であれば、顧客管理やカスタマージャーニーに関する質の高いコンテンツを用意すれば、自社のソリューションに興味を示す可能性が高いリード、つまり確度の高いリードを獲得しやすくなる。
メリット②:費用対効果が高く、会社の資産として蓄積できる
ユーザーニーズを満たすコンテンツは、企業にとって長期的な効果をもたらす資産となる。
例えば、オウンドメディア記事やケーススタディは、一度制作すれば長きにわたりリードジェネレーションやリードナーチャリングに活用できる。
さらに、顧客に役立つ自社ならではの専門性を付加したホワイトペーパーやコンテンツを蓄積すれば、専門性や信頼性の高さを訴求できるだろう。
このように、リードを磁石のように惹きつけるコンテンツを「リードマグネット」と呼ぶ。
強力なリードマグネットを制作できれば、ペイドメディアやテレマーケティング、飛び込み営業などと比較して圧倒的に効率良くリードを獲得できる。
コンテンツ制作のノウハウについては、後段で解説しているため、ぜひ読み進めてほしい。
メリット③:顧客データを蓄え、分析・活用できる
インバウンドマーケティングは、データの収集と分析が比較的容易なため、効果測定を行いながら継続的に改善を進めることで、着実に成功へと近づけるだろう。
具体的には、以下のようなデータを収集し、改善のために活用できる。
- オウンドメディアへのアクセス数
- オウンドメディア記事の滞在時間
- ホワイトペーパーのダウンロード数
- ウェビナーの問い合わせフォーム遷移数
データ分析と改善を繰り返すことで、ターゲティングの精度が向上し、コンバージョン率の向上が期待できる。
コンバージョンにつながりやすいユーザーの特性を明らかにできれば、コンテンツ制作でも最適化が進み、ホットリードの収集がより効率的になるはずだ。
メリット④:コンテンツの拡散による認知度や信頼の獲得
インバウンドマーケティングで制作したコンテンツは、有用性が高いものであればSNSで拡散されたり、レビューサイト・資料掲載サイトで高評価を獲得したりする可能性がある。
これにより、自社がプロモーションをしなくとも、ユーザーの評価で多くの露出を得られるようになる。
メリット⑤:営業活動の成果に貢献できる
インバウンドマーケティングは、営業活動においても高い効果を発揮する。
例えば、以下のような効果が期待できるだろう。
- 購買意欲の高いリードの創出
さまざまなチャネルやコンテンツを駆使して潜在ニーズを顧客起点で自然に顕在化させられるため、購買意欲の高いリードを営業部門へ渡しやすい - SQL化が容易
顧客側から行動を起こしたことによる確度の高さと、インバウンドマーケティングを通じて顧客の課題を把握できることからSQL(Sales Qualified Lead)化の難易度が下がり、案件の増加や成約率の向上につながる。 - 効率的な営業活動
営業部門は購買意欲の高いリードに対して営業活動を集中できるため、従来型のアウトバウンドマーケティングと比べて効率的な営業活動を実現できる。
4.インバウンドマーケティングの3つのデメリット
インバウンドマーケティングは、リードの検討フェーズを進めながら良好な信頼関係を築けるマーケティング戦略だが、理解しておくべきデメリットも存在する。
- 効果が出るまでに時間がかかる
- コンテンツの制作・発信のためのリソース確保が必要
- 継続的な運用と最適化が必要
それぞれ見ていこう。
デメリット①:効果が出るまでに時間がかかる
インバウンドマーケティングは、短期間で大きな成果を得られる手法ではない。
顧客ニーズの理解、ニーズを満たすコンテンツの制作と蓄積、ターゲットを惹きつける導線の設計など、時間をかけて構築していく必要がある。
コンテンツ制作期間やSEO評価向上までの期間をふまえて、成果が出るまでに少なくとも半年以上はかかると考えておこう。
短期的に、まずはリードを早く獲得したい場合は、Web広告などのペイドメディアやアウトバウンドマーケティングと併用する必要がある。
デメリット②:コンテンツ発信のためのリソース確保が必要
質の高いコンテンツを用意するためには、制作コストと労力が必要だ。
まず、コンテンツ制作にはクリエイティブなアイデアと専門知識が求められる。
そして、用意したコンテンツを発信して集客につなげるためには、SEO対策に関するノウハウが不可欠だ。
これらを進めるにあたって、専門知識やスキルを持ったリソースの準備が必須となる。
自社でまかなうことが難しければ、外部業者への委託も検討してほしい。
デメリット③:継続的な運用が必要
インバウンドマーケティングでは、単にコンテンツを発信するだけではなく、データ分析を通じて顧客を正しく理解し、ターゲットにマッチしたコンテンツへ改善し続ける必要がある。
さらに、時代に沿って市場の状況や顧客のニーズも変遷するため、コンテンツの内容をアップデートしていかなければならない。
つまり、上述したリソースの確保は、長期的に必要となることを覚えておこう。
5.インバウンドマーケティングと他のマーケティング手法の違い
インバウンドマーケティングとよく比較される手法が「アウトバウンドマーケティング」と「コンテンツマーケティング」だ。
それぞれの意味と違いを正しく理解したうえで、自社に適したマーケティング戦略を採用しよう。
5.1.「アウトバウンドマーケティング」との違い
アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングの最大の違いは、見込み客に対するアプローチ方法だ。
アウトバウンドマーケティングとは、ターゲットに向けて一方的に情報を発信することで、認知度向上や購買促進を図るマーケティング戦略を指す。
つまり、顧客側からの興味を醸成するインバウンドマーケティングとは正反対の、自社から顧客へアプローチするプッシュ型の手法だ。
優劣があるわけではなく、目的やリソースに応じて使い分ける(併用する)必要がある。
アウトバウンドマーケティング | インバウンドマーケティング | |
目的 |
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顧客の姿勢 | 受動的に情報を提示される | 主体的に情報収集する |
メリット | 短期間で多くの人々にアプローチできる | 長期的な視点で顧客との深い関係性を構築できる
その結果、費用対効果が高い |
デメリット |
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代表的な手法 |
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5.2.「コンテンツマーケティング」との違い
コンテンツマーケティングとは、特定のターゲットに対して価値のあるコンテンツを配信することで、見込み客を引き寄せ、興味・関心を高めて顧客化につなげる戦略だ。
コンテンツマーケティングとインバウンドマーケティングの違いは、それぞれがカバーする領域の広さにある。
インバウンドマーケティングは、顧客との関係構築や受注までの戦略を含む幅広い概念であり、コンテンツマーケティングを包含する関係性となっている。
インバウンドマーケティングとコンテンツマーケティングは関係性が強く、非常に相性が良い概念だ。
コンテンツマーケティングの詳細については以下の記事で解説している。
6.インバウンドマーケティングを軌道に乗せる4つのステップ
インバウンドマーケティングを実践する際には、以下の4つのステージを軸に施策を進めていくのが鉄板だ。
以下で、各ステージに適したマーケティング施策を見ていこう。
ステップ1:ターゲットを惹きつける(Attract)
インバウンドマーケティングの出発点は、ターゲットを惹きつけるための準備だ。
ここでつまずいてしまうと、その後の施策は意味を成さない。
具体的には、以下のステップで進めていこう。
ステップ1-1:ペルソナの設定
まずはターゲットのペルソナを作成して自社が獲得をのぞむ顧客像を可視化しよう。
BtoBビジネスでは、ファーストコンタクトの担当者と決裁権者が異なるケースが多いため、それぞれの立場を想定した複数のペルソナ設定が必要だ。
ここで作成したペルソナは、社内関係者間におけるターゲット像の認識合わせや、各施策の方向性を固める際に役立つ。
例えば、コンテンツ制作やSEO対策、セミナー企画といった異なるセクション間の施策運営において、ペルソナが一貫性のある方針決定に有効に作用するのだ。
ステップ1-2:顧客ニーズの理解
設定したペルソナをもとに、顧客ニーズを洗い出そう。
各タッチポイントで、どのようなコミュニケーションを取るべきかについて考えるうえで有効なのが、カスタマージャーニーマップの作成だ。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が製品やサービスを購入するまでの過程を可視化したマップを指す。
顧客の購入体験を複数のステージに分け、各ステージにおける顧客の行動、思考、感情、タッチポイントを詳細に描き出せる。
すなわち、カスタマージャーニーマップはインバウンドマーケティングの全体設計に役立つツールだ。
これに加えて、顧客インタビューやアンケートリサーチを実施すれば、より深い顧客理解につなげられるだろう。
顧客の購買行動を可視化するカスタマージャーニーマップについては、以下の記事で詳しく解説している。
ステップ1-3:的確なチャネルを通じた質の高いコンテンツの提供
ターゲットの解像度が高まった段階で、実際にコンテンツ制作を進めていく。
まずは、上述したカスタマージャーニーマップから導き出した、各ステージのタッチポイントごとに、どのチャネル経由でどのようなコンテンツを発信していくかを設計することが重要だ。
以下に参考例をあげてみよう。
顧客の興味・関心・検討度合いにマッチした、可能な限りパーソナライズされた情報提供と価値提供を実現できれば、より成約に近いリードの獲得につながる。
ステップ1-4:SEO対策の強化
SEO(Search Engine Optimization)とは、検索エンジン最適化を指す。
ターゲットとするキーワードで検索された際に、検索エンジンで上位表示させるための施策だ。
SEOは評価が高まるまでに時間がかかる一方、安定して上位表示されるようになれば、コスパ良く流入を得られる。
インバウンドマーケティングのファーストステージである「Attract」の段階において、SEO対策は不可欠だ。
SEOに関する詳しい解説は、以下の記事を参考にしてほしい。
ステップ2:ターゲットを見込み客へ育成する(Convert)
インバウンドマーケティングの第2のステージは、魅力あるコンテンツを求めて流入したターゲット顧客をリード化し、自社の見込み客へと育成するプロセスだ。
リード獲得から育成、評価までの施策は、デマンドジェネレーションと呼ばれる以下の3つのステップで進めていく。
ステップ2-1:リードジェネレーション
リードジェネレーションとは、潜在的な顧客や自社に興味・関心を持つ見込み客を収集するプロセスだ。
具体的には、インバウンドマーケティングで流入したリードの個人情報(電話番号、メールアドレスなと)の取得を目指す。
この際、コンバージョン率を高めるために、Webコンテンツの充実や問い合わせフォームの最適化が実施される。
リードジェネレーションについては、以下の記事で詳しく解説している。
ステップ2-2:リードナーチャリング
リードナーチャリングとは、リードジェネレーションで収集したリードに沿って、さまざまなチャネルで価値提供を続け、自社に対する興味・関心を高めていくプロセスを指す。
具体的には、以下のようなコミュニケーションを通じてリードを育成していく。
- メールマガジンやステップメールの配信(顧客の興味・関心に合わせてパーソナライズされた情報提供)
- ホワイトペーパーの提供(専門解説やトレンド、ケーススタディの提供)
- セミナー、ウェビナー、イベントの開催(ターゲットユーザーとの直接的な交流機会の創出)
- 各種キャンペーン告知(限定感や特別感のような顧客メリットの訴求)
リードナーチャリングの具体的な施策は、以下の記事で詳しく解説している。
ステップ2-3:リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションとは、リードナーチャリングで育成したリードに対し、商談化・成約化に達する可能性を評価するプロセスだ。
ここで評価されたリードが、営業部門へトスアップされて営業活動が開始される。
ステップ3:商談化・成約化に向けてアプローチする(Close)
インバウンドマーケティングで獲得したリードがホットリードになったタイミングで、いよいよ受注獲得に向けた活動が始まる。
受注率を向上させるために必要な取り組みについて見ていこう。
ステップ3-1:営業・インサイドセールス部門との連携
インバウンドマーケティングを通じて獲得したリードは、デマンドジェネレーションを通じて購買意欲が十分に高まった結果、マーケティング部門からインサイドセールス部門、そして営業(フィールドセールス)部門へトスアップされる。
ここで重要なのは、マーケティング部門とインサイドセールス部門、営業部門が連携し、各部門の役割を明確化することだ。
全体のKPIと部門ごとのKPIを設定し、定期的なMTGで進捗を確かめながら改善できる体制を整えよう。
ステップ3-2:各種ツールの活用
インバウンドマーケティングの運用では、CRM(顧客管理システム)やMA(マーケティングオートメーション)ツールの活用が欠かせない。
CRMを導入してデータの記録・保管・分析といった一連の仕組みを漏れなく整備すれば、マーケティング施策のPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルの高速化につながり、より高いROI(投資対効果)を目指せる。
そして、CRMに加えてMAツールの並行活用が非常に効果的だ。
MAツールでは、あらかじめ設定したシナリオに従って、パーソナライズされたアプローチを自動化できる。
顧客行動の可視化や評価基準の自動判定も行えるため、マーケティングプロセスの効率化を実現できるだろう。
各種ツールは、自社の規模や予算にマッチする製品を選定することが重要だ。
ステップ4:顧客満足度を高める(Delight)
インバウンドマーケティングでは、受注を獲得したあとのフォローアップも重要となる。
なぜなら、既存顧客の満足度を上げることで、新規顧客の獲得にもつながるためだ。
ステップ4-1:カスタマーサポートとの連携
既存顧客の満足度を大きく左右するのが、カスタマーサポートの対応品質だ。
カスタマーサポートには、顧客を深く理解し、寄り添いながら課題解決に導くスキルが求められる。
加えて、顧客がストレスなく連絡・相談できるように、複数の問い合わせ経路を用意しておくことも重要だ。
オペレーターと直接会話できる電話サポート、手軽に質問できるチャットボット、より詳しいサポートを受けたい人向けのオンラインサポートなど、最大限のサポート体制を整える必要がある。
ステップ4-2:既存顧客との定期的なコミュニケーション
カスタマーサポートだけではなく、既存顧客との定期的なコミュニケーションも満足度の向上につながる。
例えば、以下のようなコミュニケーション手段が顧客満足の引き上げに貢献するだろう。
- 顧客満足度調査
- 顧客インタビュー
- 新製品・アップデートに関する情報提供
- 活用・定着支援
- ロイヤルティプログラムの提供
7.インバウンドマーケティングのおすすめ施策6つ
インバウンドマーケティングにおいては、潜在ニーズや顕在化した顧客ニーズを満たす良質なコンテンツの提供が基本戦略となる。
本章では、見込み客へ価値を提供し、購買行動を起こすきっかけとなる代表的な施策を6つ紹介する。
施策①:コンテンツマーケティング(コンテンツSEO)
コンテンツマーケティング(コンテンツSEO)は、検索結果からの流入を増やし、最終的にコンバージョンへと導く施策だ。
代表例として、オウンドメディアやサービスサイト内のコラム記事があげられる。
コンテンツマーケティングは、検索エンジンランキングの向上、自然検索流入の増加、ブランド認知度の向上、エンゲージメントの促進といった効果をもたらす。
コンテンツSEOについては、以下の記事で詳しく解説している。
施策②:メールマガジン
メールマガジンは、顧客との信頼関係の構築、ブランド認知度の向上、リードの育成に効果的なツールだ。
定期的かつ長期のコミュニケーションが可能であり、顧客にとって価値のある情報を提供できれば、信頼性が高まり永続的に関係を構築できる。
以下では、メールを用いたマーケティングについて詳しく解説しているため、参考にしてほしい。
施策③:ホワイトペーパー・eBook
ホワイトペーパー・eBookは、ターゲットユーザーに対して深い専門知識を提供することで、企業の信頼性向上と確度の高いリード獲得に貢献する。
資料を通じて読者のニーズを満たしながら、自社の専門性や実績をアピールできる点が魅力だ。
また、専門的な情報以外にも、トレンドに合わせたお役立ち情報やケーススタディなど、テーマ設定次第で幅広いターゲットに訴求できる。
ホワイトペーパーを活用した施策については、以下で詳しく解説している。
施策④:ウェビナー(オンラインセミナー)
ウェビナーは、リードジェネレーション、リードナーチャリング、ブランド認知度の向上に効果的だ。
ウェビナー参加者は、テーマに対して強い関心を持っているため、高品質なリードを獲得できる可能性がある。
さらに、リアルタイムで双方向のコミュニケーションが取れる点もメリットで、より深い信頼関係の構築が期待できる。
施策⑤:ケーススタディ集
既存顧客の成功事例を紹介するケーススタディ集は、信頼性の向上、顧客教育、リードジェネレーション、ブランド認知度の向上に効果的だ。
実績の証明や具体的な解決事例、実際の数値を用いた成功事例の紹介を行うことで、見込み客の購買行動をあと押しできるだろう。
施策⑥:動画
インバウンドマーケティングにおける動画の効果は、リードジェネレーション、ブランド認知度の向上、エンゲージメントの強化、SEOの改善、顧客教育など多岐にわたる。
上述したケーススタディを、動画で公開する方法も有効だ。
動画は、画像やテキストのみでは伝わりにくい製品のデモや操作の説明、実際の「声」を伝えられる顧客インタビューの紹介などに活用してほしい。
8.生成AI活用によるインバウンドマーケティングの将来像
生成AIの進化により、インバウンドマーケティングの手法は今後大きく変化することが予想される。
例えば、生成AIは顧客データのより深い分析が可能なため、ターゲット一人ひとりのニーズに合わせたコンテンツの自動生成を実現できるだろう。
顧客視点でみれば、パーソナライズの精度が飛躍的に向上することで、自分がほしい情報を適時に入手できるようになり、エンゲージメントの向上につながるはずだ。
さらに生成AIは、膨大なデータをリアルタイムに分析し、市場動向や顧客の反応を瞬時に把握できるため、マーケティング戦略の最適化が容易となるだろう。
データのトレンドを迅速に把握し、キャンペーンの効果を即座に評価することで、常に最善の施策を実行できるようになる。
それだけではない。
生成AIは、時間のかかるコンテンツ制作やSEO対策を自動化する。マーケティング担当者は、ルーティンワークから解放され、より戦略的な思考や顧客とのコミュニケーションに注力できるようになるはずだ。
このように、インバウンドマーケティングにおいて、生成AIの活用は不可欠なものになることは間違いない。
9.まとめ
インバウンドマーケティングの最大のメリットは、良質なコンテンツを一度用意すれば、それが集客マシーンとなり、定期的なメンテナンスのみで自動的にリードを獲得する仕組みができあがる点だ。
インバウンドマーケティングが軌道に乗れば、ペイドメディアと比較してリード獲得コストを格段に抑えられる。
そして、インバウンドマーケティングで獲得したリードは、購買意欲の高いリードに集中して営業リソースを投入できるため、営業効率の向上に大きく貢献する。
このように、インバウンドマーケティングで確立した良質なコンテンツは、企業に競争優位性をもたらす貴重な資産となるのだ。
本記事を通じて、インバウンドマーケティングが長期的戦略であることをご理解いただけただろう。
長期戦であるがゆえに、ぜひ早いタイミングでインバウンドマーケティングに取り組んでいただきたい。